スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | トラックバック(-) | コメント(-)

減らないドメスティックバイオレンス被害 

 共同通信(47ニュース経由)2009/03/24 10:12付で、こんな記事が出ていた。
DV経験、女性の3割超 05年から被害減らず
内閣府が3年ごとぐらいに(前回調査が2005年と)ドメスティックバイオレンス(DV)被害調査を行っているそうで、2008年10-11月に実施した調査、20歳以上の男女合計5000人を対象に実施し3129人から回答を得た結果が公表されたそうだ。配偶者の男性から肉体的・精神的な暴力被害を受けた女性が33.4%にのぼり、これは前回2005年の調査と比率が変わらないという。

(略)
 夫からDVを受けたことがある女性のうち、13・3%は命の危険を感じたと回答。10代から20代で恋人から暴力を受ける「デートDV」を経験した女性は13・6%で、このうち21・9%が命の危険を感じたと答えた。
(中略)
 夫からのDVでけがをしたり、精神的に不調になったりしたと答えた女性は34・8%、「デートDV」では48・4%に上った。(後略)

この記事ではデートDVに重心をおいており、件数がゼロとも思えない男性の被害については言及がない。

 一方、MSN産経 2009.3.24 10:21付の「結婚経験ある女性、11%が繰り返しDV被害 男性も3%」では、

(略)事実婚も含めた結婚経験がある女性の10・8%が夫から身体的暴力や心理的攻撃、性的強要といった暴力(DV)を繰り返し受けていたことがわかった。妻から同様の暴力を繰り返し受けた経験があると回答した男性は3・0%だった。
(中略)
 一度でも暴力を受けたことがあると回答したのは、女性が33・2%、男性が17・7%。このうち、女性は13・3%、男性は4・7%が命の危険を感じるレベルの暴力を受けたと答え、女性は34・8%、男性は14・1%が暴力を受けてけがをしたり精神的な不調をきたしたりしたと回答した。

 男性の被害に関する言及がきちんとあるのは良いのだが、どうしたことか、配偶者間DVのことばかり言及があり、デートDVの言及がないようだ。それに、数字が違っている部分があるような気がしないでもない。

 また、毎日では2009年3月24日19時35分付で報じられており、『既婚女性:25%が配偶者からDV経験 内閣府調査』。何かまた違う数字が出てるぞと思ったら、報道タイトルは身体的な暴力被害の割合だった。

 これは元々の調査結果をみておかねば。
元データはここにあった。
内閣府男女共同参画局の『配偶者からの暴力被害者支援情報 「女性に対する暴力」に関する情報』の『男女間における暴力に関する調査(概要)(PDF、平成21年3月公開)』。

 なお、ここで女性に対する暴力限定の話か、と、否定的な感想をもつ人がいるかもしれないが、「女性に対する暴力」とカギ括弧でくくられていることには注目しておいていただきたい。「女性に対する暴力」というのは、1993年12月の国連総会決議で採択された『女性に対する暴力の撤廃に関する宣言』において、ひとかたまりで定義づけられている用語だ。

第1条
 この宣言の適用上、「女性に対する暴力」とは、性に基づく暴力行為であって、公的生活で起こるか私的生活で起こるかを問わず、女性に対する身体的、性的若しくは心理的危害または苦痛(かかる行為の威嚇を含む)、強制または恣意的な自由の剥奪となる、または、なるおそれのあるものをいう。

第2条
 女性に対する暴力は、以下のものを含む(ただし、これに限定されない)と理解される。
 (a)家庭において発生する身体的、性的および心理的暴力であって、殴打、世帯内での女児に対する性的虐待、持参金に関連する暴力、夫婦間における強姦、女性の生殖器切断およびその他の女性に有害な伝統的慣行、非夫婦間の暴力および搾取に関連する暴力を含む。
 (b)一般社会において発生する身体的、性的および心理的暴力であって、職場、教育施設およびその他の場所における強姦、性的虐待、セクシュアル・ハラスメントおよび脅迫、女性の売買および強制売春を含む。
 (c)どこで発生したかを問わず、国家によって行なわれるまたは許される身体的、性的および心理的暴力。



 さて、今回報道されていた調査は、2008年10-11月に実施され、調査対象が、

(1)母集団 全国20歳以上の男女
(2)標本数 5,000人
(3)抽出法 層化二段無作為抽出法

回収結果が、

(1)有効回収数(率) 3,129人(62.6%)
(内訳) 女性1,675人 男性1,454人

だそうだ。2005年11-12月実施の『男女間における暴力に関する調査(概要)(PDF、平成17年)』は、同じ抽出方法で4500人対象にして、回収が女性1,578人と男性1,310人。今回が若干多いとも言えるが、ほぼ同じぐらいだろう。
年齢は、2008年版が、20代が10%ほど、30代が18%ほど、40代が17%ほど、50代が20%ほど、60代以上が30%と少し。
前回の2005年調査で、20代が11%ほど、30代が18%ほど、40代が18%ほど、50代が20%ほど、60代以上が30%と少し。こちらも、ほぼ、同じような年齢層からの回答と見て良さそうだ。

