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トンデモを擁護する気はないが、トンデモのせいでトンデモでなさそうな部分が否定されるとしたら哀しい 

 もしこのエントリがトンデモの擁護として機能したら非常に不本意ではあるが、どうにもそのままにしておくのは気持ちが悪くて仕方ないので、コメントで書ききれなかった部分をエントリで補足してみる。

 これは、いつも遊ばせていただいている『かめ?』さんの2009年03月05日付『トンデモは、奥が深い』の話。
MSN産経 2009.3.4付の『「遺伝子の大部分が眠っている」 和歌山「正論」懇話会で村上和雄氏』について、gegengaさんは、

 村上氏は、糖尿病患者に漫才などの「笑い」を与えたところ、血糖値が下がった実験に触れ、「心を変えることが遺伝子のオン・オフに影響を及ぼす。われわれの遺伝子の大部分が眠っており、人類の可能性は計り知れない」と強調した。

と引用されている。なお、強調は、gegengaさんの引用に倣っている。

 …エントリを読ませていただいて、こりゃすごいトンデモだと思いつつ、実は、ちょっと困った。ので、こうコメントした。

「心を変えることが遺伝子のオン・オフに影響を及ぼす」 こ と がある、とまでなら言えるでしょうけど。。。(後略)

そして、gegengaさんからこうレスを頂いた。

笑うと血糖値が下がるにしても、それが遺伝子がオンになったせいだとどうやって調べたのか、とか。
「心を変えることが」というからには、「笑う」などという表層に現れる現象で判断するだけではなく、当然、「心そのもの」の実態を解明したのだろうな、とか。
色々な疑問が、頭の中をグルグルと。(後略)

…さらに、微妙に困った(^^;

 補足したくなったけど、絶対、コメントのボリュームでは収まらない。
以下、gegengaさんのコメントを誤読していると大変申し訳ないと思いつつ、「物言わざるは、腹ふくるる技なり」というらしいので、書いてみたくなったことを書いてみよう。

 順番に、だとかえって難しいので、手のつけやすいところから(^^;;;;;;

 まず一点目。
我々はじめ、生き物の体はタンパク質その他で構成されているわけで、生体反応を制御するのも、体の中にある酵素やホルモンなど主にタンパク質だ。そのタンパク質は、細胞の核中にある染色体に存在する遺伝子情報に基づいて作られる。遺伝子は情報をになう物質(=DNA)の配列であり、機能する単位。タンパク質情報をコードしているDNA配列は、タンパク質になる前に、必要な情報をRNAにコピーし(=転写)、転写した情報を元にタンパク質を作り出す(=翻訳)のだが、

ここの細胞では、必要なときに必要なタンパク質が必要な量だけ合成されるように調節されている。つまり、遺伝子には転写を制御する“スイッチ”が存在するのである。


新しい高校生物の教科書 栃内新左巻健男 145ページ

つまり、とあるタンパク質の量が増えたり減ったり、を言い替えると、そのタンパク質をコードしている遺伝子の転写が制御された結果であるとも言える訳。そして、さらに言い替えると、その遺伝子の転写を制御する“スイッチ”が入ったり切れたり、、、つまり、とあるタンパク質の増減は、それをコードする遺伝子がオンになったりオフになったりの結果であると見なせる。

 こういう言い回しは、例えば、(適当に探したネタなのだが)京都大学の2005年8月12日付ニュースリリース「植物が花を咲かせるメカニズムを解明」などでも

研究グループは、FTタンパク質が花芽形成を促進するためには、新たに見つけたFD遺伝子が必要であることを明らかにした。FD遺伝子の働きでつくられるFDタンパク質は、ほかの遺伝子のオン・オフを調節する転写調節因子と呼ばれる種類のタンパク質であり、芽でつくられて、花芽形成の最初の段階に必要とされるAP1(アペタラ1)遺伝子をオンにする役割を果たしていることが判った。

とあるように、一般的に使われると見なせるだろう。

 次に、糖尿病について。まぁ、要するに、色々な原因で血糖を上手く制御できない状況にある(<-ものすごく大雑把な説明)ので、血糖を制御する因子もタンパク質が無関係ってこたない訳。血糖値が下がったのなら、それは、その患者さんに有効な、血糖を制御する何らかのタンパク質をコードする遺伝子の転写調節が働いた結果とは、妥当でない解釈とは言えない筈だ。

