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練習しないと歌ったりしゃべったりできない 

 今、現在進行形でやっているのが文字情報でのやりとりなのではあるが、我々ニンゲンがリアルでコミュニケーションをとる時、話したり聞いたりで、つまり音声を介して意思疎通をはかっている事が多い。

 それが何故できるかという話を少し前に聞く機会があった。音声を介して意思疎通をはかる能力は、他の個体の出す音声を学習し、自分でも発声して訓練して初めて身につく能力だそうだ。そして、こういった、学習による音声発声……発声学習という行動はヒトのみで見られる行動ではないという。

 といっても、我が家の猫やら犬やら、鳴き声である程度意思疎通がはかれる生き物が全てもっている能力というわけでもない。これらネコやらイヌやら、あるいは知能の高いサルでも生まれつきの発声しか行わず、それらの鳴き声によるコミュニケーションは、ヒトが行っている音声コミュニケーションとは違ったものだという。

小鳥のさえずりとヒトの言葉
 ヒトの言語習得と小鳥のさえずり学習の間には、神経行動学的に高い共通性がある。共に感覚運動学習 (Sensorimotor Learning) を根幹とする発声学習によって成立している。つまり、親を含めた他 個体 (tutor) から音声パターンを聞き、その聞き取った音を、鋳型として脳内に記憶する。次に実際 に声を出して、聴覚を介したフィードバックにより自分の音声を修正していく。これを繰り返すことによって、徐々に記憶した音声パターンへ近づいていくのである

北海道大学 生命科学院サイエンストピックス January 18 2008
小鳥のさえずりと神経科学:言語発声の分子基盤の理解に向けて (リンク先はPDF)』より。


 ヒトが行っている音声コミュニケーションと同じように、意思疎通をはかるための発声を学習して獲得する生き物は、現在の説ではたったの7種類なのだそうだ。

 その7種類とは、ヒゲクジラ類・コウモリ類・ゾウ類・ヒトの哺乳類が4グループと、オウム目・ハチドリ目・ソングバードの鳥類が3グループ(注)

 つまり、ヒトのもつ学習による音声発声の機構を知りたければ、これらの動物の力を借りることになる。もちろん、その中でも、大きさが手頃で飼育が簡単な動物が対象となる。

 そこで、現在、ソングバードと呼ばれる鳥たちの研究が盛んに行われている。ソングバード、つまりスズメ亜目鳴禽類と呼ばれるグループのことだ。かなり多くの種が含まれるようだが、さえずる野鳥は大抵この亜目に分類されているようで、中でも重要視されているのが、キンカチョウだ。

小鳥と哺乳類ヒトの脳、神経回路、そして遺伝子
 鳥類と哺乳類の脳がここ最近の間で、神経回路・遺伝子配列レベルで多くの相同性があることが、近年明らかになってきている。さらに、小鳥の脳内には、ヒト言語野に相当する発声学習・生成に特化した神経回路が存在している。ソングシステム (歌回路) と呼ばれるものである。

上掲の引用と同じ、北海道大学 生命科学院サイエンストピックス January 18 2008
小鳥のさえずりと神経科学:言語発声の分子基盤の理解に向けて (リンク先はPDF)』より。


 ヒトと共通した生物学的特性をもつソングバードは、こんな風に歌を覚えるらしい。

幼鳥がはるかに上手に歌を学習できるのはなぜか
(略)
歌を学習するために、雄キンカチョウの幼鳥は、まず父鳥が歌うのを聞き、ある程度の歌の記憶を脳内に形成します。少し経つと、幼鳥は自身で歌い始めます。練習している間、幼鳥は自身の歌を聞き、脳内にある記憶により良く符合するように、徐々に歌に磨きをかけます。このようにして、幼鳥は最終的に父鳥の歌を上手くコピーをすることができるのです。この学習は、限られた期間内に行われる必要があります。100日齢を過ぎた鳥は、もはや新たな歌を記憶したり、自身の覚えた歌を修正することはできません。

こういったソングバードの歌の学習を研究することを通じて、ヒトの言語学習への応用も期待されているという。

 そして、

雄のキンカチョウは、単独の際も、雌に求愛をする際も、極めて似通った歌を歌います。しかし以前、我々は、いくつかの前脳領域における神経活動のレベルおよびパターンが、これら2つの歌の内容によって大きく異なっていることを発見しました。つまり、この前脳における違いは、歌の「意味」に関連している可能性があるのです。この前脳の活動を修飾する可能性の一つとして、最近我々は、中脳ドーパミン系腹側被蓋野 (VTA) 内のニューロンが、雄が単独で歌っている時よりも、求愛のために歌う時のほうが、はるかに強く活性化されるという事実を発見しました。一般的に、雄鳥が雌鳥を目にした際、このようなニューロンの活動はわずかに変調し、雄鳥が雌鳥に対して歌う際には、さらに強く活動します。

