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『家事は愛』? 

 恐らくは、私に質問された当のご本人(最近お見かけしないのだが)も忘れておられるであろう質問を、以前、コメント欄でしたことがある。
 どこかで読んだ本に、職をもっている女性が、配偶者の男性より所得が多い場合に、何故か家事負担も多くなるというような、恐ろしい話を読んだ記憶があったのだ。しかし、それがどの本でどういった調査による情報かを失念してしまい、そういった情報に詳しそうに見えた方だったので出典を尋ねてみて…、解らないという返事だったのだ(笑)

 それが、このほどの復習週間(笑)で再発掘できた。遙洋子さんの本で読んだ一節だったのだ。

 「働く」を個人的な事情と見ると、それを選んだ「私」という、個人的な選択の枠を出ない。この「選択のイデオロギー」のせいで、「社会生活の組織機構の集団的な問題点が擦り抜けられてしまっている」(デュリュ=ベラ)という。
 この矛盾は社会にある、という見方がなければ、あくまで個人の矛盾と個人の問題が、女性の方にのせられるだけだ。
 となると女性はそれを個人的に解決しようとするだろう。
 アーリー・ホックシールドは、夫の家事分担率を調査し、「収入が妻より低い男性では、分担していた人は皆無」という結論を導いた。つまり、夫より稼ぐ妻は家事をすべてやる、という解決法だ。



 …この一節を読んだときには驚いたものである。改めて、その調査を更に知ろうと情報を探すと、1999年10月提出の大阪大学大学院人間科学研究科の博士論文「性別分業の分析」に(リンク先はPdf)参照されていて、1989年の情報であることを知った。なぁんだ。
 ついでに、この博士論文には興味深い一節があった。

私たちの配偶者選択の条件自体が、性別役割にしばられている。いわゆる「女性上昇婚」の傾向があるからである。稼得能力の点で男性が女性を上回っているというのは、現代社会で結婚が成立するための重要な要件なのであり、これが逆転した組み合わせの結婚というのは非常に少ない。こういう条件の下で配偶者選択がおこなわれるかぎり、平均的にみて女性の賃金が男性に近づいたとしても、夫婦の間で男性の稼得能力が上回ることにはかわりない。今のところ、男性が家事に優位性を持って女性が市場労働に特化するような夫婦は、依然希少な存在なのである。


大阪大学大学院人間科学研究科博士論文1999年10月提出「性別分業の分析」(Pdf)



 それで、世間の家事分担はどうなっているのか、改めて興味がわいた。女性ライフサイクル研究所の2007年7月付となっているスタッフエッセイでは

先日、参考文献の「セカンド・シフト」(アーリー・ホックシールド著)という本を読んだ。日本の男性の家事参加率は、きわめて低いが、それはアメリカでも同じらしい。女性ばかりが、昼間は自分の仕事をして、帰宅後は、セカンド・シフト(家事という仕事)をこなし、疲弊しきっている現状と女性たちのため息が、行間から溢れ、「どこも悩みは同じなんだ」と、共感しきりだった。

 さて、我が家に目を向けると、恐ろしく家事に非協力な夫がいる。月に一度の風呂掃除とゴミ出し以外は、やれば損をするかのように、全く手をつけようとしない。何度か家事の分担について話し合ったが、2日と続かないので、こちらもだんだんと言わなくなり、諦めムードが漂っていた。

…ホックシールドの情報は古くなっていないのだろうか?
 
 そこでまず、「個人的なことは政治的なこと」って事で、相談コーナーを見て回ってみた。例えば、09/03/30付の「男が結婚するメリットって何ですか? - BIGLOBEなんでも相談室」では、推定するに若そうな男性質問者が『男が結婚する”唯一の小さなメリット”って「女性に家事をしてもらうことでしょ?」』なんて発言している。08/02/13 01:19付の「おしえてBP! 同棲してみて迷っています。」でも、共働きでも女性が家事をしていて爆発した・女性の収入が多くても家事負担は女性、なんて話がぞくそくと。

 あるいは。首都圏でよく見かける女性向け無料誌のL25というのの2007.11.01付の記事では「怒ったり、褒めたり、なだめたり… 結局、オトコはどの家事なら手伝う気があるの?」。タイトルからして、家事というのは、女性が男性に「手伝ってもらう」ものであるらしい。

 もう少し公的な調査を見てみよう。少子化対策がらみで行われたらしい2006年12月に30代~40代の女性を対象に実施された「女性のライフプランニング支援に関する調査~30代・40代女性のライフコース選択の希望と現実~」というのがあった。1年以上の離職前後の年収の変化という項目があって、n=755で7割以上の女性が収入減ってたりするのだが、夫婦間の家事の分担状況では、単数回答n=2,298で、「ほとんど妻が家事・育児をになっている」が68.6%で「夫もになっているが妻が多い」が24.7%だったり。

