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オーストラリアで「慰安婦」謝罪要求決議案が否決 

 オーストラリア議会に日本軍「慰安婦」決議案を採択するよう働きかけるために、今年も吉元玉(キル・ウォンオク)さんがオーストラリアに赴かれているという話は目にしていたが、決議案が否決されたという情報を見かけた。今回もまた、9月2日付の「調査会法情報」さんから。

 この件の報道は大変少なく、英語報道でも今のところ見つけられない(除、聯合ニュース英語版)。韓国でさえも鳩山内閣がらみの報道ばかりで、この件を報じているのは聯合ニュースだけという始末だ。そして、追加情報を探すと、否定派ブログや2ちゃんの否定派論者が大喜びという何ともはやな状態だが、情報は情報なのでお持ち帰り保存。

 報道は、聯合ニュース配信のがいくつかあるが、内容は同じ。
2009/09/01 15:38付で、
濠노동당 위안부 결의안 왜 반대했나 (オーストラリア労働党は何故「慰安婦」決議案に反対したか)

野党時代は「全員賛成」..政治的利害で「変節」
(略)
この決議案は、オーストラリア政府が日本政府に対して、慰安婦への蹂躙に伴う全面的な責任の認定と犯罪行為に対する公式謝罪、被害者や直系家族に対する補償、慰安婦に対する学校の正しい歴史教育を促すように要求している。

決議案は、緑色党のヘンスン・ヨン議員の発議で上程され、結局賛成7、反対37の圧倒的な票差(棄権32票)で否決された。賛成票は、緑色党議員5名と家 族第一党議員1名、無所属議員1名などが投じた反面、労働党の20名、自由党15名、国民党の2名が反対した。労働党の12名と自由党の17名、国民党の 2名、地方自由党の1名は棄権した。

労働党は、日本側の1951年の平和条約と1993年当時の河野官房長官の談話など、ハワード政府が挙げた反対理由に、民間人たちの国家相手の提訴に関与しないという原則を追加して、「積極反対」に出た。

1日、インターネット媒体の「オーストラリアオンラインニュース」は、「この間、ジョン・ハワード前総理の人権問題の処理方式に、批判の刃をといでいた労働党が、政権をとった後、人権の普遍的価値に対する原則もなく、政治的利害と実用主義的判断によって、『大変節』する寸劇を演出した」と非難した。

オーストラリアの韓国新聞のキム・イング編集長は、「修正案を出すほどの状況でなかったし、日本の選挙が終わった9月に発議すべきなのに、性急すぎたという評価がある」として、「とにかく、労働党が野党の時とは違い、過度に日本を意識していのはは事実だ」と語った。

彼は続けて、「日本の民主党議員が労働党議員に、8月末に選挙で勝利したら、慰安婦問題をどのようにするかと意見を尋ねたということを聞いたが、労働党が今後の両国関係を考慮して、『反対』したようだ」と付け加えた。

オーストラリアの上院に慰安婦決議案が初めて上程されたのは、2006年8月9日、民主党のストトゥ・テスポヤ議員によってだ。 (略) 緑色党のケリー・ネートル議員は、2007年2月28日にオーストラリア政府が日本政府に対して、無条件の公式謝罪と賠償システムの確立、学校の正しい歴 史教育を促すように要求する決議案を発議して、再上程した。この決議案は、当時、労働党と民主党、家族第一党などの野党が全て結集して賛成したが、与党 (自由-国民党連合)の反対に逢って、再び挫折した。

連邦選挙を前にした2007年9月19日には、労働党のペニー・ウォン議員(現 気候変化長官)の主導で、民主党のテスポヤ議員と緑色党のネートル議員ら女性議員3人が、内容が似た決議案を共同で発議したが、賛成34票、反対35票 で、やはり否決された。ウォン議員は、当時、「決議案の通過のために、韓人社会が自由党の議員の説得に取りくんでくれ」と頼みもした。(後略)


 日本での報道が産経だけだったのであまり注目されていないが、上記、2007年9月19日に謝罪要求決議案が否決された翌日の2007年9月20日に、オーストラリア上院で「慰安婦」に関する決議が、多数派の自由党連合によって支持されて採択された。

 これは、アメリカ下院、オランダ下院、カナダ下院、欧州議会で採択された決議と違って謝罪や補償の要求はしていないが、『河野談話』が第二次世界大戦下での「強制的な性奴隷制システム(a coercive system of sexual slavery)について日本政府と日本軍の共謀を完全にまた公式に認めている」と明言しており、それが歴代日本政府と首相に継承されているものともはっきり言及した上で、被害者との更なる和解を促すものだった(当ブログ2007/09/27付「オーストラリア上院「慰安婦」和解推奨決議、その後 」)。

 その後2007年11月の総選挙で、ラッド氏率いる労働党が、保守連合に変わって与党となった。そして、ラッド首相は2008年2月13日、それまでの歴代オーストラリア政府が成し得なかった、先住民であるアボリジニの人達への公式謝罪を行った、人権方面の政策に期待がもたれていた政権だったのだが、なるほど、こんなものか。

 ちなみに、2007年9月19日に謝罪要求決議案が否決された頃、日本では9月12日に安倍首相(当時)が辞意を表明し、9月26日に福田内閣が発足する前だった。日本政府がガタガタしている時に、両国関係に影響を及ぼしかねないきつい内容の決議を通すのは、そもそも無理だったのではないかと思ったものだ。そして、今回、これまたちょうど、総選挙で政権交代することになったこんなタイミング。
 オーストラリアで運動している方達は、本当に御苦労様だと思ってはいる…のだが、このタイミングで採択されることは、どだい無理だったのではなかったかと思えるのだが…。

 それにしても、労働党の方向転換はお見事なものだ。与党になったら、野党時代の主張と違った行動をとり得る。他国の場合ばかりではあるまい。
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ユーザータグ:  日本軍性奴隷制問題
[ 2009/09/02 20:48 ] 自爆史観 | TB(0) | CM(0)

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