国連人権理事会が9日からジュネーブで、普遍的定期検査で日本も含めて人権状況を審査している件について。日本の新聞社各紙が短い記事で報じている。
以下の列挙順は特に法則性はなく、たまたま取りかかった順。
毎日新聞 2008年5月10日18時57分付で、「
国連人権理事会:死刑執行停止を日本に求める」
読売新聞 2008年5月10日19時55分付で、「
国連の人権審査、日本の死刑増加に懸念表明相次ぐ」
日経ネット 2008年5月10日19時55分付で、「
国連人権理、日本に死刑廃止求める・定期審査で英仏など」
時事ドットコム 2008/05/10-06:36付で、「
従軍慰安婦問題への対処要請=国連人権理の対日審査で−北朝鮮など」
共同通信 2008/05/10 08:05付で、「
死刑廃止など要求相次ぐ 初の日本への国連人権審査」
報道において要請あるいは要求としてあげられた項目は、死刑制度についてと『従軍慰安婦」についてとに大別できるだろう。
各社の記事を、この項目に分けて抜き出してみると、
死刑制度について;
・英仏など欧州諸国は日本が死刑制度を存続させていることを批判(毎日)。
・10カ国以上が、昨年12月に国連総会で採択された死刑執行停止決議を受け入れるよう日本に求めた(毎日)。
・対日審査では42か国が発言を求め、特に欧州諸国から「最近、死刑執行が増加していることに強い懸念を覚える。死刑は非人道的だ」(ルクセンブルク代表)など、死刑制度の廃止を迫る声が相次いだ(読売)。
・昨年12月の国連総会で死刑執行の一時停止を加盟国に求める決議が採択されたにもかかわらず、日本での死刑執行が増えている状況を踏まえ、死刑制度廃止を訴える英仏などが説明を求めた(日経)。
・発言したのは42カ国。最も目立ったのは日本に死刑廃止を求める声で、フランス、オランダなど欧州諸国を中心に10カ国以上が要求。特に最近になって日本で死刑の執行、判決例が増加傾向にあることを懸念する国が多く、昨年12月の国連総会での死刑停止決議に基づいて死刑制度を「再考してほしい」(ポルトガル)などと迫った(共同)。
『従軍慰安婦』について;
・韓国と北朝鮮、オランダ、フランスの4カ国は、従軍慰安婦問題で日本政府が前向きな対応を取るよう求めた(毎日)。
・従軍慰安婦問題については、北朝鮮、フランス、オランダ、韓国の4か国が、日本政府の対応が補償などの面で不十分だと批判した(読売)。
・会合では、北朝鮮、韓国、フランス、オランダが旧日本軍による戦時中の従軍慰安婦の問題を提起し、日本政府に誠実な対応を求めた(時事)。
その他、導入部の説明とか、もろもろ;
毎日;「審査は国連加盟国すべてを対象に人権状況を調べる「普遍的審査」で、日本が対象になるのは初めて」人権理事会の普遍的定期審査が本格的に始まったのは今回から。「日本が対象になるのは初めて」なのは確かだけど何か焦点が変。
「死刑制度への批判に対し日本は「死刑制度は日本では世論の支持を受けている」などと反論した」
…その反論、何かまずくないか気になるのだが。「従軍慰安婦問題では、政府としても謝罪をしているという従来の立場を強調した。」
…反論するとしたら、それしか主張しようがないね。読売;「国連人権理事会で9日、日本を対象とする「普遍的定期審査(UPR)」が開かれ、死刑制度、従軍慰安婦問題などが人権侵害にあたるのではないかとの指摘が各国から相次いだ。」「UPRは、国連人権理事会が国連全192加盟国の人権状況を4年をかけて審査するという新しい制度で、今春から導入された。」
「中国は、日本の戦時中の問題には一切、言及しなかった。」
日経ネット;「国連人権理事会は9日、初の対日定期審査を実施した。国連加盟国による相互監視の枠組みに基づき、欧州を中心に12カ国が日本に死刑執行停止や死刑制度の廃止などを求めたほか、警察署の留置場を拘置所の代わりに使う代用監獄問題や従軍慰安婦問題などに関する日本政府の姿勢を問いただすなど、人権状況の改善を求めた。」「今年から始まった国連人権理の定期審査は4年に1回の頻度で全加盟国を対象に実施する制度。」
『日本政府は「国民世論の多数が極めて悪質な犯罪については死刑もやむを得ないと考えている」と指摘。』
…だからその反論、実際にそうらしいんだけど。悪質な犯罪が発生する(といっても、日本での発生件数とかも知られているだろうし)背景に思いをいたさない日本国民であるという認識が国際的に知れ渡ってしまうのはいかがなものかと…orz。『「国連総会決議の採択を受けて死刑執行の猶予、死刑の廃止を行うことは考えていない」との立場を表明した』「人権理は14日に今回の審査報告をまとめる。」
時事ドットコム;「国連人権理事会は9日、日本の人権保護状況を検証する作業部会を開いた。」『これに対し日本政府は、「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金、2007年に解散)を通じて元慰安婦への支援を行ったことなどを説明、理解を求めた。』時事ドットコムのみ、死刑問題に言及無し。
共同通信;「国連人権理事会は9日、全国連加盟国を対象に国内の人権状況を検証する普遍的審査で、初の対日作業部会を開いた。」「日本政府が存続方針を堅持している死刑の廃止や、従軍慰安婦問題への誠実な対応などを求める声が各国から続出。」「傍聴していた日弁連や非政府組織(NGO)の関係者らは「予想以上の成果」と評価している。」
ということで、『慰安婦』問題のみを報じた時事を例外として、各社、死刑制度への批判に重点を置いた報道だった。朝日と産経では、この件の報道が現時点では見つけられない。どうしたのだろう?