 まず、共同通信が「暴力被害を受けた女性が33.4%」と報じていた訳だが、調査は、「配偶者」として事実婚・別居中・元配偶者も含み、「なぐったり、けったり、物を投げつけたり、突き飛ばしたりするなどの身体に対する暴行を受けた」(“身体的暴行”女性24.9%、男性13.6%)「人格を否定するような暴言や交友関係を細かく監視するなどの精神的な嫌がらせを受けた、あるいは、あなたもしくはあなたの家族に危害が加えられるのではないかと恐怖を感じるような脅迫を受けた」(“心理的攻撃”女性16.6%、男性8.8%)「いやがっているのに性的な行為を強要された」(“性的強要”女性15.8%、男性4.3%)の被害を、いずれか一つでもこれまでに受けたことのある人の割合が、女性33.2%、男性17.8%となっている。微妙にズレがあるような気がしつつ、共同通信が報じているのが、これだろうか。
 それにしても、DV被害の発生が依然として変わらないといった論調の報道がでているのだが、「いずれか一つでもこれまでに」との条件付のこの調査年齢層を見るに、そりゃ、被害者割合の変動はそう無いだろうと思ったのであった。。。

 また、被害の相談については、女性回答者185人のうち53%、男性回答者92人の内77%の人がどこにも誰にも相談しなかったそうで、相談しなかった理由を回答した女性98人&男性71人で多かった回答は「相談するほどのことではないと思ったから」が女性50.0%・男性67.6%、「自分にも悪いところがあると思ったから」が女性35.7%・男性43.7%と、この二種の回答は男性に多いようだ。そして、「自分さえがまんすれば、なんとかこのままやっていけると思ったから」(22.4%・14.1%)「恥ずかしくてだれにも言えなかったから」(17.3%・11.3%)といった回答は女性に多い傾向が見られるようだ。

 被害に遭った経験をもつ女性451人・男性191人が質問された、被害を初めて受けた頃に関係をどうしようと思ったかの回答では、「別れたい(別れよう)と思ったが、別れなかった」が女性42.1%に男性17.8%、そもそも分かれたいとは思わなかったのは女性42.4%・男性59.7%とある。被害を受けても、なんだか非対象な反応が見られるようだ。

 配偶者から何らかの被害を受けたことのある女性451人・男性191人から、その加害から命の危険を感じたことの有無に対する回答では、女性の13.3%が命の危険を「感じ」男性では4.7%、加害によって怪我をしたり精神的な不調を来したことがあったのは、女性で34.8%・男性で14.1%という。


 そして、デートDV被害については、調査結果はこう書いている。

1 交際相手からの被害経験
10歳代から20歳代の頃に、「交際相手がいた(いる)」という人(女性943人、男性799人)に、3つの行為をあげて、当時の交際相手から被害を受けたことがあるかを聞いた。

強調は引用者。被害を受けた比率としては、“身体的暴行”被害では女性7.7%・男性2.9%、“心理的攻撃”被害では女性7.8%・男性3.1%、“性的強要”被害では女性4.8%・男性0.8%が受けていたという。そして、「いずれかをされたことが『あった』という人は女性13.6%、男性4.3%」。このいずれかの被害があった「女性13.6%」が、共同通信が報じた数字のようだ。
 前述したとおり、2008年度に実施された調査の回答者年齢層は「20代が10%ほど、30代が18%ほど、40代が17%ほど、50代が20%ほど、60代以上が30%と少し」。2005年度とほぼ変わってはいなかった。ということは、すくなくとも共同通信のあげた数字だと現在進行形のデートDV被害の深刻さを示す調査結果とは少し違うような気はする。

 私自身、とある大学病院で開催されたDV講演会を受講したこともあり、その質疑応答時間で救急部のドクターが、救急部に来診した若いカップルの女性がどうみてもDV被害に遭っているとしか見えないのだがどうしたものかと、講演者に質問していたのを聞いたこともある。かなり頻繁にそういった患者さんを見かけるのだが、どう対応したらいいかという話だった。だから、デートDV被害が深刻であるという話は事実だろうと思えるのだが、共同の報じた数字を裏付けとして受け取るのには躊躇する。