 少し古い目感はあるが、平成13年(2001)の総務省「社会生活基本調査」(PDF)というのでは、「共働き」「共働きのうち妻の週間就労時間が35時間以上」「夫有業&妻無業」の、3パターンのカップルでの「男女別週当たりの家事等従事時間の状況」を比較しているグラフがあった。
共働きだと、妻4時間12分で夫25分。
夫有業&妻無業だと、妻6時間59分と夫32分。
そして妻の週間就労時間が35時間以上の共働きだと、妻3時間27分、夫32分。
…妻の就労時間が長いほど、妻の家事等にかける時間が減るだけで(ついでに、睡眠・食事等の時間も減っている)、夫の家事従事時間が増えるわけではないという不可解な結果が得られるようだ。

 そして更に見て回ると、こんな論文を見つけた。
男性の家事分担を促進する要因 (pdf)」(Human Developmental Research (発達研究)2003, Vol.17, 53-68)

 調査対象は、都内および名古屋の4年制大学学生の親世代夫婦144組と、育児期の東京都近郊および愛知県の幼稚園・保育園の3-4歳園児の親世代夫婦522組を対象とした質問紙調査だという。この導入部にはこうあった。

わが国では,家事労働の多くが妻によって遂行されており(例えば内閣府,2001),妻が有職でも無職でも男性の家事参加度はあまり差がない(例えば,伊藤・天野・李,2001)。このことが「夫は仕事,妻は家事と仕事」という「新・性別分業」をもたらし(岡村,1997),妻に過小利得感(諸井,1996)や家事分担不公平感(岩間,1997)を抱かせている。共に家庭を営んでいる手ごたえを得られない不満が妻の結婚生活に対する満足度や精神的健康にも影響すると考えられる。
では男性の家事参加はどうすれば増加するのか。


Human Developmental Research (発達研究)2003, Vol.17, 53-68「男性の家事分担を促進する要因 (pdf)」

ふむふむ。

 この調査では、女性が結婚後・出産後も退職せずフルタイム就労を続けた場合は「継続フルタイム」、いったん退職した場合を「M字フルタイム」および「M字パート」、結婚後に何らかのきっかけで仕事を離れて以来働いていない「M字無職」、結婚退職でそのままを「継続無職」に分類して分析していた。

世代の主効果は有意ではなかった。ライフパターンの主効果では,夫と妻いずれの回答でも,妻がフルタイム就労を継続しているケースで最も夫の家事分担率が高かった。次いでフルタイムで再就職をしたケースが続く。パートタイマーとして再就職した群と無職の群では夫の分担率に有意な差はなかった。現在は同じフルタイム就労でありながら,妻が結婚や出産,育児と仕事を両立しつづけた場合と,一旦は家庭を優先して再就職した場合では夫の行動が異なっていることが明らかになった。

 継続フルタイムとM字フルタイムは,経済力の上でも同質とはいえないことがわかった。M字パートは,フルタイム就労ほどではないが無職群よりは家計に貢献していることが認められているのだが,それが夫の家事参加には反映されていない。


Human Developmental Research (発達研究)2003, Vol.17, 53-68「男性の家事分担を促進する要因 (pdf)」


…そして、この論文は、

大野ら(2001)で示唆されたとおり,妻の経済力が夫の家事参加を進める促進要因であることが検証された。女性が経済力をもって生活費の稼得に貢献することは,従来の性別分業的な家族(夫婦)から脱却するには非常に効果的である。性別分業は,経済的な生活保障と家事その他の心身の世話の社会的交換であるといわれるものの,そこで交換される財は実は等価ではない。落合(1997)が「妻に去られた男はコンビニで弁当でも何でも買って『個人化』できるけれど,夫が収入をいれてくれなくなった女(=専業主婦:筆者注)はたちまち干上がってしまうのが現実」と述べているとおり,現代の消費社会では経済力のある側の勢力が強いことは否めない。

妻のライフパターンの分析によって,「女性の経済力」の意味がさらに明確になった。「生活費を稼ぐ」の妻の分担率の比較では,M字パート群は無職群と一線を画すにもかかわらず,夫の家事分担率には差が見られなかった。このことは,「あくまでも家庭優先で」「夫の扶養控除の範囲で」という程度の中途半端な就労では状況は変わらないことを示している。夫の行動,ひいては夫婦のあり方を変えたければ,夫と同等に職業役割を担う覚悟が必要である。


