【産経抄】3月2日付より。
湯川秀樹博士が「中間子論」の論文を書いたのは昭和10(1935)年、28歳のときだった。原子核の中性子と陽子の間に何か粒子があるに違いないと「予言」したものだった。中間子の存在は12年後に英国のセシル・パウエルの実験で確認される。
▼その功績で湯川氏は昭和24年にノーベル物理学賞を受賞する。このとき、他人には「びっくりしました」と驚いてみせながら、スミ夫人との間では「遅かったな」と話していたというエピソードがある。自らの「予言」に絶対的自信を持っていたということだろう。
▼この中間子論を彷彿(ほうふつ)させる宇宙の「予言」が発表された。太陽系の8つの惑星の外に、もうひとつ別の惑星があるはずだという神戸大の向井正教授らの研究だ。(中略)さっそく新惑星探しが始まっている。5年から10年で発見されるとの見方もあるようだ。
▼そうなればむろん、歴史に残る大予言となる。(中略)
▼ただ「予言」や「理論」は立証されて初めて価値を持つものだ。歴史の世界などでは、沖縄の集団自決をめぐる「軍の強制」のように、何ら実証されない「理論」がしばしば独り歩きする。そこは自然科学の厳しさに学ぶべきだ。
…何故、最終段落前まで「
予言」としか書かないのか、この表現をあえて使う事にどういう意図をこめていると読解すればいいのか、首をかしげてしまったが。。。まさか、科学に呪術的な信仰でも持っているわけではあるまいに。
また、『スミ夫人との間では「遅かったな」と話していた』というが、まず、この文章では「何が」「何に対して」「遅かった」かが明確に述べられていない。『「中間子論」の論文を書いたのは昭和10年』で、中間子の存在が実験確認されたのが12年後、そして『その功績で湯川氏は昭和24年にノーベル物理学賞を受賞』で14年後では、最初の論文発表から実験確認とノーベル賞受賞は、すなおに「遅い」ように見えるのだが。どうして『自らの「
予言」に絶対的自信を持っていた』という話になるのだろう?
まぁ、それはともかく
(「産経抄筆者は日本人ではないらしい」とか「産経、漢字も読めず常識もなく」ときくし)。とにもかくにも、産経さんときたら、
歴史学者と、沖縄戦の被害者によほど喧嘩を売りたいらしい。そこで、自ブログに沖縄からのアクセスが多い事、歴史学の研究者のうち少なくともお二方のご訪問を頂いている事を確認している、親切な私はお持ち帰りして展示することにしたのであった。セカンドレイパーを雇い、その人物によるものを初めとするセカンドレイプ言説を積極的に誌面やネット上に公開する産経新聞さまに関する理解を、ご訪問の皆様とともに深めることができれば望外の幸せである。
そして。
pr3さんから、「
産経抄ファンクラブスレ@2ちゃんねる」のレポートなんか教えてもらえると嬉しいな、と。
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No. 3642
Trackback&ご指名ありがとうございます(笑)。今日の「産経抄」に対するファンクラブの反応はこんな感じですね。
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/mass/1204290355/148-
やはり、自然科学への常識が欠如しているあたりがウケていますね。科学者の仕事は「予想」または「仮説を立てること」であり、後世から見て比喩的に「予言」と呼ばれるだけだということを、産経抄筆者はどうやら理解できていないようです。だからこういう人たちは「アインシュタインの予言」なんかにも引っかかるんでしょうな。
昨年11月の「産経抄」が、せっかくA.C.クラークの「十分に発達した科学技術は魔法と区別できない」という箴言を引用しながら(誤訳もしていますが)、その意味をまったく理解できていないことを自ら晒した例を思い出しました。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/105167/
(クラークは「正統派の科学も無知な者には魔法に見える」と言っているので、似非科学との比較なんかしていません)
碧猫さんご指摘のとおり、発達の度合いと関係なく(あるいは自身の科学知識に応じて)、産経抄筆者は「科学」を「魔法」と同義語と思っているようです。歴史学の科学的側面も「魔法的側面」(わけがわからないもの、主観でどうにでもなるもの)と思っているのでしょうね。
No. 3643
まったく近ごろ(ここ50年ほど)の若者は運動不足のヒッキーですね。
自分の目・耳・手足を使って自然に触れていないから、科学が魔法に見える。
まあ、産経症の筆者となれば「数学が苦手で文系に行った」クチでしょうから、科学に権威的な夢見ちゃうのも無理ないですけどー。
No. 3644
>そうなればむろん、歴史に残る大予言となる。
なつかしのノストラダムスの大予言を思い出しますな~。
この文面では科学者にも喧嘩売ってるとしか思えないです。
>そこは自然科学の厳しさに学ぶべきだ。
お前が言うな。^^;
No. 3645
>何ら実証されない「理論」がしばしば独り歩きする。そこは自然科学の厳しさに学ぶべきだ。
ID理論…。
No. 3646
>pr3さん
コメントとトラックバックありがとうございます。
思わず、そちらを確認してからエントリを立ててしまいました(爆
ファンクラブの皆さんの鋭いツッコミが素晴らしいです。とりわけ、151, 160, 167の方に「はてなスター」を置いてきたかった。
>産経抄筆者は「科学」を「魔法」と同義語と思っているようです。
<
いくら何でもまさかね、と思っていた私が甘かったのですね。
あ、そーか。
「科学」を「魔法」と同義語と思っているから、科学の一つである医療に過剰な期待をしてるというか、限界があることが理解できないから、それがかなわないとなると真っ先に率先して叩くわけですね(参考;
http://eboli.exblog.jp/6585089/)。
>人生アウトさん
ドリーマーですよねぇ、まったく。
でも、文系だから論理的でないなんて事はきっぱり無いのですけど、産経さんってば、どうしてこうなんでしょうねぇ。
>みんさん
>ノストラダムスの大予言を思い出しますな~。
<
あ~あったあった。
どこかのサイトに一覧されているのを見た覚えがあるのですけど、「人類滅亡予言」って、これまでに大量にでてるんですよねぇ。全部はずれているけど。
>>そこは自然科学の厳しさに学ぶべきだ。
>お前が言うな。^^;
<
産経抄ファンクラブスレッドより
151 :文責・名無しさん:2008/03/02(日) 07:06:54 ID:EyM4nxfu0
▼ただ「予言」や「理論」は立証されて初めて価値を持つものだ。政治の世界などでは、イラクの大量破壊兵器や火葬された遺骨のDNA鑑定のように、何ら実証されない「理論」がしばしば独り歩きする。
そこで自然科学の厳しさに学ぶ態度は産経新聞には皆無だ。
<
…笑
>MKMさん
>ID理論…。
<
準備するものは「鏡」でしょうか?(^^;
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[watch][sankei]産経、ネオコンを批判する。
米一極支配の構築目指す 92年のネオコン文書公表 - イザ! http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/126661/ 産経ウォッチャーとして、ちょっと気になった記事。共同通信の配信記事ですが、見出しも含めて、かなりネオコンを非難しているような印象を受けます。「ネ
[2008/03/02 17:49]
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黙然日記
キイキイと楽観の落差
時間があいてしまいましたが、2月26日に行われたニューヨーク・フィルの平壌公演に関する報道です。
韓国では北朝鮮に対するキイキイな報道がほとんどない分、日本よりも北朝鮮情報が少ないんですわ。(国歌保安法関連の制限のせいとかもありますが)北朝鮮の情報が日
[2008/03/03 16:32]
URL
薫のハムニダ日記