本日付の【産経抄】では、熊本県天草市の市立小学校で教諭が子供の胸元をつかんで叱った行為が体罰かどうかを争う裁判で、最高裁が「体罰にあたらない」と判断を示したとのトピックを紹介していた。このトピックを紹介する前振りとして、産経抄の執筆者氏は「教鞭をとる」という表現が体罰を連想するとして、「教壇さえない教室が増えている」にもかかわらず「教壇に立つ」との言い換えを指示されると述べる。
執筆者氏は、この言い換えの指示には首をかしげるとしながら、この指示がでるのがどういった部門からか、それが30日付の産経抄では言及されていた。
ここにさりげなく、驚愕の事実が述べられていたのだ。
小紙に限らず新聞社には、校閲部と呼ばれる部署がある 。記事の間違いを見つけ、不適当な表現を直してくれる。小欄も、大恥をかくところを何度も助けられた。
強調は引用者による。
…そうか、産経には校閲部があったのか。っていうか、校閲部が機能していたのか。それでも、ああなのか。あんまり驚いたので、思わず魚拓まで撮っちゃいましたよ。
驚いた理由の一つ↓
MSN産経 2009.4.26 00:15「
【豚インフル】広がる衝撃、でも冷静に 過熱 で食用可能 タミフルなど効果 」
以下、pollyannaさんによる鋭い
ブックマークコメント 「えっ」, 「えっ」 「過熱」するまで処理しないといけないのか。産経自身が冷静になる必要があるんじゃ。
いや、つい、「過熱」分も魚拓を撮ってしまっていたのでエントリに(^^; 参考;『
黙然日記 』さんの2008-12-08付『
産経校閲部長の日本語知識、産経「主張」の悪循環、他。 』
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放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会が、NHKの女性法廷に関する番組改編への政治圧力に関する意見をそろそろ公表するらしいとの報道が出ていたのは知っていたが、それが28日に出た。いち早く報道したのがMSN産経と共同(47ニュース経由)。
共同の2009/04/28 16:29付「
NHK改編問題、自主自律に疑念 BPOが指摘 」では、「公共放送の自主・自律を危うくし、視聴者に疑念を抱かせた」「強い違和感がある」「(改編は)幹部が、番組の質よりも安全を優先することを選んだ」との見解があったとし、『国会対策部門と放送・制作部門の明確な任務分担などを求めた』とまとめている。
MSN産経 2009.4.28 16:57では、
(略) 「番組制作の幹部が放送前に政治家らと面談し、前後して改編された一連の行為は、NHKの自主自律を危うくし、重大な疑念を抱かせる」とする意見を発表した。 ただ、川端委員長は会見で「自主自律をゆがめる改編を外部の圧力で行ったと認定したわけではない」とした。(中略) 同番組の放送前日、NHK放送総局長らが安倍晋三内閣官房副長官(当時)を訪ね、その前後に修正が繰り返された。こうした経緯について委員会は「何人もの政治家からこの番組のことを話題にされ、有力政治家から公平、公正にと念を押される中で、番組の質より安全を優先することを選んだ」と指摘した。
…ほんとーに、こんな風にまとめられる意見が公表されたのか?
と、思わず疑うようになった今日この頃。この二つの報道を確認した時点で、意見書本体を探しに行った。
便利な時代になったもので、すぐに行き着いた。
放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会 はこちらで、「
NHK教育テレビ『ETV2001シリーズ戦争をどう裁くか』第2回「問われる戦時性暴力」に関する意見を通知・公表 」はこちら。意見書はここのリンク先にPDFでアップされていた。
意見書を一読して、なんか報告書とか意見書とかというより、妙に読みやすい、柔らかい目の文章という印象を受けた。まぁ、これは内容に関係ないけど、29ページばかりあるが、読みやすくて面白い。目次の見出しを引用してみると、
I はじめに ーー放送の自主・自律のために 1.放送と政治との距離の重要性 2.審議の狙いと方法 3.本意見書の構成 4.NHKの回答書にある「疑義と公平性」 II 第2回「問われる戦時性暴力」の放送とその波紋 1.BRC委員会決定と最高裁判決 2.制作当事者の証言とNHK公式見解 III 法律と倫理 ーー委員会はなぜ、いま、この番組を審議するか 1.放送倫理の観点 2.政治と放送の観点
だいたい、この辺りまでが前置き。何故今頃か、こんな前の出来事に対して意見書が?との、当然出てくるであろう疑問に対しては、これが
今現在にも充分起こりえる問題 (後述)であることが一つ。そして、裁判関係にケリが付くまではNHKが対応せず(できず、と表現すべきか)、BPOも検証ができなかったと表明している。
意見書は、その後、番組の概要を紹介し、そこから読み取れる企画趣旨を示す。
IV 番組の概要 ーー企画趣旨は何か、何を描こうとしたか 1.各回の番組概要 第1回「人道に対する罪」 第2回「問われる戦時性暴力」 第3回「いまも続く戦時性暴力」 第4回「和解は可能か」 2.シリーズ全体の企画趣旨
この辺、普通に興味深い。たとえば、
第3回「いまも続く戦時性暴力」01年1月31日放送 00年12月、第2回で扱った女性法廷につづいて、国際公聴会「現代の紛争下の女性に対する犯罪」が開催され、世界各地の女性たちがみずからが被った拷問と強姦の体験を語った。これらの残虐行為を人道に対する罪としてとらえる動きは、90年代のドイツにおいて、第2次大戦中の強制収容所内で行われたユダヤ人女性へのレイプが暴かれたことに始まる。 中部アフリカのブルンジから参加した女性は、政府軍と反政府軍の双方の兵士にレイプされ、その上、エイズに感染させられ、生きる気力を失った心境を語った。ソマリアの女性は国連平和維持軍兵士にレイプされた体験を証言する予定だったが、公聴会の朝にかかってきた国際電話によって沈黙を強いられた。政府軍兵士によって繰り返し拷問とレイプの被害を受けたグアテマラの女性は、絶望から立ち直っていくために、敬意を持って被害者の体験を受け止めてくれる家族と他者がいてくれることの大切さを語った。 紛争や戦争のなかで、なぜこのような犯罪が繰り返されるのか。それは不断に形成された男女の社会的関係の反映であり、女性への加害は、敵の男の所有物に対する攻撃や破壊と見なされているからだろう。国連平和維持軍の兵士までが同様の行為をする現実は、軍事主義そのものの暴力性を示している。 被害女性たちがそのつらい体験を語ってきたことが国際的な市民運動となり、人道に対する罪を裁く国際刑事裁判所の設立につながった。真相を究明し、加害者と責任者を明確に処罰することが、こうした犯罪を抑止する力になっていく。だが、日本など主要国はこの裁判所設立に関する条約を批准していない(注) 。平和な文化を創っていく転換点に、いま世界は立っている。 (注)放送時点。その後、日本政府は国連条約局に加入を申し入れ、2007年に加盟した。米国、中国、ロシア、イスラエル、イスラム諸国の多数などは現在も未批准、未加盟状態がつづいている。
某所で見かけたように、ネタだろうが釣りだろうが
「どうしてレイプする権利はないのでしょうか」 などと、考えつくこと自体呆れ果てるコメントが出るのも、同じ根っこにつながるメンタリティなのかなぁ、と思ったり。
概要を踏まえ、企画趣旨がこうまとめられる。
それはつまり、「人道に対する罪」という視点から、20世紀に起きた戦争や武力紛争を見直し、それらを終わったこととせず、被害者が長い年月、内に秘めてきた苦しみを語り、加害者の責任をきちんと問い糾すこと、そのことを通じて和解への道筋を探り、争いのない未来を創出するということであった。言い換えればそれは、被害・加害双方の当事者の証言がかつてなく重い意味を持つ時代が到来した、ということである。 こういう企画設定が可能になった背景には、番組の随所で指摘されていたように、近年の戦争そのものと戦争観の変化がある。戦争を旧態依然の国対国、正義対悪の争いなどとして考えているかぎり、一般市民や住民を巻き込んで、かつてないほど大規模に、かつ虐殺や拷問やレイプをともなって凄惨に行われる現代の戦争の現実は、たんに「戦争だから仕方なかった」「命令だからやむを得なかった」ものとして見過ごされてしまう。 (中略) これら残虐行為を人道に対する罪として裁き、しかし、その上で、憎しみの連鎖を断つために、和解がなければならない。真の和解のためには、被害者と加害者が個人レベルで語るだけでなく、その語りを共有し、相互に承認し、合意し合う社会的な和解プロセスが必要になる。 そうした困難だが、壮大な実験も始まっている。(中略) 委員会では、企画趣旨といい、各回のテーマ設定や内容といい、「なかなか意欲的」で、「すばらしい番組になっている」という意見が大勢を占めた。(中略) ただし、あとでもう少し詳しく見るが、2回目を除いて、である。
委員会の目に、全体の企画趣旨から浮いていると見えた「第2回「問われる戦時性暴力」」の改編の過程がこうまとめられる。
V 改編の過程 ーー誰が、どのように指示したのか [第1の波]……制作会社からNHKへ [第2の波]……教養番組部長の指示 [第3の波]……国会担当局長の関与 [第4の波]……番組制作局長と放送総局長の指示
[第1の波]のあたりで右翼団体の動きが外で激しくなっており、[第2の波]のあたりでは、放送中止を求める右翼団体がNHK局舎内に乱入する騒ぎも起きていたという。
そして、[第3の波]
放送前日の午後、国会担当局長が放送総局長を伴って、与党有力政治家でもある内閣官房副長官を訪ね、面談する。席上、放送総局長が、多角的な視点に立った番組である旨を説明すると、内閣官房副長官 は、従軍慰安婦問題のむずかしさや歴史認識問題と外交について持論を語った 上で、「こうした問題を公共放送であるNHKが扱うのであれば、公平公正な番組になるべきだ」との意見を述べた。 この面談から2人がもどると、関係者全員が集まって、最初のNHK編集版の試写が行われた。終了後、チーフプロデューサーとデスクの退席を求め、幹部管理職のみの話し合い が行われた。
この箇所、強調は引用者。そして、[第4の波]では放送の当日の数時間前に「元日本兵が女性法廷で証言しているシーンと、元従軍慰安婦の中国人女性が証言中に泣き出し、失神するシーン等の3ヵ所」を『放送総局長と番組制作局長は(略)「削除しておいた方が安全なのではないか」などと考え直』したという。BPO委員会はこう評する。
改編を主導したのは幹部管理職層であった。放送総局長、番組制作局長、教養番組部長、国会担当局長が入れ替わり立ち替わり、チーフプロデューサーやデスクを作業係のように扱い、改編を指示している。 (中略) 説明文書の終盤、もっとも大胆な改編が行われた「第4の波」に、番組制作局長の言葉として、「安全」という言葉が登場する。(略) ここにはシリーズ全体の趣旨や2回目の番組テーマを考え、熟慮し、何より番組の完成度と説得性を目指そうとした形跡がない。
その後、目次表題はこう続く。
VI 散漫な番組 ーー制作者は誰か、改編の基準は何だったのか 1.安定的視点の不在 2.安全という意識 3.企画趣旨からの逸脱 VII 政治と放送 ーー放送・制作部門と国会対策部門の曖昧な分離 1.NHKの特異性と自主・自律の要請 2.改編を主導した幹部管理職による政治家との面談 3.NHKの自主・自律を危うくし、疑念を抱かせる行為 4.放送・制作部門と国会対策部門の分離の必要 VIII おわりに ーー「閉じた態度」から踏み出すために 1.放送倫理と業務命令のあいだ 2.内部的自由の議論を 3.視聴者へのていねいな説明を
さて、問題の箇所。この辺が産経が『川端委員長は会見で「自主自律をゆがめる改編を外部の圧力で行ったと認定したわけではない」とした』と何かの努力をし、共同が『国会対策部門と放送・制作部門の明確な任務分担などを求めた』とまとめた箇所。
実際に読むと面白い。
説明文書にはさりげなく書かれているが、読み飛ばせない箇所が何ヵ所かある。そのなかに、国会担当局長に伴われた放送総局長や番組制作局長が、それぞれ別々に政府高官である与党の有力政治家らに面会し、当該番組について説明した旨の記述がある。 (中略) 政治家は政治的主張をすることが職業であり、その資質や品位が問われるとすれば、語るべき時と場所と相手をわきまえるかどうかだが、すべての政治家がそのような判断力を持ち合わせているとはかぎらない 。政治と放送との適正な距離に気を配るべきは 、視聴者からの信頼に応える責務を負った放送人の側にこそある 。 国会担当局長やその部門の職員らが予算説明のために単独で政治家に面会するのはともかく、その際にその政治家が強い関心を抱いているテーマの番組を制作中の放送・制作部門の責任者を同伴していくとはどういうことなのか。 政治と放送との距離に細心の注意を払い、NHKの自主・自律を率先して体現すべき立場の放送総局長や番組制作局長が、当該番組の改編・放送と相前後して、何の躊躇を見せた様子もなく、相次いで政治家に面会に出かけている様子、そのたびにこの番組について言及し、政治家の持説や意見を聞いていること自体に、委員会は強い違和感を抱く。 しかも、放送総局長と国会担当局長はその後、局にもどってただちに試写に臨み、改編箇所を具体的に指示しているのである。先に見た「第3の波」の改編が始まったのはここからであった。
意訳すると、政治家に品位とか資質を期待しても仕方ない、わきまえのないのがいても仕方ないんだから、メディアの方で気をつけるしかないのに、お前ら何をやっていたんだ、と。
また、意見書は終盤ではこうも書いていた。
これら放送に携わるすべての放送人にとって、良心とは何か。プライドや矜恃とは何であり、けっして譲れない、また譲ってはならない一線とは何だろうか。 これこそ、放送倫理の核心にある問題である。
この報告書が放送倫理委員会から出たから、こういった表現になるだろうが、放送倫理を報道倫理とでも置き換えていただきたいものである。
この意見書、1ページに、こう前置きをしている。
そこで、本意見書をより正確に、より深く理解していただくために、最初に、委員会が当該番組に関してもっとも強く指摘したいことを記しておくことにする。 それは以下のように、きわめて単純なことである。 ーー公共放送NHKにとって、自主・自律はもっとも重要な理念であり、受信料を支払ってNHKの放送事業を支えている視聴者からの期待と信頼の源泉でもある。 ーーそのことを考えれば、NHKの予算等について日常的に政治家と接している部門の職員が、とりわけそれら政治家が関心を抱いているテーマの番組の制作に関与すべきではない。 ーーまた、番組制作に当たっている職員が、あまつさえその部門の責任者が、取材や出演依頼のためでもないのに政治家に会いにいき、放送前の番組についてあれこれしゃべったり、政治家の意見を聞いたりすることは、あってはならないことである。 ーーこれらは、みずから政治的介入を招いたり、その隙を作るようなものであり、自主・自律の理念を揺るがし、視聴者からの疑念を招き、信頼を裏切る行為である。 いまNHKで、あるいは民放も含め、放送界で働いている人たちは、こんなことは言わずもがな、と思うかもしれない。たしかに当たり前で、単純なことであり、公共放送NHKに限らず、自主・自律を旨とする放送人にとって、これは自明の原則である。 ところが、当該番組の制作・改編の過程には、この当然の原則が必ずしも自明ではなかった事実が存在する。委員会は、このことを重く見る。
産経報道では、ニュアンスを一生懸命薄めようとしていたようにも見えたのだが、この意見書、相当辛口の批判では無かろうか。とはいえ、このシリーズ、2回目がアレなことになっていたとしても、全体に素晴らしい企画だったようだ。俄然興味がわいて、是非とも見てみたいと思ったのであった。
意見書を確認した後、他でもこの件を報道していたことに気付いた。後発分(多分)は、批判のニュアンスの強い意見書であるとの報道であるようだ。
asahi.com 4月28日「
NHK番組改変問題「自主・自律危うくする」BPO意見 」の一部、
委員長を務める川端和治弁護士は記者会見で「NHKは現在も制作部門が事前に政府高官に説明する可能性を排除していない。やめて欲しいと申し上げることにした」と語った。 委員会の意見は放送界に影響力を持つが、法的拘束力はない。
時事ドットコム 2009/04/28-19:55「
自主自律の理念を揺るがす行為=NHKの政治家接触、番組改編問題で-BPO 」
…独自で目を惹く内容なし。
日テレニュース「
NHK改変問題「重大な疑念を抱かせる」<4/28 22:41> 」
NHKは「放送した番組は政治的圧力で改変されたり、国会議員の意図を忖度(そんたく)したという事実はありません」とのコメントを発表している。
フジニュースネットワーク(04/29 01:07)「
NHK従軍慰安婦問題番組改編問題 BPO「放送倫理上の問題があった」とする意見公表 」
これに対し、NHKは「政治的圧力で改変されたり、国会議員の意図を忖度(そんたく)したという事実はありません」とコメントしている。
毎日新聞 2009年4月28日 20時07分「
BPO:番組内容の政治家説明 NHKの姿勢は問題と認定 」
8年前に放送された番組について決定を出すのは異例。川端委員長はその理由を「NHKは放送・制作部門の責任者が政治家に放送前の番組の説明をする可能性を今も排除していない」と説明した。 NHK広報局は「『番組は完成度を欠き散漫』などと評価されたのは残念。放送倫理上の観点から番組の質を論ずることに強い違和感を覚える」とコメントしている。
毎日新聞 2009年4月28日 21時35分「
BPO:NHKの「自主・自律の危うさ」を明確に指摘 」
慰安婦に関する番組は、NHKでは同番組を最後に8年以上制作されず、職員は「事実上、タブーになってしまった」と明かす。 検証委員会は、NHK側に検証と番組などを通じた視聴者への説明を求めた。委員会は、放送倫理が問われた関西テレビによる番組捏造(ねつぞう)問題の反省から、NHKと民放各局の総意で生まれた機関だ。その意見にNHKは率直に耳を傾けるべきだ。
その後、ちょっと驚くほど続々とこの件に関する報道が出ているけど、略。
これだけ話題になっていれば少しは歯止めになるだろうか?