Human Developmental Research (発達研究)2003, Vol.17, 53-68「男性の家事分担を促進する要因 (pdf)」

と結論しているようなのだが。

 なんか、この結論違わないか?
1,いったん退職すると、その後の所得はほとんどの場合、減る。
2,結婚だろうが同棲だろうが、なぜか「女性が家事をする」前提が社会に行き渡っている。
3,結婚・出産に際して、女性に退職の圧力や負担がかからないように配慮できる配偶者なら、もともと、家事を分担する意欲があるだろう。

 つまり、家事を分担する意欲のある配偶者に恵まれた女性がフルタイム就労を継続でき、その結果、家計負担も担いやすくなっているのではなかろうか。
それを「夫と同等に職業役割を担う覚悟が必要である」って、なんだかなぁ。


 「職をもっている女性が、配偶者の男性より所得が多い場合に、何故か家事負担も多くなる」と以前読んで驚いた訳だが、「女性の所得の多い場合」限定の新しい調査結果は見当たらなかった。しかし、恐らくは、今現在はそうではなさそうだ。
なんだけど。
でも、やっぱり、まだまだ平等って何?状態ではあるように思われたのだった。


参照したけど、エントリ中に引用できなかった色々;

そう、『家事は愛、調和、献身、祈り』と主婦の山谷えり子さんも言っておられます。



26日のシンポでの発言(略)
山谷えり子議員
(略)
* 無償労働についての調査ははずすべきである。家事、育児を労働ととらえる考えは、家事サービスは外で買えばいいという発想につながる。家事は愛、調和、献身、祈りの行動である。水戸市の条例では「無償労働に対して経済評価」と規定されているが、家族が家族でなくなってしまう。(後略)



「妻が働いたほうがよい」と考えている人のうち、6割は家事を「ほとんど妻」が担っていて、3割は「妻のほうが多い」となっている。えええーー。妻に働いてほしいのに、家事もやってほしいってか。それはちょっとムシが良すぎますよねぇ。妻が「働いた方がよい」と思ってる夫のうち、妻と同等以上に家事・育児を担ってるのが1割未満とはね…。(略)

追記
(略)
上のグラフは現在働いている人も働いていない人も含まれています(アンケートの対象は女性)。なので、「妻は働いており、夫は『働いたほうがよい』と考えていて、かつ家事は妻任せ」みたいなケースがどの程度あるかは、ここからはわかりません。(後略)




メルモニ/アンケート結果報告/市政41 男女共同参画(家事労働・子育て)の現状
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[ 2009/07/28 20:00 ] ジェンダー関連? | TB(2) | CM(4)

妻の労働時間と夫の家事分担   No. 6326

>「男性の家事分担を促進する要因」
>夫と同等に職業役割を担う覚悟が必要である。

女性が出産後のフルタイム就労を継続しづらい現実を考慮してほしいですね。また、いったん退職した女性が正規労働で再就労するのも非常に厳しいです。覚悟のみで同等の経済力を得られるわけじゃないんで…。

妻の収入・労働時間と夫の家事共有度に関する調査はこういうの↓があります。

「男は忙しいから家事できない? 2003年版」
http://www.eqg.org/lecture/kaji/kaji2003/index.html

ご参考までに。
[ 2009/07/30 05:55 ] -[ 編集 ]

   No. 6327

>kirikoさん
>女性が出産後のフルタイム就労を継続しづらい現実を考慮してほしいですね。また、いったん退職した女性が正規労働で再就労するのも非常に厳しい
<
 回りを見渡してもその通りなんですが、なんか目につかないみたいですね。大体からして、そもそも就職時点でも…。ちょっとそっち方面もと準備中なんですが、お教えいただいた資料、すごく参考になります。ありがとうございます! じっくり読んでみます。
[ 2009/07/30 12:43 ] fYTKg7yE[ 編集 ]

   No. 6328

お久しぶりです。
いやあ、まだ世間はこんなもんなんですかね。
私は「父の日のプレゼント何がいい?」と妻にきかれて
「じゃ、1日家事やってくれ」と答えたりしておりますが……
二人とも別の仕事で自営しておりまして、私のほうが比較的時間が取れるため、
自然と家事はこっちがほとんど担当するようになりました。
まあ、色落ちするものとワイシャツを平気でいっしょに洗うようなやつにはまかせられん、
というのがホントのところですが。
[ 2009/07/31 13:57 ] -[ 編集 ]

   No. 6329

>オサーンさん

 別姓のエントリに頂いたコメントでもでしたが、とてもジェンダーフリーを自然に実践しておいでで…(^^;

 ええ、世間ってこんなものみたいですよ。この「世間」は私のリアルの視界に入ってくるものと、全然、違和感ありませんよ?
女性だから性格が細かいとか、手仕事が丁寧と決まったもんでもないんですけどねぇ。私自身、実感をもって断言できます(爆
[ 2009/07/31 19:16 ] fYTKg7yE[ 編集 ]

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