スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

イーストだって天然 

 以前、スコーン作りにはまったついでに、ベーキングパウダーではなくイーストで発酵させるスコーンに興味をもち、高橋雅子氏の「ゆっくり発酵スコーンとざっくりビスコッティ」というレシピ本を購入して、発酵スコーンを作った話をエントリにしていた

 私はパンも自分で作っていたので、やがて、同じ著者の「少しのイーストでゆっくり発酵パンこんな方法があったんだ。おいしさ再発見! 」という本も気になるようになって、買ってしまっていた。「ゆっくり発酵」というパンの作り方に興味をもったからだ。そしてさらに(なんて釣られやすい私(^^;)、Amazonで見ているうちに、あまりにも熱烈なレビューに興味をもち同じく高橋氏の「ゆっくり発酵ベーグル(少しのイーストでつくるパン2)」も買ってしまった。
…我ながら、一体何を考えてるんだと思わないでもない。

 これが、初めて焼いた「ゆっくり発酵」ベーグルのふかふかタイプ。

自慢だが(爆)、大変美味しくできた


 これらの本で使われているイーストは、いわゆる「イースト」。yeastといえば、単に「酵母」の事だろうといいたいところだが、こういった文脈ではパン用に培養されて販売されている飼い慣らされた酵母をさすという話だ。

 私がすっかりお得意様と化した(?)高橋雅子氏には「「自家製酵母」のパン教室―こんなに簡単だったんだ!マイペースで楽しく続けられる」という著作もある。そして、アマゾンの「少しのイーストでゆっくり発酵パン」のページにある「著者コメント」には、こんな一節があった。

一時期、私の中でパン=天然酵母が決まりのようになったのです。(略)

 天然酵母パンは酵母さえいいものができれば、必ずパンはおいしいものとなります。それはとても魅力的でした。私の中でイーストの存在はどんどん薄くなっていきました。(略)ある日、生徒さんがパンをいろいろ持ってきてくださったのです。いただいたパンはどれもおいしく、新しい発見でもしたかのように私はおどろきました。何におどろいたかというと、その風味、食感はまぎれもなく、イーストのパンだったから。

 それから、いろいろなパン屋さんに行ってたくさんのパンを食べました。そして、イーストでつくるパンのおいしさを再認識したのです。

 …おいしいパンになる前提は、お利口な野良酵母を捕獲するという前提をクリアしなければならないらしい。

 こんな一節に注目するのは、近ごろ「はてなブックマーク」で、「自家製酵母」のブクマをみていたから。
はてなブックマーク ー 「天然酵母」とは何だ
はてなブックマーク ー 自家製天然酵母の作り方
 上記ブックマークページの上の方のエントリは、はっきり『「天然神話」に意味があるか』と疑問を呈しているものだし、ブックマークコメントも「天然」とか「自家製」へのこだわりに批判的なものばかりだろう。また、complex_catさんの

既存の食品工業用酵母使用への批判の歴史では,工業管理酵母における「餌」に含まれる化学物質問題だったように記憶している。酵母そのもののストレインの問題じゃなかったような。で,うんこパンと書いた人も居た。

に注目していた。

 いくつか触れたい論点はあるが、まず、酵母の株によってできあがりのパンの味が左右されることは、ワイン酵母の場合に

一般に、ワインの酒質は原料となるぶどうの品種や品質に大きく左右されると言われていますが、原料ぶどうが同じであれば、みな同じ味がし、同じ香りがするワインができるわけではありません。その違いを演出するのがワイン酵母なのです。ワイン酵母はもともとワイン醸造場やその周辺環境に棲みついていたものが利用されているのですが、酵母ごとに香りや味の成分のつくり方、あるいは、発酵力などが少しずつ違うのです。


サッポロワイン 勝沼ワイナリー日記Vol.4 酵母にもこだわって!!~ワイン研究所から~

から判断して、充分有り得ることだろう。したがって、捕獲した野良酵母がたまたま優秀であったら、自家製酵母で市販されているイーストよりも美味しいパンができる可能性はないわけではない。

 一方、市販のドライイーストだって、どれも同じ株ではない筈だ。私が使っているのはフランスのサフ社製ドライイーストだが、これにも普通の(使っているのはこれ)、甘いパン用(耐糖性)ピザ用がある。日本国内で売られているドライイーストが同一株であるかどうかは未確認だが、別株である可能性は十分あるだろう。

 では、同一株かどうかわからないのは置いておいて、市販ドライイーストが、「天然酵母」(?)あるいは「自家製酵母」(?)よりも味が劣るものなのだろうか。
 高橋雅子氏は、前掲の「少しのイーストでゆっくり発酵パン」のページにある「著者コメント」の続きにこう述べていた。

 パン屋さんに行くとよく、「長時間発酵」という言葉が目につきます。「長時間発酵? イーストで長時間発酵はどうすればいいのだろう?」。とりあえずイーストの量を減らしてみました。(略)なるほど発酵に時間がかかるようになりました。でも、イーストのケミカルなにおいは次第に少なくなり、発酵のときのなんともよい香りだけが残りました。

 もし、イーストとひとくくりにされている酵母株の性質として「味の成分の作り方」や「香りの成分の作り方」が「天然酵母」(?)に劣るのだとしたら、長時間発酵したところで増えているのはイーストなのだから、味や香りは劣ったままの筈だ。しかし、ここで、述べられている内容は、「イースト」の味や香りの成分の作り方は、パン用に優れたものだと示すものだろう。つまり、ここで示される「イーストのケミカルなにおい」とは、上記で紹介したcomplex_catさんのブコメ;『工業管理酵母における「餌」に含まれる化学物質問題』であることを、そのまま示唆しているだろう。

