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性暴力被害を国家賠償請求訴訟で戦っている女性自衛官が任用継続拒否される 

 エントリにしそびれていたものの、そういう話があること自体は知っていた。しかし、こんな酷いことになっていたのは見落としていた。

 はてなブックマーク経由でしった、『5号館のつぶやき』さんの22日付エントリ『セクハラを訴えたらパワハラを受け、あげくにクビにされる』。

 元情報は北海道新聞02/16 20:52付、『自衛隊が事実上の解雇通知 札幌地裁で係争中の女性自衛官に』。2009年2月17日付の毎日新聞北海道版『空自セクハラ訴訟:空自側、女性空士長の継続任用拒否』や、2007/06/11付の北海道テレビ ニュース『航空自衛隊セクハラ訴訟 21歳女性自衛官が証言 (リンクは当時のもの、AML 保存書庫より引用』のように、報道では「セクハラ」と表現されることが多いが、北海道内の航空自衛隊通信基地に所属する女性自衛官が、2006年9月、夜勤中の男性自衛官(=上司、泥酔していたそうだから呼び出しを受け、強制わいせつと強かん未遂の被害に遭った事件なので、実態はそんな軽いニュアンスで語られること自体腹立たしい事件だ(「セクハラ」を問題化する論理を使って事件を可視化し、訴える必要があったのだろうと理解しているのだが)。

X子さんは上司の班長や隊長にAの暴行を訴えましたが、彼らは、事件を調査しAを処罰するどころか、逆にX子さんに対して暴言を吐くなどのいやがらせを行い、さらに退職を強要しました。執拗ないやがらせに一旦は退職を覚悟していたX子さんですが、弁護士や北海道の女性たちの支援を得て、自衛隊を相手どり、国家賠償請求訴訟を起こしました。


アジア女性資料センター 2007-04-19付『北海道の女性自衛官人権裁判』より一部)


 ところが、刑事事件としては、2007年12月27日に、加害者が証拠不十分で不起訴。

事件発生直後、原告が部隊上司に被害を訴え病院への診察を求めたのに、上司を含む複数の男性隊員の同行を条件にしてこれを事実上拒み、それどころか逆に、深夜に無断で犯行現場(ボイラー室)に行ったとし、あるいは飲酒をした疑いがあるとして、原告を懲戒処分の対象として取り調べ、外出制限などの不利益を科し、犯罪被害者としての保護も操作も行わなかった。警務隊が捜査を開始したのは、事件から半年も経った本年2月26日のことであり検察官送致に至っては、原告が5月8日に民事訴訟を提起してからのことであった。
 以上の経緯を見るならば、検察官の証拠不十分を理由とする不起訴決定は事件後速やかに原告の保護と厳正な捜査を行わなかった基地の行為を追認するものといわざるを得ない。(後略)


女性自衛官人権侵害・国家賠償請求訴訟弁護団 2007-12-28付『加害者不起訴処分に対する声明』(PDF)より)

ここで述べられているように、自衛隊組織は、典型的な二次加害もかなりやっていたらしい。二次加害となった退職強要の嫌がらせについては、JANJANNews 2008/02/11付『女性自衛官人権訴訟で明らかになった自衛隊の実態』にも詳しい。

 こういった経緯があった後、2009年2月16日付の北海道新聞報道がでた。事実上の解雇通告、をうけた、と。

 弁護士によると、女性は任期制隊員の空士長。2007年5月、札幌地裁に提訴した後も勤務を続けていたが、今年1月30日、2年の任期が切れる3月22日以降は任用しない、と通知を受けたという。

 弁護士は「自衛隊を相手にした訴訟が理由なら裁判を受ける権利への侵害だ」と批判。「法的手続きも含めて検討する」としている。

 空自は「そうした内示があったのは事実だが、(取材に)お答えできる段階ではない」とコメントした。



 『5号館のつぶやき』さんの22日付エントリ『セクハラを訴えたらパワハラを受け、あげくにクビにされる』では、

 明らかに悪いことをした「犯人」がいて、それを訴えた人間が組織の「和」を乱すものとして排除されるというのは、伝統的な日本的組織には典型的に見られるパターンですが、それは決して許されるべきではないという立て前から、例えば大学などでは毎月のようにセクハラ・アカハラ(パワハラ)を理由とした懲戒免職が報告されるようになってきました。
(中略)
 そんな中で、今回の航空自衛隊=防衛省がとった対応はあまりにも古くさく、そんな組織の状態でこれからの日本の防衛を担うことを任せられるのかと、はなはだ疑問に思われるところです。かの自衛隊を心から愛する多母神さんのご意見も是非ともうかがいたいところです。

