今年、2008年は盧溝橋事変71周年で侵華日軍南京大屠殺71周年、そして
12月13日が日本軍が南京を占領した日 ということで、12日付で、中国網日本語版は『
南京大虐殺の新しい証明 』として「侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館」の朱成山館長がこの1年で「816件の新しい史料を収蔵したと明らかにした」記事を掲載したり、杜雅莉報道は
駐香港日本総領事館前で、日本の香港統治下に市民に強制的に香港ドルと両替させた軍票の弁償を要求し、南京大屠殺に関する教科書記述改竄に抗議するデモ が起こっていると報じている。
でも、それよりも中国紙で昨日以来大きく取り上げられているのは、あらたに「慰安婦」被害者が名乗り出られた件だ。
新華網 2008年12月11日 17:32:11 『
《世紀吶喊──67位幸存慰安婦實錄》在南京發行 (《世紀の叫びーー67人の生き残った慰安婦実録》を南京で発行)』
中國新聞網 2008-12-11 『
15位中國籍慰安婦首次公開身份 (15人の中国籍女性が『慰安婦』であった経歴を公開)』
以上が昨日時点で見つけていた報道。中国網日本語版で翻訳記事が出るのを期待していたのだが、出ないようなので仕方ない。自動翻訳さんたちにお願いして、まとめてメモ。
なお、その他の報道はざっとこの辺で、同内容が複数の新聞から配信されているようだ。内容は上記2報道と、ほぼかぶっているのでリンクのみ。
大公報 2008-12-11『
15位中國籍慰安婦首次公開身份 』
央視網 CCTV.com 2008年12月12日 10:09『
中國"慰安婦"李金魚老人在江蘇南京公開身份(圖) 』
新華網江蘇頻道 2008年12月12日 15:15:42 『
哭訴血與淚的經歷 67位幸存慰安婦的"世界吶喊" 』
そして以下が、新華網と中國新聞網の自動翻訳にかけた記述をまとめ、他報道と原文の漢字を参照してまとめたもの。
盧溝橋事変と中国を侵略した日本軍の南京大虐殺から71周年の今年、中共黨史出版社と侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館は共催で、11日に《世紀吶喊──67位幸存慰安婦實錄》の発行とその記念シンポジウムを記念館で開催した。また、その際に、「慰安婦」生存者であり発行書籍の主人公の一人、山西沁県の李金魚さんが報道陣の前で「慰安婦」であった経歴を明らかにして、中国侵略日本軍の当時の暴行を告発した。 《世紀吶喊──67位幸存慰安婦實錄》は、転業軍人である李暁方氏による作で、氏が3年間かけて自費で、中国の東北、内モンゴル、山西、江蘇、上海、浙江、湖北、海南のなどの中国の半分以上、それに韓国を実際に独りで調査して、何百人にも聞き取りを行って、生き残っていた「慰安婦」を訪問して作成したものだ。最終的に、李暁方氏は70数名の生存被害者の取材に成功し、数十万字の筆記した調査記録と、万枚近くの写真に、大量の録画資料を得た。そして、2008年の初めに、この400数枚の被害者写真と10万余字からなる調査結果をまとめた。 その文章は、個別聞き取りによって作製されており、全ては直接得た資料であり、非常に人を動かす、生き生きした具体的な記述だ。また、当事者の状況を示す収録写真は、非常な迫力と衝撃を受けるものだ。 なお、聞き取りを行った生存「被害者」は70数名であったが、さまざまな理由によって、資料への収録は67人となった。山西沁県、武郷県などの15人の被害者は初めて「慰安婦」であった経歴を明かしており、李金魚さんはその中の一人だ。 実録の主人公の一人である現在79歳の李金魚さんは、1944年、満14歳の旧暦2月1日の朝、従姉妹の李金娥さんと遊んでいた時に、突然ドアを破って押し入ってきた日本兵に拉致され、山西漳源鎮交口村南の山頂にあった望楼を兼ねたトーチカに連行され、2ヶ月間、監禁されて日本軍「慰安婦」とさせられた。その間の虐待のため、李さんは不妊となった。 この発行された資料に収録された67人という「慰安婦」の人数は、現在、中国学会が「慰安婦」であったと確認している人数に比して、多いと考えられている。2005年には、上海師範大学の中国慰安婦問題研究センター主任の蘇智良氏と曾披露氏が、現在存命の「慰安婦」被害者が35名と公表していた。 《世紀吶喊──67位幸存慰安婦實錄》の作者である李暁方氏は、その話を聞き、17年着ていた軍服を脱いで、道義上後に引けない思いで「慰安婦」調査に向かったと語る。李暁方氏は、訪問した「慰安婦」被害者の多くが貧しく、屑拾いなどで生計を立て、民間の固定的でない生活補助程度しか受けられていないと語った。 李暁方氏は、書籍出版後にも北京、武漢などを訪問し、引き続き史料収集を継続するという。
