すでに
東京地裁で8月3日、さいたま地裁で8月10日、大阪地裁で9月8日の日程で、裁判員制度の公判日程が組まれているとのことだが、これらに続く全国4件目の裁判員裁判が青森地裁で性暴力事件を扱うことに、8日、決まったという。
(略)
起訴状によると、被告は19歳だった2006年7月、十和田市のアパートに侵入、20代女性に包丁を突きつけ、現金約1万4千円などを奪い、暴行したとしている。
被告はこの事件以外に、今年1月に十和田市で別の女性を暴行し現金約5万円を奪ったとする強盗強姦罪や、別の住居侵入・窃盗罪など計3事件でも起訴されており、併合して裁判員裁判で審理される。(後略)
(略)地裁は8日、裁判員の選定作業に入った。候補者はくじ引きで抽出され、審理に臨む裁判員は初公判前日の1日に決まる。(略)日程は、8日の公判前整理手続き第3回協議で正式決定した。
候補者の抽出には事件を担当する裁判官、検察官、弁護人が立ち会った。地裁職員がパソコンを操作し、裁判員候補者名簿記載の1770人から100人を選んだ。
地裁は16日にも「裁判員等選任手続き期日のお知らせ」(呼び出し状)を発送する。1日の選任手続きでは裁判員6人のほか、病気による欠員が出た場合の補充裁判員3人を選ぶ。
初公判は2日午前10時開廷。証拠調べや被告人質問を経て3日に結審し、4日午後3時半から判決が言い渡される予定。(後略)
さて、こうなるともちろん、被害者のプライバシーの取り扱い等がどうなるかに関心は向かう。
(略)公判前整理手続きでは、選任手続きで被害者の名前を匿名にするなどプライバシーに配慮することも決めた。
これに関連し、女性被害者を支援する青森市のNPO法人「ウィメンズネット青森」は9日、青森地裁に性犯罪被害者のプライバシーを守るよう要望書を提出する予定。裁判員らを対象に性犯罪被害者への偏見や先入観をなくすための勉強会を事前に設けることも要望する。
9日昼過ぎからは、この「ウィメンズネット青森」の要望書に関する報道がいくつか出てきたようだ。
(略) 要望書は、被害女性が生活する地域の住民を自動的に裁判員候補者から外し、女性が事件を思い出すことにつながる写真を極力使用しないことなどを訴えている。(略)同法人の鹿内文子理事長は「性犯罪を裁判員裁判の対象とすること自体に反対だが、決まった以上は最大限の配慮を」としている。
最高裁は、同種の事件では被害者が裁判員候補者名簿を確認し、知人を除外するなどの方法も検討している。
(略) 青森地裁によると、この事件の裁判員選任手続きでは、冒頭は候補者に被害者の年齢などを開示するにとどめ、心当たりのある候補者には裁判長がさらに個別で面談。思い付いた名前を言ってもらうなどして「個人情報を極力出さない方法を取る」としている。
運用面が大いに不安な裁判員制度だが、青森地裁は報道されている様子では配慮して取り組んでくれている様子と見ていいだろう。この上に、さらに「ウィメンズネット青森」の要望にも斟酌してくれればいいのだが。「勉強会」は、是非ともあった方がいい。
なにはともあれ、この件、かなり報道がたくさんでている
(比較するのが無茶かもしれないが、「慰安婦」問題の報道なんてほとんど無いし)。これはかなりいい傾向だろう。ちなみに、読売と産経と共同が「ウィメンズネット青森」の要望書を報じ、朝日と毎日では現時点では見当たらない。これって、結構珍しい現象かもしれない。
私は、「ウィメンズネット青森」理事長と同じく「性犯罪を裁判員裁判の対象とすること自体に反対」だ。性犯罪に加え、DVが絡む犯罪は、裁判員制度で取り扱うことは無理だと考えている。
なのに、青森ではこうなってしまったので、経緯は注意しておかねば、ということでこのエントリにてメモ。
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