放送倫理検証委員会が指摘するとおり、これは8年前の問題ではなく、いつでも再現しうる問題なのだ。23日の自民党町村派の総会で、今月5日放送のNHKスペシャル「シリーズ・JAPANデビュー 第1回『アジアの“一等国”』」が話題になったそうだ。
(略) 稲田朋美衆院議員は「台湾は李登輝元総統など親日家が多いのに番組は反日の部分だけを偏向して報じた」と批判。町村信孝前官房長官も「番組をみたが率直に言って首をかしげた」と同調した。安倍晋三元首相は「週刊新潮も取り上げたが、番組はひどすぎる。関心を持ってこのシリーズを見てほしい」と呼びかけた。 中山成彬(なりあき)元文部科学相も記者団に、自らが会長を務める議連「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」としてNHKへ公開質問状を出す意向を示した。
および、
『
Apes! Not Monkeys! はてな別館 』2009-04-21付『
NHK「シリーズJAPANデビュー」に自民議連が質問状? 』
今でこそ、どういう訳かというべきか、自然派食品のお店に対し、ニセ科学批判関連路線で多少の疑問点をもってしまっているのだが、元々はけっこうそっち系の食べ物は取る方だ。そして、かなり前、自然派食品のお店で国内産小麦粉を買って使い、その味が普段買っていた小麦粉より格段に美味しいことに感心したことがある。最近になって、某ネットショップでも小麦粉を買おうとした時のこと、国内産小麦粉のコーナーがあり、しかもその品揃えが豊富だったので、色々買ってしまった。なぜか、国内産の小麦のお値段が、外国産と変わらないか安い目だったので買いやすかったのだが、この辺りはあまり無邪気に喜べない理由があるらしい。でも、まぁ、買っちゃった。
岩手県地方の「ゆきちから」「テリヤ特号」、熊本県産の「南のめぐみ」、北海道産の「はるゆたか」「キタノカオリ」「春よ恋」あたりが買い込んだ小麦粉。どうせなら、どこのがどう味が違うかと試してみたいところなのだが、同時に作れないのはもちろんのこと、ゆきちからで食パンを作って、南のめぐみでナンを作ったりするので、さっぱり違いが解らなかったりする。どれも美味しい。
こんな事では小麦粉の味比較にならない、と、再検討の必要を感じたところで、ふと、ベーグルを作ったら美味しかった。ベーグルの配合は、小麦粉と塩と糖分と水だけ(レシピによっては油分も入る場合もあるようだが)で、とても簡単。バターやらスキンミルクを配合するナンやら食パンよりは、小麦粉そのものの味比較には好適ではなかろうか。
よし、これだ。
では、まず、ベーグル作成方法の標準化に取り組まねば。
標準化するレシピは、シンプルであるべきだろうと考え、購入した本以外でのレシピも調査してみる。クックパッドにわんさかあるレシピのうち、材料がシンプルな手捏ねのプレーンベーグルで、コツにこだわったレシピで参考にしたのがこんな所。
「
◎ソフトタイプベーグル◎ 」
「
モッチリ♪ベーグル屋さんのベーグル♪ 」
「
手捏ねでプレーンベーグル【基本】 」
「
白神こだま酵母でプレーンベーグル! 」
「
つやつやプレーンベーグル 」
「
【コツ満載】つやつやのぴかぴかベーグル 」
それぞれのレシピを参照して、配合を仮決定。
強力小麦粉 250g 蜂蜜 大匙1 塩 小匙2分の一 ドライイースト 小匙4分の一 水 140ccぐらい
以前、タンドリーチキンのエントリで自慢したとおり、私は、大匙と小匙と「小匙2分の1」と「小匙4分の1」計量スプーンをもっているので、覚えやすい配合にしてみた。
ドライイーストは、あらかじめ小匙1の微温湯で溶いておく。水の表現が大雑把なのは、どーせ、小麦粉によっては生地の堅さが変わってくるから。パン作りの本を見てると、材料を正確に計るのが基本とか書いてあったので、そう一生懸命していたのに、小麦粉によっては同じ水の量で生地の堅さが変わってくるのに気付いた時は愕然としたもんだった。レシピの量は目安で、堅さで調整。ベーグル生地はかなり堅い目という話なので、打ち粉なしで整形できるぐらいにしている。かろうじてまとまるぐらいと書いてあるレシピもあったが、私はそれよりひと息柔らかい目ぐらい(今のところ)。捏ねるのは五分ぐらいで、適当。
上記の分量は、イースト控え目レシピなので、ゆっくり発酵させる。元レシピでは、そのまま室温で二時間ほど放置とかいろいろ書いてあったが、とりあえず、生地ができたら即座に整形して、オーブンシートとラップで包んで2日ほど冷蔵庫で放置してみた。んで、室温に戻したのだが。
うーん、オーブンシートが剥がれない。まぁ、茹でるときに取れるだろう。 ケトリング(焼く前の茹で作業、モラセスを小匙1ぐらい入れている)して、焼いてみた。
こんがりきつね色。 …味は美味しい
(まるで、中学校家庭科の実習で作ったような表現だ) 。とても美味しいんだが、形が問題だ。オーブンシートの形がそのまま(^^;
しかも、オーブンシートがくっついたままケトリングした部分には艶が出ない。これでは、ちと、いけません。この発酵方法は却下。
次には、整形せずに一晩冷蔵庫放置して、整形して、室温(20度ほどだったか)で2時間ほど放置の後、ケトリングして焼いてみた。これは、室温放置の時にかぶせた濡れ布巾がくっついて、ちょっと見映えが悪くなったので、写真は略。味は美味しい。
さらに次、整形せずに1時間ほど室温放置、輪っかの真ん中を3センチぐらい、輪っかの太さは2センチぐらいに整形して、室温放置4時間ぐらい(輪っかの真ん中が1センチぐらいになるまで)、ケトリングして焼いてみた。
ちゃんと艶も出て、ベーグルらしく焼き上がった。味も大変美味。
ただ、個人的に問題なのは、上記の分量で5個しかできないこと。焼き上がって、即座に一個味見をするから(笑)、4つしか残らない。1週間分の朝ご飯に足りないのだが、オーブン皿には5個が限界だし、どうしたものか。配合をシンプルにしただけに、あまり増やしたくないこともあって、この点がちょっと悩みの種ではある。
さらに今後の問題としては、この先「室温」が今と変わってくるだけに大雑把な発酵条件では、それだけで味が変わってしまいそうである。一応は、輪っかの太さと真ん中の穴の縮まり具合を目安にする予定ではあるので、これで何度か作ってみて検討する予定。
さーて、今度は白神こだま酵母を取り寄せて作って見よっかなー。<-って、イースト変えたら小麦粉の味比べになりません。
4月20日から24日までの会期で、ジュネーブの国連本部で「人種主義に反対する世界会議」の再検討会議が開催されると報道されていた。なんでも、2001年に南アフリカ・ダーバンにおける協議で奴隷制度非難や差別撤廃への取り組みをまとめた宣言が採択されており、その行動計画の成果を検証し、今後の課題を話し合い、成果文書をまとめるのが目的だそうだ。
しかし、これには、アメリカ、カナダ、イスラエル、イタリア、オーストラリア、ニュージーランド、ドイツなどの9ヶ国等が不参加(フランスもオブザーバー参加)で、20日未明(日本時間で)の報道でも、会議の成功が危ぶまれているなどと書かれていた。前回会議が、「アラブ諸国によるイスラエル非難合戦の場となった」上に、「アフリカ諸国が奴隷制度に対する賠償を強く求めた」そうで、アメリカとイスラエルが途中退席した展開だったもんだから、今回会議も元々波乱含みだったようだ。
米国務省のウッド報道官代理は18日、会議最終日の24日に採択する予定の人種差別撤廃に向けた政策を盛り込む文書案に「米国が異議を唱えた前回会議の精神がいまだに残されている」と述べ、欠席を表明した。文書案がイスラエルを暗に批判する記述を残している点などを指すとみられる。
…そりゃ、ガザ虐殺の記憶も新しい今、批判が出ないはずはない。
そして、イランのアハマディネジャド大統領が、やらかしたという。
ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)否定発言などで反イスラエルの立場を鮮明にしている同大統領は、パレスチナ問題を引き合いに「最も残虐で人種差別を行う体制」だとイスラエルを批判。欧州連合(EU)代表らが続々と退席する会場には、一時、抗議の活動家が乱入するなど騒然とした。その一方、発言を歓迎する国の代表団からは拍手が起きた。 会議の焦点の一つとなる人種と宗教の分野で、イスラエルの体制を「人種差別」と唱えるイスラム諸国の主張が反映される可能性が強まり、イスラエルは開幕前から猛反発。各国にボイコットを呼びかけ、二十日にはイラン大統領を会議に招待したホスト国のスイスに抗議して駐スイス大使を近日中に召還する方針を決定した。
実は、こういう路線のニュースって、中国電が容赦ない表現を使う傾向があるようだ。
同大統領は、現在のイスラエル・パレスチナ問題に言及し、「ユダヤ人は第二次世界大戦後、大きな苦痛を受けたことを理由に、軍事侵攻したパレスチナ人の郷里に、世界中のユダヤ人を移住させ、徹底した人種差別政策を行っている」などと述べ、イスラエル政府を「最も残虐な人種差別政権」と非難した。 また、話の矛先を米国や欧州の同盟国にも向け、「イスラエルは60年以上もの間、人種差別主義に反対しているはずの米国をはじめ、多くの国からの支持を受け、ガザ地区の占領と爆撃も容認されている」と語り、「犯罪を幇助した共犯」として欧米の姿勢を「断罪」した。 同大統領の発言には米国や英、仏国など、EU23カ国の代表約40人が反発、一時退席するなど、会場は騒然とした。
ホロコースト否定発言はいかんが、ガザ虐殺の経緯を見てきた身としては、よく言った気分は湧いてきてしまう。
でも、ホスト国は大変である。
国連会議に先立ち、ハンス・ルドルフ・メルツ連邦大統領はジュネーブのホテルでアフマディネジャド大統領を迎えて両国のエネルギーおよび経済に関する協力について話し合った。 イスラエルはこの会談に対して非常に厳しい反応を見せ、 「民主国家の大統領が、イスラエルを明らかに世界地図から抹消しようとしているアフマディネジャドのような悪名高きホロコースト否定論者と会談するなどということは、スイスの規則と相容れないものだ」 と批判した。また、「協議のため」イスラエル大使を本国へ召還したほか、テルアビブのスイス代理公使を召喚した。 一方のメルツ連邦大統領は 「気持ちはわかるが、この批判は不当なものだ。現在は対話が必要とされており、スイスはその中で1つの役割を果たしている。中東全域は紛争の大きな危険性をはらんでおり、その前線が硬化し出すようなことがあってはならない。さまざまな文化や国家が歩み寄るよう努力をすべきで、スイスはそのような対話に貢献したい」 と会見の正当性を主張する。
いや、もう、大変そうである。
その結果。
人種差別根絶を目指してジュネーブで開かれている国連の世界人種差別撤廃会議の再検討会議は21日、奴隷制などを「人道に対する罪」と位置付けた2001年の会議での宣言を再確認するなどした「成果文書」を開幕2日目で早々と採択する異例の展開となった。 当初は最終日の24日に予定していたが、イスラエルやパレスチナ問題の取り扱いをめぐる対立や混乱の拡大を、国連側が懸念したとみられる。(中略) 文書は準備委で合意した最終案通りで、イスラム諸国が必要性を主張し、西側諸国が「表現の自由を弱める」として問題視した「宗教の冒涜」を戒める言葉が原案から削除されるなど、全体に緩やかな内容。
こういう派手な展開であったため、日本ではほとんど報道されなかった件がある。っていうか、成果文書採択後にもひっそりやっていたと表現すべきなのだろうか。23日に、北朝鮮代表団が発言したそうだ。
北朝鮮は、(中略) 日帝植民地という過去の歴史の早急な清算と、在日同胞らに対する差別の中止を日本に求めた。 駐ジュネーブ北朝鮮代表部のチェ・ミョンナム参事は、本会議演説において「過去、一部の国々が追求した植民主義政策は、人種主義と人種差別の最も制度的で過酷な形態であり、その根底には自分たちが『優越人種である』という人種主義思想があった」「過去、アジア・アフリカ・ラテンアメリカの多くの国々が植民地であった時、我が国は日帝の強力な軍事力下で、民族的弾圧と差別や蔑視に遭っていた」と主張した。 参事は、日本軍慰安婦や徴兵、徴用に言及した後、これら人道に対する罪が、世紀が変わった今日まで清算されないでいると指摘し、続けて、「日本はむしろ植民地とした過去を正当化し、民族抹殺政策の痕跡を消すべく、中学歴史教科書を修正し、A級戦犯らを露骨に英雄として賛美している」と非難した。
聯合ニュース 2009.04.24 09:09「북한, 日과거사 조속 청산 촉구 (北朝鮮、日本の過去の歴史早期清算を要求 植民主義の根底に人種主義)」より、自動翻訳の超意訳で一部 つくる会メンバー執筆の中学歴史教科書検定通過に関しては、北朝鮮からも批判されている報道が出ていたが、きっちり言及されたようだ。この前も、東京都知事がアレな発言をしたばかりでもあるし、まぁ、批判はくらうだろうなぁ。
(略) 日本による過去の植民地支配について「いまだに清算されておらず、植民地支配の正当化や歴史教科書の見直し、戦争犯罪者の賛美がなお横行している」と指摘、そのことが「国際社会の懸念を増幅している」などと主張した。 また、植民地支配の「犠牲者の子孫」である在日朝鮮人は「不当な差別に直面しており、差別は終わらせなければならない」などと訴えた。 日本代表団はこの発言に対する「抗弁権」を行使し、日本は過去の問題に誠実に対応していると反論。2002年の日朝平壌宣言で、戦前の問題に起因する財産や請求権の相互放棄で合意したことなどを指摘した。
平壌宣言における「請求権の相互放棄」については情報を把握していないのだが、この方面に関して「日本は過去の問題に誠実に対応している」という抗弁が、虚しく響くのが確かである。
で、そこには抗弁して、他はスルーしてきたんだろうか? 在日の人達への対応について、そちらの批判に答えてこなかったのでは、批判を体現してきたようなものという気がするのだが。
近ごろ、かの、赤木智弘氏による「
【眼光紙背】タバコが迷惑なら、子育てだって迷惑だ! 」をネタに…ごほごほごほ、おちょk…こほん、題材に「
服従するが果たさない 」さんが衝撃のエントリを連発しておられる。
4月17日付『
マジックカットは赤木智弘氏をひっぱたかない(タイトル変更) 』
4月20日付『
赤木智弘氏はツンデレなのか? 』
4月21日付『
ぜんまいざむらいにひっぱたかれたい 』
まだの方は是非。
そして、この20日付のエントリでは、さらに別件で衝撃の事実が発掘されていた。
状況証拠から理詰めで考えていくと、FC2というのは、おそらくMI5とかMI6とかとも関係する某国の諜報機関なのでしょう。
