春と言えば入学だの就職だのの季節ではあるが、私自身も東京で職に就いたのは春だった
。 私が準備段階(笑)を終えて求職活動をした時、属する業界は供給過多で需要過小の、弱肉強食と表現すると語弊があるが、厳しい生存競争に晒されたジャングルのような気分に浸れる世界だった。ちなみに今現在だと、さらに状況は悪化しているようではある。
当然のように、実家の近くで職を得るなんて無理なのは解っていた、、、どころか、私自身が親からの影響を脱したかった事もあり積極的に遠くの就職地を求めたので、東京にきたのはある意味で必然だったのかもしれない。
とはいえ、大阪生まれの大阪育ちのものにとって、東京は文化的な異境の地という先入観は根強かった。
非常に大げさな表現だと感じる向きはあるかもしれないが、たとえば子供の頃、一族の集まる時には親類の叔父さんが「東京見せたろか?」と訊いてきたりする。
うっかり「うん」と言うと大変だ。子供(私とか他の犠牲者)の頭、、、耳の上ぐらいを叔父さんが両手の平ではさんで持ち上げて「東京見えたか~」とやるのである。もちろん痛い(笑)。あわてて「見えた。見えたっ!」といって下ろしてもらう。
あるいは、子供の頃、テレビで聞きかじった江戸っ子でしゃべると
(こういう場合はお江戸の言い回しなりイントネーションといった意味で使っている、Japaneseが日本人であったり日本語であったりするのと同じ使い方なのが面白いような)、親から「江戸っ子の真似すんなっ」と怒られるのである。または、テレビの全国放送で東京の事件の報道が多かったりすると「江戸のことばっかり」と、親が怒り出していたり
(我が子が東京住まいになった今になってようやく、何故、全国放送で東京への言及が多いかを理解していることだろう)。
そんな私が、東京にて就職活動をすることになった。書類選考で残り、面接の第一次でも好印象だったらしい
(猫をかぶるのは得意だ)。
そして、再度、就職希望組織の理事、、、70歳過ぎと前の
古狸温厚な紳士、お二方との面接があった。
面接といってもかなり雑談モードではあり、私もそういうのでいちいち緊張しないので、普通に受け答えをしていたものだ。
ただし、途中でそれらしい質問はあるにはあったか。
理事の質問;「なぜ、当方へ(求職の)
応募をしようと思ったんですか?」
私の答;「
募集をしていたからです(きっぱり)」
…なぜか理事が黙ってしまい、数秒、沈黙が訪れた。。。
その間、私は「募集がなきゃ応募するわけないのに、ぼけた質問だなぁ。ご老体だから仕方ないのかな?」と失礼極まりないことを考えていたものだ。「こちら様の運営理念に心が震えました」とでも答えるべきであったかと気がついたのは、帰りの新幹線の中でのことである。
あるいは。
理事の質問;「東京は物価が高いけど、大丈夫ですか?」
私の答;「
(内心の声;そんなん言われたってしゃぁないやん)他に就職口がなければ頑張れます(断言)」
…やっぱり沈黙が訪れた。。。
それでも、採用されるときは採用されるものである。もっとも、上記の回答例は面接時の模範としてはお薦めしない。
そうして、東京に就職・引っ越しをすることになった。
すると、幼い時に東京住まいを経験している友人が忠告してくれた。「あっち行ったら、大阪弁、使ったらあかんで。絶対いじめられるし。」転校先の関東の学校でそういう経験をしたらしい。
あるいは「東京の人はぼけてもつっこんでくれへんから、会話でめっちゃ寂しい思いするらしいで」というのも、友人連中で普通に共通認識としてもっていた。さらには、大阪から関東へ移住した人が公開している「
渾身のギャグがウケ無かったばっかりに人身事故が発生した」という話も知っていた。
だから、会話の掛け合いは期待しない、とか、ついうっかり口から出た冗談に誰も受けてくれない寂しい思いに耐える覚悟とか固めつつ、東京に来たものである。
それなのに。
おかしい。ここは本当に東京か?
私の勤務先ときたら、
私にイナゴを食わそうとしたオッサンを筆頭に、ちょっとぼけると周囲から一斉にツッコミが入ったり、その他いろいろ(<-何かいじられたらしい)。
さらにその上、ネットで遊びに行く先の
道場の師匠も東京のお方だという話だ。
人づての話というのはアテにならないものだと、しみじみ思ったのであった。
ところで、このエントリ、何を書こうと思って書き始めたんだっけ?
そういえば、撮っておいた椿の写真をネタに「花のお江戸」路線の話をの筈だったのだけど、完全に脱線してしまった。当初考えていたエントリタイトルのままで公開しちゃうけど(笑)。
仕方ないので、椿の写真だけでも。

「花のお江戸」は、その通りなのか凝った品種らしき椿がよく街角に植えられている。

椿の園芸品種は、江戸時代に参勤交代などで地方品種が江戸に流入したこと等が原因で爆発的に増えた(江戸期の作出品種が約1500、平成7年時点の日本の椿品種は2000余り、注の文献より)そうだが、その流れがいまだに残っているのかな、と想像してみたり。
なぜか私は椿の花が好きで、大阪にいた頃も
服部緑地都市緑化植物園を、シーズンにはよく見に行ったもの(こちらでは
フォトアルバムを公開してくれている人も)。椿は、なかなか自分で品種をそろえられないから、他人様の植えているのを鑑賞させていただくに限る(^^;
注;「日本人が作り出した動植物」日本人が作りだした動植物企画委員会著、裳華房発行
おまけ

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