と書いておられて、「彼なら、自衛隊という組織を守るためには、どんな理不尽な要求でも上司の意見には従えと言いそう」とお書きだが、既に答えは出ている。

 2008年11月に航空自衛隊第1術科学校の校長だった空将補が部下の女性へのセクハラをした疑いで、同年9月に更迭されていた件がことが明らかになった際に話題になったものだが、隊内誌「鵬友」04年3月号の「航空自衛隊を元気にする10の提言~パート2」にて「身内の恥は隠すべきものという意識を持たないと自衛隊の弱体化が加速する」と訓示なさっていたそうである。その訓示に忠実に従っていたらしい自衛隊の偉いさん達は、セクハラで更迭の情報をマスコミに流すのを控えていた、と(『安禅不必須山水』さん2008年11月14日付『田母神サマ 身内の恥は隠すもの 』経由、毎日新聞11月14日付『自衛隊:セクハラ疑惑の空将補、懲戒処分へ』より)
 田母神氏にまつわる色々が問題視され、是正に努めているような話だったはずだが、「身内の恥は隠すべきもの」という薫陶は、今に至るまで、よく行き届いているものと見える。この件も、空自だし。


 さて、アジア女性資料センターの2009-02-17付記事では、「女性自衛官人権裁判 原告弁護団・支援する会」による声明;「裁判でたたかう現職女性自衛官に対する任用継続拒否に抗議し、直ちに撤回することを求める」が掲載されているので、一部引用。以下の強調は引用者による。

1.北部航空警戒管制団早坂正司令は、部隊における性暴力、退職強要を訴えて国家賠償請求訴訟を闘っている原告に対し、本年1月30日午後4時30分頃、原告の所属する部隊の群司令を通じて、今年3月22日以降の任用継続を拒否する通知書を交付した。実質的な解雇である。
 交付の際、原告が理由を問い質したが、群司令は答えないばかりか、「情報開示請求をしても理由は開示されないからな」と念を押した

2.原告と代理人は、2月2日、任用権者である上記早坂正司令と、航空自衛隊トップである幕僚長に対し、一方的な任用継続拒否に抗議するとともに、任用継続拒否の理由を書面の交付と面談により、速やかに明らかにするよう書面で求めた。前者については2月6日までに、後者については2月13日までに面談の機会を設定する要求した。しかし、回答どころか連絡すら無かった

3.(略)
原告は何ら問題なく職務(群本部総務)を遂行しており、昨年12月に実施された任用継続に向けた健康診断も問題なくクリアしていた。この間、懲戒処分を受けるなどの非行行為もなかった。原告の所属する部隊では、原告の知る限り、継続任用を拒否された例はなく、今年3月に迎える2回目の任用更新に問題はなかった。
(後略)


 ということで、浜田防衛大臣、航空幕僚監部・外薗幕僚長、北部航空警戒管制団司令・早坂空将補宛の、抗議文への賛同者が募集されています。

アジア女性資料センターの2009-02-24付『自衛隊の性暴力裁判:被害者の任用拒否に抗議を

健康診断もクリアし、職務も問題なく遂行し、原告の知る限り、基地で任用拒否になった自衛官はいないとのこと。前日には、通信大学に通う原告の4月からの勤務についての打ち合わせも行われていました。原告は、勤務も生活もすべて基地の中にあった5年間の自衛官としての存在を切り捨てられ、理由も示されず、弁明の機会も与えられないというこのやり方に、ショックを受けています。
 このままでは、原告が自衛隊を相手に訴訟をしていること、また、それに関わる言動を問題にした任用拒絶であるかと疑わざるを得ません。以下の抗議文にFAXまたはメール署名を送ってください。

◆締切日
第1次締め切り:3月2日
第2次締め切り:3月19日)


 メールの場合は、名前と(あれば)所属を書いて、件名を<任用継続拒否抗議に賛同します>として、jinken07[at]hotmail.co.jpへ。FAXはリンク先参照のこと。以下、抗議文。

裁判でたたかう現職女性自衛官に対する任用継続拒否に抗議し、直ちに撤回することを求めます

 2007年5月8日、札幌地方裁判所に性暴力被害と退職強要の不当性を訴えて国家賠償請求訴訟を闘っている現職の女性自衛官が、本年1月30日、所属する部隊の基地司令を通じて、今年3月22日以降の任用継続を拒否する通知書を交付されました。実質的な解雇です。
 原告と代理人は、2月2日、任用権者である北部航空警戒管制団司令 早坂正空将補と、外薗健一朗航空幕僚長に対し、一方的な任用継続拒否に抗議するとともに、任用継続拒否の理由を書面の交付と面談により、速やかに明らかにするよう書面で求めましたが両者とも期日までに回答どころか連絡もありませんでした。
 原告は、本年2月19日まで約1年9カ月、11回の口頭弁論を重ねています。
この間、原告は問題なく職務を遂行しており、昨年12月に実施された任用継続に向けた健康診断も問題なくクリアし、懲戒処分を受けるなどの非行行為もありませんでした。原告の所属する部隊では、原告の知る限り、継続任用を拒否された例はなく、今年3月に迎える2回目の任用更新に問題があるとは思えません。
 上記の経緯から明らかなように、原告に任用を拒否される理由はなく、全く理由を示さず、弁明の機会も与えないやり方は、適正手続を著しく欠くものです。
 もし、原告が自衛隊を相手に訴訟を遂行していること、若しくはそれに関わる言動を問題にした任用拒絶であるならば、憲法32条の裁判を受ける権利に対する重大な侵害です。
 原告に対する任用継続拒否に対して、強く抗議すると共に、直ちに以下のことを行なうよう求めます。