 そして、これは査読誌に論文業績として公表されているお仕事だった。

Diabetes Care. 2003 May;26(5):1651-2, "Laughter Lowered the Increase in Postprandial Blood Glucose"
(筆頭著者はHayashi K氏、他7人の連名、村上氏はlast author)

Int J Mol Med. 2005 Dec;16(6):1077-81, "Laughter therapy modulates the parameters of renin-angiotensin system in patients with type 2 diabetes."
(筆頭著者はNasir UM氏、他9人の連名、村上氏は後から二番目)

Psychother Psychosom. 2006;75(1):62-5, "Laughter regulates gene expression in patients with type 2 diabetes."
(筆頭著者はHayashi K氏、他7人の連名、村上氏はlast author)

J Psychosom Res. 2007 Jun;62(6):703-6, "Laughter modulates prorenin receptor gene expression in patients with type 2 diabetes."
(筆頭著者はHayashi K氏、他9人の連名、村上氏はlast author)



 2003年の論文は冒頭をこうはじめる。

Negative emotions such as anxiety, fear, and sorrow are known to be factors that elevate the blood glucose level (1). Conversely, positive emotions such as laughter have been reported to modify the levels of neuroendocrine factors involved in negative emotions (2,3) and to modulate immune function (3,4). However, there have been no studies on the effects of laughter on blood glucose level.
 不安や恐怖や悲しみなどの否定的な感情は、血糖値を上げると知られている。反対に、笑いなどの肯定的な感情は、否定的な感情に伴う神経内分泌系因子や、免疫機能の調節を改善すると報告されている。
 しかし、血糖値への笑いの効果は研究されていない。

括弧内の数字は引用文献番号。この研究グループとは違う研究グループの先行研究であり、このような着想が、このグループの独創でもないと判断できるだろう。

 上記の論文を出した研究グループは、すでに別の人物が中心となっている。その、筑波大学 大学院人間総合科学研究科(基礎医学系)の診断生化学グループの浦山修教授は、ホームページで、

(略)2003年にヒト・ゲノムの全容が明らかになって、我われは、生化学や分子生物学をもって、“快適さ”や“楽しみ”がもたらす心身の健康状態(生活習慣の改善等を含む)を定量的に評価かつ診断する学問の進展が可能と考えるようになりました。

実際に『笑いと健康』という研究プロジェクトの中で、糖尿病の患者さんに漫才や落語を鑑賞していただいたところ、食後血糖値の上昇が抑制され、この「笑いの効果」には遺伝子の発現変化が関与していることがわかってきました。(後略)

また、「陽性ストレスに関する研究」の「ヒトにおける研究」として、

 陽性ストレス刺激が糖尿病の三次予防(合併症の進展を抑える)に有効かどうかを明らかにするために、糖尿病腎症(合併症の血管病変の原因物質としてレニン・アンギオテンシン系の異常が知られている)の患者に漫才を鑑賞してもらったところ、血中プロレニン値の低下(正常化)と末梢血白血球のプロレニン受容体遺伝子の発現の増加が観察された。(後略)

ともある。

 そして、技術の進歩というのは著しくて、非侵襲的(切ったはったせず)に「遺伝子の発現」を測定可能な装置も、既にある(ヒトに実用は、今のところ多分まだだろうけど(^^;)から、今後この分野はさらに急速に進展するだろう。(報道を見てまず第一に考えたのは、この手の技術を使って既に判明している糖尿病関連遺伝子のオンオフを調べたのかなと思ったので、本筋じゃなかったけど、ちょっと言及)

 で(^^; (gegengaさんへ
「心を変えることが」というからには、「笑う」などという表層に現れる現象で判断するだけではなく』ってのは、『「笑う」などという表層に現れる現象で』判断しちゃってるのですが、「気のもちよう」とかも「心」のうちだろうと私は思ったので、『心を変えることが遺伝子のオン・オフに影響を及ぼす』までは、OKだったのです。必ず良い影響を及ぼすとは言えんだろうと思ったけど。
 そして、少なくとも、「笑い」が血糖値を下げる現象に関しては、査読誌複数に論文が公表され、それなりにたくさんの研究者が関わるグループで真面目に研究されているとみていいだろうと、私は現状では判断しました。ユニークな研究だとの感想はもちますが(^^;


 問題はこの箇所以外。

われわれの遺伝子の大部分が眠っており、人類の可能性は計り知れない

…いつでもなんでもオンになりゃいいってもんじゃないのだが。
そして、だからといって何故、「人類の可能性は計り知れない」になるのだ?

