共同通信から2007/06/26 16:28付けで、「米下院外交委員会は26日、第2次大戦中の従軍慰安婦問題をめぐり、日本政府に責任を認め公式に謝罪するよう求めた決議案の審議を始める。約1時間の審議終了後、採決に入り、可決される見通し。(中略)国際社会が注視する米議会で、日本政府の姿勢に疑問が投げ掛けられた意味は大きい。(中略)決議案は慰安婦問題の経緯に触れた上で、日本政府に対し(1)歴史的責任を認め首相声明の形で明確に謝罪する(2)「旧軍部が女性を性的奴隷にしたり人身売買に加担したことはない」という主張の誤りをただす(3)若い世代にこの問題を伝え元慰安婦に対する国際社会の声に配慮する-ことなどを求めている」との報道が流れていたのですが、、、
予想通り、可決されました。
Sankei WEB 2007/06/27 02:48
ワシントン=有元隆志記者による「
慰安婦決議案を可決 米下院外交委 首相の公式謝罪促す」
_______________引用開始(強調は引用者による)
米下院外交委員会(ラントス委員長)は26日、慰安婦問題に関する対日非難決議案を原案を一部修正のうえ、賛成多数で可決した。修正後の決議案は、表現をやや緩やかに改めているものの、
日本の首相による公式謝罪を依然促す内容となっている。
民主党のマイク・ホンダ議員が提出した決議案は、(1)日本政府による公式謝罪と歴史責任の受け入れ(2)謝罪形式は首相の公式声明とすること(3)慰安婦問題への疑問や反論を明確に否定すること(4)若年世代への教育強化-を日本政府に求めていた。
これに対し、ラントス委員長らは修正案を提出。(1)日米同盟がアジア太平洋地域に占める重要性の確認(2)日本の首相がこの問題で公式謝罪すれば、これまで繰り返された日本側の声明と誠実さへの疑問を解く助けとなる-などを盛り込んだ。
採決結果は賛成39、反対2の大差だった。
この決議案には法的拘束力はない。昨年にもこの問題に関する決議案が提出され、下院国際関係委員会(現・下院外交委員会)で可決されたが、本会議では議案にならなかった。決議案は下院だけで、上院には提出されていない。(後略)
_______________引用終了
時事通信2007/06/27-05:37
「
米下院外交委、慰安婦決議案を可決=本会議採択の公算」
_______________引用開始(強調は引用者による)
米下院外交委員会は26日(日本時間27日未明)、第2次大戦中の従軍慰安婦問題に関する対日謝罪要求決議案を賛成39、反対2で可決した。決議案は外交委から
本会議に上程され、7月中に採択される公算が大きい。法的拘束力はないが、安倍政権には外交上の痛手となりそうだ。(中略)採決前にラントス外交委員長らの提案で一部修正され、「首相が公式の謝罪声明を出せば、これまでの声明の誠意に関して再三繰り返される疑問の解決に役立つ」との文言が盛り込まれた。
_______________引用終了
読売新聞 2007年6月27日3時15分
「
米下院外交委『慰安婦』決議を採択…日本政府に謝罪要求」
_______________引用開始(強調は引用者による)
米下院外交委員会は26日午後(日本時間27日未明)、いわゆる従軍慰安婦問題をめぐり、日本政府に公式謝罪を求める決議を採択した。
7月中にも本会議に送付、採決にかけられる公算が大きい。決議に法的拘束力はないが、日本国内の反発も予想される。
慰安婦問題での対日非難決議が下院委員会で採択されたのは、2006年9月に続き2回目。本会議で採択されれば、米議会史上初となる。(中略)
旧日本軍の「性奴隷」とするため若い
女性の調達を公式に命じていたと指摘した上で、
日本政府に「公式に責任を認め、謝罪し、歴史的な責任を受け入れる」よう要求。日本の首相には、公式な謝罪声明を出すよう求めている。
日本政府は、女性を強制的に性奴隷にしたなどの内容が客観的事実に基づいていないと主張、決議案の撤回や修正を求めていた。
_______________引用終了
…強調しておいた「女性の調達を公式に命じて」あたりは、原文とつきあわせて確認したいところかなーっと。また、狭義の広義のうるさくなりそう。
asahi.com 2007年06月27日02時38分
「
慰安婦決議案、米下院委が可決 『公式に認め謝罪を』」
_______________引用開始(強調は引用者による)
米下院外交委員会は26日、従軍慰安婦問題で
