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射英雄伝を見終わったので、 

お気に入りになったキャラクターでエントリを一本上げてみることに。

 「射英雄伝」
金庸氏原作の同名小説から、2002年に中国中央電視台(CCTV)が原作に忠実に制作して放映した、全42話からなる武侠もののテレビドラマである。

 お話の時代背景は南宋と金が対峙しつつ、モンゴルが統一途上にある13世紀初頭。元々は満州辺りで暮らしていた女真族(清の頃から満州族と名乗っているそうだ)は、過去には遼に服属していたが、完顔部から出た阿骨打が反乱を起こして、建国したのが金国。当初は、金と宋は手を組んで遼を挟撃していたが、金と結んだ盟約に対する背信を繰り返す宋に切れた金が、1127年に宋の首都;開封を落として欽宗を北方に連れ去って北宋を滅ぼした「靖康の変」の後の時代。

(以下、ネタバレ)

 北宋地域を支配下においたはずであっても、急速な領土の拡大から軍事的には弱体化してしまい、文化的にも漢化が進み、新興国に圧迫されている、屋台骨の傾いてしまった国のために東西奔走するのが、ほぼ全編を通じてただならぬ存在感を放っていたキャラクターである完顔洪烈だった。物語は、「靖康の恥を忘れるな」を合い言葉にしょっちゅう金に歯向かってくる南宋方面を平定するため、なんとか南宋の小役人を内応させて宋の防衛図を手に入れようとしたところ、どこかの怪しい道士がその役人を暗殺し、堂々と犯行声明を残していくところから始まる。

 ろくな配下がいないらしく、それらの工作活動の為に自ら宋に潜入していた完顔洪烈は、途中で負傷し、行きがかった農家に転がり込む。そして、その家の主、楊鉄心の身重の妻、包惜弱に介抱され、一目惚れしてしまう。一方、楊鉄心とその友人である郭嘯天は、宋の役人を暗殺した道士と出会って意気投合していた。
 やがて、暗殺犯の道士を追ってきた宋の兵に楊鉄心と郭嘯天は討たれ、包惜弱と郭嘯天の妻は宋兵に拉致される。そこで、完顔洪烈は配下の兵を使って、恩を受けた包惜弱を救い出して介抱し、夫を亡くし宋兵にも追われる彼女を金に連れ帰る。金に迎えられた包惜弱は楊鉄心の息子を産むが、完顔洪烈は包惜弱を趙王に封じられている自身の王妃とし、その子を自分の実子として育てる。


 …時代背景が背景だ。政略結婚の方が普通、側室は当たり前の時代、、、にもかかわらず、どっかの農村から連れてきた庶民の人妻に惚れ込んで正室として、実子でもないその連れ子を跡継ぎにするなど、あり得ないレベルの話である。かなりの権謀術数の人として描かれる完顔洪烈なら、順当に考えれば、宋の皇家に連なる姫君との政略結婚の方が打つ手としては良いだろう。金国内の地盤を固める方を優先するなら、金王家の有力どころか実力のある家臣の一族から妃を迎える方が普通だろう。それなのに、この、包惜弱を王妃にするとは。。。この女性、彼女を慰めるために元の住まいを金国内に再現したりと、完顔洪烈によって非常に厚遇されておきながら、ちっとも心を開かず眉間に皺よせて暗い顔しっぱなしなのである。

 跡継ぎにしたって、何かの事情で実子ができないなら、こちらも金王家の有力どころか実力のある家臣の一族から養子を迎える方が、普通に良くある話だろう。それをしないで、約18年ほど、常に暗い顔をしっぱなしの打ち解けない女性の子供を厚遇するとは、ありえないというか、そこまで愛情を注いでいる、、、にもかかわらず報われないキャラクターとして、完顔洪烈さんは描写されているのだ。


 そうして、包惜弱を連れ帰ってから約18年後、宋兵に討たれたはずの楊鉄心が現れる。元夫を忘れていない王妃と、その元夫。楊鉄心は見つからないようにこっそり逃げりゃいいものを、包惜弱を連れ、金兵に見つかりまくりながら、目立ちまくって金都の脱出をはかる。王妃として迎えていた女性が(元夫ではあるが金の人達には知ったことではないだろうな)どっかの馬の骨と手に手を取って逃げようとし、それが衆目に晒されているとあっては、趙王の立場で金の国益を背負って対外的にも行動せざるをえない完顔洪烈としては、はいそうですか行ってらっしゃいと送りだすことができないのは当然だろう。という以前に、惚れぬいた女性にまずは自分の元に戻って欲しい訳だが。完顔洪烈は、ぎりぎりまでためらいつつも苦渋の決断で追討命令を下し、追い詰められた楊鉄心が先に、そしてそれを追った包惜弱は自害して果てる。

