ここ1年で5人もの友人がガンになった。皆50代末、60代。(略)
原発廃止~いのちがだいじの運動に熱心に取り組んでいる最中に。私がこの過程で人間の免疫力の向上がどんなに大切か(肝要か)を学んだ。そしてガン発生の仕組み=構造についても少し勉強した。
そうした経緯で、白川太郎医師との知り合ったのだそうだ…‥が。
日本は高齢化社会になっています。俗説の「高齢者はがんになりにくい」はまちがいであり、ガンの発生が高まる」が真実であることも知りました。
…え? ガン細胞はDNAの損傷等をきっかけに高齢者であろうと壮年であろうと発生する。若年性での発症が少ないのは、
発生したガン細胞は、免疫機能の働きがよければ、免疫細胞に処理されてしまうからだ。だから、『「高齢者はがんになりにくい」はまちがい』は、高齢者のみがガンを発生させるわけではない、なら正解といえば正解だが、かなり微妙な表現な気が…と思ったら、続くセンテンスはそれどころではなかった。
しかしながら、がんには死にいたるほど増殖するまでに長い潜伏期間があります。
…潜伏期間っていう?
今までのCT、MRI、X線では肉眼で発見でしか発見できず、たいてい死と再発につながってしまいます。
「たいてい死と再発に」って、言い切ってしまってますぜ。現代医学、なめてるのか?
遺伝子解析では、まだガンが微細な細胞レベルにある、潜伏期間と呼ばれていた5年~20年の段階で早期発見、治療が行えるのです。
前述したように、「微細な細胞レベル」なら
免疫機能の働きがよければ、免疫細胞に処理されてしまうから、疾患としての「癌」になるまでにはいたらない。遺伝子解析で、癌原遺伝子として
既に知られている遺伝子の異常を見つけ出すことは可能だが、それだけの話だ。よほどシビアな癌原遺伝子ならあらかじめ対処という選択肢も有り得るが、そこまでの作用をもつ癌原遺伝子なら、遺伝子解析する前に、家系観察で当たりは付くだろう。また、癌の発症にいたるのは、さまざまなきっかけのDNAの損傷などが蓄積した結果だ(この辺、Wikiの「
悪性腫瘍」「
発癌性」に、多少の予備知識はあっても素人である私にはあら探し出来なかったレベルには、きちんとした情報がある)。遺伝子解析(?)で発見できる異常から対象を絞った治療がどれほど出来るのやら、疑問の余地がありすぎる。
そして、長崎生まれで、『原爆症患者のこと、原発周辺で放射能(死の灰)によるガン患者発生率が高いことなどに注目と関心』をもってきた、白川医師が語る「ガンになりにくい体質、ガンになったら遺伝子療法」だそうだ。
放射線に被曝すると生命の情報源、遺伝子は必ず、殺傷されるか、がん化します。
…必ず? 遺伝子が? って、「必ず」というからには、放射線の当たった細胞にある、全ての遺伝子が?遺伝情報が? わからない表現だ。
原爆と原発の廃止の重要性(どちらも放射線=放射能を出す)がここにあります。
思わず、水爆はいいのか?と思ってしまったが、それはともかく、原発廃止は飛躍のような。その理屈だと、RI実験もあかんのではなかろうか。
なぜ遺伝子治療が画期的延命、完治効果があるかというと、がん細胞とは細胞の分裂、増殖をコントロールしている遺伝子が起こす突然の機能障害に生じる、遺伝子情報の誤作動の病気だからです。
たしかに、がん治療においても、遺伝子治療は注目され、研究されているのは聞き及んでいる。だが、白川医師のこの講演で、白川医師を「遺伝子解析・がんの遺伝子治療の第一人者」「がん治療において、独自の治療法を開発。治療率の高さ82%超、安全性の高さでその有効性を証明しています」と、紹介している。
…不思議なことに、トンデモ医療においてよく見るキーワードがそろい踏みだ。「独自の治療法を開発」「治療率の高さ」「安全性の高さ」って。
白川太郎医師、って何者?