日本政府に対して明確に歴史的責任を認め、日本の首相が公式に謝罪するよう求める決議案を、一部修正のうえ賛成多数で可決した。決議に拘束力はないが、
日本側の対応への不信は強く、ラントス外交委員長(民主党)も共同提案者に加わった。(中略)
決議案は「日本政府は、世界に『慰安婦』として知られる、旧日本軍が若い女性に性的な奴隷状態を強制した歴史的な責任を明確な形で公式に認め、謝罪し、受け入れるべきだ」と指摘。
首相による公式な謝罪声明や、日本の若い世代への教育などを求めている。(中略)
日本政府は93年の河野官房長官談話を踏襲する立場を強調、反論していたが、
安倍首相が3月に「当初、定義されていた(狭義の)強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実」と発言すると、米メディアの激しい批判を浴びた。首相は4月の訪米でペロシ下院議長(民主党)やブッシュ大統領を前に慰安婦への謝罪を表明した。(中略)
同様の決議案は昨秋も外交委員会を通過したが、日本側が共和党のハスタート議長(当時)らに働きかけ、本会議での採決には至らなかった。今回は民主党主導の議会となり、人権問題に熱心なペロシ議長のもと、本会議で採択される可能性が高いと見られている。(中略)
超党派の国会議員計44人が14日付の米紙ワシントン・ポストに「強制性を示す文書はない」とする全面広告を出すなど日本側の一部の動きは米議会関係者らの反発を買い、今回の委員会採決のきっかけにもなった。
_______________引用終了
…朝日の記事が一番、容赦がありませんね。
決議案の要求内容からしても、歴史修正主義者の跋扈と、「無かった」教科書が問題視されていると思うのですけどね。
なお、後でエントリーにする予定ですが「国会議員44人が広告を出した」っていうのは、歴史事実委員会の方に言わせると誤報らしく、「国会議員44人が広告に名を連ねた」とすべきだそうです。でも、そんなもの、効果としては変わらないのだし、広告に議員名を連ねる意味があるから広告の仕掛け人達も国会議員名を入れた広告を打ったわけで。
_____________以下、追加
共同通信 2007/06/27 07:45付けの、上記と内容のかぶるシンプルな報道「
慰安婦決議案、一部修正し可決 米下院外交委」はこちら。やや注目した表現は「決議自体に法的な拘束力はないが、日本国内での反発も予想され、今後の日米関係への影響が懸念される。安倍晋三首相にとっても何らかの対応を迫られ、打撃となりそうだ」
その後の08:42に「
従軍慰安婦決議案の要旨 米下院外交委で可決」として、以下の要旨が報道されています。
_______________引用開始
一、慰安婦制度は日本政府による軍用の強制的な売春で、20世紀最大の人身売買の一つ。
一、現在の日本にはこの問題を軽視しようとする教科書もある。慰安婦問題で謝罪した1993年の河野洋平官房長官談話を否定する世論もある。
一、日米同盟はアジア太平洋地域の平和と安定の要。政治的、経済的自由の促進、人権、民主主義の尊重という価値観の共有に基づいた同盟であり続ける。
一、第2次大戦中に日本軍がアジア太平洋地域を支配した時代に行った従軍慰安婦問題について、公式声明で首相が謝罪すれば今後、この問題が再燃するのを防げるだろう。
一、日本政府は、日本軍が女性を性的奴隷にしたり人身売買に加担したことはないという主張の誤りをただすべきだ。
一、日本政府は現在および将来の世代にこの恐ろしい犯罪を伝え、元慰安婦に対する国際社会の声に配慮すべきだ。
_______________引用終了
さらにその後の13:19に「
慰安婦決議案、大差で可決 下院本会議も7月にも採決」として、以下の要旨が報道されています。
_______________引用開始
(前半略)ペロシ下院議長(民主党)は同日、「下院(全体)として可決し、慰安婦が被った恐怖を忘れないと言う強いメッセージを送るのを楽しみにしている」との声明を発表、本会議での採決に強い意欲を示した。採決されれば可決される公算が大きい。
決議案を提出したホンダ議員(同党)は26日、記者団に対し、7月第2週か第3週に本会議にかけられる、との見通しを示した。
決議自体に法的な拘束力はないが、本会議でも可決されれば今後の日米関係への影響は深刻だ。日米協調を外交基軸にしてきた安倍晋三首相にとっても打撃は避けられない。