 傷心の完顔洪烈は、その後も包惜弱の忘れ形見である康を愛息として大切にし続けつつ、対外的にはモンゴルに出向いてチンギス・ハーンと外交交渉(ついでに裏工作)も行い、南宋への働きかけを続けたが、途中で康も亡くしてしまい、時代の趨勢にも逆らえなかった。サマルカンドに落ちのびて再起を図っているところを、チンギス・ハーン軍に包囲されて城が陥落し、郭嘯天の息子にして、包惜弱の息子である康の生まれる前からの義兄弟、当時はチンギス・ハーン軍の将であった郭靖に捕らえらる。郭靖によってチンギス・ハーンに差し出され、ハーンに「英雄を殺すに忍びない」と釈放されつつも、「国も失い、家族も失った上は、生きているかいはない」と自害し、完顔洪烈は物語から退場する。


 作中で描かれている完顔洪烈は、軍事的に弱体化している国という枷があるせいと思われるが、口八丁手八丁(はっきりいってヨイショの人)で知恵を絞って屋台骨の傾いた自国のために東西奔走し、結果は報われなかったが心の拠り所としたかった妻とその息子には心を尽くした人であり、チンギス・ハーンからも「英雄」として認められていた人物である。人によってはコイツが全ての元凶とも評されているのではあるが、この人、私はお気に入りなのだ。
…どうも、注目度は低いみたいだけど(^^;


 さて、このお話。チンギス・ハーンが登場している他に、郭靖の義兄弟がチンギス・ハーンの4男;トゥルイ(フビライ・ハーンのお父さん)であったりと、実在の人物がそれなりに登場しているし、金の王族の姓が完顔氏なのも史実である。
 それで、私も完顔洪烈さんがお気に入りだからエントリでも上げてみるかと調べてみるまで気付かなかったのだが、完顔洪烈さん、どうやら架空の人物のようだ。ネット検索のレベルなのだが、「完顔洪烈」を検索しても射英雄伝の登場人物としてしか情報がなく、金史がらみではそんな人物は情報がないから。包惜弱さんの遇し方があり得なーい、と思ったのも道理、実在の人物ならあり得ない話だったというオチのようで(^^;
 しかし、金の王族で、チンギス・ハーンの元に使者の副使として赴き、正使をさしおいてチンギス・ハーンから好偶された福興という人物がいるそうである。この人物、後に将としてモンゴルと闘い、最期は守っていた中都陥落時に服毒自決し、惜しんだチンギス・ハーンによって手厚く埋葬されたという。完顔洪烈のモデルって、福興なんじゃないだろうかと推測したこともあって、このエントリを書きたくなったのだった。



 …ちなみに、書き落としていたが、この射英雄伝というお話は、「靖康の恥を忘れるな」の想いを込めて名付けられた郭と楊の片割れ、郭靖がモンゴルの草原で(鷲の一種らしい)を見事に射落とす場面にタイトルが由来するぐらいで、主人公は郭靖である。このエントリは、主人公の立場と視点は無視して、DVDを見ただけで、お話のごく限定した一側面を非常に偏った方面から書いているのだった(^^;
…射英雄伝そのものとはかなり違った印象になってしまったかもしれない。




調べ物をしたURLを保存(順番には意味はなし);
金 (王朝) - Wikipedia
女真- Wikipedia
福興 - Wikipedia
完顔氏 - Wikipedia
衛紹王 - Wikipedia
金史 - Wikipedia
射雕英雄伝 - Wikipedia
射雕英雄伝 (テレビドラマ 2002年) - Wikipedia
完顔洪烈 - 武侠Wiki
金史 - Wikipedia
中国史人物事典~歴代后妃-遼金元
中国史人物事典~歴代皇帝-遼金元
主映想館」さんの「射雕英雄伝 人物雑感4
MIND FARM」さんの「「射英雄伝」各話あらすじ

なお、DVD発売元のMAXAMによると

作品名に使用している「雕」の文字は便宜上のものであり、正式には[周+鳥]の表記となります。ご了承ください。

という訳で、この作品をしめす漢字表記は二種類あったりするのでした。
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[ 2008/11/23 18:49 ] 小ネタ | TB(0) | CM(6)

実は   No. 5410

トンデモな人たちばっかり出てくる射雕英雄伝の中で、完顔洪烈と言う人は一番の常識人であったりするわけです(笑)
なんかいろいろ報われて無くてかわいそうですが。
[ 2008/11/23 21:45 ] 9fUrC8Yk[ 編集 ]