…なんということだろう。FC2ユーザーである私ですら知らなかった事実である。この事実を、状況証拠から理詰めで探り当てたmatasaburo氏にたいし、その調査能力を恐れたMI6からの刺客が来ないか、一読者として心配になってきた次第である。
そして、matasaburo氏の調査能力はこれだけに留まらず、私の個人情報を暴露されてしまったのである。
id:felis_azuriさん
…マジックカットネタを考えているうちにタイトルが変わっていた
瞬発力不足派。最近ブログの更新頻度が落ちているのはなぜだろうと思っていたら、しょうもないネタを考えていたことが判明。既存の読者から反発の声が上がっている。また、「ブコメ=大喜利」的な解釈がはてなの倫理規定に抵触する可能性がある。ば~ら~さ~れ~た~ (このネタではウケが取れないとかまとまりがないとかでお蔵入り中のネタが多数なのもばれているような気がする、経皮毒とか) って、「ブコメ=大喜利」は当然、義務づけられていると思ってのだが、違ったのだろうか? 今度、はてな倫理規定を確認しておかねばなるまい。また、近ごろは他にも、何故か
全然使っていない「はてなハイク」経由で何か よく解らない圧力もかかっていた。これは一体どういう事だと戸惑っていたのだが、どうやら、
単なる操作ミス だったらしい。やはり、ややこしそうなので「はてなハイク」進出は回避させていただこうと考えている。
さて、
しようもないネタを考えていたのではないと誤魔化すためにエントリを上げておかねば それはともかく、
今年は今のところは攻撃を受けてはいない のだが
(…写真だけじゃなくレシピも書いてくださいにゃ) 、実は
昨年、悪辣なテロリストの策略に屈した のが、未だ後遺症が尾を引いてしまっている。
後遺症の結果 売っているのに気付き、午前中早い目に出かけていって購入。欲張ってでかいのを買ってしまったので記念撮影。
大きさがいまいち解らないので、撮り直し。
なんか、模様が似ている ところが、買ってきたはいいが、我が家の最大の鍋にそのまま入らないという衝撃の事実に気付いたので
(普通、買う時点で気づかんか?ー>私) 、二つに切ってあく抜きに湯がこうとした。
ところが、大きすぎて切った二つも同時に鍋に入らなかったのであった。いくら、太い竹の子の根元を食べるのが好きな上に、大きさにかかわらず同じ値段だったとはいえ、もう少し小さくても良かった(笑
今年もなんかばたばたしながらの作製ではあったが。
若竹、美味しかった~ 注;エントリタイトルは、なんとなくです。
きっかけは、「
かめ? 」さんが
15日付エントリ で取り上げてらした件、小田急線での痴漢事件について最高裁が無罪判決を出した件だ。これについては、書きたいことがあるがまとまらないので、うろうろと関連エントリを読みあさり、結果、色々と目にすることになって、フラッシュバック混じりに凹みっぱなしの自縄自縛状態だ。
その内、凄いエントリが上がった。
「
土曜の夜、牛と吼える。青瓢箪。 」さんの2009-04-18付『
「気の毒な冤罪被害者を出さないために、世の女性には痴漢くらい大目に見て欲しい」 』。
もちろん、Prodigal_Sonさんというべきか、放蕩息子さんというべきか、瑠璃子さんというべきかの、ブログ主さんの意見ではなく、別ブログエントリについたコメント採取である。もはや乾いた笑いしか浮かばないレベルで、ブログ主さんの『少数意見どころか、かなりどうしようもない意見であることを自覚されたほうが』に、多数意見かつどうしようもない意見というパターンも有り得ると思いながら『
この界隈には少ないだろうと思いつつ、実は、本音はそれかな?のヘテロ男性って相当数居るんじゃないかって気がしてるorz 』とブコメを置いてきた。ちなみに、その後の関連エントリやコメント類の論調を追った後の今現在は、「この界隈には少ないだろうと思いつつ」部分の撤回を検討中である。
そして、上記、『青瓢箪』さんのコメント欄に気になるコメントがついた。自分の家族である女性が被害にあった場合も、これが言えるだろうか、と。
ん?と思った、この路線で考えることには落とし穴に気をつけなければいけなかったはず。記憶を辿って、元情報を探す。
…あった。
「
Imaginary Lines 」さんの2006-08-26付『
想像できる(できる気になる)ということ 』。抜粋して引用させていただくと、
セクハラが絶えない理由の一つは被害者に対する想像を働かせないことにあるのだろうなと思う。で、「自分の妻や恋人や娘が~」というのは想像力を働かせようとする一つの試みなのだろう。
しかし、これでいいのかと問いを立てるdebyu-boさんはこう続ける。
つまり、「自分の妻や恋人や娘が~」という言い方をされて初めて自分の行為の問題に気づくような人間の想像力がおよぶ範囲というのはせいぜい「自分の妻や恋人や娘に手を出されちゃった男」の悔しさとか情けなさまでであって、セクハラされた「自分の妻や恋人や娘」の悲しさや悔しさではないのではないかと思うのだ(略)。だからこそ「自分の妻や恋人や娘が~」という言い方は理解されやすいのではないか。けれども、そのような想像の仕方では決して被害者本人の悲しさや悔しさには到達しない。
このところの、痴漢関連の後発エントリを見て回っていると、この「一つの試み」における限界の輪郭が見えてくるように思えてならない。
それはともかく。
これまでは前振りというか経緯の説明(放蕩息子さん、ごめんなさい)。上記の「
Imaginary Lines 」さんのエントリを見つけ出す過程で、(主観的に)スゴイ事実を発見しちゃったのだ。
2008-03-08付『
所詮被害者に関心なんかないのよね 』
MSN産経ニュース2008.2.27 18:23付の『
「もっと働け、クズ」 東京都に男性被害のDV被害相談続々 』という記事を紹介し、ツッコミを入れたエントリである。
…ん? 何度かまばたきをして、日付を見直す。
記事は2008年2月27日付、エントリは2008年の3月8日付 。
つい最近の2009/04/05に、私はこのブログに「
『産経の感覚は独創的』 パート5;DVへの感覚 」というエントリを上げた。
「
kei999の日記 」さんが2009-04-04付であげてらした「
で夫から妻へのDVは「多発」してないの? 」にて紹介された、MSN産経の2009.4.4 19:54付記事『
「もっと働けクズ!」殴る蹴る 妻から夫へのDV多発 』という記事をネタ元にしたエントリだ。
…なんだ、この既視感は? 2008.2.27の『
「もっと働け、クズ」 東京都に男性被害のDV被害相談続々 』では、具体的被害を
都の出先機関の東京ウィメンズプラザなどによると、18年度に同施設相談窓口に寄せられたDV相談件数は4956件。このうち、女性の被害相談件数が4828件と圧倒的に多いものの、男性の被害相談件数も23件あった。
と紹介しており、2009.4.4の『
「もっと働けクズ!」殴る蹴る 妻から夫へのDV多発 』では、
相談件数は56件で、このうち22件(39・3%)が女性から「暴力を受けた」と回答。内訳をみると(複数回答)、身体的暴力は16件で、「殴る」が7件で最も多かった。次いで「蹴る」(5件)、「ものを投げつける」(5件)と続いた。他にも「凶器を突きつける」「首をしめる」などの回答もあった。 精神的暴力は21件で、「怒鳴る」(12件)、「脅す」(12件)が多いほか、「外出制限」(3件)、「携帯電話のチェック(2件)、「甲斐性なしと言う」(2件)などがあった。このほか「小遣いを渡さない」といった回答みられた。
と紹介している。さきのエントリで紹介したとおり、相談件数の22件以外は加害相談であり、表に出てきた被害件数は、去年の報道と今年の報道であまり変動がなかったようだ。
そして、2008.2.27の『
「もっと働け、クズ」 東京都に男性被害のDV被害相談続々 』には、こんな一節が。
被害男性の相談内容は「『もっと働け、クズ』などと言葉による暴力を受けた」のほか、「殴られて肋骨(ろっこつ)を折った」「熱湯をかけられた」などの身体的暴力を訴えるケースもあったという。
一方、2009.4.4の『
「もっと働けクズ!」殴る蹴る 妻から夫へのDV多発 』には、
東京都の出先機関「東京ウィメンズプラザ」などによると、被害男性の相談内容の中には「『もっと働け、クズ』などと言葉による暴力を受けた」のほか、「殴られて肋骨(ろつこつ)を折った」「熱湯をかけられた」などの身体的暴力を訴えるケースも確認されているという。
東京都の配偶者等暴力対策のページ で確認すると、この調査はほぼ5年ごとで、平成20年度版調査の前は平成15年だ。だから、同じ調査結果のまとまる前と後の情報に基づく報道ではあろう。
でも、ねぇ。
多分、ここであげられたケースは各一例だったのだろうとは思う。にしても、報道タイトルにまで毎年
『もっと働け、クズ』 をかかげるとは、よほど、産経の記者さんには気になるフレーズだったのだろう。
そして、debyu-boさんがつっこみを入れておられたが、2008.2.27の『
「もっと働け、クズ」 東京都に男性被害のDV被害相談続々 』にあった一節;
殴られて骨折するなど、女性のDV被害に劣らぬ相談も。今や女性は社会的地位だけでなく“腕力”でも男性に勝り始めているようだ。
って、結局、DV被害者の男性をDisっているだろう。劣るとか劣らないの問題じゃないし、腕力に勝るからDV加害を加えるわけでもないし、ここで社会的地位に言及する必要などない。
男性被害者の保護施設の未整備や具体的対応の必要に言及があっても、この一節が台無しにしているし、さらには翌年のほとんど同じタイトルの記事まで台無しにしてるんじゃなかろうか。
16日に公開した、
石原東京都知事による「国連役立たず発言」を紹介したエントリ のコメント欄で、
gegengaさんより、石原都知事による16日付の「オリンピック開催地の首長にふさわしい発言」報道をご紹介 いただいた。
asahi.com 2009年4月16日22時34分付『
「日本の韓国統治は公平だったと聞いた」石原知事発言 』
そして、同じ件を後から、読売新聞2009年4月17日5時00分付『
日本の韓国統治、石原知事「優しく公平と元大統領から聞いた」 』(魚拓はインフォシークより)として報じていた。
なんでも、2016年の五輪開催地候補地視察に来ている国際オリンピック委員会(IOC)評価委員会へのプレゼンテーションを終えた16日の夜、記者会見が行われたそうだ。その席上、イギリス人記者が「知事が日本の朝鮮半島への行為を矮小化しているため開催地に選ばれるべきではないという、韓国での報道を知っているか」と質問したのだそうで、「日本の韓国の統治がすべて正しかったと言った覚えはまったくない」とした上で、「ヨーロッパの国によるアジアの植民地統治に比べ、日本の統治は、むしろ非常に優しくて公平なものだったということを朴正熙(パク・チョンヒ)・韓国大統領(当時)から、じかに聞いた」と答えたとのこと。読売新聞では、朴元大統領が1979年に、側近により暗殺されたとの紹介もあった。
そして、 スポニチニュース2009年04月17日 13:26が、『
韓国メディア、石原都知事が「また妄言」 』と報じていた。
(略) 韓国メディアは17日、「妄言」と伝えた。 聯合ニュースは東京発の記事で「石原氏がまた妄言」と報道。内容に加えて、石原知事について「以前にも人種差別や性差別的な発言をした」と指摘し「日本の保守・右傾化を主導している」とした。KBSテレビも「妄言」として内容を報じた。
…普通に「妄言」では無かろうかと思うし、この前もやったから「また」って書かれても仕方ないよなぁと思うのだが、もしかして異論がある報道なのだろうか。まぁ、この前の、
「中国が北朝鮮を合併するのが一番楽」発言 報道は、
何故か日本で報道が押さえられた節がある ので「また」であるのはあまり知られていないのかもしれない。
それはともかく、韓国でどう報じられているのかはチェック。
MBNで17日12時の主要ニュースにて、『
石原妄言『殖民統治公平』 日本の石原慎太郎東京都知事が、ヨーロッパ先進国に比べて、日本の植民当地はむしろ優しくて公平だったと発言して波紋を広げている。 』 と速報。
17日配信のMBCニュース『
이시하라 또 망언‥"日 한국통치, 유럽보다 공평" (石原、また妄言 「日本の韓国統治はヨーロッパより公平」)』
この報道では、朴正煕元大統領から直接聞いたという話の他に、「韓国のほとんどの国民には、朴元大統領のこんな言葉は納得されがたいし、特に若い世代には伝えられていない」との発言もあったと報じている。
17日配信のOBSニュース『
日이시하라 또 망언 (日本の石原、また妄言)』
国民日報クッキーニュース 2009.04.17 10:08『
「日 이시하라 도쿄도지사 “박정희도 日 식민지배 찬양” (日本の石原東京都知事「パク・チョンヒも日本の植民支配称賛)」
SBSニュース 2009-04-17 17:30『
이시하라 도쿄지사 또.. "식민통치 공평" 망언 (石原東京都知事また、、、「植民統治公平」妄言)』
「実際の発言が確認されない朴元大統領の言葉を引用して、日帝の殖民統治を重ねて正当化」「朴元大統領が、いつどこで都知事にそう発言したのかは明らかにせず」「朴元大統領の、こういった考えは、韓国の人々は心情的に受け入れにくいだろうし、特に若者達にはそうだと発言した」と報じられていた。
Segye.com 2009.04.17 18:55『
이시하라 또 망발 "박정희, 日 식민통치 공평했다고 말해" (石原また妄言、パク元大統領が日本植民統治が公平だったと話した)』
ソウル経済 2009/04/17 20:55:24 『
이시하라 "日식민통치 유럽 비해 공평" 또 망언” (石原「日本の植民地統治、ヨーロッパと比べて公平」また妄言 「朴元大統領が言った」)」
聯合ニュース(毎日経済経由)4月18日 12:48『
이시하라 또 망언…"日 한국통치, 유럽보다 공평" (石原また妄言、、、「日本の韓国統治、ヨーロッパより公平」)』
この報道では、質問が出た経緯が少しだけ余分に記述されていた。
日本の代表的極右派人士である、石原慎太郎東京都知事が、16日、韓国の植民地支配を正当化する主張をしたと、東京新聞など現地メディアが17日に報じた。(中略) 会見で、スポーツビジネス誌専門記者が「韓国言論が、日本は朝鮮半島植民地支配当時の残虐行為を否定しているので、東京は五輪開催地にはふさわしくないと批判するが、これに対する意見を」と、都知事に求めた。 司会者が、五輪誘致と無関係の質問はしないよう制止したが、再度、記者は質問した。 (後略)