(1)原告代理人が本年2月2日付文書で申し入れた、書面及び面談による任用拒絶理由の開示並びに弁明の機会保障に応ずること。
(2)本年1月30日付の任用継続拒否の通知を撤回すること。





参考;『女性自衛官の人権裁判を支援する会』経由で、『加害者不起訴処分時の声明 (PDF)』より、一部。

私たちは、実際に被害者である原告と出会う中で、原告の属する自衛隊組織が彼女の受けた被害のひどさの事実を受け止めず、被害を訴え出ても被害者としては対応せず、形だけの精強さを唱え、現実にある人権侵害を認めないことを知りました。そして原告が、自衛隊内では「あるはずがない」性被害を訴えるトラブルメーカーとして、職場でもあり、生活の場でもある基地内の同僚や上司から、無視・疎外・排斥を受ける辛さと日々闘っている現実を見てきました。
この事件は自衛隊という組織のあり方、特殊性を抜きには考えられません。「精強さを保つ」と言いながら、その内容は、女性自衛官の地位が建前として男女平等であっても、体力的には男性自衛官に「劣る」とされることであり、たとえば仕事内外を問わず飲食時に「侍らされる」ような「女性としての役割」を担わされ、「性的対象物」とみなされることが少なからず存在します。女性自衛官はその初任研修の最後に、圧倒的に女性が少数である基地の中では、女らしく気配りをすることの重要性を説かれると言います。

もうひとつは、自衛隊の中では、上官の命令には服従という秩序や、自衛隊の言うところの「規律の保持」が絶対的に優先されており、性暴力という人間として大変苦痛な犯罪行為に対しても、大声を上げて逆らったり、強力に抵抗したりすることを大変難しくしているということです。被害にあった女性がそれを訴えた場合には、被害の側が責任を問われ、秩序を破ったとして、被害者が自衛隊組織に存在し続ける正当性をも剥奪することができてしまうということです。
このような組織のままでは、人権侵害への適切な対処を行う仕組みが整わず、あっても形だけであり、セクシュアル・ハラスメントやパワー・ハラスメントが起きても防止できず、組織のあり方自体が温床そのものとなるのは明白です。
今回の事件は、そのような中で起こるべくして起きた事件であり、この事件はこれまで声を上げることができず、隠され、退職に追い込まれた、多数の被害女性たちのセクシュアル・ハラスメント、性暴力事件に連なる本当に勇気ある告訴でした。


 なんとなく引用;『日本の現代史と戦争責任についてのホームページ(林博史研究室)』の『マレー半島における日本軍慰安所について』(93年)の脚注より、

カンボジアでのPKO活動に参加する自衛隊員に対し、エイズ対策のために避妊具を配布することが防衛庁内で検討されていることが報道された(『朝日新聞』1992年8 月14日) 。結局、世論の批判を受けたこともあって取り止めになったが、もし配布されたとすれば、それはカンボジアやタイなどの娼婦に対して使われることになっただろう。
 その後、あるジャーナリスト( 元毎日新聞論説委員) が次のような文を発表した。
「カンボジアで行く自衛隊員は半年交替だそうです。しかし健康で若い男に半年間辛抱しろと命じるのはムゴイことです。かといって手近な女性に手を出せば、カンボジアはタイA 型エイズウィルスのすぐ近くです。冗談ではなしに、私は従軍慰安婦を送るのも一案だと考えています。何もセックスの相手をしなくてもいい。音楽を聞かせ、お茶を出してくれる女性がいるだけで、殺伐たる男社会の空気はなごむものなんです。」( 徳岡孝夫「PKOに従軍慰安婦?」『家庭の友』1992年11月)
 ここで言っているのは本来の意味での従軍慰安婦とは違うが、しかし戦場にいる兵士たちに女性がサービスをするのは当然という発想は、太平洋戦争中とまったく変わっていない。




参考の追加(25日);
「法学館憲法研究所」の『女性自衛官人権訴訟

「かけはし2008.2.4号」の『札幌・女性自衛官人権裁判 東京報告集会』より一部。

上司たちは、原告に対して「お前は被害者だと思っているかもしれないが、お前は加害者だ」「お前は問題を起こしたから外出させない」「Aは男だ。お前は女だ、どっちを残すかといったら男だ」などと恫喝し、退職を強要するまでにエスカレートしていった。
(中略)
 原告は、①犯人Aによる原告への暴行・強かん未遂行為は勤務時間内の行為である②上司たちによる退職強要・嫌がらせが、自衛隊の指揮・服務指導を名目にして行われた③人権や尊厳が著しく踏みにじられた││ことの責任が国にあることを明確にさせ、「自衛隊には、事実を確認して、一刻も早く私の働く環境を整備することを強く要望」(原告のメッセージから)している。

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[ 2009/02/24 21:00 ] ジェンダー関連? | TB(3) | コメント(-)

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