「
近年明らかになった事実や新証言をもとに」の部分。
その根拠とされた
書籍;『沖縄戦と民衆』の著者である林博史氏が自サイトにあげている記事を抜粋引用する。
(強調は引用者による、以下も同じく)(略)
複数の教科書執筆者の話によると、この席で文科省の調査官は、「最新の成果といっていい林博史先生の『沖縄戦と民衆』を見ても、軍の命令があったというような記述はない」などを私の著書『沖縄戦と民衆』を例に挙げて、日本軍の強制を削除させる根拠にしたという。執筆者たちは結局、その場で検定意見を受け入れざるを得なかった。そこであくまで拒否すれば検定不合格となり、教科書作成のそれまでの努力がふいになるからである。ある執筆者は帰宅後、私のその著書を取り出してみたところ、「いずれも日本軍の強制と誘導が大きな役割を果たしており」「日本軍の存在が決定的な役割を果たしている」という結論であることを確認し、「無念」の思いにとらわれたと語っている。(中略)「「集団自決」は文字どおりの「自決」ではなく、日本軍による強制と誘導によるものであることは、「集団自決」が起こらなかったところと比較したとき、いっそう明確になる」と断言しているのである。
渡嘉敷島や座間味島については、この間、新しい証言が次々に出てきており、私の著書の記述を書き改めなければならないと痛感しているが、しかし日本軍の強制と誘導が「集団自決」を引き起こしたことは、それまでに明らかにされていた証言などからも明白であり、私の著書のみならず沖縄戦に関するすべての研究が同じ結論に達していたものだった。
(『沖縄タイムス』2007年10月6日7日「教科書検定への異議 文科省の意見撤回を」初出)
…産経記者の嘘つき。
ちなみに、林先生が
トップページには、以下のような文章を載せてらっしゃってて、印象深かったのでご紹介;
(略)県民大会に連帯するプレ集会@首都圏が27日に開かれ、私もそこで少し話をしました。その内容を報道した記事を紹介(引用者注;この紹介記事はリンク先にてどうぞ)します。「朝日新聞」などはまったく無視したようですが。「琉球新報」は見出しに私の名前を挙げています。「不快感」というレベルではなく、「激怒」と書いてもらってもよかったのですが。
『
「軍が命令したかどうかは明らかといえない」と指摘したにすぎず』の部分。
沖縄タイムス連載「消される事実・教科書検定と沖縄戦」「
あいまいな根拠(6月17日朝刊総合1面)」の冒頭部分より、
「軍からの強制力が働いたと受け止められる記述は困る」。二〇〇六年十二月、東京・丸の内の文部科学省の会議室。文科省職員の教科書調査官が口を開いた。向かいには、呼び出しを受けた高校の日本史教科書の執筆者と教科書会社の編集者ら数人がいた。
…教科書調査官は「広義の強制」記述も阻止したいと、相手に受け取らせる発言をしている。
惨型記事はツッコミどころ満載なので、後はここでも。
また、泣き声で米軍に見つからないよう、「日本軍により幼児が殺された」とする教科書記述にも異説がある。
匿名を条件に取材に応じたある地方議員は「老人会でのひそひそ話に耳を疑ったことがある。子供が軍命令で殺されたとして遺族年金をもらっている人について『あの人、本当は自分で殺したんだよね』と話し合っていた」と語る。
…まず肝心な点をまた、林先生の文章をお借りして指摘する。
(略)
「つくる会」や文科省のやり方は、全体的な状況を一切捨象して、当日、直接の軍命令があったかどうかだけに争点を絞り、そこを否定することによって、皇軍の名誉回復、さらには沖縄戦における日本軍の加害行為、沖縄戦自体が沖縄住民を犠牲にするものだったことを否定しようとするものである。こうした方法は、南京事件でも「慰安婦」問題でもとられている常套手段である。(後略)
(
『歴史学研究』2007年9月号 『沖縄戦「集団自決」への教科書検定』初出、この文章は経緯が大変わかりやすくまとまっているので、是非全文をどうぞ)
という訳で、一例がたとえそうであったところで、沖縄戦全体の強制集団自決を否定できないのだが、一応この文章を引用しておく。
沖縄タイムス2007年9月23日朝刊1面より「
