オーストラリアでぴょんぴょん跳ねている動物の話ではない。
昨日付の
4月1日付のエントリで、たとえ生の魚に
ビタミンB1破壊酵素が含まれていたところで、それが体内のビタミンB1を破壊して回るなんてあり得ないと断言してみた。
その後に
国立健康・栄養研究所の
『「健康食品」の安全性・有効性情報』のビタミンB1の項目にあったビタミンB1破壊酵素の記述を紹介してみた。該当部分を全文引用するとこうだ。
ビタミンB1を分解し生理活性を消失させてしまう酵素であるチアミナーゼ(アノイリナーゼともいいます)は、ハマグリ、アサリ、シジミなどの二枚貝、わらびやぜんまいなどの山菜、鯉や鮒などの淡水魚に含まれます。しかし、チアミナーゼは加熱することによって活性を失います。
…しかし、エントリを書いてしばらくしてからの私の脳裏に、ある記憶が蘇り、あれぇ~???となった。
なまじ、私には余計な情報がインプット済みであったのだ。
ワラビという植物は結構厄介で、中毒を起こすことがある。特に、放牧される家畜で。そして、牛や馬で問題視されるのだが、馬のワラビ中毒はこう伝えられている。
馬のワラビ中毒は、中毒を引き起こす成分が牛とは異なっており、ワラビ中のアノイリナーゼによって体内のビタミンB1が破壊されて、チアミン欠乏が起こることによって中毒症状が現れます。
症状として運動失調がみられ、末期にほ痙攣が認められることがあります。
かつて腰ふら病と呼はれていたこともありました。
治療にはビタミンBlの投与が行われます。
…あれぇ~???
ワラビ由来の
ビタミンB1破壊酵素が、馬の
体内のビタミンB1を破壊して回っていることになっている(^^;
でも、常識的に考えると、そんな馬鹿な話があるだろうとってなものである。
検索してみた。
馬のワラビ中毒の話として上記と同様の話がぞろぞろ引っかかってくるが、しかし。
畜産統合検索システム経由でこんな情報があった。
馬のワラビ中毒発病原因の一つとして、ワラビに含まれる耐熱性ビタミンB1分解因子(SF因子)の意義を知るため、乾燥ワラビの水浸出液を加熱してアノイリナーゼ(易熱性因子)を不活化した後に馬に給与した。1頭には日量8.1g/kg、他の1頭には1.13g/kgを給与したところ、前者では29日間で腰痿症状、起立不能を伴うワラビ中毒の症状を発生、後者は83日間に一過性の強拘歩様を示すにとどまった。両者ともに血中ビタミンB1と尿排泄ビタミンB1の著明な減少と、血液の乳酸、血清のピルビン酸の増加が認められた。これらから馬ワラビ中毒の発病はアノイリナーゼだけでなく、SF因子によるビタミンB1分解作用も重要である。
熱処理で不活化したワラビ浸出液で、思いっきり中毒が発症しているのだから、加熱で活性を失うといわれているアノイリナーゼは関係ないのではないか?
最後の行の結論は、「アノイリナーゼだけでなく」は余分のような?
さらにこんな情報もあった。
ワラビは植物全体が有毒である。
ワラビの生育地にウマとウシとブタを放牧するとウマとウシは葉だけを,ブタは根茎だけを摂取するがいずれの動物種も中毒するといわれている。ワラビの有毒成分は乾燥によっても失われない。
チアミン不活化因子
我々がワラビを食べるときは十分に煮るが,それでも15g程度を食べると尿中のチアミン(ビタミンB1)排泄量が低下する。試験管内でチアミン液にワラビのホモジェネートを加えるとチアミンは直ちに不活化される。
このチアミン不活化因子はウマやブタでのワラビ中毒の原因物質だと考えられている。我が国では腰ふら病とか築川病として古くからウマの中毒が知られているが,いずれもチアミン欠乏症である。
(中略)
ワラビのチアミン不活化因子は耐熱性であり,電気泳動では酸性物質として行動する。ワラビの化学成分の研究ではチアミン不活化因子の主要成分は恐らくカフェイン酸(3,4-dihydroxy cinamic acid)であるらしいが,他のフェノール類にも同様な作用が認められている。
獣医学関係の文献の多くにはワラビにチアミン分解酵素(チアミナーゼ,アノイリナーゼ)が含まれると記載されているが多分誤りである。
…驚いたことに、獣医関係のWEBページではいまだに普通に書かれている「馬のワラビ中毒の原因は、ワラビに含まれるビタミンB1破壊酵素であるアノイリナーゼ」という情報は、間違いである可能性が高いようだ。それも、1980年代にすでに確認されていたらしい。
…ネコに生魚の話からすっかり逸れてしまったが、個人的に納得できて嬉しかったり^^
とりあえず、いくらエイプリルフールだって、ああいった内容で嘘を書いていたのでなくて良かったとも(^^;
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ワラビという植物は結構厄介で、中毒を起こすことがある。特に、放牧される家畜で。そして、牛や馬で問題視されるのだが、馬のワラビ中毒はこう伝えられている。
馬のワラビ中毒は、中毒を引き起こす成分が牛とは異なっており、ワラビ中のアノイリナーゼによって体内のビタミンB1が破壊されて、チアミン欠乏が起こることによって中毒症状が現れます。
症状として運動失調がみられ、末期にほ痙攣が認められることがあります。
かつて腰ふら病と呼はれていたこともありました。
治療にはビタミンBlの投与が行われます。
…あれぇ~???