遡って引用すると、

「人類だけでなくすべての生物が同じ遺伝子暗号を使い、DNAでつながっている。この視点がなければ環境問題は解決しない」と述べた。

飛躍しすぎで、意味不明だろうがっ!

「目に見えないサムシング・グレートや心こそが本当に大切なことだ」と訴えた。

笑うことが糖尿病の患者さんの血糖値低下に効果があろうとも、その結論にはつながらないっ!


参考にしたページ;
横浜市立大学・遺伝子発現制御学の『遺伝子の転写制御とは何か?
東京工業大学ホームページ | 最近の研究成果の『遺伝子発現のオン・オフを切り換える分子スイッチを同定
日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)127,147~150(2006)『痒みに関する脳機能イメージング研究の展開 (PDF)』
脳とネットワーク/The Swingy Brain January 18, 2007『遺伝子イメージング、ネズミのヒゲ、好対照、American Idol!
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[ 2009/03/06 18:00 ] ニセ科学系トンデモ | TB(0) | CM(11)

解説、ありがとうございます!   No. 5721

私も
>不安や恐怖や悲しみなどの否定的な感情は、血糖値を上げると知られている。反対に、笑いなどの肯定的な感情は、否定的な感情に伴う神経内分泌系因子や、免疫機能の調節を改善すると報告されている。

というあたりは(当然、専門の研究発表ではなく、それをかみ砕いて解説してくださったいろいろで:汗)知っていたし
「笑いで血糖値が下がる」研究も、以前から面白いなと思っていたのですが
>「遺伝子の発現」を測定可能な装置もある
ほうを知らなかったので、かなり疑問がグルグルしちゃったのですが、この点はスッキリしました。
ありがとうございます!

で、もう一つ超基本的なはずなのに、遺伝子について分からないところがあるんですが。
>…いつでもなんでもオンになりゃいいってもんじゃないのだが。
で、いいんですよね?
たとえば、目の角膜のところで骨を作る遺伝子が発現しちゃったらすごいことになっちゃいますよね?
って、例が既にまったく分かっていないことを示していてお恥ずかしいのですが(大汗)

>サムシング・グレート
これに関しては、逆に、誰か解説してくれる人が出てきたらイヤだから、あまり突っ込みたくなかったりしております。。。。
[ 2009/03/06 19:02 ] Tk1SCyj2[ 編集 ]

論文をしっかり読んではいないのですが(^^;   No. 5722

 ↑の4報の読めるとこから判断する限りは、PET(「遺伝子の発現」を測定可能な装置)を使ったわけではなく、吉本に行ってもらった糖尿病患者さんから採血させてもらって、血液に含まれる細胞で糖尿病に関連する遺伝子の発現を調査したようです。

 私はPETの存在が先に浮かんだので、可能だとストレートに考えてました。PETに関しては、『遺伝子イメージング、ネズミのヒゲ、好対照、American Idol!』を見てもらった方がいいかも(アメリカの脳科学者さんのブログのようです)


>>…いつでもなんでもオンになりゃいいってもんじゃないのだが。
>目の角膜のところで骨を作る遺伝子が発現しちゃったらすごいことに
<
 似たような実験は既に報告があったようなおぼろげな記憶が(^^;
嫌われ者の(笑)「遺伝子組換え」技術を使ったマウスを使った実験などで、違う場所に強制発現という方法が可能です。

 村上氏が語るストーリーは、可能なことと、トンデモファンタジーが混在しているので、非常に厄介な方だとの感想をもちました。なまじ、遺伝子発現を、生体のまま可視化できますよ~なんて技術も出てきているし。。。


>サムシング・グレート
<
何故、そっちに行くかなと(^^;
[ 2009/03/06 19:19 ] fYTKg7yE[ 編集 ]

それにつけても金のほしさよ   No. 5723

 どんな5・7・5の後にでも「それにつけても金のほしさよ」と「根岸のの里の侘び住まい」は付けられるみたいなもんで、どんな文の後にでも、「目に見えないサムシング・グレートや心こそが本当に大切なことだ。
」はくっつけりゃいいってことなんですかね。
[ 2009/03/06 21:04 ] mQop/nM.[ 編集 ]

