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国連「人種主義に反対する世界会議」が日本にとっては余所事ではなかった事を確認 

 4月20日から24日までの会期で、ジュネーブの国連本部で「人種主義に反対する世界会議」の再検討会議が開催されると報道されていた。なんでも、2001年に南アフリカ・ダーバンにおける協議で奴隷制度非難や差別撤廃への取り組みをまとめた宣言が採択されており、その行動計画の成果を検証し、今後の課題を話し合い、成果文書をまとめるのが目的だそうだ。

 しかし、これには、アメリカ、カナダ、イスラエル、イタリア、オーストラリア、ニュージーランド、ドイツなどの9ヶ国等が不参加(フランスもオブザーバー参加)で、20日未明(日本時間で)の報道でも、会議の成功が危ぶまれているなどと書かれていた。前回会議が、「アラブ諸国によるイスラエル非難合戦の場となった」上に、「アフリカ諸国が奴隷制度に対する賠償を強く求めた」そうで、アメリカとイスラエルが途中退席した展開だったもんだから、今回会議も元々波乱含みだったようだ。

 米国務省のウッド報道官代理は18日、会議最終日の24日に採択する予定の人種差別撤廃に向けた政策を盛り込む文書案に「米国が異議を唱えた前回会議の精神がいまだに残されている」と述べ、欠席を表明した。文書案がイスラエルを暗に批判する記述を残している点などを指すとみられる。


読売新聞 2009年4月20日02時18分付「米国が人種差別会議欠席へ、イスラエル批判に反発か」より一部

…そりゃ、ガザ虐殺の記憶も新しい今、批判が出ないはずはない。

 そして、イランのアハマディネジャド大統領が、やらかしたという。

 ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)否定発言などで反イスラエルの立場を鮮明にしている同大統領は、パレスチナ問題を引き合いに「最も残虐で人種差別を行う体制」だとイスラエルを批判。欧州連合(EU)代表らが続々と退席する会場には、一時、抗議の活動家が乱入するなど騒然とした。その一方、発言を歓迎する国の代表団からは拍手が起きた。

 会議の焦点の一つとなる人種と宗教の分野で、イスラエルの体制を「人種差別」と唱えるイスラム諸国の主張が反映される可能性が強まり、イスラエルは開幕前から猛反発。各国にボイコットを呼びかけ、二十日にはイラン大統領を会議に招待したホスト国のスイスに抗議して駐スイス大使を近日中に召還する方針を決定した。


東京新聞 2009年4月21日 朝刊「差別撤廃会議大荒れ イラン大統領 イスラエルを強く非難」より一部


 実は、こういう路線のニュースって、中国電が容赦ない表現を使う傾向があるようだ。

 同大統領は、現在のイスラエル・パレスチナ問題に言及し、「ユダヤ人は第二次世界大戦後、大きな苦痛を受けたことを理由に、軍事侵攻したパレスチナ人の郷里に、世界中のユダヤ人を移住させ、徹底した人種差別政策を行っている」などと述べ、イスラエル政府を「最も残虐な人種差別政権」と非難した。

  また、話の矛先を米国や欧州の同盟国にも向け、「イスラエルは60年以上もの間、人種差別主義に反対しているはずの米国をはじめ、多くの国からの支持を受け、ガザ地区の占領と爆撃も容認されている」と語り、「犯罪を幇助した共犯」として欧米の姿勢を「断罪」した。

  同大統領の発言には米国や英、仏国など、EU23カ国の代表約40人が反発、一時退席するなど、会場は騒然とした。


サーチナニュース 2009/04/21(火) 14:54「差別撤廃会議大荒れ イラン大統領 イスラエルを強く非難」より一部

ホロコースト否定発言はいかんが、ガザ虐殺の経緯を見てきた身としては、よく言った気分は湧いてきてしまう。

 でも、ホスト国は大変である。

 国連会議に先立ち、ハンス・ルドルフ・メルツ連邦大統領はジュネーブのホテルでアフマディネジャド大統領を迎えて両国のエネルギーおよび経済に関する協力について話し合った。

 イスラエルはこの会談に対して非常に厳しい反応を見せ、
「民主国家の大統領が、イスラエルを明らかに世界地図から抹消しようとしているアフマディネジャドのような悪名高きホロコースト否定論者と会談するなどということは、スイスの規則と相容れないものだ」
 と批判した。また、「協議のため」イスラエル大使を本国へ召還したほか、テルアビブのスイス代理公使を召喚した。