検索してみる。京大の医学研究科所属の業績がぞろぞろ出てくる。こんな山師みたいなキーワードが揃っていて、京大? まぁ、
サムシンググレートみたいな人もいるから、油断は出来ない。「遺伝子治療」をキーワードに加えても、業績はあるようだ。
だが、そうして見て回っていると、奇妙なことに気づいた。
白川医師が関わる「遺伝子治療」の業績はアレルギー疾患に目立つようなのだ。また、例えば、
こちらのアレルギー疾患と「プロバイオティクス」に関しての記事に略歴が記されているが、卒後、胸部疾患・呼吸器科・環境医学・健康増進行動学を渡り歩いておられるようだ。
…悪性腫瘍とは、少し縁遠いような気がするのだが。
そして、この白川医師。検索して出てくる業績の大部分で、京大・医学研究科の肩書きが光っているのだが。
京都大大学院の医学研究科教授(50)が、大学が定めた承認手続きを経ないまま大阪府内の医療用機械卸会社など2社から研究開発費や借金名目で計4500万円を受け取ったことが、関係者の話でわかった。
京都大大学院の医学研究科教授(50)が大学で定めた手続きを経ずに民間企業2社から資金提供を受けたとされる問題で、教授は27日、京都市内で記者会見を開き、「大学側が(懲戒)処分を決めた場合、停止を求める仮執行などの法的手段を取らざるを得ない」と述べた。
正規の手続きなしに研究費を民間会社から受領したなどとして、京都大から今年3月に懲戒解雇処分を受けた医学研究科の白川太郎元教授(50)が29日、大学の審査や処分基準が不明確で「処分は解雇権の乱用にあたる」として、京都大を相手に解雇無効などを求める仮処分を京都地裁に申し立てた。
…今回注目した記事にあった白川医師の肩書きから判断するに、解雇無効申し立ては通っていないようだ。
京都大学の2006年3月28日付公布によると、解雇の理由としてあげられていたのが4項目あった。
1,A社に対して、京都大学教授の肩書き及び顔写真が付され科学的根拠の少ないコメントを広告に使用することを許可し、これが平成16年8月30日(月曜日)の新聞朝刊の折り込み広告として配布されたことについて、同年11月11日(木曜日)に医学研究科長から文書による厳重注意を受けたにもかかわらず、その使用を停止させるための有効な措置をとらず、平成17年6月及び同年10月にいたっても同様の内容が同社のパンフレットに記載されて顧客に配布された。
2,B社のホームページに平成17年3月頃、兼業許可を受けることなく、同社顧問として、京都大学教授の肩書き、顔写真、履歴及び業績を掲載させた。
3,兼業先のC社から、平成16年7月8日(木曜日)に無利子で1,000万円の供与を受けた。
4,D社からの回答によれば、同社から平成15年9月に研究開発費用として2,500万円、同16年1月に実験費用として1,000万円をそれぞれ受領したにもかかわらず、大学で定める正規の研究費受入の手続きを行わなかった。
5,医学研究科は、平成17年6月10日(金曜日)に研究科長、同月23日(木曜日)に医学教授会が事情聴取を行い、金銭に関わる3、4の事項は重大であるので、その後も繰り返し事実を解明するため説明を求めたが、上記事情聴取において自ら述べた3、の4金銭の受領につきその確認が拒否される等、十分な回答がなされなかった。
このため、医学研究科長は、最終的に、4の事項に限定して、平成17年11月22日(火曜日)及び同月30日(水曜日)に業務命令により回答書及び関係書類の提出を求めたが、これにも応じなかった。(後略)
…お金にルーズが研究能力に直結するとは言い難いが、だが、1が特に、2もトンデモがらみでは微妙だ。
また、最初に注目した講演会の、別のアナウンスにはこうあった。
ガンになったら遺伝子治療法(画期的) 先駆者の白川太郎氏語る
お 話:白川太郎氏(ユニバーサル医院院長)
海渡雄一氏(弁護士・東京共同法律事務所)
(略)
ガン治療について最先端遺伝子治療と自己免疫を向上させる東洋医学的アプローチで、独自の治癒率の高さ、安全性を追求する白川太郎院長のお話、その法律面での海渡雄一氏の話を聞く会です。ぜひご参加下さい。(後略)