ワラビ由来の
ビタミンB1破壊酵素が、馬の
体内のビタミンB1を破壊して回っていることになっている(^^;
でも、常識的に考えると、そんな馬鹿な話があるだろうとってなものである。
検索してみた。
馬のワラビ中毒の話として上記と同様の話がぞろぞろ引っかかってくるが、しかし。
畜産統合検索システム経由でこんな情報があった。
馬のワラビ中毒発病原因の一つとして、ワラビに含まれる耐熱性ビタミンB1分解因子(SF因子)の意義を知るため、乾燥ワラビの水浸出液を加熱してアノイリナーゼ(易熱性因子)を不活化した後に馬に給与した。1頭には日量8.1g/kg、他の1頭には1.13g/kgを給与したところ、前者では29日間で腰痿症状、起立不能を伴うワラビ中毒の症状を発生、後者は83日間に一過性の強拘歩様を示すにとどまった。両者ともに血中ビタミンB1と尿排泄ビタミンB1の著明な減少と、血液の乳酸、血清のピルビン酸の増加が認められた。これらから馬ワラビ中毒の発病はアノイリナーゼだけでなく、SF因子によるビタミンB1分解作用も重要である。
熱処理で不活化したワラビ浸出液で、思いっきり中毒が発症しているのだから、加熱で活性を失うといわれているアノイリナーゼは関係ないのではないか?
最後の行の結論は、「アノイリナーゼだけでなく」は余分のような?
さらにこんな情報もあった。
ワラビは植物全体が有毒である。
ワラビの生育地にウマとウシとブタを放牧するとウマとウシは葉だけを,ブタは根茎だけを摂取するがいずれの動物種も中毒するといわれている。ワラビの有毒成分は乾燥によっても失われない。
チアミン不活化因子
我々がワラビを食べるときは十分に煮るが,それでも15g程度を食べると尿中のチアミン(ビタミンB1)排泄量が低下する。試験管内でチアミン液にワラビのホモジェネートを加えるとチアミンは直ちに不活化される。
このチアミン不活化因子はウマやブタでのワラビ中毒の原因物質だと考えられている。我が国では腰ふら病とか築川病として古くからウマの中毒が知られているが,いずれもチアミン欠乏症である。
(中略)
ワラビのチアミン不活化因子は耐熱性であり,電気泳動では酸性物質として行動する。ワラビの化学成分の研究ではチアミン不活化因子の主要成分は恐らくカフェイン酸(3,4-dihydroxy cinamic acid)であるらしいが,他のフェノール類にも同様な作用が認められている。
獣医学関係の文献の多くにはワラビにチアミン分解酵素(チアミナーゼ,アノイリナーゼ)が含まれると記載されているが多分誤りである。
…驚いたことに、獣医関係のWEBページではいまだに普通に書かれている「馬のワラビ中毒の原因は、ワラビに含まれるビタミンB1破壊酵素であるアノイリナーゼ」という情報は、間違いである可能性が高いようだ。それも、1980年代にすでに確認されていたらしい。
…ネコに生魚の話からすっかり逸れてしまったが、個人的に納得できて嬉しかったり^^
とりあえず、いくらエイプリルフールだって、ああいった内容で嘘を書いていたのでなくて良かったとも(^^;
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わらび~
モチちゃう。沖縄の子供でもない。
[2009/04/02 02:58]
URL
pokoponにっき
所謂「ミサイル」発射の自制を求める要望書
大韓民国民団本部のホームページを見たら、「総連は北韓に自制呼びかけを
」という記事がありました。
4月2日付け、というから昨日、発表されたものですね。
要望書が掲載されているので、クレジットをつけて転載します。
北韓の所謂「ミサイル」発射の
[2009/04/03 19:01]
URL
みんななかよく