(注; これは、あくまでも、自動翻訳を主に頼った意訳なので、翻訳に間違いがあるかもしれません。もし、このなんちゃって訳を参照なさる方がいらっしゃいましたら、その点にお気を付け下さい。 また、訳の間違いにお気づきになった方がいらっしゃいましたらご指摘いただけましたら幸いです。) 被害を名乗り出られない被害者は多い。なぜ被害を名乗り出られないか、容易に想像が付く人は、それなりにたくさんいるとは思える。しかし、なぜ被害を名乗り出られないか想像もできない様子の、心ない発言も多い。
ちょうど昨日、
「Apes! Not Monkeys! はてな別館 」さんで、
「上田亮」氏によるコメント を見て、激怒していたところだ。多少方向が違うかもしれないが、この際(?)ここでも引用させていただこう。
ちょっと今更なんですが『思想地図vol.1』では東浩紀氏はこんな発言をしています。 >誤解を受けそうな例ですが、僕は最近従軍慰安婦問題については、それがあったのかなかったのか、あまりにも情報が錯綜しているので考えるのをやめる、というか「考えるのをやめる」ところからスタートしないと何も始まらないと考えるようになりました。。一方に慰安婦はいたと怒っている人がいて、他方に慰安婦は存在しないと主張している人がいる。ぼくに、というか、たいていの人にわかるのは、そういう両者がいるという事実だけであり、あとはそこから出発して、日本という国家に最適なのはどのような選択なのか合理的に粛々と考えるしかない。
『慰安婦はいたと怒っている人がいて』? ポモってこういうの? …あ、Apemanさんがエントリ上げてらっしゃるので、そっちにもリンク。
12日付「
『思想地図 Vol.1』における東浩紀の発言について 」
…東氏はアカポスにお付きのようだが、少なくともセクハラやパワハラ(アカハラ)相談は受ける立場にならない方がいいだろうな。被害を訴える人がいて、加害を否定する人がいて、情報が錯綜したら、所属大学にとって利益のあるように計らうって事になりそうだ。それって、被害を無かったことにするって話になりかねん(<-完全にエントリ内容から脱線している)。 参考;
「
Stiffmuscleの日記 」さんの2007-06-26付記事、『
中国で新たに「元慰安婦」が名乗りでる 』
レコードチャイナ2007年5月8日付「
90歳女性、元「慰安婦」であったと公表―江蘇省如皋市 」
レコードチャイナ7月8日16時34分配信「
<訃報>実名公表の元「慰安婦」が死去、91歳―江蘇省 」
当ブログ2008/07/10付、『
江蘇省唯一の実名公表「慰安婦」被害者、死去 』
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盧溝橋事変と中国を侵略した日本軍の南京大虐殺から71周年の今年、中共黨史出版社と侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館は共催で、11日に《世紀吶喊──67位幸存慰安婦實錄》の発行とその記念シンポジウムを記念館で開催した。また、その際に、「慰安婦」生存者であり発行書籍の主人公の一人、山西沁県の李金魚さんが報道陣の前で「慰安婦」であった経歴を明らかにして、中国侵略日本軍の当時の暴行を告発した。 《世紀吶喊──67位幸存慰安婦實錄》は、転業軍人である李暁方氏による作で、氏が3年間かけて自費で、中国の東北、内モンゴル、山西、江蘇、上海、浙江、湖北、海南のなどの中国の半分以上、それに韓国を実際に独りで調査して、何百人にも聞き取りを行って、生き残っていた「慰安婦」を訪問して作成したものだ。最終的に、李暁方氏は70数名の生存被害者の取材に成功し、数十万字の筆記した調査記録と、万枚近くの写真に、大量の録画資料を得た。そして、2008年の初めに、この400数枚の被害者写真と10万余字からなる調査結果をまとめた。 その文章は、個別聞き取りによって作製されており、全ては直接得た資料であり、非常に人を動かす、生き生きした具体的な記述だ。また、当事者の状況を示す収録写真は、非常な迫力と衝撃を受けるものだ。 なお、聞き取りを行った生存「被害者」は70数名であったが、さまざまな理由によって、資料への収録は67人となった。山西沁県、武郷県などの15人の被害者は初めて「慰安婦」であった経歴を明かしており、李金魚さんはその中の一人だ。 実録の主人公の一人である現在79歳の李金魚さんは、1944年、満14歳の旧暦2月1日の朝、従姉妹の李金娥さんと遊んでいた時に、突然ドアを破って押し入ってきた日本兵に拉致され、山西漳源鎮交口村南の山頂にあった望楼を兼ねたトーチカに連行され、2ヶ月間、監禁されて日本軍「慰安婦」とさせられた。