ここの二箇所の引用は、理研BSIニュース No.34 (2006年12月号)
鳥の歌(さえずり)の学習とコミュニケーションにおける脳のメカニズム』より。



 さて、10月1日付で、こんな報道がでていた。
医療介護CBニュース(Yahoo経由)『「求愛」の時、鳥の脳は活性化』より。

 理研脳科学総合研究センターの発声行動機構研究チームは、雌に求愛する時には「恋歌(direct song)」を、雌がいない時には「さえずり(undirect song)」を歌い続けるキンカチョウという鳥に着目した。同チームは、雄のキンカチョウ32羽を数日間、ほかのキンカチョウから隔離し、▽雄1羽だけで undirect songを歌わせる▽雄1羽に雌2羽を見せ、direct songを歌わせる▽雄1羽に雌を見せながらも、歌おうとすると邪魔をして歌わせない-の3つの状況について実験した。
 その結果、雄が雌にdirect songを歌ったグループと、雌を見ながらも歌わなかったグループでは、ドーパミン作動性神経細胞へのシナプス伝達が著しく増加したが、雌が不在でundirect songを歌ったグループでは、シナプスは変化しなかった。

つまり、歌う鳥が「恋歌」を歌っている時に、幸せを感じている事が実験的に証明された、と。

 ただし、

研究チームは、オスのキンカチョウがメスに対して恋歌を歌っている時、報酬にかかわる脳部位(報酬系神経回路)の活動が著しく上昇することを明らかにしました。特に、ドーパミンという神経伝達物質を含んだ細胞(ドーパミン作動性神経細胞)の活動が高まることを観察しました。一方、オスが、自分だけで歌を歌っている、ただ単なるさえずりの時には、この活動上昇は観察できませんでした。このことは、従来から考えられていた、報酬系神経回路の活動はドーパミン作動性神経細胞がかかわっている、という説を実証し、キンカチョウの重要な社会性行動である恋歌が、オスのトリの脳では報酬として認識されていることを明らかにしました。

 一方、アンフェタミンやコカインといった麻薬により、哺乳動物における脳内の報酬系神経回路のドーパミン作動性神経細胞が活発になることが知られています。今回、麻薬によって活性化される神経回路が、自然な社会性行動(恋歌)に伴った脳内報酬によっても、同様に活性化されることが明らかになりした。社会性行動によってもたらされる、脳内報酬に導かれたヒトの行動への理解や、ゲームなどによる習慣性や麻薬の依存性の脳機能および行動への影響を知る上で、このキンカチョウのオスの求愛行動と脳内の報酬系神経回路のさらなる研究がヒントを与えると期待できます。

独立行政法人 理化学研究所 平成20年10月1日付プレスリリース
トリが恋歌を歌っている時、脳は幸せを感じる - 恋を報酬と認識、ただ単なるさえずりは報酬に値しない -』より。


 つまり、その幸せが麻薬による幸福感と同じ様なものなのだそうで、ちと興ざめかもしれないけど(^^;
それに、恋歌を歌うのが報酬だって(^^;;;;;


 興ざめの部分があるかもしれないけど、現在、キンカチョウのトランスクリプトームのデータベース「Songbird Brain Transcriptome Database」が整備されているそうだし、MRI(核磁気共鳴装置画像法)を使って、生きたままの動物の脳内で遺伝子発現をみる技術が2007年に報告されたそうだ。


 一体、この先、どんなことが可能になるのか。

…今後、ものすごく簡単に言語学習ができる方法が開発されたりすると嬉しかったりするのだが。



上記にリンクを貼った以外に参考にしたWWWページ;
『WIRED VISION』2004年11月 2日付『「歌う鳥」の脳、人間の言語能力を解明する手がかりに

『at home こだわりアカデミー』2001年12月号掲載『ジュウシマツの歌で「言語の起源」にせまる



、当初、「クジラ・コウモリ・ゾウ・ヒトの4種の哺乳類と、オーム・ハチドリ・ソングバードの3種の鳥類」との表現をとっていたものの、コメント欄のご指摘で誤解を招きそうな表現であると再検討して修正。
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[ 2008/10/04 00:00 ] 備忘録 | TB(1) | CM(5)

