外交委員会で可決されたことそのもの、表現を和らげる文言が追加されたことによって賛同しやすくなったことなどがあるかとも思いますが、例によって日本の反応がそっち方向に後押ししていそうな気もします。
2007年06月28日(木曜日)付の「
慰安婦決議―首相は深刻さを認識せよ」と題された朝日新聞社説では、「
日本が過去の過ちを反省していないと、米議会が国際社会の面前で糾弾している。その意味は重い」「
決議案に疑問がないわけではない。歴代首相が元慰安婦におわびの手紙を出してきたことが触れられていないし、軍の関与を認めて政府として謝罪した河野談話の位置づけも不十分だ」「しかし、決議案にあるように、河野談話を批判したり、教科書の記述を改めたりする動きがあったのは事実だ。」とし、ワシントンポストの広告の件を批判しつつ、しかし、とつなぎ「
問題の本質は、自らの歴史の過ちにきちんと向き合えない日本の政治自体にある」「安倍首相は(中略)「コメントするつもりはない」と述べた。とんでもないことだ。日本に重大な疑念と非難が向けられているのである」「首相は日米同盟の土台として「共通の価値観」を強調する。だが、決議案はその価値観にかかわる問題であることを、首相は分かっていないのではないか」「日本の民主主義は大丈夫なのか。今回の決議案はその警告として受け止めるべきである」としていました。無かった派がどう取るかは知らないが、妥当な批判でしょう。
同日の東京新聞の社説では「
慰安婦決議案 日米間のトゲにするな」として、「
対日非難決議案の細部や米政界の思惑などに反発しても建設的な効果は見込めまい」と、どっち方向への批判か尋ねたくなる出だしから「
賛成三九、反対二という投票結果は、超党派の厳しい空気の反映だ」「日本側も、責任逃れと受け取られるような反論に精力を費やすべきではない」「この問題は、日米両国間の対立の芽にしてはいけない。アジアの近隣国が必ずしも政治的に工作したわけでもあるまい」「現在の日本の人権感覚、倫理観について米国、国際社会の理解と信頼を得ることが正道」としています。そして、「
対日非難が何度も蒸し返される原因については、教訓を学んでおく必要がある」として「
安倍晋三首相は、四月に訪米した際、ブッシュ大統領に「心から同情している。申し訳ない思いだ」などと心境を説明し、大統領は謝罪を受け入れた。首相は、米議会指導者らにも同様の心境を説明している」「それで沈静化したはずの問題が再燃したのは、今月半ば、日本の一部の評論家らが米紙に意見広告を掲載し、慰安婦募集をめぐる「狭義の強制性」の否定といった事実認識を展開したためともいわれる」「特定の有志の広告が対日政府決議案の引き金になったとすれば遺憾だが、その背景には、首相が当初、官憲による強制連行などを否定する見解を強調していた経緯もある」「米政界では、来年の大統領選や議会選を控え、アジア系組織票に敏感になっている議員は少なくない。人権重視の姿勢を有権者に訴えたい議員も多いだろう。首相は現実の環境も考慮に入れ、さまざまな発言に繊細な注意を払わねばならない」と、やはりどっち方向への批判か尋ねたくなる結びでした。
東京新聞の報道は他にも「
スコープ 米下院委が慰安婦決議」、「
河野談話の継承 首相重ねて表明 米の慰安婦決議案」
同日付の高知新聞社説もしっかりしていて「
加害の歴史直視を(これは何故か魚拓がうまくとれない)」として、「