その間の虐待のため、李さんは不妊となった。 この発行された資料に収録された67人という「慰安婦」の人数は、現在、中国学会が「慰安婦」であったと確認している人数に比して、多いと考えられている。2005年には、上海師範大学の中国慰安婦問題研究センター主任の蘇智良氏と曾披露氏が、現在存命の「慰安婦」被害者が35名と公表していた。 《世紀吶喊──67位幸存慰安婦實錄》の作者である李暁方氏は、その話を聞き、17年着ていた軍服を脱いで、道義上後に引けない思いで「慰安婦」調査に向かったと語る。李暁方氏は、訪問した「慰安婦」被害者の多くが貧しく、屑拾いなどで生計を立て、民間の固定的でない生活補助程度しか受けられていないと語った。 李暁方氏は、書籍出版後にも北京、武漢などを訪問し、引き続き史料収集を継続するという。
(注; これは、あくまでも、自動翻訳を主に頼った意訳なので、翻訳に間違いがあるかもしれません。もし、このなんちゃって訳を参照なさる方がいらっしゃいましたら、その点にお気を付け下さい。 また、訳の間違いにお気づきになった方がいらっしゃいましたらご指摘いただけましたら幸いです。) 被害を名乗り出られない被害者は多い。なぜ被害を名乗り出られないか、容易に想像が付く人は、それなりにたくさんいるとは思える。しかし、なぜ被害を名乗り出られないか想像もできない様子の、心ない発言も多い。
ちょうど昨日、
「Apes! Not Monkeys! はてな別館 」さんで、
「上田亮」氏によるコメント を見て、激怒していたところだ。多少方向が違うかもしれないが、この際(?)ここでも引用させていただこう。
ちょっと今更なんですが『思想地図vol.1』では東浩紀氏はこんな発言をしています。 >誤解を受けそうな例ですが、僕は最近従軍慰安婦問題については、それがあったのかなかったのか、あまりにも情報が錯綜しているので考えるのをやめる、というか「考えるのをやめる」ところからスタートしないと何も始まらないと考えるようになりました。。一方に慰安婦はいたと怒っている人がいて、他方に慰安婦は存在しないと主張している人がいる。ぼくに、というか、たいていの人にわかるのは、そういう両者がいるという事実だけであり、あとはそこから出発して、日本という国家に最適なのはどのような選択なのか合理的に粛々と考えるしかない。
『慰安婦はいたと怒っている人がいて』? ポモってこういうの? …あ、Apemanさんがエントリ上げてらっしゃるので、そっちにもリンク。
12日付「
『思想地図 Vol.1』における東浩紀の発言について 」
…東氏はアカポスにお付きのようだが、少なくともセクハラやパワハラ(アカハラ)相談は受ける立場にならない方がいいだろうな。被害を訴える人がいて、加害を否定する人がいて、情報が錯綜したら、所属大学にとって利益のあるように計らうって事になりそうだ。それって、被害を無かったことにするって話になりかねん(<-完全にエントリ内容から脱線している)。 参考;
「
Stiffmuscleの日記 」さんの2007-06-26付記事、『
中国で新たに「元慰安婦」が名乗りでる 』
レコードチャイナ2007年5月8日付「
90歳女性、元「慰安婦」であったと公表―江蘇省如皋市 」
レコードチャイナ7月8日16時34分配信「
<訃報>実名公表の元「慰安婦」が死去、91歳―江蘇省 」
当ブログ2008/07/10付、『
江蘇省唯一の実名公表「慰安婦」被害者、死去 』
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No. 5476
被害を訴える女性がいて、加害を否定する米兵がいたら、日本にとっての最適解から加害を否定するってことですね。よくわかりました。
No. 5477
そして、某記者が先頭に立った某新聞や某週刊誌のように情報を錯綜させれば完璧です。
…すでに既視感&周回遅れの指摘はありますけど、今年の1月にもしきりと指摘されていた「足止め効果」の結果ってやつですよね。
http://d.hatena.ne.jp/rna/20080104/p1 No. 5478
たまたま今日借りた本から引用します(長くてすみません)。
”科学研究はクロスワード・パズルに擬すことができる.タテとヨコのヒントを手がかりにマス目を埋めていき,「太線の□に入る文字を並べてできる言葉は何でしょう」という問いに答えるタイプのクロスワード・パズルである.「太線の□に入る文字を並べてできる言葉を見つける」という
限定された問題に対しては,マス目のすべてが埋まっていなくても,すなわちロスワード・パズルが完全には解けていなくても,答えがわかるのである.
