日本熊森協会関連の話題で、別件を自主的に宿題にしているのだが、それがまとまる前に凄い「くまもりニュース」を見かけてしまった。
2月5日付で「
冬眠できずに雪の上をさまようクマの保護施設を 「くまもりNews」(日本熊森協会公式ブログ)」
これに先立ち、富山県の情報だが、こんな報道が出ていた。
(略)
県自然保護課によると、昨年12月の内訳は目撃10件、痕跡2件。市町村別では魚津市6件、富山市4件、南砺市と立山町が各1件。今月は13日現在、魚津市で4件の目撃があった。
12月の目撃は08年5件、09年1件とこれまでもあったが、同課の赤座久明副主幹は「今季は子グマの目撃が多い」と指摘する。昨年12月以降の目撃14件のうち子グマは10件と全体の7割を超えている。
一方、2006年の大量出没後である2007年2月にはこんな情報がでていた。
(略)
同省によると1月には東京都奥多摩町、宮城県栗原市、新潟県糸魚川市、福井県勝山市でそれぞれ1頭ずつが有害捕獲され、糸魚川市以外では捕殺された。同省は過去、1月に捕獲されるケースはほとんどないため、頭数を把握したことはなかったという。(略)
一般にクマの冬眠は、早い地域で11月下旬から、遅い地域で4月上旬まで。クマ出没が続いている理由に、専門家らは暖冬でクマが冬眠しなかったり、途中で起き出したりした可能性を指摘。また森のドングリ類の不作で、空腹でいまだにエサを探していたり、人間の食べ物の味を覚えて人里近くに居着いたりした可能性もあるという。
「人間の食べ物の味を覚えて人里近くに居着いたりした可能性も」。
さて、注目した熊森ニュースであるが。
今年、兵庫県北部但馬地方は大雪です。1月に、こぐま2頭が冬眠できずに雪の中をさまよっているという情報を得て、どんぐりを持って何度か、現地調査に行きました。(母グマを駆除された可能性大)。
可哀想ではあるにしても、そういうこともあるだろう、という情報だが「どんぐりを持って」?
ドングリを置いても1日に雪が30センチ~40センチ積もるから、すぐ雪に埋まってしまうと、地元の方が教えてくださいました。しかし、何とか見つけてほしいと願い、何カ所かに置いてきました。
この前にあった引用を略した箇所で、積雪120センチとの記述があった。そして、更に毎日3-40センチ追加されるのでは、
積雪無し時点でもクマに確実にドングリを見つけさせるノウハウがあった痕跡のない熊森の人達のこと、自分たちの気休めに「ドングリをおいてきただけ」なのはほぼ確実だろう。確実に食べさせていたとしてもヒトが与えた食糧を喰わせている「餌付け」状態になっているのでまずいにしろ、喰わないとしたら、生ゴミもしくは遺伝子攪乱源の投棄である。
だいたい、なんで今頃、写真で見るに20kg入り程度のドンゴロスにしっかり詰めて捲きにいけるほどの量のドングリが手元にあるのか不思議なのだが、これは群馬支部の話であるにせよ、以下の状況が本部で同様でないと考える根拠は特にないだろう。
餌不足のクマのため山にドングリをまこうと、群馬県高崎市の自然保護団体が昨秋、全国に協力を呼び掛けたところ、まききれないほどのドングリが集まった。クマが冬眠に入った今も寄せられており、大型の段ボール箱で計約300箱分、約3.5トンに達している。(略)
この記事では「春にドングリを撒く」などと書いてあったが、そもそも、かなり在庫を抱えていそうだ。
絶滅危惧種のクマが、冬眠場所がわからず雪の中をさまよっていると知って、うちの納屋で春まで寝ていたらいいよと言ってくださる方がおられないかなあと思いました。
環境省のレッドリスト(哺乳類)では、下北半島、紀伊半島、東中国地域、西中国地域、四国山地、九州地方のニホンツキノワグマが「絶滅のおそれのある
地域個体群」にあげられているので、兵庫県北部但馬地方なら、その地域個体群に該当するにしても、熊森の人達の「絶滅危惧種」に対する理解は大丈夫かという気はしきりとするのだが、それはともかく。
「冬眠場所がわからず雪の中をさまよっている」
野生のクマが探している冬眠場所は、常識的に考えるに
人家の納屋ではないだろう。
昔の山里には、きっとこういうことをしてくださる人がおられただろうと思いました。
えーっと。その「思いました」の根拠はなんなのだろうか?