 自家製酵母パン派の人による市販ドライイーストを使いにくいとするコメントはある意味面白い。過発酵のトラブルを訴えている場合が多いようなのだ(リンクはアマゾンの書評)。「少しのイーストパン」の手順をあわせて考えると、どうも、発酵のタイミングの見極めにくさって、市販ドライイーストの使用量を少しにすることで発酵をゆっくりにすれば解決しそうに見えたりもするから。また、同じアマゾンの書評を見ていると、酸味のあるパンが焼けるようだと思ったら、こんな情報も(^^;

Q. 天然酵母のパンをすっぱく感じるのはなぜ?
A. 天然酵母の中にはイーストを含め、乳酸菌や酢酸菌といった細菌類が含まれています。これらの菌が活動することによって生まれる有機酸により、天然酵母パン独特の酸味が感じられるようになるのです。


…元々えらくコンタミしているようで、さらには、当然ながら、肝心の捕獲された野良酵母も単一株ではないだろう(^^; 確かに、はてぶにもあったように「分の悪い賭」である。

 ベイキングデイズの通販コーナーを見ていると、「天然酵母」が市販されていたりもして、人工培養して販売していても「天然」なのかと苦笑してしまうのだが、その内に「天然酵母」コーナーに入っている、ある商品が目についた。

「世界自然遺産「白神山地」から発見された純野生酵母」との煽り文句がついた、白神こだま酵母ドライ。この酵母でのパン焼きのマニュアルほんのコーナーで、

スタッフもこの本を片手に新・天然酵母「白神こだま酵母ドライ」の攻略に励みました。天然酵母なのにふんわり柔らかおいしいパンが焼けて、ビックリ。


「天然酵母」パンは、「ふんわり柔らか」でないのが前提らしいのに苦笑しつつ、ちょっと気になったので、検索してみた。

 すると、「株式会社サラ秋田白神」という会社が販売していた。

腐葉土から分離された約500株の中から発酵性のあるものを選抜し、さらに「醗酵力の強いもの」「増殖力の旺盛なもの」「香りの良いもの」・・・と、ふるいにかけ最後にたった一株だけが残りました。それが白神こだま酵母だったのです。


とあり、なんだかやっぱり、「自家製天然」酵母をあえて使わなくてもと思わせる製品だった。そして、秋田県農林水産部流通経済課の「白神こだま酵母」のページがさらに面白かった。

“白神こだま酵母”は、分類学上は従来のパン用酵母(イースト菌)と同様、Saccharomyces cerevisiae(サッカロマイセス・セレビシエ)に属します。清酒やビール、ワイン用酵母と同じ種類の酵母です。
(中略)
【イーストと天然酵母】
 酵母は、英語で「イースト」と呼ばれますが、これは酵母自体の分離・選抜や培養法までを特定しているものではありません。
 しかし、いわゆる天然酵母や自然酵母に対する人工的なものとしてイーストという言葉が使用されている場合が多々見受けられますが、イーストも元々は自然界に存在した野生酵母の中から製パン特性の優れたもの選抜し、効率良く増殖させたもので、天然に由来するものです。
 一方、一般的に「天然酵母パン種」と呼ばれているものは、水戻ししたドライフルーツを自然発酵させたものや、分離した野生酵母を果汁で培養するなど様々な作り方があるようですが、用語自体の定義のない非常に「あいまいな表示」であり、消費者に「誤認」を与える可能性があります。
 このため、秋田県では“白神こだま酵母”を、あえて「天然酵母パン種」等とは名乗っておりませんが、世界自然遺産「白神山地」から分離・選抜された有用な野生酵母であることには間違いありません。


“白神こだま酵母”は、最も安全な原材料を使用し純粋に培養した酵母ですので、安心してご使用いただけます。

【培養方法】
 一般に「天然酵母パン種」は、乳酸菌の混入により酸味の強いパンに仕上がる傾向がありますが、この他にも一般細菌など安全性が確認されていない微生物が混入し、一緒に培養されている可能性があります。(後略)


…私は、今のところ、白神こだま酵母を買って使ったことはない。しかし、このコンテンツを見て一気に好感をもってしまい(笑)今度使ってみようという気になったのだった。まぁ、ディーラーは「天然酵母」として売っているようだけどね。

 ただし、ベイキングデイズの「白神こだま酵母」の利用者投稿ページによると、扱い方によってはヌカ様の匂いが気になるそうである。
培養基由来の匂いが「ケミカルな匂い」でない場合は、そっち系になるものなのかもしれない(^^;

 ところで、「ゆっくり発酵ベーグル(少しのイーストでつくるパン2)」の「出版社/著者からの内容説明」には、こんな一節があった。

本書で使用しているのは、家庭でつくるパンにもっとも適したインスタントドライイースト。それもほんの少しだけ。通常家庭でつくっているイーストパンの10分の1~5分の1の量です。
ですからイーストのケミカルなにおいはほとんど感じられず、小麦本来の香りを存分に楽しめます。

 ワイン酵母と同様、パン酵母でも、おそらくは「酵母ごとに香りや味の成分のつくり方、あるいは、発酵力などが少しずつ違う」だろう。とすると、高橋氏が少しのイーストパンで存分に楽しめるとする「小麦本来の香り」は、本当に「小麦本来の香り」なのかどうか、疑問を感じてしまうのであった。
スポンサーサイト
[ 2009/04/09 20:00 ] 小ネタ | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://azuryblue.blog72.fc2.com/tb.php/646-cf56e4c9














無料カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。