水俣病事件においても,まさにこうした事態が起きていた.熊本県は漁民たちに,自主的に漁獲を止めるよう指導し,転業を促すべく真珠の養殖を試みたりもした.これは,すでに水俣病の原因がわかっていたからに他ならない.「工場排水中の有機水銀」が浮上するずっと前に,「現在最も疑われているものは……水俣港湾に於て漁獲された魚介類の摂取による中毒である」15)と指摘され,このことは関係者の共通了解となっていた.この点については,国も県も,工場も異を唱えていなかった.
にもかかわらず,「熊本大学の有機水銀説はまだ完全でない」という指摘をもって,「何もわかっていない」とばかりに,この部分まで押し流してしまったのである. 16)”
「科学技術社会論の技法」(藤垣裕子編,東京大学出版会)収録、
"Ⅰ 事例分析 第1章 水俣病における行政と科学者とメディアの相互作用"(杉山滋郎)”より。強調は引用者。
どこかで見たというか、何というか、伝統的な手法なんだあと。
No. 5479
>書を守るものさん
>>パズルが完全には解けていなくても,答えがわかる
>>まだ完全でない」という指摘をもって,「何もわかっていない」とばかりに,この部分まで押し流してしまった
<<
ご紹介ありがとうございます。
あ"~、伝統ある、そして、実績も(残念ながら)ある手法ですね。適応分野は「責任逃れ」方面ですね。
9つほど前のエントリに頂くコメントとしても違和感がありませんね(^^;
ところで、エントリ内の脱線分;
『
一方に慰安婦はいたと怒っている人がいて、他方に慰安婦は存在しないと主張している人がいる 』のだそうですが、被害当事者が被害を訴えているという前提をすっ飛ばしておいでですよね。
他方、東氏は、
『
右でも左でも、ネットや2ちゃんねるで歴史認識問題についてアツく語っているひとの、どれくらいが強制収容所のあととか南京の資料館とかに足を運んでいるのでしょうか。 』『
ネットだけで「歴史の真実性」について叫んでいるひと 』『
文字情報の相対性や弱さに単純に無自覚なよう 』『
文字情報ばかりで構成された世界観など、文字情報によってすぐひっくりかえるのだから、少しはみな自重したほうがいい 』
(「東浩紀の渦状言論: 歴史認識問題についていくつか」
http://www.hirokiazuma.com/archives/000465.html )
との意見を発しておいでで、さらに、
『
世界にはいろんな立場の人がいます。たとえば、南京虐殺があったという人となかったという人がいる。ぼくは両方とも友達でいます。このふたりを会わせて議論させても、話が噛み合わないで終わるのは目に見えている。なぜならばふたりとも伝聞情報で判断しているからです。歴史学者同士なら生産的な会話は可能でしょう。しかしアマチュア同士では意味がない。そして、当たり前ですけど、政治的判断は一般に伝聞情報によって下される。ある事件について、本当に何が起こったかを自分の力で確かめられる人間は常に少数です。 』
(「『リアルのゆくえ』、209ページ」<-「東擁護論について - Apes! Not Monkeys! はてな別館」
http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20081206/p2 より孫引き)
との意見を発しておいでだったのですが、「慰安婦はいたと怒っている人」「慰安婦は存在しないと主張している人」は伝聞情報ではないリアル知人のことなんでしょうかね。だから、文字情報による伝聞の、被害当事者が被害を訴えているという前提は無し、と。
それなら「たいていの人にわかるのは、そういう両者がいるという事実だけ」っていう、大抵の人にわかる事実はどうやって知ったのでしょう?
実に不可解なご意見です。
なお、前掲の「東浩紀の渦状言論: 歴史認識問題についていくつか」にこんな一節もあったのですが、
「
C'.逆に、もし「南京大虐殺がなかったと考えるなどとんでもない」と鼻から言うのであれば、そのひとはもはやポストモダニズム系リベラルの名に値しない。 」
端から言うのならともかく、鼻から言うのは難しいから「ポストモダニズム系リベラルの名に値」するのって、簡単だなぁって思ってしまいました。なんて、さすがにブクマコメに書くのは控えました(<-こら
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