そして、 他の韓国メディアもだが、例の
「北朝鮮が中国に統合されることが最善」発言 や、過去にも人種差別的発言や性差別的発言を重ねてきたこともあわせて紹介されているのだった。
…まぁ、実際、そういった発言を繰り返しているの、事実だしなぁ。
タイトルはイメージです。金曜日だから起こった事件って訳でもないし。
私が、朝起きてすぐにすることは、坊っちゃん嬢ちゃんにご飯を食べてもらうことで、その後、自分のご飯をすませる。
その他、朝ご飯準備と同時進行で、外食に出かけるのが面倒
(笑) なのと味つけが大抵の場合口に合わないので自給すべく、お弁当の準備をすることになり、今朝もそうしていた。そして、その他出勤準備&身支度で20分ほど台所を離れた。台所に戻ると、脂がついたサランラップが、二つに破かれて床の真ん中に落ちていた。
こういう事をやるのはお嬢様に決まっている。もー、しょうがないなぁと思いながら、機械的に拾い上げ、ゴミ箱に捨てる。恐らくは、流しの三角コーナーから何か回収したんだろうな、と考えながら。でも、お嬢様が好きそうな、サランラップに包んでいた鳥やら魚やらって、夕べ何か食べたっけ?と考えながら。
流し前の床に、別のものが落ちていた。職場におやつにもっていこうと出しておいた、ラップに包んだスコーン。そして、ようやく思い出した。
…スコーンの隣に、お弁当にしようと冷凍庫から出しておいた、
ラップに包んで凍らせていたウナギの蒲焼き も置いていたことを。
幅が10センチほどで、長さも10センチ弱に切っておいた中国産の蒲焼きのウナギが二切れ
(<-具体的である(^^;) 。結構なボリュームである。ラップは落ちていた。しかし、ウナギの痕跡は綺麗さっぱりない…orz。
お"~い"~ 間仕切りを解放してあるので見通せる別の部屋の、キャットタワーの中段にお嬢様は座っていた。私が濁音で吠えているのが、どうも自分を呼んでいるらしいと気付いた様子で、きょとんと見返してくる。
…思えば、お嬢様は我が家に来た当初、人間が怖くて怖くて、人間が立ちあがっただけで逃げ回っていたものだった。口調を強めただけで泡を食って逃げ隠れするから、叱る時は声を少し大きくするだけで充分だった。それが今、明らかに自分に向かって人間が何か抗議していてもびくともせずにきょとんとしているなんて、成長したなぁ。
って、しみじみしている場合ではないっ! 私の昼ご飯~(号泣
結構なボリュームだったはず。もともと食べ過ぎるとすぐにリバースする体質だし、ウナギのボリュームは明らかにお嬢様の食事量としてはとても多い。なのに、リバースの痕跡はない。…そうか、ウナギはお嬢様の胃にもあっているのか。
って、チェックしている場合ではないっ!
無いものは仕方ない。先週作っておいたスコーンとミルクジャムを準備して、これで昼ご飯にすることにした。炭水化物ばっかりや。
出かける前に再度、お嬢様の顔をのぞき込む。とりたてて「旨かった」という顔もせず、すましている。なんだかなぁ。現行犯ではないので叱れない。仕方ないので、恨みがましく、お嬢様の顔を掻くと満足そうに眼を細めている。
そして、しようがないなぁ、と思いながら、内心、お嬢様の好物リストに「ウナギ」を加えている自分に気付くのだった…orz
犯猫はこいつです
「なんでああいうのが日本の首都の知事をやってるんだ?」という意見を折に触れ目にして肩身の狭い思いをしている東京都民の皆様、こんにちは。
自分は支持してないのに、何故に自分とこの知事の支持率がそんなに高いのだろうと、ふと遠い目になりがちな大阪府民の皆様、こんにちは。
不幸にして東京都民から同病相憐れまれる立場となってしまった
千葉県 民の皆様、こんにちは。
もうすぐThe FACTs広告賛同政治家を市長として迎えることになりそうな名古屋市民の皆様、こんにちは。
小ネタではありますが、このところ、静かというか、オリンピックで頭がいっぱいだったのかもしれない、某東京都知事閣下
(何か変な表現) が、妙な発言をしていたようなので、一応収集してきました。
なんでも、この前の日曜日(12日)に陸上自衛隊練馬駐屯地で、駐屯地の創立58周年記念行事があったそうで、石原都知事が祝辞を述べたそうです。
北朝鮮による弾道ミサイル発射をめぐり、国連安保理の常任理事国と日本が発射を非難する「議長声明案」で合意したことについて、東京・石原都知事は12日、「国連は何の役にも立たない」と述べた。
…ぽかーん。
どうも脈絡がわかりません。『「議長声明案」で合意』ー>「国連は役に立たない」と読めるのですが、非難決議だったら「国連は役に立つ」のでしょうか?
私は、都知事よりも国連を評価しているのではないかと思うのですが、その私にしても、安保理で非難決議したって多分結果は変わらないと思うのですが。イスラエルだって安保理決議ガン無視してたよーな。(でも、だから役に立たないと言いふらそうとは思わないけど)
同じニュースを別の報道から。
日本の高度な技術力が米国の戦争を支えているとした上で、「私たちは国連やアメリカを気にしなくとも自分自身でこの国を十分守れる」と持論を展開し、「任務に邁進(まいしん)していただきたい。国民はそれを熱願している。国民自身も体を張って、自分でこの国を守るという気持ちを必ず持っている」と隊員を激励した。
…えええっ? 日本がアメリカの戦争を支えているって、自慢することなのでしょうか???
それに、国民の気持ちに関し、勝手に「熱願している」と断言されても
(任務の内容によるから) 。
さらに、別の報道(?)から
「相変わらず日本は国連さまに依存し、結局何の役にも立たなかったじゃありませんか。国連は虚構のメカニズムだったんです。私たちは国連やアメリカを気にしなくとも自分自身でこの国を十分守れるんです」と隊員を激励した。
…
内外タイムズかよっ というご意見もお有りかと思いますが、他の報道もあるし、この内容はトンデモ(笑)ではないでしょう。
「虚構のメカニズム」で「国連やアメリカを気にしなくとも自分自身でこの国を十分守れる」だそうです。
7日に、自民党役員連絡会で坂本組織本部長が核保有の国連脱退のと放言したと報道が出ていました が、やれやれと言いましょうかなんといいましょうか、鎖国でもしたいのでしょうか。ってか、自衛隊の皆様相手に「国連やアメリカを気にするな」とけしかけて大丈夫なんでしょうか?
「日本は相変わらず国連さまに依存して、結局その国連は何の役にも立たなかったじゃないですか」と国連の対応に不満を表した。その上で「私たちは自分一人でもこの国を守る力を十分持っている。そういう自覚を持ち直す時期にとうとう来た」と指摘した。
…議長声明だと、「国連は役に立たない」という図式がどうにも不思議ではあるのですが。。。
なんか、好き放題放言しているようですが、そもそもが北朝鮮のミサイルだかロケットだか飛翔体だかの話だったはずですね。確か、この人物、北朝鮮が何か飛ばそうとしているものに対して、記者のインタビューに対して
北の「ミサイル」の脅威の中で五輪は開催できるのですか 脅威にはならない。中途半端な技術だし、明らかに失敗しているじゃないですか。ロケットかなんだかわからんが、アノ程度の結果です。軍事的な脅威にはなりえない。
…「脅威にはなりえない」ものに対してなら、別に「議長声明」でいいじゃん。そんで、そういう御自身が「アノ程度」と腐すもんに対して、体を張ってとかなんとか、大仰な覚悟を要求していたというお話でしょうか。
その他、よく解らない話。
わたしは都知事になってこの8年間、東京の財政を再建してきました。積立金を200億円しかなかったものを1兆8000億円にしました。
…新銀行東京とかは、どういう計算になるんだろう?
東京五輪招致が正念場だ。開催計画をチェックするIOCの評価委員がきのう(14日)から来日し、会場予定地視察が17日に迫っているのだ。視察に計上された予算は3億1700万円。五輪招致委は、まっとうな使い道をアピールするが、それはマヤカシだ。“演出”にかかるカネが含まれていないからだ。(後略)
…これだけではなんともわからないので、要・続報確認。
なんだか引っぱってしまったが、検定合格を公表している9日付の「つくる会ニュース」が、自由社版の歴史教科書の特徴の一つをこう表現している。
他社の四年前に採択された教科書を精密に比較検討し、歴史的に最も正確な記述に努めたことです。さらに、文科省による丹念な検定を経たことにより、史実の正確性が高められ、表現が改善されたことも付け加えておきます。 以上のことから、自由社の歴史教科書は、最新の、最も工夫された歴史教科書になっているものと自負しております。この教科書は、五月上旬に発売される市販本『日本人の歴史教科書』(自由社)の中に全文が収録されます。
一方、つくる会メンバー執筆の教科書検定合格を報じる毎日記事では、
「新しい歴史教科書をつくる会」(藤岡信勝会長)が主導し自由社が発行する中学社会科(歴史的分野)の教科書は516カ所の欠陥が指摘されいったん不合格となり、再申請でも136カ所に意見が付いたが、すべて修正して合格した。(中略) 自由社の教科書は、第二次世界大戦に関する「日本軍も(略)侵攻した地域で、捕虜となった敵国の兵士や非武装の民間人に対しての不当な殺害や虐待を防ぎきれなかった」との記述が「理解し難い表現」と指摘され、「(略)不当な殺害や虐待をおこなって多大な惨禍をのこしている」と修正した。 また開国後の朝鮮について日本が「近代化を援助した」との記述は「誤解の恐れがある」とされ、「軍制改革を援助した」に修正。日本の南方進出についての記述も「アジア諸国の独立に寄与したかのように誤解する恐れがある」と指摘され、表現を変えた。 藤岡会長は「確かにそうだと思える指摘がほとんど。史実が正確になり質が向上した」と話している。ふりがななど単純ミスが多かったことについては「コンピューターの誤作動が原因」とした。
『文科省による丹念な検定』は、初回検定時に516箇所、再検定時に136箇所の指摘があったそうで、検定する方は、さぞかし大変だったことだろう。それも、単純ミスが何百もというから、面倒なことだ。
そんなもん、内部のチェックで直してから検定申請するものじゃないのか? 「ふりがななど単純ミス」は、MSN産経 9日付「
自由社の歴史教科書が検定合格 「つくる会」メンバーら執筆 」では『
誤字を中心に 516カ所と多くの修正点』という表現になっている。経験的に判断すると、
「誤字」や「ふりがな等の単純ミス」 はコンピューターの誤作動が原因ではない思うのだが、コンピュータプログラム等に詳しい人のご意見も参考にして判断したいと思ったのであった。
内容に関しては、つくる会ニュースではこう言及していた。
巻頭グラビアのページに、「そこに眠っていた歴史」というシリーズを設け、「岩宿遺跡の発見」、「高松塚とキトラ古墳」、「出雲大社」、「戦艦大和」の四つの学習テーマを配置しました。また、昭和天皇の「お言葉」を集めて特集するなど、昭和天皇について二ページにわたる記事を掲載しました。 これは戦後の教科書の歴史において画期的なことです。
一方、MSN産経では
扶桑社版と異なる点は、図版の大半を差し替えたほか、「昭和天皇のお言葉」に1ページを割り当て、見開きで昭和天皇について記述。戦艦大和の戦いについても1ページを割いた。
…お言葉について1ページ、その他にも1ページ特集を組まれた方の跡を継がれた方が、先だって「
大日本帝国憲法下の天皇の在り方と日本国憲法下の天皇の在り方を比べれば,日本国憲法下の天皇の在り方の方が天皇の長い歴史で見た場合,伝統的な天皇の在り方に沿うものと思います 」とおっしゃっていたと聞き及ぶので、こういった取り扱いは、どうお思いになるのだろうか。。。
また、私は偏った情報が入ってしまったおかげで、
戦艦大和といえば「世界最大の粗大ゴミ」 なんてフレーズが頭に浮かんで仕方ない始末なのだが、もちろん、こちらさんの教科書がそんな話の筈はないだろう。「
沖縄県民のために、歯磨き・歯ブラシを50万人分、そしてなんと女性用美顔クリーム25万人分 」等を届けようとして果たせなかったという「美談」なのかもしれないが、おそらくは
片道特攻ではなく帰りの燃料も積んでいた 路線の「美談」路線かもしれない。この自由社版のつくる会教科書は、
「日本人の歴史教科書」というタイトルで4月28日に定価1500円 で販売だそうなので、覚えていたら、今度大きい本屋で見かけたら立ち読みして(<ー買うつもりはないらしい)確認しなければ。
さて、つくる会が「
他社の四年前に採択された教科書を精密に比較検討し、歴史的に最も正確な記述に努めた 」と配信するニュースで断言する歴史教科書だが、報道を見て回るととてもたくさんの反対意見が表明されているようである(婉曲表現)。
事実誤認は例えば、第2次大戦での硫黄島の戦い。それに続く沖縄戦の開始時期だ。 同書は「(1945年)4月、米軍は沖縄本島に上陸し、ついに陸上の戦いは日本本土に及んだ」と記述している。 だが、国内での地上戦は沖縄ではなく硫黄島が最初だ。これでは硫黄島は日本ではないことになる。 地上戦の開始も米軍が沖縄本島に上陸した4月と読める。だが、米軍は実際には3月26日に慶良間列島に上陸している。慶良間列島はまぎれもなく沖縄だ。そこで起きた住民の悲劇に触れないというのも解せない。 さらに同書は、琉球王朝が「沖縄県」になった「琉球処分」について、多くの教科書が触れてきた新政府が軍隊や警察の力を背景に「強制」した事実を省略している。 「琉球処分がスムーズにいったような書き方」に、事実に大きな間違いがある、沖縄の立場を無視しているとの批判が出ている。
韓国からは公式な抗議を受けているが、ここでは全体的な話ではなく、個別具体的な批判点をあげている箇所を、報道から抜き出してみよう。
自由社版は、韓日両国の学界が否定する「日本府(大和朝廷が朝鮮南部を支配するために任那に置いたという官府)」を記述し、東アジアで日本だけが独自の年号を使ったとしている。
私が日本史を習った頃には任那日本府があったように記憶していたので、どういう事なのかと調べてみた。すると、さすがは(?)扶桑社版とほとんど内容が同じといわれているだけあってか、歴史学研究会による「
まちがいだらけの『新しい歴史教科書』 ―中学校の教育レベルを落としてはならない― 」(2001年10月29日最終更新)に以下の記述があった。