そして、外電もチェックして、日本紙とは重心の違う記事をお持ち帰り。
連合ニュース 2008.05.09 20:01:59付より、
「
선진국 스위스 인권분야에선 '후진국' 질타] (韓国と北朝鮮、国連で日本の「慰安婦」と歴史歪曲を詰問)」
日本の報道が軽くすまそうとした焦点に言及されているようなので、自動翻訳でおおまかに読んでみる。
韓国と北朝鮮は、9日、ジュネーブの国連欧州本部で実施された普遍的定期検査(UPR)作業部会で、日本に対して『軍慰安婦』、在日朝鮮人差別、歴史歪曲問題を問い詰めた。政府代表であるイムフンミン・ジュネーブ駐在代表部参事官は、この日の午後のUPR会議での質問にて「かねてより国連の人権機関等が、第二次世界大戦中の「慰安婦」問題に憂慮を表明してきたにも関わらず、日本政府がこの問題をきちんと解決しないため、日本にこの問題に向き合うように勧告してきた」と明らかにした。
イム参事官は、「我々は、そういった勧告に日本政府が誠実に対応することを促しながら、これと関連した将来の行動計画や、それのみならず勧告履行の現状を詳細に説明することを要請する」と付け加えた。
彼はまた、「日本国内に、特に韓国人少数者を含んだ三つの集団に対する人種差別と嫌悪が存在するとした、2005年の人種主義特別報告官の結論(引用者注;内容から判断すると2001年の国連・人種差別撤廃委員会特別報告官「最終所見」の事か)を憂慮を以て注目する」としながら「少数民族に対する差別をなくして、彼らの権利と利益を増進するために日本が追加的な努力をはらうことを待ちこがれる」と語った。
日本の歴史教科書歪曲問題と関連して、彼は「日本の正確な歴史教育は、隣国らとの未来指向的な関係らを固めていく上で、重要な要素であるために、その重要性を強調するつもりだ」と付け加えた。
北朝鮮代表の、チェ・ミョンナム駐ジュネーブ代表部参事も、「日帝下軍隊慰安婦問題」と関連して「相変らず解決されないまま残っている」としながら「我々は、性奴隷制度問題を初めとして、過去の朝鮮などの各国で日本が行い、今も解決されていない人権蹂躙事件をきちんと生産する措置を執ることを勧告する」と主張した。
チェ参事はまた、「在日朝鮮人らに対する全ての差別を撤廃する措置を取りなさい」と語り、「歴史歪曲は、過去の人権蹂躙に対する清算の意思がなく、その再発の可能性が疑われる危険な行為であるのだから、これを取り除くための措置を即時に行うことを日本に勧告する」と付け加えた。
これと関連して、中国代表は発言を通じて「数々の歴史問題」に関する日本側の誠実な対応を要請した。
これに先立って、日本首席代表のアキモト・ヨシタカ外務省国連担当大使は基調演説を通じ、「日本には、相変らず人権問題に不足した点があることを認め、これからより一層努力するだろう」と語り、「世界化などにより新しく提起されるグローバルな人権問題に対しても国連などと共に努力していく」と明らかにした。
この他にも、30あまりの理事国とオブザーバー国は、質問を通じ、死刑制度廃止、移住労働者の権利、人身売買、少数民族の権利、外国人拘禁および差別などの、核心的な人権における懸案に関し日本政府の対策を詰問した。
…日本で報道されているより、随分といろいろ、尋ねられたようだ。
参考;
レイバーネットニュースより「
国連人権理事会で日本の人権状況が審査!」