各紙で23日頃に一斉に報じられていた、こんな報道があった。
ここではリンクをasahi.com 2008年05月23日15時04分付の
『
アイヌ民族は「独自性有する先住民族」国会決議案 』に貼っておくとする。
自民・民主・公明・共産・新党大地各党の道関係の超党派議員6人(世話人代表は、自民党の今津寛衆院議員)による「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」が23日、今国会での採択を目指す「政府はアイヌの人々を独自性を有する先住民族として認めること」などを求める国会決議の文案をまとめたとか。
決議案の軸が、
《1》先住民族として認める
《2》名誉や尊厳、権利の確立を図る
《3》政府にも先住民族の認定を働きかける
であるという
報道(北海道新聞05/15 06:41付) もあり、上記リンク先の朝日新聞報道ではさらに、
(略) 決議文案は、アイヌの人々について、近代化の過程で労働力として拘束、収奪されたため社会や文化が破壊され、同化政策で伝統的な生活が制限・禁止されたとして、「法的には等しく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされた歴史的事実を厳粛に受け止める」と明記。そのうえで、独自の言語・宗教・文化をもつ北海道の先住民族と認め、「高いレベルで有識者の意見を聞き、これまでのアイヌ政策をさらに推進」するよう政府に求めている。各党は党内調整に入るが、世話人の一人は「自民党内の調整に時間がかかる」と語った。 政府は96年の有識者懇談会報告書でアイヌ民族の先住性・民族性を認めたが、土地補償などの権利主張が頻発する懸念から、先住民族と明確に認めることには後ろ向きだ。(後略)
この日の町村官房長官記者会見の言によると、2007年9月に国連総会で採択された「先住民族の権利に関する国連宣言」に、日本も賛成票を投じていることから、
決議が採択されれば 有識者会議の設置などには前向きに対応する考えを示したとの話だった。
政府は、それなりに前向きのようだ
(サミット前だからかもしれんけど) 。
しかし、北海道新聞の24日付社説にあった記述が、興味深かったので魚拓付きで保存。
『
先住民族決議 次は政府が応える番だ 』
(強調等は引用者による) (略) 超党派の国会議員による「アイヌ民族を先住民族とする国会決議」の案がまとまった。(略)来週にも国会で決議される見通しだ。 アイヌの人々が歴史的に受けてきた差別や苦痛、さまざまな不利益を思い起こしたい。その反省に立って政府は国会の声を真摯(しんし)に受け止めるべきだ。 一九九七年にアイヌ文化振興法が成立した際に、国会は付帯決議で、「アイヌの人々の『先住性』は歴史的事実」と確認した。今回のは一歩踏み込んだ内容となる。 度重なる国会決議が出るのは、政府が、アイヌ民族を先住民族と位置づけることを頑として拒んでいる からだ。 国連は昨年の総会で「先住民族の権利に関する宣言」を採択した。日本政府はここでも、先住民族の集団的権利や財産権を事実上認めないという条件付き で採択に賛成した。 (中略) 国連人権理事会も今月上旬、日本政府にアイヌ民族との対話を勧告 している。 政府は懇談会の設置に前向きのようだ。実効ある組織にしなければならない。内外の声を軽視するのであれば人権感覚が疑われよう。 (後略)
…とっくに日本政府の人権感覚なんて疑われているんじゃないか、と思わないでもない。
疑惑を解消するためには、ここはすっきりと、アイヌ民族の皆様への公式謝罪決議を両院で採択すべきなのではないのか?
当ブログ記事で参考;
『
オーストラリア政府がアボリジニの人達に公式謝罪(追記有) 』
『
各国政府によって出された公式謝罪の数々 』
その他、関連報道;
・北海道新聞 05/23 14:04
『
アイヌ先住民族案を了承 超党派議連 来週内に国会決議の方針 』
・北海道新聞 05/23 06:42
『
先住認め施策確立を 「アイヌ民族」国会決議原案 超党派「議員の会」 』
・毎日新聞 2008年5月23日 北海道朝刊
『
アイヌ民族:先住権確立へ請願 政府、国会決議条件に有識者懇設置へ 』
・北海道新聞 05/16 07:44
『
アイヌ民族の権利確立 超党派議連が協議機関設置要請へ 』
・asahi.com 2008年05月15日21時54分
『
「アイヌ民族は先住民族」 国会決議へ超党派で文案作り 』
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No. 4348
以前は、社会科の教科書などで、「蝦夷征討」(「朝鮮征討」も同じですけど)なんて表現を公然としていたくらいですからねえ。
>疑惑を解消するためには、ここはすっきりと、アイヌ民族の皆様への公式謝罪決議を両院で採択すべきなのではないのか?
