例えば、
2008年の洞爺湖サミットのコンセプトの一つは「【環境との共生】 環境重視の日本を世界にアピール」なんだそうだし、
与党の掲げるお約束(リンク先はクリックしない方がいいです)には「国際社会において、環境外交を戦略的に展開する」やら「美しい郷土をつくる」やらある訳なので。
当然、こういう意見書には真摯に対応するんですよね。
日本自然保護協会 は9/20に、アメリカ軍普天間飛行場代替施設に関する環境影響評価(アセスメント)方法書の撤回を求める意見書を沖縄防衛局の鎌田昭良局長に送付したとのこと。
報道は、沖縄タイムズ2007年9月21日(金) 朝刊 26面「
自然保護協が撤回要求/『普天間』代替アセス方法書」、琉球新報9/21 9:36付「
方法書、撤回求める 日本自然保護協会」、毎日新聞2007年9月20日 18時47分付「
普天間移設:日本自然保護協会が環境影響評価で意見書」あたり。
内容はどの報道も似たり寄ったりですが、琉球新報の出だしが簡潔かな。
米軍普天間飛行場代替施設の環境影響評価(アセスメント)の方法書に関し、日本自然保護協会は20日、IUCN(国際自然保護連合)の勧告(2004年)で求められている複数の代替案の検討が行われていないことなどから必要な要件を欠いているとして、方法書の撤回と位置選定を含めた手続きのやり直しを求める意見書を沖縄防衛局に送付した。協会理事の吉田正人江戸川大教授は同日、環境省で会見を開き「このまま調査を進めれば辺野古に生息するジュゴンなど希少生物への影響が過小に評価される恐れがある」と述べ方法書の撤回を強く求めた(後略)。
短い報道では、意見書の指摘点が細切れなので原文を拾ってきました。
以下、「
普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価方法書に対する環境保全の見地からの意見書 」の前置き
(強調は引用者による、以降も同じく);
普天間飛行場代替施設建設事業の見直しを求めるため、日本自然保護協会は、2002 年から、市民参加による海草藻場モニタリング調査「ジャングサウォッチ」を沖縄島北部東海岸、辺野古・嘉陽で実施してきた。また、2005 年以降、『V字形滑走路案』によって新たに埋め立て予定地とされている大浦湾でも現地調査を行ってきた。このたび、普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価方法書について、これまでの知見に基づき、環境保全の見地から次のとおり意見を述べる。
本方法書を、自然保護・生物多様性保全の観点から点検・評価した結果、以下のような問題点があることから、環境影響評価方法書の必要要件を欠いていると判断する。また、1999年12月28日閣議決定による普天間飛行場代替施設建設事業に関し縦覧された方法書(本年 8月7日付で廃止)に対し、当協会を含め多くの意見が寄せられたにも関わらず、それらがほとんど反映されていない内容となっている。
このため、本方法書を撤回し、再度、位置選定を含めた手続きをやり直すよう強く求める。
そして挙げられている問題点が、
1. 環境影響評価法施行以来初めて、地元自治体による方法書受領拒否という異常事態の中で手続きが進められていること。また本事業が、地元住民のみならず全国的にも注目を集めているにも関わらず、方法書の縦覧方法が極めて閉鎖的であること。
2. 本事業が、サンゴ礁域に計画されていること自体が生物多様性及び自然環境保全上根本的な問題であり、また、IUCN(国際自然保護連合)の第3回世界自然保護会議勧告で、環境アセスメントではゼロ・オプションを含む複数の代替案の検討が求められているにも関わらず、「辺野古ありき」で手続きが進み、国際水準である「計画アセスメント」になっていないこと。
3. 方法書では、地域の環境特性、事業特性等から保全上重要な環境要素は何か、どのような影響が問題になるのか等について、十分検討した結果を記載しなければならないのにも関わらず、本方法書では、影響要因の欠落や不明瞭な前提が散見されることから、方法書としての要件を満たしていないこと。
4. 生物群集に関する個々の内容、調査項目については、共通して以下の点に問題があること。
(1) 不十分な既存の調査結果・文献に関する調査
(2) 調査手法の不適切な選択
(3) 調査頻度の問題(時期、期間、回数)
(4) 調査地点の問題(密度、予測される生態系の空間構造との関係)
(5) 生物群集と周辺の物理化学的環境との関係に関わる評価の欠落
5. 辺野古海域の生態系に与える影響については、以下の点で問題が多く、根本的な方法書の組み立て直しが必要であること。
(1) 生態系の構造(「サンゴ礁生態系」と「内湾生態系」といった視点や基本的な大枠の構造、サブ システムとの関係)に対する認識
(2) 生物群集系の把握、及びそれと無機環境系との関係性を明らかにする方法論の問題
以上
…根本的に無茶苦茶なアセスメントでごり押ししてるって批判されているみたいだけど。なお、普天間飛行場代替施設建設予定海域である名護市の大浦湾というところは、ダイビングスポットとして人気が無くて情報がなかったものの、
このほどアオサンゴの大きな群落が発見されたそう。「はじめに基地建設ありきなんじゃないの?」と白眼で見られている環境アセスで言い訳して珊瑚礁を破壊してから、洞爺湖サミットで「環境重視の日本を世界にアピール」するのは止めた方がいいのではないのだろうか。
というわけで、
「この環境アセスメント書は無効です」サイバーアクションはこちらから(グリーンピース主催、締め切りは9/26)。
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