 一方のメルツ連邦大統領は
「気持ちはわかるが、この批判は不当なものだ。現在は対話が必要とされており、スイスはその中で1つの役割を果たしている。中東全域は紛争の大きな危険性をはらんでおり、その前線が硬化し出すようなことがあってはならない。さまざまな文化や国家が歩み寄るよう努力をすべきで、スイスはそのような対話に貢献したい」
 と会見の正当性を主張する。


swissinfo.ch 2009/04/21 - 10:04「イラン大統領に抗議の嵐」より一部


 いや、もう、大変そうである。

 その結果。

 人種差別根絶を目指してジュネーブで開かれている国連の世界人種差別撤廃会議の再検討会議は21日、奴隷制などを「人道に対する罪」と位置付けた2001年の会議での宣言を再確認するなどした「成果文書」を開幕2日目で早々と採択する異例の展開となった。

 当初は最終日の24日に予定していたが、イスラエルやパレスチナ問題の取り扱いをめぐる対立や混乱の拡大を、国連側が懸念したとみられる。
(中略)
 文書は準備委で合意した最終案通りで、イスラム諸国が必要性を主張し、西側諸国が「表現の自由を弱める」として問題視した「宗教の冒涜」を戒める言葉が原案から削除されるなど、全体に緩やかな内容。


共同通信 2009/04/22 10:03「「成果文書」前倒し採択 差別撤廃会議、異例の展開」より一部



 こういう派手な展開であったため、日本ではほとんど報道されなかった件がある。っていうか、成果文書採択後にもひっそりやっていたと表現すべきなのだろうか。23日に、北朝鮮代表団が発言したそうだ。

 北朝鮮は、(中略)日帝植民地という過去の歴史の早急な清算と、在日同胞らに対する差別の中止を日本に求めた。

 駐ジュネーブ北朝鮮代表部のチェ・ミョンナム参事は、本会議演説において「過去、一部の国々が追求した植民主義政策は、人種主義と人種差別の最も制度的で過酷な形態であり、その根底には自分たちが『優越人種である』という人種主義思想があった」「過去、アジア・アフリカ・ラテンアメリカの多くの国々が植民地であった時、我が国は日帝の強力な軍事力下で、民族的弾圧と差別や蔑視に遭っていた」と主張した。

 参事は、日本軍慰安婦や徴兵、徴用に言及した後、これら人道に対する罪が、世紀が変わった今日まで清算されないでいると指摘し、続けて、「日本はむしろ植民地とした過去を正当化し、民族抹殺政策の痕跡を消すべく、中学歴史教科書を修正し、A級戦犯らを露骨に英雄として賛美している」と非難した。


聯合ニュース 2009.04.24 09:09「북한, 日과거사 조속 청산 촉구 (北朝鮮、日本の過去の歴史早期清算を要求  植民主義の根底に人種主義)」より、自動翻訳の超意訳で一部

 つくる会メンバー執筆の中学歴史教科書検定通過に関しては、北朝鮮からも批判されている報道が出ていたが、きっちり言及されたようだ。この前も、東京都知事がアレな発言をしたばかりでもあるし、まぁ、批判はくらうだろうなぁ。

(略)
 日本による過去の植民地支配について「いまだに清算されておらず、植民地支配の正当化や歴史教科書の見直し、戦争犯罪者の賛美がなお横行している」と指摘、そのことが「国際社会の懸念を増幅している」などと主張した。

 また、植民地支配の「犠牲者の子孫」である在日朝鮮人は「不当な差別に直面しており、差別は終わらせなければならない」などと訴えた。

 日本代表団はこの発言に対する「抗弁権」を行使し、日本は過去の問題に誠実に対応していると反論。2002年の日朝平壌宣言で、戦前の問題に起因する財産や請求権の相互放棄で合意したことなどを指摘した。


usfl.com(共同)2009年04月23日 12:55米国東部時間「日本の植民地支配を非難 差別撤廃会議で北朝鮮」より

 平壌宣言における「請求権の相互放棄」については情報を把握していないのだが、この方面に関して「日本は過去の問題に誠実に対応している」という抗弁が、虚しく響くのが確かである。

 で、そこには抗弁して、他はスルーしてきたんだろうか? 在日の人達への対応について、そちらの批判に答えてこなかったのでは、批判を体現してきたようなものという気がするのだが。
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[ 2009/04/24 21:00 ] 自爆史観 | TB(0) | CM(0)

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