同盟国の議会から歴史問題での『不信』を突き付けられたことは極めて残念だ」「国連人権委の特別報告官も日本の取り組みは評価しつつも、『日本は法的責任を認めていない』などと繰り返し報告している。紛争時の性的暴力や性的奴隷に対する国際社会の姿勢は極めて厳しい」「今回の決議案提出の背景には、下村官房副長官が昨年十月、河野談話の前提となる事実関係の再調査に言及したことがあるとみられる。拍車をかけたのが、日本軍による「狭義の強制性」を否定した安倍首相の発言だ」「首相は河野談話を継承すると繰り返し表明してきた。だが、日本軍の責任を軽減するかのような発言が、基本姿勢に対する疑問を生んだのは間違いない」「意見広告が米紙に掲載されたことも加わり、決議案可決の流れが固まったといってよい」「人権問題に対する、米国をはじめとする国際世論の厳しさを、見誤った結果といわざるを得ない。火に油を注いだ形の安倍首相の責任は重い」「今後、日本国内で米国に対する反発が強まる可能性がある。問題がこじれていけば、日米関係に深刻な影響を及ぼしかねない」「日本の歴史認識、戦後処理の在り方などに対する厳しい問い掛けは途切れることがない。この流れを断ち切るためには、加害の歴史に真正面から向き合うしかないはずだ」と結んでいました。
さて、一方、無かった派系の新聞の社説も…と思ったら、やたら1エントリーが長くなるので、翌日付に引っ張ることにします(^^;
ただし、既に取り上げた古森さんの記事はやっぱり取り上げない訳には…
2007/06/28 09:54付けのSankeiWEBの記事で、タイトルは「
慰安婦決議案 米下院委が可決 中国系反日団体が圧力」。
出だしから「
米下院外交委員会(トム・ラントス委員長)が26日、慰安婦問題に関する対日非難決議案を可決したが、この動きの背後では中国系反日団体がラントス委員長に激しい圧力をかけ、敏速に採決の動きをとらなければ次回の選挙で別の候補を支援するという政治的脅しがあったことが報じられている」と来た、勢いのある記事です。
「
この情報はカリフォルニア州中部のニュースを報じる地方通信社「ベイ・シティ・ニューズ」(本社・サンフランシスコ)の6月14日発報道として流され、地元の新聞数紙に掲載された」だそうですが、なんだか、えらくローカルな話題っぽいフシがあるのは気のせいでしょうか。しかも、古森記者が記事を出した時点では、Bay City Newsは、ni0615さん情報でも、私自身のアクセスでも過去記事は見られませんでしたし。まぁ、なんとか「地元の新聞数紙に掲載された」モノらしいのは見つけ出しましたが。日米タイムズ(Nichi Bei Times Weekly)のJune 14, 2007付け「
Asian Americans Call For Japanese Apology」。マイナーな話題なんですかねぇ?
で、この記事を見つけてここに一旦全文をアップ後に、古森記者のブログでも原文が掲載されていることを確認し、一字一句同じであることも確認しました。
さて、古森記者は自身の記事で「
歴史問題で日本を一貫して非難している在米中国系団体「世界抗日戦争史実維護連合会」(以下、抗日連合会と略)の幹部たちは、他の在米中国系組織幹部とともに同州クパナティノの中国料理店で集会を開き、マイク・ホンダ議員らが下院に提出した慰安婦決議案の可決促進を協議した」
とあります。
引用元記事だと「Members of the Global Alliance for Preserving the History of World War II in Asia, the Chinese Americans for Democracy in Taiwan and others met in a Chinese restaurant June 8 to encourage support for House Resolution 121, introduced by Rep. Mike Honda (D-San Jose).」です。
…世界抗日戦争史実維護連合会の
メンバーが、です。幹部とは、原文には書いていません。幹部の発言と、単なるメンバーの発言ではかなりニュアンスは変わりますね。
そして、日付が6/8日、金曜日ですね。時間帯が書いていないのは残念ですが、、、会合場所は中華レストランです。なんだか、舌の潤滑油を補給していそうな雰囲気が漂ってませんかねぇ?