ちなみに日本熊森協会さんでは、ホームページに推薦図書を挙げておられるのだが、その一つをこのように表現しておいでである。
1.「くまにたすけられたおとこ」(北越雪譜よりの実話)
すずき出版
読み聞かせに最適。所要時間5分間。読み終わったとき、ウフッと思いました。 くまさんなら、こういうことやるでしょうね。実話だというのが、よくわかります。
実話だというのがよくわかる、くまさんならやるであろう行動とは何だろうと興味を持って、探してみると。Amazonでは内容をこのように紹介していた。
ある日、わしは雪のふかい山おくでがけからすべり落ちてしまった。やっとの思いで見つけた穴にもぐりこむと、ふうー、ふうー、くまの息がふきかかってきた。もうだめか! 昔の新潟県で本当にあったお話。
更に探すと、ネットで内容に言及しているヒトを見かけた。
クマは自分の寝床に男を入れ、自分がいたあたたかい場所に押しやって、寒さから守ってくれます。
お腹がすいたら自分の手のひらをなめさせて、(アリやブドウをこすりつけてあって、お腹がすいたらなめるためのもの)ひと冬を一緒に過ごし、春になって人が動き始めたら、人里まで案内し、連れて行ってくれるというお話。
…実話だと言うことがよく解る内容だろうか???
江戸時代の80歳のおじいさんが若い頃の体験談として語った話なんだよね。(略)
熊の体温で生きながらえ、空腹になると熊がぶどうとかアリとかをなすりつけた手をなめさせてくれる。失踪49日目に熊が人里の近くまで連れてってくれたという話なんだけど(略)
50日近くも、熊の手になすりつけられた栄養で生きられるのか?熊はそもそも冬眠する動物だけど人間はそうじゃないし。
…「実話だというのが、よくわかります」「ウフッ」ですかそうですか。私には解りませんが。
そういえば、日本熊森協会の方達の事実認識に関しては、こんな件もあった。
長年、新潟県でツキノワグマを研究してこられたグループの代表も来て下さいました。以前、山で酔っぱらって寝ていたら、顔をペロペロなめるものがあり、目が覚めたらクマだったというお話を、ニコニコしながら披露してくださいました。一同、犬のなかまであることを納得しました。
それ、犬の仲間ぢゃないから
(ツッコミごと再利用)。
どうにも、同じ現実を生きている人達とは考えがたい意見の表明が、方々に見受けられるようである。
全国で、母グマを殺されてさまよっている子グマがたくさんいます。春まで寝かせて雪解けに放してやれる保護施設が本当に今必要だと思いました。
春まで寝かせてというのは、まさか、開いている納屋に「WELCOME 子熊さん」とでも看板を上げておけば、「さまよっている子グマ」がゾロゾロとやってきて、そのまま冬眠すると考えている訳ではあるまい。
子グマを「保護施設」に収容するには、麻酔銃なり罠で捕獲だろうか。この寒い季節に雪の中を誰が? 捕らえたクマはどうやって運ぶ? 「保護施設」をどこに確保するのかも大きな問題だが、冬眠の浅いクマにヒトが近づいて起こる事故も避けねばならないから、堅牢な閉じ込める檻の類の設備が必要だろう。収容したら冬眠に入ればいいが、入らなかったら給餌が必要になるだろう。いずれにしても、この措置は、普通に飼育なんだが。で、数ヶ月飼育したクマを野に放つと? 他にも問題は多々あるだろうが、ざっと考えただけでもいろいろ問題がありすぎる。これを公式ブログにて公表している団体を見かけては、正直、驚きもする。
熊森協会幹部の人達の認識する「クマ」は、現実の野生ニホンツキノワグマとは違う何か、お伽噺に登場する「クマさん」のようなと何かと勘違いしてやしないかという危惧を大いに感じたのだった。
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(略)