「高句麗は、百済の首都漢城(現在のソウル)を攻め落とし、半島南部を席捲した。しかし、百済と任那を地盤とした日本軍の抵抗にあって、征服は果たせなかった。」 コメント:高句麗との戦いの中心が日本であるかのような記述はおかしい。百済と任那に恒常的な日本の政治的基地が築かれていたかのような表現も誤り。
また、
かつては任那復興会議をもとにして任那日本府を考えてきた。倭国からの使者が加耶における合同会議に参席できる立場にあったという理解をしていた。しかし任那復興会議は極めて特殊な会議です。こういう歴史的な状況になったからこそ百済が求めて開かれた会議です。常時開かれていた会議ではない。(中略) 「任那復興会議」の中で登場するのが任那日本府です。倭国からの使者がたびたび行ってもおかしくない。何の問題もない。日本と友好関係にある地域があるわけですから。しかしそれは出てこなくて、任那復興会議にだけ任那日本府が登場してくる。(中略) ただ倭がやってきて任那日本府を恒常的に拠点を置いているという状況は見いだせない。そういう材料は出てこない。
ともある。自由社版歴史教科書の実際の記述をみていないが、恒常的に日本府が置かれていたような記述だったということか。
「東アジアで日本だけが独自の年号を使ったとしている」という記述には、こんな情報を見つけてある。
渤海国は六九八年に大祚栄が王権を樹立して以来、九二六年に契丹の耶律阿保機に降るまで十五代のおよそ二二九年の歴史をもつ。(中略) 渤海国は存続二二九年の間、ほぼ全期間を通して、独自の年号を使っていた。
(契丹の耶律氏に秘かにうけたのはともかく) 、、、「東アジアで日本だけが独自の年号を使った」訳では無さそうである。だめじゃん。
あるいは、韓国からの指摘の一つ、
19世紀の江華島(カンファド)事件を挑発した主体と目的・経緯を隠蔽し、日本が試みた韓国侵略の意図を故意に否定している。
には、扶桑社版へのこの批判が適用できるだろうか。
200ページ 清・朝鮮との国交樹立「一方、これに先立って、日本軍艦が朝鮮の江華島で測量をするなど示威行動をとったため、朝鮮の軍隊と交戦した事件…をきっかけに、日本は再び朝鮮に国交の樹立を強く迫った。」 コメント:これは日朝間の交戦の事情が説明不足で理解し難い表現である」との検定官の意見をつけられ、修正した文章であるが、日本軍艦の行動の前提として、日本国内に「征韓論」が台頭していたことを述べないので、基本的な理解がえられない。日本の軍艦は朝鮮の西海岸を測量しながら北上したのだが、江華島では測量をおこなわず、カッターを入れたところ砲撃されたとの理由で、砲撃を加えたものである。江華島で測量をしたというのは誤りである。
どうも、すでに引用しているように、ほとんど内容が扶桑社版と同じという話なので、歴史学研究会による「
『新しい歴史教科書』に見られる初歩的な誤り(章別) 」(2001年6月22日最終更新)、「
『新しい歴史教科書』に見られる初歩的な誤り(テーマ別) 」(2001年7月5日最終更新)、「
まちがいだらけの『新しい歴史教科書』 ―中学校の教育レベルを落としてはならない― 」(2001年10月29日最終更新)が、きっと流用できるだろう。ちなみに、扶桑社版へのつっこみには
一面的な評価、生徒の理解の妨げとなる不親切な記述、前後矛盾する記述、稚拙な表現などは、このほかに多々ありますが省略します。
『新しい歴史教科書』では、歴史的事実を誤って記述した箇所にも、執筆者側の意図が反映されている場合が少なくありません。今回はその意図を以下の7つに大別し、構成を変更しました。
現在、市販されている『新しい歴史教科書』(西尾幹二編、扶桑社発行)の内容を検討した結果、下記のような多くの誤った記述があることが判明しました。このほかにも一面的な記述や、当然書かれるべきであるのに書かれていない歴史的事象など、指摘すべき問題点は多々ありますが、明白で、かつ歴史理解のうえで無視できない重要な箇所での誤りにしぼって、以下に掲げます。
との注釈があるので、、、「侵略美化」の意図が匂うにしても、それ以前の問題があるようである(というか、何かを美化したいがためには、話をどっかもってかざるを得なかったのだろうけど)。
こんなつっこみが入っているのとほぼ同内容という話の、今回検定通過した自由社版の中学歴史教科書。「慰安婦」に関する記述は綺麗さっぱり無く、南京事件については
…日本軍によって、中国の軍民に多数の死傷者が出た(南京事件)。なお、この事件の犠牲者数などの実態については資料の上で疑問点が出され、今日でも研究が続いている
と記述していたそうである。「虐殺少数説」+「足止め効果」狙いか。
この自由社版中学歴史教科書検定追加に対し、36市民団体がNGO共同声明を発表している。
「つくる会」の自由社版教科書の内容は、前述のように約9割の項目がほとんど同じということが示すように、内容も扶桑社版と基本的には同じものです。(略) 新たに追加した中には「昭和天皇のお言葉」(1ページ分)など特異なものがあります。また、本文を一部改訂したところでは、新たに誤った記述を行っています。例えば、沖縄戦は1945年3月26日の米軍の慶良間諸島上陸ではじまっていますが、扶桑社版は「4月、米軍は沖縄本島に上陸し」をもって沖縄戦の開始とする誤りを記し、検定もそれを修正させていません。自由社版はその誤りを正さないまま、さらに「…上陸し、ついに地上の戦いも日本の国土に及んだ。」と加筆しています。しかし、1945年2月に硫黄島(東京都小笠原諸島)での地上戦がはじまっていますので、これは事実に反する誤りです。文科省は2004年の扶桑社版検定で前述の誤りを放置し、今回の自由社版の二重の誤りを見過ごしています。07年の沖縄戦「集団自決」記述歪曲検定に対する、沖縄県民をはじめとした抗議などで、沖縄戦に関する正しい事実認識の必要性が求められている中で、このような初歩的な間違いを記述した「つくる会」とそれを容認した文科省の責任は重大です。 扶桑社版歴史教科書は多くの誤りが指摘されていますが、それと共に、次のような重大な問題点をもっています。これらは自由社版においてもそのまま引き継がれています。 第1に、日清・日露戦争以降の日本の戦争を美化・正当化し、日中戦争は日本の侵略ではなく中国側に責任があるとし、アジア太平洋戦争を「大東亜戦争」とよんで、それが侵略戦争だったことを認めず、日本の防衛戦争、アジア解放に役立った聖戦として美化し肯定する立場がつらぬかれています。韓国併合・植民地支配への反省はなく、むしろ正当化する内容です。(中略) 第2に、「神武天皇東征」を「伝承」としながらも、大和朝廷成立のところで扱うなど神話をあたかも史実であるかのように描いています。「つくる会」は、「皇室・天皇」は「我が国の歴史の始まりとともに存在した」と主張していますが、これは、神武を実在の天皇とする歴史の偽造です。 第3に、天皇と国家を前面に出し、日本の歴史を天皇の権威が一貫して存在した「神の国」、天皇と国家、為政者の「栄光の歴史」と描き、民衆の歴史、特に女性や子どもについてはほとんど描かれていません。また、聖徳太子の「17条憲法」を全文載せ、「全国の武士は、究極的には天皇に仕える立場」だと歴史を偽造し、「昭和天皇」のコラムに加えて、「昭和天皇のお言葉」を新たに載せるなど「天皇の教科書」という色彩を強めています。 一方で、韓国や中国などアジア諸国の歴史を根拠なく侮蔑的に描き、その上に立って、国際的に通用しない偏狭な「日本国家への誇り」や「日本人としての自覚」、歪曲した「歴史に対する愛情」を強制的に植えつけようとしています。(後略)
…歪曲も捏造もしなくても、良いところはたくさんある国だし、なによりこの60年あまり戦争をしていない、世界に胸を張れる平和国家だというのに、自虐的な人達が教科書を作りたがるようで困ったものである。
4月11日、タイでは「ASEAN(東南アジア諸国連合)+3(韓国・中国・日本)」の首脳会談がデモで中止になったそうだが、韓日首脳会談は行われたと報じられている。40分ほど、主に『
北朝鮮の長距離ロケット発射問題への対応策も集中的に話し合った 』と12日付聯合ニュース日本語版では報じられていたが、例の件についても釘を刺されたそうな。
李大統領は日本の麻生太郎首相との会談で、「歴史認識問題などで韓日関係にひずみが生じる出来事があったが、韓日関係を後戻りさせるわけにはいかない。日本もその点を深く認識し、誤解を生むことのないよう慎重に対処することを望む」と求めた。 李大統領は会談の最後に、「一言言いたいことがある。よく聞いていただきたい」と前置きして、このように述べた。これに対し麻生首相は、予想外の発言に戸惑った様子で、特にコメントすることはなかったという。
李大統領からの要請は日本各紙も報道していたが(
NHKニュース04月12日 06時38分付韓国大統領 歴史認識に懸念 など )、発言の状況は朝鮮日報が一番詳細のようだ。
李大統領については、日本に対して歴史問題に対する態度が消極的との批判が、韓国紙ではしばしば言及されており、上記にリンクを貼った聯合ニュースでは『今年に入り、李大統領が日本の歴史歪曲問題に対し公の場で言及したのは今回が初めて』とも書かれている。もっとも、今年の1月10日の韓日首脳会談の席で李明博大統領が強制徴用と慰安婦問題に対して今後の謝罪要求放棄を誓約したと、1月末頃にヘラルドトリビューンがAP電を引用して報じ、韓国紙ではちょっとした騒ぎになっていたくらいで
(2009년 01월 29일 『MB, 강제징용·위안부 포기 서약? 』など、ただし、大統領側は報道を否定していたようではある) 、今回に限らず積極的に追求したがっていない実績を重ねている大統領ではある様子だ。それが、首脳会談の席で釘を刺したのだから、、、やっておかないと収まらないのだろう。
これに先立ち、9日、
韓国外交通商省がつくる会メンバー執筆の自由社版「中学社会 歴史」の検定合格に抗議声明を出していることも報じられており 、
韓国外交通商省東北アジア局長が、在韓日本大使館公使を呼んで検定合格へ抗議 したと報じられてもいる。韓国大使館に掲載されていた「
日本の中学校歴史教科書の検定結果に対する外交通商部代弁人声明 < 非公式飜譯 >」は以下の通り、
1.韓国政府は、依然として過去の過ちを合理化、美化する間違った歴史認識に基づく歴史教科書が、4月9日(木)日本政府の検定を通ったことを強く抗議し、これの根本的な是正を求める。 2.韓国政府は両国関係において、未来指向かつ、友好と協力の方向へと進むべき日本の青少年が、このような歪曲された一部の歴史教科書により間違った歴史観を持つ可能性に対し、深い懸念を示す所存である。 3.韓国政府は、正しい歴史認識が韓・日の未来指向的パートナーシップの根幹であることから、教科書などによる歴史歪曲があってはならないことを改めて強調する。 以上。
私は、実のところ、扶桑社版の教科書採択時に起こったもろもろは、リアルタイムで記憶はほとんど無い。だから、今回のもろもろの動きを、自分の記憶にてらして、扶桑社版のつくる会メンバー執筆歴史教科書が検定合格した時の動きと比較することはできないので、前回分と比較している報道を見て回るばかりにはなってしまう。
自由社版の教科書検定通過に対して、外交通商省は9日、報道官名義の声明を通じて強硬な論調で非難した。だが実際の外交措置等は、最も低い程度でなされた。 外交通商省のムン報道官は、この日の声明でこの度の教科書検定通過に対して「強く抗議して、根本的是正を促す」と明らかにした。一見、2005年の扶桑社などの教科書検定通過の際に、当時の外交部が発表した声明より強い調子だ。当時には「強く」との表現もなく、「抗議する」の代わりに「遺憾を表明する」との言及だった。少なくとも、公式的には非難の強度は強い。 それでも、公式声明とは別に、韓国政府がこの日に計らった外交措置をみれば、問題の拡大を願っていない雰囲気を察することができる。韓国政府は、この日の午後、外交通商省東北アジア局長が、高橋・駐韓日本大使館総括公使を呼んで、抗議した。 しかし、2005年には、当時の外交通商省次官が駐韓日本大使を呼んで、「竹島を韓国が不法占拠している」という公民教科書の記述内容を削除するよう要求した。抗議主体と抗議対象の側面からみれば、外交的儀礼の格が以前よりははるかに低くなっている。外交省の当局者は、当時は8種の教科書に対する検定で、今回は自由社の1種だけなので状況が違うと釈明した。 政府がこのように、日本の教科書問題に対して「戦線拡大」を敬遠するのは、李大統領が就任以来緊密にした韓日関係の雰囲気を維持しようとする政策的判断と無関係とは見えない。(後略)
…だいたい、9日から10日にかけての韓国紙の報道はこんな雰囲気だった。こういった論調を受けて、李大統領は麻生総理に釘を刺したんだろうけど。でも、その後、韓国紙の論調が李大統領のアクションをどう評価したのか、キーワードが悪いのか、「日本」「自由社」「教科書」「検定」といったキーワードで、10日以降の報道が上手く拾えないのだった。
私に拾えた報道で最も新しいのは、11日付のhankooki.comで「
일본사회의 양식을 믿는다 (日本社会の良識を信じる)」。扶桑社版の歴史教科書の2005年採択率が0.39%程であったと示し、それとほぼ同内容の自由社版がそう受け容れられるとは思えない、日本社会は健全な常識を持っているから期待して高みの見物をしておこうという論調の社説だった。
なお、中国では9日の自由社版中学歴史教科書検定通過の報道以降、なぜか
韓国政府が抗議した話題 の報道ばかりが目につくようだ。
(自由社版、中学歴史教科書の検定通過で、報道されている内容面にもいろいろつっこみどころがあるというのに、韓国の反応も拾っておきたくなったら、まだ辿り着けない(^^;)
たとえば、高校の日本史教科書における「集団自決」(集団自殺強制)記述に対しては、
沖縄戦の集団自決をめぐる学術的見解に大きな変化もない のに、係争中の裁判 や、沖縄戦専門家著作の一部を書籍全体の結論と違う方向にもってった恣意的引用 を根拠に、「つくる会」とつながりのある教科書調査官 が作った検定原案を、沖縄戦の専門家がいない どころか、「つくる会」とつながりのある委員が入っている 審議会で実質的な審議無しに採用した 検定意見がついて、
「日本軍による強制」という記述は削られた。
この検定意見の根拠の一つとされた係争中の裁判=「岩波訴訟」では、原告側が弁論中に『
軍命で「集団自決」は起きたとする考え方を放置させない、という政治目的を併せ持っていると“表明”した 』りもしつつ、さっくりと地裁・
高裁で原告敗訴 である。でも、検定意見が撤回されたという話はみない。
この辺り、当ブログで、「
