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「海南島戦時性暴力被害賠償請求」上告棄却 

 2007年04月27日のこと。
この日、中国人被害者が戦時中の日本の加害に対して賠償を求めた4訴訟で、最高裁が上告を退け原告を敗訴させた。午前中の西松建設訴訟が、その4敗訴の一つ目となったと聞く。

 中川了滋裁判長は「一九七二年の日中共同声明で中国人個人の賠償請求権は放棄され、裁判では行使できない」との初判断を示した。請求権自体が否定されたことで、午後に上告審判決のある中国人元慰安婦賠償訴訟も含め一連の戦後補償裁判は事実上終結した。

 ただ中川裁判長は「個別具体的な請求への自発的対応は妨げられず、極めて大きい精神的・肉体的苦痛を受けた原告らの被害救済に向けた関係者の努力が期待される」と付言した。担当した三裁判官全員一致の意見で、個別意見はなかった。

 判決はまず二審判決と同様、西松建設が旧厚生省から割り当てを受け、旧日本軍監視下で原告らを強制連行し、労働を強いた事実を認定した。

 その上で、個人請求権の有無を検討。日本と連合国のサンフランシスコ平和条約(サ条約、五一年)は「戦争状態を終了させるため、相互に個人賠償請求権も含めて放棄した」と指摘し「日中共同声明の請求権放棄条項は個人を含むかどうか明らかとはいえないが、交渉経緯から実質的に平和条約で、サ条約と同じ枠組み」として個人請求権を否定した。

 また個人請求権の放棄は「事後的個別的な裁判による解決を残すと、平和条約締結時に予測困難な過大な負担、混乱を生じる。請求権は消滅したのではなく、裁判上の権利喪失にとどまる」との解釈を示した。


「個人賠償請求権認めず 「日中共同声明で放棄」(中国新聞,4月27日)」「はげしく学び はげしく遊ぶ(石川康宏研究室): 事実は認定するが請求権は認めない(最高裁)」経由、強調は引用者

   この際に最高裁で上告を退けられた4訴訟の内の一つは、1996.2.23提訴の「中国人「慰安婦」損害賠償請求訴訟(二次)」。

 (略)慰安婦2次訴訟は、第一小法廷(才口千晴裁判長)が判決を言い渡した。二審は「日華平和条約によって請求権は放棄された」と理由を述べたが、「日中共同声明によって放棄された」と理由を変更した。(略)

 慰安婦1次訴訟は、被害にあった山西省の女性4人が国に賠償を求めたが、一、二審とも、旧憲法下で国の行為は責任を問われないとする「国家無答責」の法理を適用して請求を棄却していた。(後略)


 この2007年4月の最高裁判決を知っていたので、不本意ながら予想はしていた。2001年7月16日に8人の被害者の方達が東京地裁に提訴してはじまった海南島戦時性暴力被害訴訟の最高裁判決の結果は。

 最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は2日付で原告側の上告を棄却する決定を出した。原告側敗訴の1、2審判決が確定した。元慰安婦による戦後補償裁判は10件起こされたが、これですべてが原告側敗訴で終了した。


 「海南島戦時性暴力被害賠償請求」の高裁判決は、当ブログでも2009/03/29付でメモしておいたように、被害事実は認定されながらも、『日中共同声明第5項により「裁判上訴求する権能」が放棄されたことを理由に控訴を棄却』されている。

 中国人被害者の戦時被害における個人賠償権については、1995年3月に錢其琛外相(当時)が『日中共同声明で放棄したのは国家間の賠償であって、個人の補償請求は含まれない』と談話を発表するまでは、中国政府は、人民が個人賠償権を主張することにいい顔をしていなかったときく。そういう背景もあってだろう。今回の「海南島戦時性暴力被害賠償請求」の上告棄却に対し、中国外務省報道官が談話を発表している。

 これについて、秦報道官は「『中日共同声明』は両国政府の間で結ばれた政治文書である。日本の裁判所による一方的な解釈は無効だ」と述べた上で、「慰安婦の強制連行は第二次世界大戦中に、旧日本軍が中国人民を含む侵略された国々の人々に対して行った大きな犯罪で、人類の歴史上、まれに見る人道主義への犯罪でもあり、被害者の体と心を大きく傷つけた。日本は責任感を持って、できるだけ早くこの問題を適切に処理すべきだ」と強調しました。


 共同声明で個人賠償権に関して文言がないだけのどうとでもとれる表現をとった責任の所在を問いたい気はするし、錢其琛外相談話前は日本人人権活動家が中国で戦争被害の聞き取りをするのも大変だったような話を仄聞する(「戦争と性」 第25号 特集「慰安婦」問題の現在(2006年5月30日発行))。2007年4月での一連の最高裁判決で「裁判上の権利喪失」ただし「債務者側において任意の自発的な対応をすることは妨げられない」と付言されている経緯を踏まえると、報道官の、裁判所に対しての発言は無理があるとは思うが、日本政府が何をやっているのだろうという点では同感だ。

 3月9日付で海南島戦時性暴力被害賠償請求事件弁護団と中国人戦争被害賠償請求事件弁護団が声明を発表してくださっているのを、「海南島訴訟:最高裁決定に対する弁護団声明 - 中国人戦争被害者の要求を支える会」から転載させていただこう。

1 2010(平成22)年3月2日,最高裁判所第3小法廷(那須弘平裁判長)は,日本軍によって「慰安婦」とされた中国海南島の被害者が日本政府に対して謝罪と名誉回復並びに損害賠償を求めた上告事件(海南島戦時性暴力被害賠償請求事件)に関して,上告人らの上告を棄却し上告受理申立を不受理とする決定を言い渡した。

