そして、
謎の釈明をしてブログ記事を書き始めるのが流行り、という訳でもないはずですが(^^;
大喜利の御題みたいなものですかね(激違)。
捜し物をしていて迷い込んで、興味深い話を拾ってきました。
東京は銀座で最新のメンタルヘルス・医療を提供するクリニックを運営しているというT医師(リンク先にお名前は出ているが、ここでは頭文字で言及させていただくこととする)によるコラムの一つで
『
異性からの嫌がらせ~セクハラ (1)』。
…はい、ここで確認しておきますが「
異性」からですね。
では本文から引用。
(略)
セクハラ、セクシャルハラスメントとは職場や学校などにおいて、相手の意思に反し、性的な言葉や行為を行い、不快な心理に陥らせることを言います。多くは男性上司から女性部下に対して行われます。直接的に性的な発言や行動を起こすものから、間接的に人事や環境に影響をもたらすものまで、その範囲や程度は多岐に及びます。
…まぁ、この辺りは大抵、セクシャルハラスメントに言及している文章に共通のものだろうと思います。簡単ではあるものの、
性的言動or性的嫌がらせ、環境型、対価型、ジェンダー・ハラスメント、二次被害を網羅した表現であると、とることは出来るでしょう。「多くは男性上司から女性部下に対して行われます」は微妙に気になるけど、多くの例がそうであっても、そうじゃない例がある前提は入っているので、まぁ。
部下である女性は不快に感じながらも、上司である男性に対して強く反抗することできず、我慢していることが大半です。パワハラ同様、かつての日本の封建的・男性中心な職場では日常茶飯事、行われていたようですが、昨今、国際的な男女平等の社会を向かえ、問題行為として改めて取沙汰されるようになっています。
(強調箇所は原文まま)…なんか微妙な文になってきました。「日常茶飯事、行われていたようですが」に、なんとも言えない味があるのですが、それよりも「国際的な男女平等の社会を向かえ」たから、問題行為として取沙汰されるんですかそうですか。。。
そして、T医師は続きの『
異性からの嫌がらせ~セクハラ (2)』で「驚くべきことは」と前置きして、セクハラ事件が「世間で言われる有名企業や有名大学でも」生じていて、被害者は女子社員や女子学生、加害者は業務において「誇り高い業績を挙げていた」有能な人物である場合が少なくない幹部社員や指導教授であり、事例化前には注意や警告もあったのにと言及して、さらにこう続けているのです。
(この箇所、強調は引用者による)
これは男性の性衝動というものが高度な理性的思考によっても抑制されがたいことの一つの証左であると考えられます。
えーっと(^^;
やはり、管理が必要な危険な動物なんでしょうか?
男性の性衝動は男性ホルモン、アンドロゲン~テストステロンに強く影響されますが、積極的・攻撃的な行動をはじめ、支配欲や征服欲もこの男性ホルモンに左右されるところが少なくないと考えられています。従って、積極的で支配欲も強い社会的地位のある男性が、ともすると自分の立場も省みず、配下の女性に対して嫌がらせとなる性的な言動を取ってしまうのでしょう。
(この箇所も強調は引用者による)えーっと(^^;
「考えられています」って断言があるけど、引用文献が見当たりません。それに、フェミニズムの書籍では「レイプは性欲よりも、支配欲・征服欲の問題」という認識がすでに共通理解のようなので、性衝動と支配欲や征服欲を同根のものとして語る、この文章はなんか変なんですけど。
というか、そもそも御自身でこのシリーズの最初に定義づけたセクシャルハラスメントでは、性衝動によって行動した結果の問題だけに限定されない話だったはずでは。
「英雄、色を好む」という文句もありますが、しかし本当に有能で信頼される男性ならば、部下の女性の立場や心境を十分に考えて言動しなければなりません。
…こういう話に限定するにしても。
たしか「高度な理性的思考によっても抑制されがたい」「男性の性衝動」と、、、つまり
「十分に考えて」も抑制されがたいと、既に記述があったような気がするのですが。
続きの『
異性からの嫌がらせ~セクハラ (3)』では、
男性上司から性的に不快な言動をされたり、職務や人事で差別されたりと被害の状況は様々であります。皆様方、心が深く傷ついていらっしゃり、眠れなくなったり、悪い夢を見るようになったりされています。
(中略)
このような場合には、ある程度、気持ちが落ち着いてから、事態を冷静に省みて、ご自身には然程の非はなく、悪いのは相手の上司であると改めて自覚することが必要です。
(中略)
クリニックでは職場や学校のセクハラに悩み、心傷つかれていられる方々のお気持ちに寄り添いながら、適切な医療的援助をご提供してまいります。どうぞお気軽にご相談して下さい。
(強調箇所は原文まま)…………然程? さほど? ???