沖縄 教科書 検定 」といったキーワードで引っかかるエントリを、結構な数を上げている。
また、この沖縄戦「集団自決」記述における「軍強制」の表現が検定意見が付いて削られた事に関し、沖縄戦の現実を体験して伝えている沖縄県民の皆様によって県民大会が開催されて「検定意見の撤回」が決議されたのだが、
文科省は「
専門家9人 から意見聴取 」の後、「自主的な修正申請」を受け付けたものの、検定意見の撤回はせず『「日本軍」と「強制」を直接つなげる表現』も認めなかった。ちなみに、この意見聴取された「
専門家9人 」を調べてみると、不思議なことに
「集団自決」が日本軍の強制である事を肯定する意見を述べている専門家と否定する意見を述べている「専門家」が公表している沖縄戦に関する業績を比較すると、後者の業績が格段に少ない 事も確認していた。
ことほどさように、教科書検定とは
一定方向にのみ無駄に 、厳しく審査するもののようである。
さて、塩谷立文科相は2009年04月10日、教科書検定に関し、記者の質問にこのように答えていたそうである。
教科書検定は民間が著作、編集した図書について、学習指導要領や検定基準に基づいて教科書検定審議会の学術的、専門的な審議を経て厳正に実施されている。今回も慎重に審査が行われた。
ちなみに質問は、こんなのであった。
「新しい歴史教科書をつくる会」の会員らが執筆した自由社の歴史教科書が合格したが、既に扶桑社から同会がかかわった教科書が合格している。内容が重なる上、著作権をめぐって訴訟も起きている2冊の教科書が採択の対象になることで、現場の混乱も予想されるが大臣の所感は。 また、自由社の教科書内容について韓国政府から抗議もあるが。
よくわかる参考;「
flagburner's blog(仮) 」さんの 2009-04-09付『
「つくる会」教科書の著作権をめぐる醜い争い(検定編) 』
あるいは、文科相はこうも答えたらしい。
すでに発行されている扶桑社発行の中学歴史教科書と共通した記述の多い教科書2冊が採択対象となることについては、「検定制度は、手続き通りに申請された教科書であれば検定するように定めている。採択は各教育委員会の責任の下で公正に行ってもらいたい」と述べるにとどまった。内容については言及しなかった。
この産経記事では「扶桑社発行の中学歴史教科書と共通した記述の多い」とあるが、読売新聞ではこう表現していた。
今回の初稿は、04年度に検定を受けた扶桑社版の初稿とよく似ており、検定を経た結果、内容・表現のほか、ページ建てまで扶桑社版とほぼ同じ になった。
強調は引用者。
どうやら、一定の条件をクリアさえすれば、教科書検定とは容易に通過するものらしい(婉曲表現)。
(自由社版、中学歴史教科書の検定通過に関しては、内容面にもいろいろ書きたいことがあるのだが、やたらとたくさんあってまとまらなかったのでエントリをあらためて(^^;)
以前、スコーン作りにはまったついでに、ベーキングパウダーではなくイーストで発酵させるスコーンに興味をもち、高橋雅子氏の「
ゆっくり発酵スコーンとざっくりビスコッティ 」というレシピ本を購入して、
発酵スコーンを作った話をエントリにしていた 。
私はパンも自分で作っていたので、やがて、同じ著者の「
少しのイーストでゆっくり発酵パンこんな方法があったんだ。おいしさ再発見! 」という本も気になるようになって、買ってしまっていた。「ゆっくり発酵」というパンの作り方に興味をもったからだ。そしてさらに
(なんて釣られやすい私(^^;) 、Amazonで見ているうちに、あまりにも熱烈なレビューに興味をもち同じく高橋氏の「
ゆっくり発酵ベーグル(少しのイーストでつくるパン2) 」も買ってしまった。
…我ながら、一体何を考えてるんだと思わないでもない。
これが、初めて焼いた「ゆっくり発酵」ベーグルのふかふかタイプ。
自慢だが(爆)、大変美味しくできた これらの本で使われているイーストは、いわゆる「イースト」。yeastといえば、単に「酵母」の事だろうといいたいところだが、こういった文脈ではパン用に培養されて販売されている飼い慣らされた酵母をさすという話だ。
私がすっかりお得意様と化した
(?) 高橋雅子氏には「
「自家製酵母」のパン教室―こんなに簡単だったんだ!マイペースで楽しく続けられる 」という著作もある。そして、アマゾンの「
少しのイーストでゆっくり発酵パン 」のページにある「著者コメント」には、こんな一節があった。
一時期、私の中でパン=天然酵母が決まりのようになったのです。(略) 天然酵母パンは酵母さえいいものができれば、必ずパンはおいしいものとなります。それはとても魅力的でした。私の中でイーストの存在はどんどん薄くなっていきました。(略) ある日、生徒さんがパンをいろいろ持ってきてくださったのです。いただいたパンはどれもおいしく、新しい発見でもしたかのように私はおどろきました。何におどろいたかというと、その風味、食感はまぎれもなく、イーストのパンだったから。 それから、いろいろなパン屋さんに行ってたくさんのパンを食べました。そして、イーストでつくるパンのおいしさを再認識したのです。
…おいしいパンになる前提は、お利口な
野良 酵母を捕獲するという前提をクリアしなければならないらしい。
こんな一節に注目するのは、近ごろ「はてなブックマーク」で、「自家製酵母」のブクマをみていたから。
「
はてなブックマーク ー 「天然酵母」とは何だ 」
「
はてなブックマーク ー 自家製天然酵母の作り方 」
上記ブックマークページの上の方のエントリは、はっきり『「天然神話」に意味があるか』と疑問を呈しているものだし、ブックマークコメントも「天然」とか「自家製」へのこだわりに批判的なものばかりだろう。また、complex_catさんの
既存の食品工業用酵母使用への批判の歴史では,工業管理酵母における「餌」に含まれる化学物質問題だったように記憶している。酵母そのもののストレインの問題じゃなかったような。で,うんこパンと書いた人も居た。
に注目していた。
いくつか触れたい論点はあるが、まず、酵母の株によってできあがりのパンの味が左右されることは、ワイン酵母の場合に
一般に、ワインの酒質は原料となるぶどうの品種や品質に大きく左右されると言われていますが、原料ぶどうが同じであれば、みな同じ味がし、同じ香りがするワインができるわけではありません。その違いを演出するのがワイン酵母なのです。ワイン酵母はもともとワイン醸造場やその周辺環境に棲みついていたものが利用されているのですが、酵母ごとに香りや味の成分のつくり方、あるいは、発酵力などが少しずつ違うのです。
から判断して、充分有り得ることだろう。したがって、捕獲した野良酵母がたまたま優秀であったら、自家製酵母で市販されているイーストよりも美味しいパンができる可能性はないわけではない。
一方、市販のドライイーストだって、どれも同じ株ではない筈だ。私が使っているのはフランスのサフ社製ドライイーストだが、これにも
普通の (使っているのはこれ)、
甘いパン用(耐糖性) 、
ピザ用 がある。日本国内で売られているドライイーストが同一株であるかどうかは未確認だが、別株である可能性は十分あるだろう。
では、同一株かどうかわからないのは置いておいて、市販ドライイーストが、「天然酵母」(?)あるいは「自家製酵母」(?)よりも味が劣るものなのだろうか。
高橋雅子氏は、前掲の「
少しのイーストでゆっくり発酵パン 」のページにある「著者コメント」の続きにこう述べていた。
パン屋さんに行くとよく、「長時間発酵」という言葉が目につきます。「長時間発酵? イーストで長時間発酵はどうすればいいのだろう?」。とりあえずイーストの量を減らしてみました。(略) なるほど発酵に時間がかかるようになりました。でも、イーストのケミカルなにおいは次第に少なくなり、発酵のときのなんともよい香りだけが残りました。
もし、イーストとひとくくりにされている酵母株の性質として「味の成分の作り方」や「香りの成分の作り方」が「天然酵母」(?)に劣るのだとしたら、長時間発酵したところで増えているのはイーストなのだから、味や香りは劣ったままの筈だ。しかし、ここで、述べられている内容は、「イースト」の味や香りの成分の作り方は、パン用に優れたものだと示すものだろう。つまり、ここで示される「イーストのケミカルなにおい」とは、上記で紹介したcomplex_catさんのブコメ;『工業管理酵母における「餌」に含まれる化学物質問題』であることを、そのまま示唆しているだろう。
自家製酵母パン派の人による市販ドライイーストを使いにくいとするコメントはある意味面白い。
過発酵のトラブルを訴えている場合が多いよう なのだ(リンクはアマゾンの書評)。「少しのイーストパン」の手順をあわせて考えると、どうも、発酵のタイミングの見極めにくさって、市販ドライイーストの使用量を少しにすることで発酵をゆっくりにすれば解決しそうに見えたりもするから。また、同じアマゾンの書評を見ていると、酸味のあるパンが焼けるようだと思ったら、こんな情報も(^^;
Q. 天然酵母のパンをすっぱく感じるのはなぜ? A. 天然酵母の中にはイーストを含め、乳酸菌や酢酸菌といった細菌類が含まれています。これらの菌が活動することによって生まれる有機酸により、天然酵母パン独特の酸味が感じられるようになるのです。
…元々えらくコンタミしているようで、さらには、当然ながら、肝心の捕獲された野良酵母も単一株ではないだろう(^^; 確かに、はてぶにもあったように「分の悪い賭」である。
ベイキングデイズの通販コーナーを見ていると、「
天然酵母 」が市販されていたりもして、人工培養して販売していても「天然」なのかと苦笑してしまうのだが、その内に「
天然酵母 」コーナーに入っている、ある商品が目についた。
「世界自然遺産「白神山地」から発見された純野生酵母」との煽り文句がついた、
白神こだま酵母ドライ 。この酵母でのパン焼きのマニュアルほんのコーナーで、
スタッフもこの本を片手に新・天然酵母「白神こだま酵母ドライ」の攻略に励みました。天然酵母なのにふんわり柔らかおいしいパンが焼けて、ビックリ。
「天然酵母」パンは、「ふんわり柔らか」でないのが前提らしいのに苦笑しつつ、ちょっと気になったので、検索してみた。
すると、「
株式会社サラ秋田白神 」という会社が販売していた。
腐葉土から分離された約500株の中から発酵性のあるものを選抜し、さらに「醗酵力の強いもの」「増殖力の旺盛なもの」「香りの良いもの」・・・と、ふるいにかけ最後にたった一株だけが残りました。それが白神こだま酵母だったのです。
とあり、なんだかやっぱり、「
自家製 天然」酵母をあえて使わなくてもと思わせる製品だった。そして、
秋田県農林水産部流通経済課の「白神こだま酵母」のページ がさらに面白かった。
“白神こだま酵母”は、分類学上は従来のパン用酵母(イースト菌)と同様、Saccharomyces cerevisiae(サッカロマイセス・セレビシエ)に属します。清酒やビール、ワイン用酵母と同じ種類の酵母です。(中略) 【イーストと天然酵母】 酵母は、英語で「イースト」と呼ばれますが、これは酵母自体の分離・選抜や培養法までを特定しているものではありません。 しかし、いわゆる天然酵母や自然酵母に対する人工的なものとしてイーストという言葉が使用されている場合が多々見受けられますが、イーストも元々は自然界に存在した野生酵母の中から製パン特性の優れたもの選抜し、効率良く増殖させたもので、天然に由来するものです。 一方、一般的に「天然酵母パン種」と呼ばれているものは、水戻ししたドライフルーツを自然発酵させたものや、分離した野生酵母を果汁で培養するなど様々な作り方があるようですが、用語自体の定義のない非常に「あいまいな表示」であり、消費者に「誤認」を与える可能性があります。 このため、秋田県では“白神こだま酵母”を、あえて「天然酵母パン種」等とは名乗っておりませんが、世界自然遺産「白神山地」から分離・選抜された有用な野生酵母であることには間違いありません。 “白神こだま酵母”は、最も安全な原材料を使用し純粋に培養した酵母ですので、安心してご使用いただけます。 【培養方法】 一般に「天然酵母パン種」は、乳酸菌の混入により酸味の強いパンに仕上がる傾向がありますが、この他にも一般細菌など安全性が確認されていない微生物が混入し、一緒に培養されている可能性があります。(後略)
…私は、今のところ、白神こだま酵母を買って使ったことはない。しかし、このコンテンツを見て一気に好感をもってしまい(笑)今度使ってみようという気になったのだった。まぁ、ディーラーは「天然酵母」として売っているようだけどね。
ただし、
ベイキングデイズの「白神こだま酵母」の利用者投稿ページ によると、扱い方によってはヌカ様の匂いが気になるそうである。
培養基由来の匂いが「ケミカルな匂い」でない場合は、そっち系になるものなのかもしれない(^^;
ところで、「
ゆっくり発酵ベーグル(少しのイーストでつくるパン2) 」の「出版社/著者からの内容説明」には、こんな一節があった。
本書で使用しているのは、家庭でつくるパンにもっとも適したインスタントドライイースト。それもほんの少しだけ。通常家庭でつくっているイーストパンの10分の1~5分の1の量です。 ですからイーストのケミカルなにおいはほとんど感じられず、小麦本来の香りを存分に楽しめます。
ワイン酵母と同様、パン酵母でも、おそらくは「酵母ごとに香りや味の成分のつくり方、あるいは、発酵力などが少しずつ違う」だろう。とすると、高橋氏が少しのイーストパンで存分に楽しめるとする「小麦本来の香り」は、本当に「小麦本来の香り」なのかどうか、疑問を感じてしまうのであった。
はてなブックマーク経由で、こんなエントリを拝見した。
「
kei999の日記 」さんの2009-04-04 付「
で夫から妻へのDVは「多発」してないの? 」
MSN産経の2009.4.4 19:54付記事『
「もっと働けクズ!」殴る蹴る 妻から夫へのDV多発 』;『東京都が男性からの相談内容を分析したところ、4割が女性から「暴力を受けた」と回答していることが4日、分かった』との記事を紹介してらして、
おぃ! 「配偶者暴力相談支援センター」だよ。 男性の配偶者は同性婚が禁じられた日本では女性だろうし、「暴力相談支援センター」だから暴力を受けて相談するのは当然だろうて。 相談件数は56件で、このうち22件(39・3%)が女性から「暴力を受けた」と回答。えーと、この数字で「妻から夫へのDV多発」と言うからには、夫から妻へのDVの件数を出して比較すればいいのに。 なぜ書かない?