県自然保護課によると、昨年12月の内訳は目撃10件、痕跡2件。市町村別では魚津市6件、富山市4件、南砺市と立山町が各1件。今月は13日現在、魚津市で4件の目撃があった。
12月の目撃は08年5件、09年1件とこれまでもあったが、同課の赤座久明副主幹は「今季は子グマの目撃が多い」と指摘する。昨年12月以降の目撃14件のうち子グマは10件と全体の7割を超えている。
一方、2006年の大量出没後である2007年2月にはこんな情報がでていた。
(略)
同省によると1月には東京都奥多摩町、宮城県栗原市、新潟県糸魚川市、福井県勝山市でそれぞれ1頭ずつが有害捕獲され、糸魚川市以外では捕殺された。同省は過去、1月に捕獲されるケースはほとんどないため、頭数を把握したことはなかったという。(略)
一般にクマの冬眠は、早い地域で11月下旬から、遅い地域で4月上旬まで。クマ出没が続いている理由に、専門家らは暖冬でクマが冬眠しなかったり、途中で起き出したりした可能性を指摘。また森のドングリ類の不作で、空腹でいまだにエサを探していたり、人間の食べ物の味を覚えて人里近くに居着いたりした可能性もあるという。
「人間の食べ物の味を覚えて人里近くに居着いたりした可能性も」。
さて、注目した熊森ニュースであるが。
今年、兵庫県北部但馬地方は大雪です。1月に、こぐま2頭が冬眠できずに雪の中をさまよっているという情報を得て、どんぐりを持って何度か、現地調査に行きました。(母グマを駆除された可能性大)。
可哀想ではあるにしても、そういうこともあるだろう、という情報だが「どんぐりを持って」?
ドングリを置いても1日に雪が30センチ~40センチ積もるから、すぐ雪に埋まってしまうと、地元の方が教えてくださいました。しかし、何とか見つけてほしいと願い、何カ所かに置いてきました。
この前にあった引用を略した箇所で、積雪120センチとの記述があった。そして、更に毎日3-40センチ追加されるのでは、
積雪無し時点でもクマに確実にドングリを見つけさせるノウハウがあった痕跡のない熊森の人達のこと、自分たちの気休めに「ドングリをおいてきただけ」なのはほぼ確実だろう。確実に食べさせていたとしてもヒトが与えた食糧を喰わせている「餌付け」状態になっているのでまずいにしろ、喰わないとしたら、生ゴミもしくは遺伝子攪乱源の投棄である。
だいたい、なんで今頃、写真で見るに20kg入り程度のドンゴロスにしっかり詰めて捲きにいけるほどの量のドングリが手元にあるのか不思議なのだが、これは群馬支部の話であるにせよ、以下の状況が本部で同様でないと考える根拠は特にないだろう。
餌不足のクマのため山にドングリをまこうと、群馬県高崎市の自然保護団体が昨秋、全国に協力を呼び掛けたところ、まききれないほどのドングリが集まった。クマが冬眠に入った今も寄せられており、大型の段ボール箱で計約300箱分、約3.5トンに達している。(略)
この記事では「春にドングリを撒く」などと書いてあったが、そもそも、かなり在庫を抱えていそうだ。
絶滅危惧種のクマが、冬眠場所がわからず雪の中をさまよっていると知って、うちの納屋で春まで寝ていたらいいよと言ってくださる方がおられないかなあと思いました。
環境省のレッドリスト(哺乳類)では、下北半島、紀伊半島、東中国地域、西中国地域、四国山地、九州地方のニホンツキノワグマが「絶滅のおそれのある
地域個体群」にあげられているので、兵庫県北部但馬地方なら、その地域個体群に該当するにしても、熊森の人達の「絶滅危惧種」に対する理解は大丈夫かという気はしきりとするのだが、それはともかく。
「冬眠場所がわからず雪の中をさまよっている」
野生のクマが探している冬眠場所は、常識的に考えるに
人家の納屋ではないだろう。
昔の山里には、きっとこういうことをしてくださる人がおられただろうと思いました。
えーっと。その「思いました」の根拠はなんなのだろうか?