_______________引用終了
なお、こちらの東京新聞 2007年6月27日 07時31分
「
慰安婦問題で関係きしむ恐れ 米、首相の歴史観に疑念」
この内容は、可決前に書かれているようですが、可決されたと聞く今現在でも別に見通しに代わりはありませんね。
_______________引用開始(強調は引用者による)
(前半略)こうした状況をつくった原因の一つは3月の安倍晋三首相の発言だった。首相は国会答弁で「(慰安婦に対し)強制性を裏付ける証言はなかった」と発言。米メディアに「
安倍首相は二枚舌」(ワシントン・ポスト紙)と
批判され、決議案採決に向けた米国内のムードは急速に強まった。
日本政府は、植民地支配への「おわび」と謝罪の意思を示した1993年の
河野洋平官房長官(当時)談話や、元慰安婦への償い事業を行うアジア女性基金の設置によって、慰安婦問題には一定の決着がついていると説明。首相の4月訪米時の「反省」でやや沈静化の兆しもあった(中略)
(中略…結局、日本側は言い抜けできなかったとして)今回の採決は慰安婦問題に限らず、
歴史観の見直しに積極的な安倍首相に対する米国の「疑念」の表れという見方ができる。
14日に自民、民主両党などの有志議員や有識者が米紙に掲載した日本に対する
慰安婦問題批判への意見広告に対しては、日本に理解を示すブッシュ政権のチェイニー副大統領までが強く批判した。(中略)
歴史観の修正めいた動きには強く反応することが今回の件ではっきりしたといえ、日本がこうした方向に進めば、蜜月だったはずの日米関係はあっという間にきしむことになる。
_______________引用終了
…河野談話白紙撤回なんて事をしたら、本当~に、えらいことになるんですけどね。
一方、だいたい上記と内容がかぶる、朝日 2007年06月27日10時38分で
「
慰安婦決議案、米下院委が可決 下院議長が支持表明」
_______________引用開始(強調は引用者による)
(前半略)決議案の可決を受け、民主党のペロシ下院議長は同日、「下院がこの決議案を採択し、慰安婦が受けた恐怖を我々は忘れないという強いメッセージを送ることを期待している」との声明を発表。7月にも本会議が開かれ、決議案が採択される可能性が強まった。
民主党のラントス委員長らがこの日提出した修正案は、日米同盟の重要性を確認する文言を追加。首相に謝罪の声明を求めた部分について「首相が公式の謝罪声明を出せば、日本の誠意と、従来の声明の位置づけに対する一向にやまない疑いを晴らすのに役立つ」との文言も盛り込んだ。
ラントス氏は「
日本政府が公式で明確な謝罪をいやがるのは、今日の世界での日本の役割と明確に相反する。日本は誇り高い世界のリーダーであり、貴重な米国の同盟国だ。それだけに、
誠意を持って過去を説明しようとしないことには困惑させられる」と語った。また、共和党のロイス議員は「昨日のことに誤って対処すれば、正しい明日を得ることも難しくなる」と述べ、
今回の決議案は過去の話ではなく、現在も重要な意義があると強調した。
一方、米国務省のケーシー副報道官は同日、記者団に「安倍首相の訪米時にブッシュ大統領が(謝罪の受け入れに)言及しており、政権に関する限り、付け加えることはない」と述べ、政府間では解決済みとの姿勢を示した。
_______________引用終了
さて、米外交委決議をうけた日本の反応は。
Sankei WEB 2007/06/27 12:37
「
米慰安婦決議 政府、静観の構え 塩崎長官『同盟揺るぎない』」
_______________引用開始(強調は引用者による)
塩崎恭久官房長官は27日午前の記者会見で、米下院外交委員会が慰安婦問題で日本政府に責任を認め公式に謝罪するよう求めた決議案を賛成多数で可決したことについて「他国の議会が決めることだからあえてコメントすべきものではない」として、静観する姿勢を示した。「
日本側が反応すればするほど反発を招き、問題が深刻化しかねない」(政府筋)と判断したためとみられる。(中略)決議が日米関係に影響を与えないとの認識を強調した。また、「日本は日本の考えをきちっと示していく。これしかないのではないか。理解を深めるための努力はしていった方がいい」と述べた。
外務省幹部は「決議には拘束力がなく、右往左往しない方が得策だ。日米両政府の当局者には、これを政治問題化しようとしている者はいない。マスコミが騒がなければいい」と述べた。