ちなみに、他もちょっと覗いてみると。
『
美しさと自分らしさ~摂食障害 (2)』より、
女性は思春期になると自分の容姿に強い関心を持つようになります。「綺麗になりたい、美しくなりたい」という願いは古今東西、共通しており、女性の本能とも言えるでしょう。年頃になり異性からの関心を集め、自分の中でも自信を確かにするために必要な価値観と言えるかもしれません。
(この箇所、強調は引用者による)…古今東西で共通していると、本能といえちゃうんですか…orz
取り上げたコラムでは、最初に『異性からの嫌がらせ~セクハラ』とタイトルにあるわけですが、「
雇用の分野における男女の均等な機会および待遇の確保等に関する法律」(俗に、セクハラ防止法)には、「第二節 事業主の講ずべき措置 第十一条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。 」とあり、第九条 (婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等)と違って、被害者(もちろん加害者も)の性別は限定されていないはず。
もちろん、女性から女性へのセクハラもあるし(
これとか、
お茶の水女子大ジェンダー研究センターの
セクシュアル・ハラスメントの実態と指針検証PDFとか)、男性が被害者の場合(
大阪府総合労働事務所・職場のセクシュアルハラスメントの内容(PDF), P.2からの引用)だと、
男性がセクシュアルハラスメントの被害を受けた場合は、「男にとってはたいしたことではない」「男のくせにふがいない」などの固定的な男性観から、問題そのものを訴えにくいという潜在化や、被害を訴えても取り合ってもらえないなどの二次被害が起こっているといわれています。
ということで。
多分、このクリニックは相談者の性別にかかわらず、セクシャルハラスメント被害関連の相談は、(無自覚に)苦手なんじゃないかと思われたのでした。
参考にしている情報いろいろ
・「
macska dot org in exile」さんの「
セクシュアルハラスメントの動機は性的興味ではない、という話」
まず第一の調査では「女らしい」女性よりも「女らしくない/男っぽい」性格の女性がよりセクハラの被害を受けやすいことが示され、第二の調査ではその結果が「女らしくない」女性が「女らしい」女性に比べてよりセクハラに過敏だからであるという可能性が否定されている。
第三の調査では、女性が多数の職場に比べて男性が多数の職場においてよりセクハラの被害が頻繁であることが報告され、中でも「男性が多数の職場で働く、性格が女らしくない女性」が最も多く被害を受けているとされる。男性が多数の職場とは、すなわち伝統的に男性の役割とされていた職種だから、これらの結果は共通して「職種や性格において、男性の領域に踏み入れた女性の方が、より伝統的な女性の役割にとどまる女性よりも、セクハラの被害を受けやすい」ということを指し示す。
『「女らしくない」女性』がより「支配欲・征服欲」を刺激しがちであるという解釈はあるかもしれないが、しかし、この調査結果はセクシャルハラスメントが「性衝動」によるものであることは支持しないものだろう。
・「
Imaginary Lines」さんの「
想像できる(できる気になる)ということ」
セクハラオヤジが共感するのはあくまでもセクハラオヤジだ、という理由によるのだろうと思う。つまり、「自分の妻や恋人や娘が~」という言い方をされて初めて自分の行為の問題に気づくような人間の想像力がおよぶ範囲というのはせいぜい「自分の妻や恋人や娘に手を出されちゃった男」の悔しさとか情けなさまでであって、セクハラされた「自分の妻や恋人や娘」の悲しさや悔しさではないのではないかと思う
bluepink氏のコメントより『つまりその文句を「大事な人」ととるような人は女性への共感能力はあるから初めからセクハラなんかやんないし、セクハラやるような奴は「所有物」と考えてるからほとんど効果がない、ということですよね。』
・
大阪府総合労働事務所・職場のセクシュアルハラスメント防止マニュアル・
横浜国立大学の「調査対象者のセクシュアル・ハラスメントに関する認識」「男女とも関心がある者の方が「敏感になりすぎている」と回答する割合は小さい。しかし、その差は男性が4.8%ポイントなのに対して、女性は12%ポイントもあった。セクシュアル・ハラスメントに関心がある女性は、むしろ「意識もまだまだだし、もっと取り組みがなされるべき」と考えているものが多い。
このように、セクシュアル・ハラスメントに関心がない者ほど「過敏になりすぎている」と感じる割合が高く、とりわけ女性についてはこうしたギャップが大きいようだ。」
・
名古屋大学の「セクハラの傾向と事例」・
大阪大学の「「大学におけるセクシュアル・ハラスメントに関するアンケート」のまとめ「学部の女子学生の数が一番多く、女子院生がそれに次ぎますが、学部の男子学生からの回収が極端に少ないのが特徴的です。」
・
東京大学 [キャンパスマナー・相談]ハラスメント防止「個人の尊厳を深く傷つけるセクシュアル・ハラスメントは、人格権の侵害である。」
・
金城学院大学セクシュアル・ハラスメントの防止と対応に関するガイドライン。「セクシュアル・ハラスメントとは、立場の優位や力関係を利用して行われる、相手を不快にする性的な言動で、相手の学習・研究・労働環境を損なうものをいいます。」「行為者がどんなつもりであったかは、要件ではありません。相手が明確に拒否の意思を表示しないことは、相手が不快でない、望んでいるということではありません。」
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