このくらいのことは当然しなければなりませんよね。しかし、私が生きている間に採択される日がくるかどうか・…。
No. 4349
>Bill McCrearyさん
id;vanacoralさんのエントリ経由で辿り着いたこちら、拳握っちゃいますわ。
http://www.h2.dion.ne.jp/~ainu/faq/faq9.htm
公式謝罪する相手はたくさんいるはずですけどねぇ。
国連・人種差別撤廃委員会「最終所見」でも、「C.懸念事項および勧告」の17に上げられていますねぇ。
http://blhrri.org/kokusai/un/un_0002.htm
…同じ勧告で、沖縄の住民の方たちに対しての件も勧告されていたり。
No. 4351
ちょっと古い記事お送りしました。
内容は古びてないので。日本の首相でこういう感動的なスピーチできる人いないかな?
No. 4352
>おこじょさん
そちらにTB投げようか迷っていたエントリでした(^^;
どうもありがとうございます。
オーストラリアのアボリジニの皆様への公式謝罪も、賠償にはとりあえず触れずにすましても、まずはお詫びしているのですから、ねぇ。
日本政府だって、まずは謝罪からすればいいのにって思ってしまいました。
株が上がるでしょうに、ねぇ。
No. 4354
はじめまして
最近ちょっとずつこういう話題が出てきていて、少しだけ希望が持てますね。アイヌはもちろんですが、他にもこんな記事がありました。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008050502008975.html
日本に住んでいる少数民族の存在すらあまり知られていないという状況はどうかと思うんですよ。
No. 4355
>厘斗さん
ようこそ。お名前はかねがねよくお見かけしています。
ご紹介ありがとうございます。
「ウィルタ、ニブヒ、エベンキなどの少数民族」、、、私も知りませんでした。
どこかの「日本は単一民族国家」と妄言を吐いた人物みたくならないよう情報を積極的にえておきたいです。
日本が国連・人種差別撤廃委員会から具体的な勧告を受けていることも、たまたまこの件で興味を持って調べるまで知りませんでしたから。
http://azuryblue.blog72.fc2.com/blog-entry-235.html No. 4370
お久しぶりです。最近自分達がアイヌに「土人」という蔑称を使い差別しているのを棚に上げて、フリー・チベットなんて勇ましく叫んでいる輩が多いことに白々しさを感じずにはいられません。碧猫様が自爆史観と呼ばれる論理的一貫性のなさが手に取るようにわかりますね。
No. 4372
>邪神の使者さん
チベットの人達の人権侵害に怒りをもつのは、無関心やその逆よりはいいはずなのですが、別の目的があってチベットの味方として振る舞っているように見える方たちも結構居る様子なのが気になりますね。「慰安婦」公式謝罪要求決議が可決された時には、妙に熱心に原爆や無差別空襲被害を言い立てた人達が目立ったものです。
一応、来月に採択予定までこぎ着けたようです。
それでも、アイヌの人達を虐待した記述は、自民党の参道に回らせるために削ったみたいですけど。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080531k0000m010129000c.html
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/95866.html
http://www.47news.jp/CN/200805/CN2008053101000368.html No. 4374
>碧猫様
こんなサイトがありました
http://web.mac.com/ysbee/iWeb/FTB/Home.html
一応チベット独立支持を標榜していますが、中国共産党はナチスと通じていた等のひたすら中国(政府だけでなく中国人自体)に対する憎悪を煽る記事ばかりで、当然中国を蔑称で呼んでいます。要するにチベット支持にかこつけて普段からの中国叩きに拍車をかけているだけなのです。そしてそのサイトに賛同するブログが国家神道や戦前の軍国主義に賛同しているものばかりである点も見逃せません。今回取り上げられている先住民であるアイヌの方々を公文書で「旧土人」という蔑称で呼び、日本への同化を強いていた時代を肯定しているからです。
なお今回私が取り上げたサイトはこちらのブログで紹介されていたものです。
