たとえば、高校の日本史教科書における「集団自決」(集団自殺強制)記述に対しては、
沖縄戦の集団自決をめぐる学術的見解に大きな変化もないのに、係争中の裁判や、沖縄戦専門家著作の一部を書籍全体の結論と違う方向にもってった恣意的引用を根拠に、「つくる会」とつながりのある教科書調査官が作った検定原案を、沖縄戦の専門家がいないどころか、「つくる会」とつながりのある委員が入っている審議会で実質的な審議無しに採用した検定意見がついて、
「日本軍による強制」という記述は削られた。
この検定意見の根拠の一つとされた係争中の裁判=「岩波訴訟」では、原告側が弁論中に『
軍命で「集団自決」は起きたとする考え方を放置させない、という政治目的を併せ持っていると“表明”した 』りもしつつ、さっくりと地裁・
高裁で原告敗訴 である。でも、検定意見が撤回されたという話はみない。
この辺り、当ブログで、「
沖縄 教科書 検定」といったキーワードで引っかかるエントリを、結構な数を上げている。
また、この沖縄戦「集団自決」記述における「軍強制」の表現が検定意見が付いて削られた事に関し、沖縄戦の現実を体験して伝えている沖縄県民の皆様によって県民大会が開催されて「検定意見の撤回」が決議されたのだが、
文科省は「
専門家9人から意見聴取 」の後、「自主的な修正申請」を受け付けたものの、検定意見の撤回はせず『「日本軍」と「強制」を直接つなげる表現』も認めなかった。ちなみに、この意見聴取された「
専門家9人」を調べてみると、不思議なことに
「集団自決」が日本軍の強制である事を肯定する意見を述べている専門家と否定する意見を述べている「専門家」が公表している沖縄戦に関する業績を比較すると、後者の業績が格段に少ない事も確認していた。
ことほどさように、教科書検定とは
一定方向にのみ無駄に、厳しく審査するもののようである。
さて、塩谷立文科相は2009年04月10日、教科書検定に関し、記者の質問にこのように答えていたそうである。
教科書検定は民間が著作、編集した図書について、学習指導要領や検定基準に基づいて教科書検定審議会の学術的、専門的な審議を経て厳正に実施されている。今回も慎重に審査が行われた。
ちなみに質問は、こんなのであった。
「新しい歴史教科書をつくる会」の会員らが執筆した自由社の歴史教科書が合格したが、既に扶桑社から同会がかかわった教科書が合格している。内容が重なる上、著作権をめぐって訴訟も起きている2冊の教科書が採択の対象になることで、現場の混乱も予想されるが大臣の所感は。
また、自由社の教科書内容について韓国政府から抗議もあるが。
よくわかる参考;「
flagburner's blog(仮)」さんの 2009-04-09付『
「つくる会」教科書の著作権をめぐる醜い争い(検定編)』
あるいは、文科相はこうも答えたらしい。
すでに発行されている扶桑社発行の中学歴史教科書と共通した記述の多い教科書2冊が採択対象となることについては、「検定制度は、手続き通りに申請された教科書であれば検定するように定めている。採択は各教育委員会の責任の下で公正に行ってもらいたい」と述べるにとどまった。内容については言及しなかった。
この産経記事では「扶桑社発行の中学歴史教科書と共通した記述の多い」とあるが、読売新聞ではこう表現していた。
今回の初稿は、04年度に検定を受けた扶桑社版の初稿とよく似ており、検定を経た結果、内容・表現のほか、ページ建てまで扶桑社版とほぼ同じになった。
強調は引用者。
どうやら、一定の条件をクリアさえすれば、教科書検定とは容易に通過するものらしい(婉曲表現)。
(自由社版、中学歴史教科書の検定通過に関しては、内容面にもいろいろ書きたいことがあるのだが、やたらとたくさんあってまとまらなかったのでエントリをあらためて(^^;)
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文科省は「
専門家9人から意見聴取 」の後、「自主的な修正申請」を受け付けたものの、検定意見の撤回はせず『「日本軍」と「強制」を直接つなげる表現』も認めなかった。ちなみに、この意見聴取された「
専門家9人」を調べてみると、不思議なことに
「集団自決」が日本軍の強制である事を肯定する意見を述べている専門家と否定する意見を述べている「専門家」が公表している沖縄戦に関する業績を比較すると、後者の業績が格段に少ない事も確認していた。
ことほどさように、教科書検定とは
一定方向にのみ無駄に、厳しく審査するもののようである。
さて、塩谷立文科相は2009年04月10日、教科書検定に関し、記者の質問にこのように答えていたそうである。
教科書検定は民間が著作、編集した図書について、学習指導要領や検定基準に基づいて教科書検定審議会の学術的、専門的な審議を経て厳正に実施されている。今回も慎重に審査が行われた。
ちなみに質問は、こんなのであった。
「新しい歴史教科書をつくる会」の会員らが執筆した自由社の歴史教科書が合格したが、既に扶桑社から同会がかかわった教科書が合格している。内容が重なる上、著作権をめぐって訴訟も起きている2冊の教科書が採択の対象になることで、現場の混乱も予想されるが大臣の所感は。
また、自由社の教科書内容について韓国政府から抗議もあるが。
よくわかる参考;「
flagburner's blog(仮)」さんの 2009-04-09付『
「つくる会」教科書の著作権をめぐる醜い争い(検定編)』
あるいは、文科相はこうも答えたらしい。
すでに発行されている扶桑社発行の中学歴史教科書と共通した記述の多い教科書2冊が採択対象となることについては、「検定制度は、手続き通りに申請された教科書であれば検定するように定めている。採択は各教育委員会の責任の下で公正に行ってもらいたい」と述べるにとどまった。内容については言及しなかった。
この産経記事では「扶桑社発行の中学歴史教科書と共通した記述の多い」とあるが、読売新聞ではこう表現していた。
今回の初稿は、04年度に検定を受けた扶桑社版の初稿とよく似ており、検定を経た結果、内容・表現のほか、ページ建てまで扶桑社版とほぼ同じになった。
強調は引用者。
どうやら、一定の条件をクリアさえすれば、教科書検定とは容易に通過するものらしい(婉曲表現)。
(自由社版、中学歴史教科書の検定通過に関しては、内容面にもいろいろ書きたいことがあるのだが、やたらとたくさんあってまとまらなかったのでエントリをあらためて(^^;)
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