ネーミングセンスが(爆)   No. 5724

サムシング・グレートってなんか覆面レスラーみたいな名前ですよね(笑)

「サムシング・グレート、フライングDNAアターック、ああー自爆だ、これは痛そうだ。のたうち回っています、サムシング・グレート」
[ 2009/03/07 00:38 ] 9fUrC8Yk[ 編集 ]

やめてぇ~~   No. 5725

>覆面レスラーみたいな
白地に赤い線が入った覆面で
小太りで
黒タイツ。
小さな凶器を使うが、あまり役に立たない。

「おぉ、出ました、サムシング・グレート・スペシャル!!
おぉっと? 奇跡を呼ぶ手から、何かこぼれたような??
これは、心太かぁーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!?」
みたいな?
[ 2009/03/07 00:58 ] Tk1SCyj2[ 編集 ]

   No. 5726

>みなみさとかさん
>どんな文の後にでも
<
 いえ、使い慣れた人は、文の途中という上級技を駆使するようです。
こちらの右の方から(http://ci.nii.ac.jp/naid/110004872070/)、「第57回日本東洋医学会学術総会」の「招待講演,特別演題」の「サムシング・グレート : 遺伝子と漢方の研究から」要旨PDFが閲覧できるんですが、冒頭と結論部分がごくまっとうなのに、結論前にこんな4行が入っているんです。
そもそも極微の空間に、大百科事典集千冊分に相当する膨大な人の体の設計図を書き込んだのは人間ではありません。この人間業を超える大自然の不思議な働きは「サムシング・グレート」としか呼びようがない。人間を含め、全ての生物の生命は「サムシング・グレート」からの贈り物であると考えられます。
この4行を削除しても、文章として意味が通るので、感心してしまいました。



>うちゃさん
>サムシング・グレートってなんか覆面レスラーみたい
<
 私はどっちかってと、スペオペの設定でありそうだと(^^;
ほら、クラッシャージョーやダーティペアではもろに登場しそう。
そういえば、私が数多くらったつっこみの一つに「おのれはダーティペアのユリかっ!」というのがあります。髪の長さ以外に共通点はありませんが(きぱ)。



>げげさん
>「おぉ、出ました、サムシング・グレート・スペシャル!!
<
 対戦相手は、スパゲッティモンスターとか?
…なんで小太りで黒タイツで、覆面のデザインまで(^^;
[ 2009/03/07 12:23 ] fYTKg7yE[ 編集 ]

政治的人間   No. 5727

サムシンググレートって、「歴史の発展法則」って別名もあるんだよ。
[ 2009/03/07 13:27 ] I9Phgn7s[ 編集 ]

   No. 5728

天理教の親神様との別名は、ちょちょんまがさんから教えてもらったのですが。
見れば見るほど、とても奥が深いですね(^^;
http://aglocokenkou.blogspot.com/2007/05/dna-httpfushigi.html
http://www.powers-arima.com/
[ 2009/03/07 17:20 ] fYTKg7yE[ 編集 ]

べんきょーになりまひた   No. 5731

碧猫さま。
大変勉強になりました。ありがとうございました。

ところで、「ちょちょんまが」というあたらしいハンドルありがとうございました。
これで、

1.ちょんまげ(NewsOL氏亭にて)
2.ちょうちょうんまげ(愚樵氏亭にて)
3.蝶々うんまげ(MEDAMA氏亭にて)
4.ちょちょまんげ(某2chスレッドにて。ちょっとお下品ね♪)
5.ちょちちょんまげ(某水伝信者亭にて)

に続き6番目となります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

ちょちょんまが拝


[ 2009/03/08 08:33 ] R4ynoTec[ 編集 ]

じゃあ   No. 5732

>スペオペの設定
あいだを取って(謎)キン肉マンの超人ということでひとつ。
[ 2009/03/08 08:37 ] 9fUrC8Yk[ 編集 ]

   No. 5734

>ちょちょんまが様

 喜んでいただけて良かったです^^
今後7番目8番目と新たなハンドルネームを進呈することもあるかと思いますが、よろしくお願いします。



>うちゃさん

 一見、単なる覆面の一超人、実は陰の黒幕ですね。(<-「陰の黒幕」という単語がすぐに出てくるらしい)
[ 2009/03/08 11:02 ] fYTKg7yE[ 編集 ]

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