http://d.hatena.ne.jp/Stiffmuscle/20080401/p1 No. 4380
>邪神の使者さん
Stiffmuscleさんとこでしたか。コメントおいてらっしゃいましたものね。
The FACTs系の論者や、人気ブログランキング政治部門上位の無かった派がことごとくチベット支援を声高に叫んでいるようですね。でも、ホント、チベットだけでいいんですかねぇ。
まぁ、シャロン・ストーンさんの失言もいただけませんけどね。
No. 4381
http://blog.with2.net/rank1510-0.html
から移動できる、せと弘幸氏のブログの、2008年03月17日付エントリ「<活動報告>シナ・中共大使館抗議行動!」に素晴らしいことが書いてあったので、思わず。
「世界中の自由と民主主義を国是とする国々において、シナのチベット侵略・民族弾圧を糾弾して大使館に抗議しているというのに、日本だけがこれを傍観するわけにはいきません。」
…「世界中の自由と民主主義を国是とする国々」が抗議している別件においても、日本は誠実に対処すべきって事にきっと同意していただけることでしょう。
と、コソッと思いました。
No. 4383
>碧猫様
新聞報道によりますと、チベット弾圧への抗議デモは大阪の御堂筋であったようですし、在日チベット人やそれを支持する方々が中国大使館前でデモを行なったりもしています。
(参考:
http://www.asahi.com/special/080315/TKY200803220159.html )
ただ彼らは抗議する相手を汚い言葉で罵ったり、暴力行為に走ることなく整然と行進していた点で、長野の聖火リレーの際の自称チベットサポーターによる暴言や妨害活動とは一線を画していています。
(参考:
http://www.geocities.jp/t_s_n_j/ )
デモに参加されたチベットの方が「暴力に訴えても中国政府に弾圧を強化させる口実を与えるだけで逆効果」という趣旨の発言をされていたとの記事もあったようです。そうした選択肢に乏しい中で、故郷の方々に迷惑をかけまいとの思いで行進をされている在日チベット人やそれを支援する日本人の心情を慮ることなく、チベット侵略・民族弾圧に対し日本はヌルいと断言するのは欺瞞でしかありません。私がせと弘幸氏や彼の賛同者(盲信者?)によるこうした言動を全く評価できない理由はここにあるのです。彼らは自分達の暴言暴動が中国政府によるチベット弾圧を助長する一因になっていることを知ろうともしないのです。
No. 4384
>邪神の使者さん
改めて探すほどの時間をちょっととれないので、不確かな情報で恐縮なのですが、はてなあたりで見かけた話では、中国大使館前の抗議デモでもすごいのがあったみたいでした。
URLを示せませんので、あやふやな情報ですみません。
とりあえず、中国側とダライラマ氏の対話は再開したような報道はあったみたいでしたね。
No. 4387
いえいえ、大使館前の件は政治ランキング上位のブログがわめきちらしているのを嫌というほど目にしましたので、何も碧猫様が恐縮されることはありません。彼らの情報もたまーには役に立つのかもしれませんね(笑)。
それにしても彼らの暴言まみれの文章を見ていると少し疲れました。それに明日からまた忙しくなりそうなので、今日はもう寝ることにいたします。それではまたいつの日か、ごきげんよう。
No. 4400
>碧猫さん
わたしも何でかこういうことが気になるというだけで、何かにコミットできているわけではないので、本当はおこがましいのです。
こうした情報をちょっと広めるのに貢献できれば、という程度で、ネットで書き込みをしているだけなので。
肝心なところが削除されたとは言え、決議案は採択される見込みで、まずはなによりです。何かと遅すぎるのですけども、それでも少しずつでも日本の人権状況の改善や戦後補償が進んでほしいと思います。
No. 4403
>厘斗さん
私もおこがましくはあるのですが、せめて、情報を共有できる機会を増やすことで何らかの後押しができればと願っています。
…この件にしても、「慰安婦」問題にしても、沖縄「集団自決」(ホントは集団強制死)問題にしても、他のいろいろにしても。
でも、いろいろな情報を積極的に得ようとするにつれ、日本の国を構成している側の問題点もまた見えてくるものだ、と思う機会が増えてしまいました。
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