『集団自決』直後を記録 米軍の公文書発見」より、
慶良間諸島の「集団自決(強制集団死)」直後の状況を記録した文書を、林博史・関東学院大学教授が二十二日までに、米国立公文書館で発見した。(中略)文書は慶良間諸島に上陸した米軍の作戦報告や部隊日誌など九ページ。(中略)慶留間島を攻撃した米軍の野砲第三〇四大隊部隊の日誌では、一九四五年三月二十六日午後十二時半に上陸完了、午後四時から民間人を収容し始めた。午後五時に「幾人かの民間人は自決した」と「集団自決」を記録。「彼らは、アメリカ軍が彼らの妻や娘たちをもてあそび、男たちに拷問を加えることを恐れていた」と、恐怖が刷り込まれていたことを記している。 翌二十七日午後三時には、十二人が「集団自決」したガマで救助された二歳ぐらいの女児の記述がある。「女性や子どもたちはひもで首を絞められ、一人の年とった男はできそこないのやりの上に倒れることによってハラキリを行った(中略)子どもは首を絞められていたが、まだ生きていた。大隊の軍医が、その子の首のひもで作られたひどい火傷を治療した」(後略)
…ガマに隠れている時に、遺族年金をもらうために身内である二歳の子の首を絞めるとでも思うのか?
で、証言と公文書と、どっちに重きを置く価値観でいらっしゃいましたっけ?
おまけ、本日拾った経緯;
沖縄タイムス2007年10月16日(火) 夕刊1面 より「
『要請を実現したい』/細田幹事長代理前向き」より、
自民党の細田博之幹事長代理(元官房長官)は十六日午前、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した高校歴史教科書の検定問題への対応について、「本道に戻したい。(県民大会実行委員会の)要請内容を実現したいと思っている」と述べ、検定意見撤回や記述の回復に積極的に取り組む考えを示した。(後略)
琉球新報10/16 16:03より「
教科書検定問題 全国婦人協が決議」「全国47都道府県の婦人会で組織し、会員数は約350万人」という、全国地域婦人団体連絡協議会が「第55回全国地域婦人団体研究大会」最終日に「悲惨な沖縄戦における真実がゆがめられることのないよう、関係機関に要請していく」などの文言を盛り込んだ大会宣言決議案を満場一致で採択したとのこと。
琉球新報10/16 16:02より「
『集団自決』検定 小沢氏、国会決議を指示」
(略)
要請団との面会を前に、党内で事前協議した際、小沢代表は国会決議に言及。川内議員に「政府、文科省と闘うように。(意見が割れている)党内を説得してまとめてこい」と指示した。川内議員は、検定問題では民主党の決議文案を作成するなど、党内で中心的役割を担っている。(中略)民主党内の一部議員が「政治介入すべきでない」と反対したり、同党の西岡武夫参院議運委員長が「全会一致が望ましい」と否定的な発言をするなど、議論は棚上げの状況にある。(中略)小沢代表はその後、県民大会実行委員会メンバーと面会。要請書を手渡した仲里利信委員長(県議会議長)らに対し、「文科省は教科用図書検定調査審議会を隠れみのにしている。軍の関与があったことは明らかだ。歴史の事実がねじ曲げられた」と政府の姿勢を批判。「おかしな検定であるという認識は、党内で一致している。政府、文科省と闘っていく」と述べた。
…今度はへたれないで頑張ってください。
琉球新報10/16 16:04より「
仲井真知事 九州知事会に決議案提出へ」
(略)
仲井真弘多知事は18日に那覇市内で開催される九州地方知事会(会長・金子原二郎長崎県知事)に、県の教科書検定に関する要望に真摯(しんし)に対応するよう国に求める決議案を提案することを16日までに決めた。同案は全会一致で可決される見込み。(後略)
なお、
沖縄戦時下、日本軍の軍命・強制・誘導で起きた「集団自決」。生き残った人たち、命を語る言葉に耳を傾ける。
の沖縄タイムスの連載『命語い(ぬちがたい)』こちらから。あるいは、生存者の証言録が読める
連載『教科書改ざん ただす』はこちらから。これを読んで、産経記事のような文章を書ける人がいるのだろう
か…