7種類?   No. 5227

 7種類で「えっ」と思ったのですが、7グループということですね。よくk聞くのがウグイス。冬の間は藪の中で、チッ、チッと啼いているのですが、春先になると囀りはじめえるものの、かなり下手なのも聞こえて来ます。そのうち、皆さん、上手に啼くようになっていくようで、下手なのは、聞こえなくなりますね。
[ 2008/10/04 03:40 ] mQop/nM.[ 編集 ]

   No. 5229

>7種類で「えっ」と思ったのですが、7グループということですね。
<
です。大元の文章で7種類と書いてあったのでそのまま使ったのですが、誤解を招きそうなので、ちょっと直しました。ご指摘ありがとうございます。

>ウグイス

シーズン当初は、正しい旋律を覚えてはいるけど、口が上手く回らないって事になりますかねぇ。
…さえずりに方言があるって言うのも、よく言われますね。
[ 2008/10/04 17:02 ] fYTKg7yE[ 編集 ]

   No. 5232

ちょっと、読んでいて混乱してしまったのだけど、雌がいない状態で歌うのは「恋歌」ではない、という理解でよいのでしょうかね?

鳥の「社会行動」と「報酬系」の関係、というのはちょっと面白いですね。コミュニケーションとしての音声という意味では、ヒトの言語獲得との関連性が興味深いけれど、これはまた、そう簡単にくっつけて論じてもいけないんでしょうね。
[ 2008/10/04 17:46 ] FpmNmbUk[ 編集 ]

クジタの舌ちゃうで   No. 5236

 さえずりに方言の話は聞くんですが、実際に「ホーホケデンガナ」「ホーホケダギャア」ってのは聞いたことがないです。学習によってさえずるわけですから、留鳥だと方言が出来て当然なんでしょう。さらには同じ所でも、縄文時代と現代では違うんでしょうね。
 
 それと、雌がいない状態で歌うというか、ウグイスの場合、警戒音の「谷渡り」とかも歌っているように聞こえますが、「恋歌」のさえずりとは区別されますよね。
 カエルさんも、状況によって鳴き声を変わるわけで「恋歌」もあるんですが学習してるわけではなさそうで、卵の時代に親と別れたうちのカエルも、ちゃんと鳴きます。
[ 2008/10/05 05:00 ] mQop/nM.[ 編集 ]

   No. 5240

>north-poleさん
>雌がいない状態で歌うのは「恋歌」ではない、という理解でよいのでしょうかね?
>コミュニケーションとしての音声という意味では、ヒトの言語獲得との関連性が興味深いけれど、これはまた、そう簡単にくっつけて論じてもいけないんでしょうね。
<
エントリ中に引用した文献の引用箇所と重複しますが、
_____________________
ソングバードのさえずりとヒトの言葉の間には、
(i) 他個体との社会的コミュニケーションのために使用していること、
(ii) 自発性学習・行動であること、
(iii) 学習に最適な時期、つまり学習臨界期が存在すること、
(iv) 文法構造といった、複雑な連続的な音素配列を生成すること、といった様々な特徴的な性質を合わせもっている。
 小鳥がさえずる目的は「求愛」と「テリトリー宣言」の2つの意味しかないと考えられている。その一方で、ヒトはその複雑な言語を駆使することで無限ともいえる意味をつくりだしている。この違いを考慮にいれても、これほどまでにヒト言語発声行動に類似した特性をもつ動物行動は、他種の動物では現在発見されていない。
_____________________
_____________________
 鳥類と哺乳類の脳がここ最近の間で、神経回路・遺伝子配列レベルで多くの相同性があることが、近年明らかになってきている。小鳥の脳内には、ヒト言語野に相当する発声学習・生成に特化した神経回路が存在している。
_____________________
違いはあるけど、共通点も多いということで。



>みなみさん
>実際に「ホーホケデンガナ」「ホーホケダギャア」
<
それとは多少違っていましたが、昔よく鳥を見にいってた時は、旋律の違うさえずりを聞いて結構感心した記憶があります。


谷渡りは警戒音だとどっちかというと、テリトリー宣言に近いものになるんでしょうね。あまり幸せは感じないようで。
…領土獲得は幸せなことではないんですね、多分。


>卵の時代に親と別れたうちのカエルも、ちゃんと鳴きます。
<
それは、うちの坊っちゃん嬢ちゃんと同じ路線ですね。
[ 2008/10/05 19:10 ] fYTKg7yE[ 編集 ]

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