…「ガンになったら遺伝子治療法(画期的)」「東洋医学的アプローチ」…‥‥・・・(^^;
同じ案内が、『
真に重要な情報の提供や、私たちの生活実感や研究・実践活動に基づく自由な現状批判や問題提起、相互討論のための共同の場』とやらの「
ちきゅう座ー交流の広場」にも(^^;
さらには「
第9回 意識と波動オープンセミナー」でもオハナシになるらしい。ちなみに、20人いるスピーカーの中には、
低体温の安保徹氏に、江本勝氏も、いた(このリスト、よく見ると面白そうだ)。
なお、この白川医師、「メディカル・コア/(株)日本医学中央会」主催の「
実地医家のための癌の遺伝子診断と遺伝子治療の最前線(PDF)」なる講演でも演者をするようだ。かなり商売繁盛しているように見える。
国立がんセンターのガン情報サービス内の「
がんの発生原因」で、「
部位別がんのリスク要因・予防要因」や「
食生活とがん」があげられているように、これさえ食べておけば大丈夫、や、これさえ食べなければ大丈夫、の食べ物もないし、この治療をやっておけばガンは治るという治療法も見つかってはいない。見つかっているなら、健康医学研究に従事していた医師が民間でほそぼそと(?)やっているだけのはずはない。
ガンにおいても遺伝子治療が試みられつつあるが、はっきりと
ガンの原因になると特定されている遺伝子が対象、あるいは、
ガンの発生した臓器に特異的に作用するように標的を慎重に定める必要がある。ガンの原因となる遺伝子は、ガンを発生させる専門の遺伝子ではなく、細胞の増殖に関わる遺伝子なので、むやみに遺伝子治療すればいいというものではないのだ。
白川医師とは直接関連があるとは見つけられなかったが、「
ガン遺伝子治療研究会」なるものもあった。「数ある免疫療法の中でも身体に優しく、副作用が非常に少ないがん遺伝子治療、RT181治療(ガンワクチン)」を使うのだそうな。「
正常なガン抑制遺伝子をウイルス等のベクターを使って導入し、異常なガン遺伝子の部位を正常なものに置き換えてがん細胞を自滅にさせてガン細胞を正常な細胞に戻すという治療」で「治療はRT181(ガンワクチン)を生理食塩水を加えたものをガン病巣やその周辺に直接皮下注射または点滴で身体に投与」するのだそうだ。全身投与?とか、組換えウイルスをそんな気軽に使っていいのか?とか疑問符が付く。おなじページで、こんな記述もあった。
投与後に38度前後の発熱がありますが、30分から1時間位で元の体温に戻ります。発熱があるということはガン細胞に対して闘っている証です。製剤の性質上、それ以外の副作用がおきた方はいままでありません。
いわゆる「好転反応」ですか。これまた、よくあるパターンだ。
「
セカンドオピニオン」のコンテンツも興味深い。
そんな方法でガンが本当に治るかという疑問も当然出てきますが、がんは末期でも治る病気です。とくにガンの治療方法は医師にとって意見がわかれる事もあります。手助けをしてくれる医師と治療法を自分で選んでください。主治医はあなたです。
決して手術、抗がん剤治療、放射線治療を否定するものではありません。しかし術後抗がん剤治療、放射線治療などをしなくても治癒する可能性もあるのですが、今の医療システムでは念の為の検査、治療が多いという事も事実です。
実際のガン治療の医療現場で活躍している外科医、内科医や免疫治療に携わっている医師そしてガン専門病院をはじめ多くの医療機関、医師の協力のもと最新の情報を提供したいと思っております。今話題になっているRT181ガンワクチンをはじめ、最新のがん治療の現状を患者さんの目線に立って、情報発信させていきたいと思っております。
セカンドオピニオンってなんだろうと思ってしまった。
もっともらしく患者の不安につけ込んだ商売が繁盛しているようではあり、白川医師がそれとは無縁と判断できる材料がなく、そういったのは市民活動の世界にがっちり食い込んでいるらしい。
…いくら
「日本が癌大国」(笑)だからってねぇ。
追記で参考;
はてなブックマークで御教授いただきました。
2006年03月31日付;『
幻影随想: トンデモ健康商法に加担して首になった京大教授』