と批判し、
MSN産経の2009.3.12 10:22付記事『
DV認知件数が過去最高 殺人も77件 』を引用して、
1年間で警察が認知したDV件数の被害の98・4%、2万4808人は女性だけど、これは「多発」じゃないんだ。 産経的に。
と、的確なツッコミを入れてらっしゃるエントリだ。
東京都の配偶者暴力相談支援センターに相談を寄せた男性の4割は暴力の被害相談というのが産経の報道だ。産経の報道では男性の被害内容は詳述されるが、残りの6割はどんな相談なのかが一切触れられていない。では、元情報を確認。
記事にあったキーワードで検索するとすぐにわかった。
「
東京ウィメンズプラザ:相談室案内 」からリンクが貼ってある「
東京都の配偶者等暴力対策 」のコンテンツ内に資料があった。どうやら2009年3月31日付で公開されたらしい「
「配偶者暴力被害の実態と関係機関の現状に関する調査報告書」について (Pdf) 」が、それ。
結論を先にあげると、東京都の配偶者暴力相談支援センターに相談を寄せた男性の内訳は、
相談者の60.7%が配偶者に暴力をふるったとしたとして、39.3%が配偶者から暴力を受けたとしている。
…なんのことはない
(という表現もなんだが…orz) 、
産経が触れない男性からの相談の過半数は、暴力を振るってしまうという相談 だったのだ。まぁ、もともと、東京ウィメンズプラザ「男性のための悩み相談」というのは「
配偶者やパートナーに暴力を振るってしまうあなた、ご相談下さい 」と呼びかけられているものなのだが。自分の加害を自覚して相談する男性が増えていること自体は希望がもてる進歩だと思える。
だが、ここでやはり気になるのは、「妻から夫へのDV多発」と報道する産経が触れようとしない、「夫から妻へのDV」が多発しているのかどうか。
まず、男性の被害を確認しておこう。上記の調査報告Pdfより、
3か月実施 調査数 56件 《主な調査結果》 ・相談者の年代は、40歳代が33.9%、30歳代が32.2% ・相談者の職業は46.4%が会社員等の正規職員で、自営業、無職がそれぞれ19.6%となっている。 ・相談者の結婚期間は38.3%が10年以上、17.0%が1年未満 ・相談者の60.7%が配偶者に暴力をふるったとしたとして、39.3%が配偶者から暴力を受けたとしている。
では、女性の電話相談の場合;
2か月間実施 調査数666件 《主な調査結果》 ・相談者の年代のうち30歳代が33.5%で最も多く、次いで40歳代が19.1% ・職業は無職(主婦を含む)が46.8%で最も多く、次いでパート・アルバイトが14.3% (中略) ・電話相談の内容としては、「どうしたら良いのかわからない」が35.3%と最も多く、「加害者と別れたい」が32.3%、「情報を提供して欲しい」が20.3% (複数回答)。
男性と女性の調査期間がそもそも違っているので1ヶ月あたりに直すと、男性の相談件数が19件弱、女性の相談件数が333件。相談件数のみを比べても、女性の方が17倍以上多い。男性の被害件数に限定すると22件/3ヶ月だから、女性の件数の方が45倍ほどあるようだ。
一方、MSN産経の『
DV認知件数が過去最高 殺人も77件 』では、全国における2008年度の話として
摘発は前年比4・4%増の1650件で、傷害871件、暴行504件の順に多く、殺人も77件あった。 被害者数は前年比20%増の2万5210人で、このうち女性は98・4%にあたる2万4808人に上った。
と、報じられており、「
「東京都配偶者暴力対策基本計画」本文 (Pdf) 」においては、
(1)配偶者暴力についての相談の状況 ①東京都 配偶者暴力相談支援センター ○ 平成19年度の相談件数の8,606件のうち、被害者本人からの相談は7,108件でした。内訳は、女性7,085件(99.7%)、男性23件(0.3%)となっています。(中略) 警視庁 ○ 警視庁の総合相談センターや警察署に寄せられた相談件数は、平成13年度の554件から平成19年度は2,118件と約3.8倍に増加しています。内訳は、女性2,083件(98.3%)、男性35件(1.7%)となっています。
去年の数字であったが、かなり一致する数字が出ているのだった。
「
「東京都配偶者暴力対策基本計画」本文 (Pdf) 」と、「
「配偶者暴力被害の実態と関係機関の現状に関する調査報告書」について (Pdf) 」の両方においてほぼ同内容で、被害女性との面接相談での調査結果(男性へからは電話相談のみ、先に引用したのは女性の電話相談分)が述べられているが、3か月間実施の調査数165件からは、
・相談者の42.4%が頻繁に、11.5%が月に1,2回程度暴力を受けている。 ・暴力により72.1%が打撲やあざができるなど身体的被害を受けたことがあり、84.2%が怯えやうつ状態、自己評価の低下などの精神的被害を受けたとしている(複数回答)。 ・相談者の57.6%がこれまでに医療機関を受診した経験があり、その50.5%が精神科、32.6%が整形外科を受診 (複数回答)。 ・相談者の75.2%に子供のおり、そのうち44.4%に夫等の相手から子供への暴力があり、そのうち67.3%が子供に対して身体的暴力を振るっている。 ・暴力から逃げられなかった理由としては、32.1%が「経済的な不安」をあげており、26.1%が「子供のためにひとり親は避けたい」としている(複数回答)。
…MSN産経の『
「もっと働けクズ!」殴る蹴る 妻から夫へのDV多発 』と報じられた記事では、パートナーの女性から受けた身体的暴力として、「殴る」7件、「蹴る」5件、「ものを投げつける」5件と実に具体的で、「などの回答もあった」として「凶器を突きつける」「首をしめる」とも言及する。
パートナーの女性から受けた精神的暴力として、「怒鳴る」12件、「脅す」12件、「外出制限」3件、「携帯電話のチェック」2件、「甲斐性なしと言う」2件と、これまた具体的に
一桁の数字まで もをあげ、『このほか「小遣いを渡さない」といった回答みられた』(原文まま)や、「ケースも確認されているという」として「『もっと働け、クズ』などと言葉による暴力を受けた」「殴られて肋骨を折った」「熱湯をかけられた」等、大変具体的だ。この調子なら、男性被害者からの相談で受診履歴や、被害があっても離れられない申告があったら取り上げる蓋然性が高いと思われるが、言及はない。
どうやら産経視点においては、「妻から夫へのDV多発」と題しつつ、反対方向の多発ぶりは見えないようだ。
暴力を振るう事は非難されるべきだ。
(産経が掘り下げる気は無さそうな) 男性被害者がDV被害を公的機関に相談しづらい背景もあるだろう。しかし、産経の報道姿勢は、男性がパートナーに振るう暴力をスルーして、女性がパートナーに振るう暴力をことさらに取り上げていると見なさざるを得ない。そこには女性がパートナーに振るう暴力をのみ問題視する視線があり、男性がパートナーに振るう暴力を無問題とする、非対象な視線があるだろう。
それこそがまさに、
「女性への暴力」 、あるいはジェンダーの問題としてのドメスティックバイオレンスが減らない温床ではなかったか。
一部では超有名出版社に成り上がったと思われる美健ガイド社だが、先日、こんなコンテンツを発掘(?)した。というか、美健ガイド社のトップページからリンクが貼ってあった。
「
脳毒ニュース 」
…(^^;
ここでは、三つの新聞(?)記事が紹介されており、うち二つは産経のもの。…なんか相性が良いのだろうか。
2009/02/27付の「『ホントは恐い携帯電話』 - 親の認識と実態には大きなギャップが!! - (外部サイトへ)」とあるのは、MSN産経の2009.2.25 23:45付記事『
中学生の2割“ケータイ漬け” メールは一日に50件以上、親は認識不足 』にリンクが貼ってあり、何故か記事タイトルが変わっているのが味わい深い。
2009/01/27付の「脳毒の汚染進行中・・・?(画像記事へ)」とあるのは、産経新聞報道の画像が貼ってあって、その報道タイトルは「ネットイジメ中3自殺」「バラエティーでセクハラ・いじめ助長 民報に『倫理』問う」。前者はとりわけ痛ましい記事だが、我田引水ぶりははなはだしいだろう…、というか「脳毒の汚染進行中・・・?」の「
? 」がどこぞのスポーツ紙のようである。
そして、2008/07/14付の画像記事に、今回注目した。
「杉本芳郎痩身美容教室」発行の会報「痩美」という発行物らしいのだが、なぜ美容教室が会報を出していてそれが美健ガイド社が入手してコンテンツにしているのか、実に謎めいている。そして、内容がすごかった。
感心したので、言論というかこういう発想もあるのかというサンプルとして、注目してみたくなったのだ。
この記事、タイトルが「
正しい知識が良薬 」とあって、静岡新聞2008/6/22付の朝刊に掲載された「静岡かがく特捜隊」の記事で「アイス食べて地球を救え! 温暖化や省エネ学ぶ」という記事をDisっているものだ。元記事が、ロッテの協力を得て「アイスは地球を救う」と題された「ふしぎかがく熟」とやらのイベントで「冷たいものを食べて体温を下げることが"省エネ”につながる」とやったのだそうな。夏に冷たいものを食べると体温が下がるのでエアコンは使わずにすむという結論に誘導するイベントだった模様。
…ロッテの協力だし
(笑) 、ちから技の結論に持って行ってる面がないわけでもないとは思うが、夏に冷たいものを食べて暑気払いという発想は、昔からある発想では無かろうか。王朝時代以来、
旧暦で水無月の朔(6月1日、新暦だと7月3日ぐらい?)を「氷の節句」として、御所などで「氷室」の氷を口にして暑気払いとした というぐらいだ。私にしても、エアコンの効いた部屋でアイスクリームやかき氷を食べるなどという寒い真似はする気になれない。しかし、この筆者氏は、こう評する。
一般の人の多数は、新聞やテレビを信じてしまうでしょう。このようなメディアが世界を狂わせてしまう事もしらないで。
王朝時代以来の習俗に倣った提案は、世界を狂わせてしまうものらしい。そして、サーモグラフィで体温を下がる様子を体験させるイベントであったと言及し、こう続ける。
確かに一時的に体温は下がります。しかし、子供達の体温が下がったままになったとしたら健康に、どんな影響があるのか子を持つ親なら誰でも理解できると思いますが、これがメディアの魔術です。
この筆者氏自身、
前段で体温が下がるのは一時的と書いている ので、体温が下がったままになったら大変なことになるのは無関係な話である。無理矢理に話をつなげて恣意的に誘導するメディアは、確かに恐ろしいと断言できるだろう。
次の段落は「体のしくみ」と題してある。なんだかしばらく蘊蓄が続くが、血液が高速で通る血管は高温になるそうな、そして
この高温で臓器を壊さないように、人間は体積の半分以上が水分で構成されています。 この水分が自動車のラジエーターのような役割をしています。
…原因と結果を取り違えているようなとか、摩擦熱を冷やすシステムとしては風冷式だって有り得るけどとか、目が泳ぐ記述が出現する。
そして、摩擦熱で上がる熱を冷やさなければ危険なのだそうだが、、、
人間の体は常に36度~37度の体温を保つように工夫されています。0度の水がコップ一杯、100g体内に入れば一時的に体温は下がるかもしれませんが、体は体温を36度~37度にもどさなければなりません。単純に計算すれば(中略)0度の水100gを36度にするのに3600カロリーの熱量を作り出します。
さっきまで、血管の摩擦熱を下げねばという話だったのだが、いかにして熱を作るかの話に変わっているようだ。そして、熱を作る出すのにインシュリンその他のホルモンがという話になった後、
子供に糖尿病が多くなったのも、お茶ばなれした、水しか飲まない、冷たいものを食べる食習慣も一因ではないのでしょうか。
…0度のお茶を飲んだところで、それを体温と同じにするには同じ熱量が必要ではなかろうか。お茶ならば大丈夫といわんばかりの見解は実に唐突である。そして、
インスリンで糖を熱量に変えたら、脳や臓器を守る水分である細胞液も熱を持ってしまいます。それでは脳や臓器を守れません。 だから水を飲めば飲むほど熱中症になりやすいという結論になります。
…そんな結論にはならない! 熱中症になるほどの「暑さ」にさらされている場合、発汗等で水分を放出することで体温を下げる。むしろ、
水分を補給しなければ脱水し、それが危険な状態になるのが熱中症 だ。もちろん、「水を飲めば飲むほど」良い訳ではない(塩分の含まれない水の吸収はあまり良くないし、うっかりしたら
水中毒 の怖れはある)が、この結論は有害なトンデモといえるだろう。
そして、さらにこう続く。
アイスを食べると水を飲みたくなることも、冷たい水を飲むと又、水を飲みたくなると言う事も、この熱くなった細胞液が水をほしがるのではないかと考えていただきたいと思います。
少なくとも私は冷たい水を飲むとさらに水を飲みたくなる事はないのだが、そっちはおいておいたとしても、アイスの後に水を飲みたくなるのは、甘すぎるからのどが渇く、、、浸透圧の問題なのでは無かろうか。
しかし、次の段落で「母心」と題して、稿は続く。
昔のお母さん
(でた(^^;) が子供を守るためにしたこととは梅干しを与える事なのだそうな。
土用干しと聞けば梅干しとわかると思います。(中略) 食塩は陽イオンのナトリウムと陰イオンの塩素から構成されています。プラスイオンとマイナスイオンの両方を持っている食塩は細胞液の中にイチ早く解け込みます。塩分を多く含んだ細胞液は、まわりの細胞液と塩分のバランスをとるために水をほしがります。塩分の多い食べ物を食べると咽が乾くと言われるのはそんな理由からではありませんか。
…蘊蓄はともかく、咽が渇くわけだが、水は飲んではいけないという話だったのではなかろうか。
腎臓の水分も塩分の多い細胞液にとられれるので、尿のでも悪くなるのではないでしょうか。
…夏の暑い時期の話という前提があった以上、汗をかいているだろう。そちらで水分を放出しているから、当然尿量は減る。そして、汗は書いているだろうから塩分補給はすべきなのだが、しかし、細胞液はともかく、本体の水補給はガン無視である。非常に危険な状況ではなかろうか。
しかし、
子供にアイスを食べさせるより、昔のお母さんが伝えたかった事を子供達に伝える事が本当の母の愛情ではないかと思います。
この辺しばらく、ひたすら母の愛のお話である。暑い時期に「水を飲めば飲むほど熱中症になりやすいという結論」つきで梅干しをくれるお母さんと、アイスとお水をくれるお母さん。この筆者氏は前者を愛情に満ちた母と評するのであろう。
そして、記事はこう締めくくられる。
正しい知識は薬になりますが、間違った知識は毒になる事もあります。愛する我が子のために親の正しい選択を期待します。
…実にもっともな意見である。この意見だけならね。
この「
脳毒ニュース 」は、
2009.04.01付の「美健ガイド社」ブログ によってこんな表現つきで紹介されていた。
要は、アイスを食べて、体温を下げたら、 エアコンなどを使わなくてすむので、エコになる、と。 まぁ、なんて、単純な…(笑)
ツッコミ略。
いやー、さすが、美健ガイド社。すごい。
杉本芳郎痩身美容教室やら「痩美」やらは、検索しても特にネットで活発に活動はしていないようだが、内容がすごかったのでお持ち帰りしてみたのだった。
結局、「脳毒ニュース」って、読んだら脳に毒が回りそうなニュースという意味なんだろうか?