「
抗日連合会のイグナシアス・ディン副会長(中国系米人)が語ったところでは、同幹部連は下院のナンシー・ペロシ議長とラントス委員長が(慰安婦決議案の採決推進に関して)言い逃げをしているとの見解を明示した。とくにラントス委員長は人権擁護派の評判にもかかわらず『同決議案支持へのわれわれの訴えに応じず、有権者とアジア系米人社会への軽侮を示している』と主張したという。」
引用元記事だと「Some group members said that House Speaker Nancy Pelosi (D-San Francisco) and Congressman Tom Lantos (D-San Mateo/San Francisco) have been giving them the runaround, according to Ignatius Ding, executive vice president of the Global Alliance for Preserving the History of World War II in Asia.
The group alleges that Lantos, who has a strong reputation in human rights, is showing disrespect to voters and to the Asian American community for not responding to their calls for support for H.R. 121」
…原文に幹部とは書いていない
「メンバー」が、中華レストランで、アルコールの添加無添加は不明ながら「人権派とか言う評判の割には、決議案の支持をたのんどんのに反応無いぞ。選挙区のアジア系アメリカ人なめとんのか」と発言した状況…っと、Ding副会長が取材に対して発言したのですね。
「
しかし「ベイ・シティ・ニューズ」の報道によると、抗日連合会の幹部らは民主、共和両党議員への政治献金者であり、このままではラントス委員長らに献金目的にのみ利用され、実際の行動では放置されるという懸念を表明した。」
「Members of the group, several of whom are donors to the Democratic and Republican parties, expressed concern that they are used for fundraising purposes but when it comes to action they are left out.」
…幹部とは明記していないこのグループの
メンバーの何人かが、政治献金をしているそうです。で、懸念を表明したらしいのですが。。。話の流れからして、やっぱり、中華レストランで、でしょうねぇ?
「
そしてディン氏らは『選挙区の33%がアジア系住民であるラントス委員長が同氏らと意思疎通できないならば、もう新しい議員の選出の時期となるだろう』と告げた。」
「Chang and Ding also suggested that if Lantos, who represents a district that is 33 percent Asian American, can’t communicate with them, then perhaps it’s time for new representation.」
…選挙民が、自分とこの選挙区からでた議員に頼み事するのってそんなに異様なことですかねぇ?
ましてや、政治献金しているのに?
頼み事聞いてくれないなら、他の候補を支持するのってそんなに変?
「
ディン氏らはこの「脅し」をラントス委員長のカリフォルニア第12区の人口動態の数字と過去の投票結果で裏づけ、2008年の下院選挙では自分たち自身の候補をラントス委員長への対抗馬として立てることを示唆した。」
「The group backed their threat with demographic numbers from the 12th California District and election results that they feel lend support for putting up their own candidate to run against Lantos in the 2008 election.」
…原文ではこの文章の主語が、「ディン氏ら」ではなく、"the group"になっているのが気になるなぁ。
で、"threat"って単語は、辞書には「おどし, 脅威, 威嚇, 脅迫; よからぬことの近づく兆し, 凶兆, おそれ」と、確かにあるのですが、、、用例見本では「脅迫」の場合二例と並んで、"There is a 〜 of rain. 降るおそれがある."とあるのが、妙に気になりますね。古森記者は自ブログのコメント欄で「恫喝」とまでおっしゃっていたのをお見かけしましたが。
とまぁ、そんな感じで、捏造とは論難できない程度に、微妙な調子の対訳を当てている気配の漂う古森記者の記事でした。
なお、この文章は
Stiffmuscleさんの解説を元にさせていただいています。先方には、さらに詳細な解説がありますので是非ご参考に。
追記;
この古森記者の記事に関する検証ブログ記事など。
・
Stiffmuscleの日記さま
・ni0615さんのページさま、「
古森さん記事、まさかの、情報元は2chそのもの。」
・黙然日記さま、
「古森義久氏、細かく捏造する。」
・
「カリフォルニア州クパナティノ」は、古森教の聖地か?・
とむ丸の夢さま