むー   No. 5412

常識人がお気に入りであったと指摘されると、負けた気になるのは何か間違ってますよね。

それで、あのー。天龍がとまりません。一話ごとの終わり方が碧血剣みたいな反則な引きで、続きが気になって気になって(^^;
[ 2008/11/23 22:49 ] fYTKg7yE[ 編集 ]

あいや、   No. 5413

>そもそもの元凶はこの人でもあるのだが
なんて確かに書きましたが、それって「一番悪い奴は」という意味ではなく、
どちらかというと「物語の発端となったのは」というようなニュアンスで書いたつもりでした(^^;
なので、私もこのオッサンは好きですよ。
基本、非常識な人たちばかり(笑)の登場人物の中では一番「わきまえている」人だと思いますし…
劇中の、いわゆる主人公サイドの人たちからボロクソに悪党呼ばわりされてますけど、
実際やってることがそうかというと、さほどそんなこともないですしね。
ちなみにこの人、先日の香港製・新版射雕では
Qちゃんとタイマンして普通に勝ったりしちゃうらしいです(^^;
それもなんだかなぁという感じですが…
報われないからこそ判官びいき的に惹かれるというところもあるかも知れませんね。
[ 2008/11/24 01:23 ] mQop/nM.[ 編集 ]

いえ、他でも(^^;   No. 5415

 完顔洪烈さんの行動(と全真七子特攻隊長の突撃)がなければ、話が始まっていないのは衆目の一致するところと思えるので、「そもそもの元凶」なのは確かですが、武侠Wikiの中の人には
「人妻である彼女・包惜弱に邪恋を抱いた彼は兵士にその家を襲わせ、身重のその身を手中にした」
なんて書かれてしまっているんです(^^;
 …すくなくとも2002年版を見ている限り、牛家村の襲撃は暗殺犯の道士と結託した叛意みえみえの郭さんと楊さんが標的で、包さんは成り行きでそういう立場になっちゃったからついでに見えたのにー、と。

>劇中の、いわゆる主人公サイドの人たちからボロクソに悪党呼ばわり
<
 名前の呪縛=「靖康の屈辱を忘れない」設定で、主人公サイドにとっては相手の個性や実際の行状は、大した問題じゃないのかも、と思えました。名前の呪縛は、郭靖がチンギス・ハーンの命令に背いたシーンでも感じましたね。

>先日の香港製・新版射雕ではQちゃんとタイマンして普通に勝ったりしちゃうらしいです(^^;
<
 Youtubeに2008年版がちょくちょくアップされている様子でしたが、香港製なのですか…
こちらの『「雪山飛狐」のぺーじ』で
香港主導の作品としては当然のように、途中から原作を大幅に逸脱し、どこまでいくのか、というオリジナル話になっちゃっているようです』と見て爆笑していたのですが、新版は香港製なのですか(爆
http://mindfarm.que.jp/01html/setuzanhiko.htm
[ 2008/11/24 11:58 ] fYTKg7yE[ 編集 ]

あけおめです!   No. 5533

>お話のごく限定した一側面を非常に偏った方面から書いているのだった
そうです!「射英雄伝」は
ある達人が、最愛の妻の忘れ形見である可愛い娘が連れてきた彼氏が
どうしようもない馬鹿野郎なアホキャラだったことに始まる愛と苦悩の物語です!

はたして!達人は彼氏を認めることが出来るのか?
はたまた、彼氏は達人に認めてもらえることは出来るのか?

え?そんな話じゃない?(笑)
読む(見る)人ごとにいろんな楽しみ方が出来るのが
このお話の魅力ですよねぇ?^^

[ 2009/01/01 02:18 ] vN1ib0T.[ 編集 ]

ことよろです^^   No. 5534

>可愛い娘が連れてきた彼氏がどうしようもない馬鹿野郎なアホキャラ
<
「どうしようもない」の前に、「素直なだけが取り柄」の追加をお願いします(爆


達人の「わしがヒトを殺したぐらいをいちいち誤魔化すか」の台詞(注;記憶に頼って書いてます)にしびれていました。黄パパ、格好いい…^^

………ところで、偉い勢いで、、、一日6エントリもあげつつ、天龍に嵌っている方がいらっさるのですが(^^;
注目すべき重要な点に目がむいてなかった様子ですので、注意しておきましたよ(笑
http://uchya.blog109.fc2.com/blog-entry-1063.html#comment1379
[ 2009/01/01 02:42 ] fYTKg7yE[ 編集 ]

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