ちなみに日本熊森協会さんでは、ホームページに推薦図書を挙げておられるのだが、その一つをこのように表現しておいでである。
1.「くまにたすけられたおとこ」(北越雪譜よりの実話)
すずき出版
読み聞かせに最適。所要時間5分間。読み終わったとき、ウフッと思いました。 くまさんなら、こういうことやるでしょうね。実話だというのが、よくわかります。
実話だというのがよくわかる、くまさんならやるであろう行動とは何だろうと興味を持って、探してみると。Amazonでは内容をこのように紹介していた。
ある日、わしは雪のふかい山おくでがけからすべり落ちてしまった。やっとの思いで見つけた穴にもぐりこむと、ふうー、ふうー、くまの息がふきかかってきた。もうだめか! 昔の新潟県で本当にあったお話。
更に探すと、ネットで内容に言及しているヒトを見かけた。
クマは自分の寝床に男を入れ、自分がいたあたたかい場所に押しやって、寒さから守ってくれます。
お腹がすいたら自分の手のひらをなめさせて、(アリやブドウをこすりつけてあって、お腹がすいたらなめるためのもの)ひと冬を一緒に過ごし、春になって人が動き始めたら、人里まで案内し、連れて行ってくれるというお話。
…実話だと言うことがよく解る内容だろうか???
江戸時代の80歳のおじいさんが若い頃の体験談として語った話なんだよね。(略)
熊の体温で生きながらえ、空腹になると熊がぶどうとかアリとかをなすりつけた手をなめさせてくれる。失踪49日目に熊が人里の近くまで連れてってくれたという話なんだけど(略)
50日近くも、熊の手になすりつけられた栄養で生きられるのか?熊はそもそも冬眠する動物だけど人間はそうじゃないし。
…「実話だというのが、よくわかります」「ウフッ」ですかそうですか。私には解りませんが。
そういえば、日本熊森協会の方達の事実認識に関しては、こんな件もあった。
長年、新潟県でツキノワグマを研究してこられたグループの代表も来て下さいました。以前、山で酔っぱらって寝ていたら、顔をペロペロなめるものがあり、目が覚めたらクマだったというお話を、ニコニコしながら披露してくださいました。一同、犬のなかまであることを納得しました。
それ、犬の仲間ぢゃないから
(ツッコミごと再利用)。
どうにも、同じ現実を生きている人達とは考えがたい意見の表明が、方々に見受けられるようである。
全国で、母グマを殺されてさまよっている子グマがたくさんいます。春まで寝かせて雪解けに放してやれる保護施設が本当に今必要だと思いました。
春まで寝かせてというのは、まさか、開いている納屋に「WELCOME 子熊さん」とでも看板を上げておけば、「さまよっている子グマ」がゾロゾロとやってきて、そのまま冬眠すると考えている訳ではあるまい。
子グマを「保護施設」に収容するには、麻酔銃なり罠で捕獲だろうか。この寒い季節に雪の中を誰が? 捕らえたクマはどうやって運ぶ? 「保護施設」をどこに確保するのかも大きな問題だが、冬眠の浅いクマにヒトが近づいて起こる事故も避けねばならないから、堅牢な閉じ込める檻の類の設備が必要だろう。収容したら冬眠に入ればいいが、入らなかったら給餌が必要になるだろう。いずれにしても、この措置は、普通に飼育なんだが。で、数ヶ月飼育したクマを野に放つと? 他にも問題は多々あるだろうが、ざっと考えただけでもいろいろ問題がありすぎる。これを公式ブログにて公表している団体を見かけては、正直、驚きもする。
熊森協会幹部の人達の認識する「クマ」は、現実の野生ニホンツキノワグマとは違う何か、お伽噺に登場する「クマさん」のようなと何かと勘違いしてやしないかという危惧を大いに感じたのだった。
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