2 本件は,中国海南島において,旧日本軍(主として海軍)が中国人の少女を強制的に拉致・監禁し,継続的かつ組織的に戦時性奴隷とした事案である。

下級審は,本件上告人らの被害について,「加害行為を受けた当時,14歳から19歳までの女性であったのであり,このような本件被害女性らに対し軍の力により威圧しあるいは脅迫して自己の性欲を満足させるために陵辱の限りを尽くした軍人らの本件加害行為は,極めて卑劣な行為であって,厳しい非難を受けるべき」と厳しく断罪し,そのうえで「本件被害女性らが受けた被害は誠に深刻であって,これが既に癒されたとか,償われたとかいうことができない」(東京高裁判決28頁)と認定した。

また本件被害に関し,PTSDはもとより「破局的体験後の持続的人格変化」というより重い被害事実の認定もした(東京高裁判決30頁)。

その上で国家無答責の法理を排斥したうえ民法715条1項を適用し上告人らの損害賠償請求権を認めたのである。

3 しかし,下級審判決は,2007.4.27最高裁判決を踏襲し,控訴人らの損害賠償請求権について,日中共同声明第5項により「裁判上訴求する権能」が放棄されたことを理由に控訴を棄却したことから,最高裁判所に上告をしたものである。

4 上告人らは,上告するにあたって,日中共同声明第5項により個人の「裁判上訴求する権能」を放棄したか否かについて,全人代において中国側の錢其琛外相 (当時)の発言を引き出した元全人代代議員劉彩品氏の証言を求め証拠として陳述書を提出するとともに具体的に「裁判上訴求する権能」は放棄されていないことに鑑み,日本政府は,上告人ら被害者に対し,賠償すべきであることを具体的に主張・立証した

ところが,最高裁判所第3小法廷は,かかる主張・立証を一顧だにせず門前払いの決定を下したものである。
この事実は,最高裁判所が,人権保障の砦としての自らの役割を放棄したに等しい行為で厳しく非難されなければならない。

5 本件上告棄却によりこれまで裁判所に提訴された「慰安婦」事件はすべて被害者側の敗訴により終了したことになるが,これにより日本政府が免責されることになってはならない

6 すでに日本政府は,二国間条約で損害賠償問題は解決済みであるとの主張しながらも,「慰安婦」の問題について解決されていない問題があると認め,1993年,河野洋平官房長官の談話(以下「河野談話」という)において,被害者に対して事実を認め謝罪をし,適切な措置をとることを表明している

しかし,日本政府は,「女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)」を設置対応したに止まっているが,同基金によってすら中国人被害者に関しては何らの措置もとられていない

それゆえ,本件上告棄却で本件問題が解決されたわけではなく,日本政府は,河野談話の見地にたって解決しなければならない義務を負ったままである

しかも,それは過去の戦後処理の問題ではなく,被害者らが今なお苦しみの中で生きており,まさに現代において速やかに解決すべき課題である

7 これまでアメリカ連邦下院における対日謝罪要求決議の外,カナダ,オランダ,EU議会,国連人権理事会,国連自由権規約委員会,ILO条約勧告適用専門家委員会等々で解決を求める決議がなされている。このように国際社会は,被害を受けた女性の尊厳と人権の回復のための真の措置をとるよう日本政府に強く迫っている。
国内においても宝塚市,清瀬市,札幌市,福岡市等々各地方自治体において「慰安婦」問題の解決を求める決議があいついでなされている。

このように,解決を迫る世論は国内外を問わず高まっている。

8 今,日本政府に問われているのは言葉ではなく行動である。鳩山首相は就任直後に東アジア共同体構想を提唱したが,今必要とされているのは河野談話を承継し,各国議会決議や国際機関の勧告を受けた具体的かつ真摯な対応である。

日本政府は,本件において下級審で厳しく認定された加害の事実と深刻な被害の事実を真摯に受け止め,被害者一人一人が納得するように謝罪をし,その謝罪の証として適切な措置をとるべきである。

私たちは今後も,日本政府に対してこれら被害者の要求が実現されるまで戦い続ける決意を表明するものである。

2010(平成22)年3月9日

海南島戦時性暴力被害賠償請求事件弁護団
中国人戦争被害賠償請求事件弁護団

(強調等は当方にて)
 …体調がお悪い状態で、裁判のために被害者が来日されていたりしたことも、裁判過程で情報を見て回っているうちに目にしていた。被害者と直接お会いになる方達は、がっかりされていて気が重くていらっしゃるだろう。。。と思っていたら、杉浦ひとみ弁護士もお書きだった。

 でも、被害女性たちは年おいて、裁判に勝つこと賠償を受けること期待していました。あれほどの被害を受けて、裁判所が加害者に「救済すべきだ」と命ずることなど、当たり前のことと思えたのではないでしょうか。

 彼女たちは、法廷で尋問に立つために、敵国へ決死の覚悟でやってきました。それまで村を離れたこともない高齢の女性たちが、総じて貧しい少数民族の村から、飛行機に乗って日本にやってきたのでした。(略)

 裁判に対する総括も必要ですが、この裁判の結果を聞き、既に皆80数才になった女性たちに、この裁判の結果をどのように伝えに行くのか、そのことを思うときやはりこの裁判結果は重いです。




参考;
壊れる前に…: 海南島慰安婦裁判の行方
「ハイナンNET」コンテンツの被害証言
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ユーザータグ:  日本軍性奴隷制問題
[ 2010/03/09 20:08 ] 自爆史観 | TB(0) | CM(0)

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