オーストラリアでぴょんぴょん跳ねている動物の話ではない。
昨日付の
4月1日付のエントリ で、たとえ生の魚に
ビタミンB1破壊酵素が含まれていたところで、それが体内のビタミンB1を破壊して回るなんてあり得ない と断言してみた。
その後に
国立健康・栄養研究所 の
『「健康食品」の安全性・有効性情報』のビタミンB1の項目 にあったビタミンB1破壊酵素の記述を紹介してみた。該当部分を全文引用するとこうだ。
ビタミンB1を分解し生理活性を消失させてしまう酵素であるチアミナーゼ(アノイリナーゼともいいます)は、ハマグリ、アサリ、シジミなどの二枚貝、わらびやぜんまいなどの山菜、鯉や鮒などの淡水魚に含まれます。しかし、チアミナーゼは加熱することによって活性を失います。
…しかし、エントリを書いてしばらくしてからの私の脳裏に、ある記憶が蘇り、あれぇ~???となった。
なまじ、私には余計な情報がインプット済みであったのだ。
ワラビという植物は結構厄介で、中毒を起こすことがある。特に、放牧される家畜で。そして、牛や馬で問題視されるのだが、馬のワラビ中毒はこう伝えられている。
馬のワラビ中毒は、中毒を引き起こす成分が牛とは異なっており、ワラビ中のアノイリナーゼによって体内のビタミンB1が破壊されて、チアミン欠乏が起こることによって中毒症状が現れます。 症状として運動失調がみられ、末期にほ痙攣が認められることがあります。 かつて腰ふら病と呼はれていたこともありました。 治療にはビタミンBlの投与が行われます。
…あれぇ~???
ワラビ由来の
ビタミンB1破壊酵素が 、馬の
体内のビタミンB1を破壊して回っている ことになっている(^^;
でも、常識的に考えると、そんな馬鹿な話があるだろうとってなものである。
検索してみた。
馬のワラビ中毒の話として上記と同様の話がぞろぞろ引っかかってくるが、しかし。
畜産統合検索システム経由でこんな情報があった。
馬のワラビ中毒発病原因の一つとして、ワラビに含まれる耐熱性ビタミンB1分解因子(SF因子)の意義を知るため、乾燥ワラビの水浸出液を加熱してアノイリナーゼ(易熱性因子)を不活化した後 に馬に給与した。1頭には日量8.1g/kg、他の1頭には1.13g/kgを給与したところ、前者では29日間で腰痿症状、起立不能を伴うワラビ中毒の症状を発生 、後者は83日間に一過性の強拘歩様を示す にとどまった。両者ともに血中ビタミンB1と尿排泄ビタミンB1の著明な減少 と、血液の乳酸、血清のピルビン酸の増加が認められた。これらから馬ワラビ中毒の発病はアノイリナーゼだけでなく、SF因子によるビタミンB1分解作用も重要である。
熱処理で不活化したワラビ浸出液で、思いっきり中毒が発症しているのだから、加熱で活性を失うといわれているアノイリナーゼは関係ないのではないか?
最後の行の結論は、「アノイリナーゼだけでなく」は余分のような?
さらにこんな情報もあった。
ワラビは植物全体が有毒である。 ワラビの生育地にウマとウシとブタを放牧するとウマとウシは葉だけを,ブタは根茎だけを摂取するがいずれの動物種も中毒するといわれている。ワラビの有毒成分は乾燥によっても失われない。 チアミン不活化因子 我々がワラビを食べるときは十分に煮るが,それでも15g程度を食べると尿中のチアミン(ビタミンB1)排泄量が低下 する。試験管内でチアミン液にワラビのホモジェネートを加えるとチアミンは直ちに不活化される。 このチアミン不活化因子はウマやブタでのワラビ中毒の原因物質だと考えられている。我が国では腰ふら病とか築川病として古くからウマの中毒が知られているが,いずれもチアミン欠乏症である。(中略) ワラビのチアミン不活化因子は耐熱性 であり,電気泳動では酸性物質として行動する。ワラビの化学成分の研究ではチアミン不活化因子の主要成分は恐らくカフェイン酸(3,4-dihydroxy cinamic acid)であるらしい が,他のフェノール類にも同様な作用が認められている。 獣医学関係の文献の多くにはワラビにチアミン分解酵素(チアミナーゼ,アノイリナーゼ)が含まれると記載されているが多分誤り である。
…驚いたことに、獣医関係のWEBページではいまだに普通に書かれている「馬のワラビ中毒の原因は、ワラビに含まれるビタミンB1破壊酵素であるアノイリナーゼ」という情報は、間違いである可能性が高いようだ。それも、1980年代にすでに確認されていたらしい。
…ネコに生魚の話からすっかり逸れてしまったが、個人的に納得できて嬉しかったり^^
とりあえず、いくらエイプリルフールだって、ああいった内容で嘘を書いていたのでなくて良かったとも(^^;
以前にもエントリに書いた通り、うちのネコたちはドライのキャットフードを常食にしていない。坊っちゃんは猫缶に混ぜもの、お嬢様は肉類に混ぜものをした手作りのご飯を食べている。こういう食餌にした当初は、ネコにあわせた栄養が含まれている
(ことになっている) キャットフードじゃない食べ物で大丈夫だろうかと不安もあったが、実際にこういう食餌にして以来、体調はすこぶる良い。まぁ、人間様だって手作りご飯を食べているわけだし(笑)、基本的なポイントを押さえておけば、どうということはないものであるようだ。
なにより、ドライのカリカリ出しっぱなし時代よりもはるかに、ご飯のねだり方が熱心になったので、お世話係としてはこっちの方が楽しい(^^;
こういう時は目が輝いている ネコと暮らしているのは、生活を楽しくするため。なら、より楽しい方に流れるのは当然というもの^^
「こういう食餌しか駄目、それがネコのため」と肩肘張った食餌管理も必要な時や場合もあるし、以前は実行していたが、最近は、それで神経をすり減らさないでおこうと思うようになっている。もちろん、禁忌はさけるが。
そういえば、手作りご飯の導入を検討していた頃、あるいは導入当初、ネットで情報を集めていると、結構トンデモっぽい情報が出回っていて唖然としたものだ。
一番よく目についたのが、ネコに必須のアミノ酸であるタウリンが、
熱に弱い という情報。そんな馬鹿な(^^;と思って検索しても、その当時は見たページ見たページがことごとく、タウリンが熱に弱く加熱すると失われると書いてあったのだ。そして、あちこちのページを見て回るうちに、タウリンが熱に弱いと書いてあるページが、犬や猫の手作りご飯関連のWEBページであり、人間の栄養関係のWEBページだと水溶性なので茹でるとスープに溶け出して身に含まれるタウリン量が減るというような記述であるのを確認していた。
このエントリを書くにあたって検索してみると、上記に貼ったリンク以外にも「
タウリンは熱に弱く、加熱により約八割が失われる 」と書いてあるページもあるにはあったが、以前調べたときよりは少なくなっていた。推測だが、以前調べた時点では、わんにゃんのご飯関係に「タウリンが熱に弱い」と書いた先行のページがあって、後発の犬猫ご飯関係のWEBページ作者が倣ったのかもしれない。
…もちろん、
タウリンが熱に弱いなんてことはない 。
あるいは、ネコに危険な食べ物リストに生の魚が上がっていることもある。
生魚を定期的にあげるとビタミンB1欠乏症を起こしやすい なんておどろおどろしい話になっているのだが、うちの初代なんて、晩年には毎日のように、親たちからお刺身のお相伴にあずかっていたもんである(^^; もちろん、ビタミンB1欠乏症になっていたフシは全然無く、亡くなる直前まで元気いっぱいで坊っちゃんをいびっていた。
なんでそういう話になっているのかと見て回ると、
生の青背魚にはビタミンB1破壊酵素を含む とか、
生の魚介類の内臓にはビタミンB1を破壊するチアミナーゼという酵素が含まれている可能性がある とか、微妙に一致しない情報が多々拾える。また、俗に「ネコがイカを食べると腰を抜かすなんて話があるのは、イカに含まれるビタミンB1破壊酵素のせい」なんて話もあるようなのだが、これがまた、
猫がイカを食べると体内のビタミンB1が破壊され ビタミンB1欠乏症となることがある なんて、一体どういうメカニズムで???とツッコミを入れざるを得ないぐらいの無茶苦茶な話になっていたりもするようだ。
生魚危険説も、理屈付はこれと同様っぽい。
でもね。酵素を経口で摂取したら、大抵の酵素は消化の途中でタンパク分解酵素で分解されるから(^^; たとえ分解されなくても、酵素としての機能を保ったまま吸収されて血流に乗って体内各所に運ばれてビタミンB1を破壊して回るなんて、いくら何でも無理だから(^^;
最悪でも、生の魚と混ぜた素材なり、生の魚が消化管を通っている間はその回りにある消化物に含まれるビタミンB1が破壊されるだけだろう。魚を加熱したら大丈夫とも書いてあるが、
国立健康・栄養研究所 の
『「健康食品」の安全性・有効性情報』のビタミンB1の項目ではビタミンB1そのものが加熱に弱い と述べられている。非加熱だとチアミナーゼで破壊され、加熱されると熱で破壊されるビタミンB1…。どうやって摂取?と素朴な疑問が湧いてくる。そして、
国立健康・栄養研究所 の『「健康食品」の安全性・有効性情報』のビタミンB1の項目では、チアミナーゼは「ハマグリ、アサリ、シジミなどの二枚貝、わらびやぜんまいなどの山菜、鯉や鮒などの淡水魚」に含まれるのだそーだ。参考文献もひいてあるこっちの情報の方が確実だろう。
というわけで、この辺、百花繚乱のネット情報を細かく気にしても仕方なかろうと思っている。
そんなこんなの手作りご飯だが、完全手作り食を食されているお嬢様の場合は特に好みが色々と解ってくるので楽しい。タンパク源は、鶏肉だとはずれなく食べてくれる。腿や胸の筋肉でもそこそこ好きのようだが、砂肝の方が好きらしい。手羽先の指先も好き。
牛肉は、あまり好きではないらしい。以前、某所から取り寄せた大変美味しい赤身の牛ミンチをユッケにして食べようとしたら頂戴といわれて味付け前に少し取りのけて進呈したら、思いっきりネコマタギされてしくしく泣いた
(嘘) こともある。
豚肉は、前は好きではなかったようだが、最近はよく食べるようになった。そして何より、とにもかくにも、魚が好きらしい。
しかし、私が昔読んだネコの飼育書では、魚は野生時代のネコが食べていたはずはないので、本来の食性では食べない云々と書いてあったものである。なのに、ものすごく好きだとしか見えない。特に小鰺だとご飯コールに熱がこもる。
あるいは、人間用に鰺の干物なんて焼いたら大騒ぎして付きまとってくるので、ゆっくり食べることもできないやしない。はたまた、お刺身を買ってきたら、こんな顔をしてそばを離れない…。
おねだりの時はどうしてこう可愛くなるのやら(^^; …どうみても魚が好きそうなので、昔読んだネコ本の記述ってなんだったんだろうと思いつつ、今手元にあるネコのご飯本を読み直すとこんな一節があった。
日本のネコが魚が好きだということは誰も疑いませんが、欧米の動物の栄養学者はネコに魚はふさわしくないと固く信じています。北アフリカの乾燥地帯で生まれたネコに、魚との出会いはなかったというのが彼らの主張です。しかも、魚はネコの健康にとってトラブルの元だと信じて疑わない彼らは、けっしてネコに魚を食べさせることはないでしょう。
どうやら、私が昔読んだネコ本は、こういう背景でかかれた本だった様な気がする。
だが、この本は記述がこう続く。
古代ギリシャ人が残した当時の記録には、エジプトのネコなる動物はミルクとパンと魚を食べると書かれています。欧米の食文化の発祥地みたいなエジプトは、パンとワインとビールを作りました。ウシやヒツジを飼い、カモやハトなどの鳥を食べ、ナイルの魚を常食にしていました。ネコはバステト神として神になったときから、エジプト人の食べるものを食べてきました。神なる動物は神殿の奥深くに飼われ、ヒトの感覚で最高の食事を与えられていたのです。
なんだ、そんな昔から魚を食べていたことが示唆されるのか。
…しかし、ネコの扱いは昔も今も変わらんのなorz
その後、記述は、日本のネコが魚を食べる文化の中で暮らしてきたときて、こんな一節も。
魚を食べる文化の中にいてもイヌは魚が嫌いです。
そういえば、うちの亡きわんこも、うらやましそうな顔で見ているからと、親達は何度かお刺身を一切れあげていたことはあったが、、、毎度、結局もらったお刺身をもてあまして困った顔してなめるだけだった(だったら羨ましそうな顔をするな、というのも毎度のツッコミで(^^;)。うちの子だけが魚苦手なわけではなかったのは意外である。
お嬢様には、ほんの少しの分け前で勘弁してもらったのだが、
満足のポーズ どちらかというと、お裾分けされることに意義があるのかもしれない^^
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