 気になるので、元データでさらに、新規に調査対象となった年代を見くらべて、傾向を見てみることにした。
2005年版をみると、上記被害の内一つでも受けたことのある被害者の20代女性22.8%・男性10.8%&30代女性18.7%・男性7.2%。2008年版における被害者だと20代女性21.3%・男性9.4%&30代女性19.6%・男性5.4%。ということは、たしかに結論として、デートDV被害は依然深刻なままなのは確からしい。

 そして、デートDVの場合、「配偶者」間よりジェンダー非対称性が強い傾向があるように見える。

3 命の危険を感じた経験
10歳代から20歳代の頃に、交際相手から何らかの被害を受けたことのある人(女性128人、男性34人)に、その行為によって、命の危険を感じたことがあるかを聞いたところ、命の危険を「感じた」という人は女性で21.9%となっている。一方、該当数は少ないが、男性は34人中1人いる。

今までに被害を受けたことのない人も含めて、10歳代から20歳代の頃に、「交際相手がいた(いる)」人(女性943人、男性799人)でみると、命の危険を「感じた」という人は女性3.0%、男性0.1%となっている。

産経新聞では「配偶者」間DVにおいては「女性は13・3%、男性は4・7%が命の危険を感じるレベルの暴力を受けた」と報じていたが、産経が報じないデートDVだと被害経験ありの女性21.9%・男性2.9%が命の危険を感じたというわけで、、、まぁ、産経は産経だから。
 調査結果はさらに、デートDVにおける相談した/しないのジェンダー非対称性も示しているようだった。


 調査結果の最後のセクションでは、今のところ見て回った報道では触れられていない調査結果も示されていた。
IV 異性から無理やりに性交された経験(女性のみ)
…女性のみへの質問であるらしい。「異性から」の限定をはずしつつ、調査対象者全員に訊くべき項目と思われるが、現状の調査結果でもすでに重い。
 1,675人から、被害経験のある人は7.3%との回答が得られ、被害者123人に

その出来事の加害者との面識の有無を聞いたところ、「よく知っている人」という人は61.8%、「顔見知り程度の人」という人は13.8%となっており、『面識があった』という人は8割近い。

という。やはり、熊は通りすがりではないらしい。しかも

「小学生のとき」(12.2%)、「中学生のとき」(4.9%)、「小学校入学前」(3.3%)など低年齢で被害を受けたという人も2割ほどいる。

ということだった。
 この結果と、2005年版の、回答者1,578人中被害経験のある人は7.2%、加害者と「『面識があった』人は9割近い」、低年齢での被害が『「小学生のとき」(8.8%)、「小学校入学前」(5.3%)、「中学生のとき」(5.3%)』の調査結果を比較すると、、、感想は文章にはできない…orz


 ところで、この調査は、平成13年4月に制定され10月13日に施行され、さらに平成16年と平成19年に改正された「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の効果をはかる目的がなかった筈はない。ということは、データ変動は見ておくべきだろう。調査には、「配偶者」間の過去5年以内の被害および相談先という項目があったので、これの前回分と今回分を見てみる。
2005年版では

この5年以内に配偶者から何らかの被害を受けた経験の有無を、これまでに結婚したことのある人(女性1,283人、男性1,045人)でみると、女性では全体の14.1%が被害を受けたことが「あった」と答えているのに対して、男性では8.6%となっている。

また、被害にあった女性179人と男性90人で、被害をどこにも相談しなかった女性は46.8%で男性は84.4%という。警察に相談した人は女性は3.4%で男性は1.1%、配偶者暴力相談支援センターに相談した人は女性は0.6%で男性は1.1%。
 2008年版だと

この5年以内に配偶者から何らかの被害を受けた経験の有無を、これまでに結婚したことのある人(女性1,358人、男性1,077人)でみると、女性では全体の13.6%が被害を受けたことが『あった』と答えているのに対して、男性では8.5%となっている。

…このわずかな数字の変化では、被害が減少しているとするのは大胆だろう。また、2008年の調査において、被害にあった女性185人と男性92人で、被害をどこにも相談しなかった女性は53.0%で男性は77.2%という。警察に相談した人は女性は2.2%で男性は1.1%、配偶者暴力相談支援センターに相談した人は女性は1.1%で男性は0%。

……「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の効果があったように見えないのは気のせいだろうか。

 この調査結果の報道は、「DV被害が減っていない」としていくつかの数字をあげていたが、あげられた数字は元データを見るに「DV被害が減っていない」事を示す数字とは言えない様には思われた。しかし、「DV被害が減っていない」という結論は、動かないようだ。
スポンサーサイト
[ 2009/03/25 00:00 ] ジェンダー関連? | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://azuryblue.blog72.fc2.com/tb.php/639-d757adea














無料カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。