一方、
公明党の北側一雄幹事長も記者会見で、「当時の軍の関与があったことは明らか」と指摘。そのうえで「歴代の首相や日本政府が認めて謝罪している。日本政府のとってきた説明を繰り返し述べていくしかない」と語った。
_______________引用終了
朝日でも 2007年06月27日12時25分
「
塩崎官房長官はコメントせず 従軍慰安婦決議」として、ほぼ同じ内容。ただし、こちらにあって産経になかった注目(笑)の一節として「公明党の北側一雄幹事長は27日の会見で、与野党の有志議員らが米紙に『決議案は現実の意図的な歪曲(わいきょく)だ』と反論した意見広告を出したことについて、『これまでの(日本政府の)姿勢に対して誤解を生むような日本側からの発言は慎むべきだと思っている』と批判」。
なお、これに先立ってですが、朝日 2007年06月27日10時55分で
「
『アイム・ソーリー、難しい?』慰安婦決議巡り米議員」
_______________引用開始(強調は引用者による)
(前半略)ナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の生存者であるラントス外交委員長は「国家の真の力は、その歴史のなかの最も暗い一幕を突きつけられた時に試される」と語った。戦後、謝罪を繰り返したドイツを「正しい選択だ」と評価。一方で
日本は「歴史の記憶喪失」を進めていると嘆いた。
ラントス氏は、14日付の米紙ワシントン・ポストに掲載された日本の国会議員らによる全面広告にも言及。「強制性を示す文書はない」とした内容を「慰安婦の生存者をけがすものだ」と批判し、下院が立ち上がるべきだ、と呼びかけた。
議員からは「ただ、アイム・ソーリー(ごめんなさい)と言うことが、なぜそれほど難しいのか」(民主党のスコット氏)といぶかしむ声も。一方、決議案に反対した共和党のタンクレド議員は「日本の過去の過ちについて今の政府に何度謝罪を求めるのか」と疑問を投げかけた。
決議案を提出した民主党で日系のマイク・ホンダ議員は記者団に、
7月の第2週か第3週に本会議で採決にかけられるとの見通しを示した。
_______________引用終了
ああ、ついでにこれも掲載しておきます。
Committe PRESS "Remarks of Chairman Lantos on H. Res. 121, regarding Comfort Women, at committee markup"。
_______________引用開始(強調は引用者による)
Post-War Germany made the right choice.
Japan, on the other hand, has actively promoted historical amnesia.The facts are plain: there can be no denying that the Japanese Imperial military coerced thousands upon thousands of women, primarily Chinese and Koreans, into sexual slavery during the war.
The continued efforts by some in Japan to distort history and play a game of blame-the-victim are also highly disturbing.
Most recently, on June 14th, members of the Japanese government took out an advertisement in the Washington Post that smears the survivors of the comfort women system, including those who testified before our Subcommittee on Asia, Pacific, and Global Affairs.
_______________引用終了
うん、ラントスさんから何か言われてますね(笑)。
…朝日の報道の引用で強調しておいたのと、だいたい同じ事を。