こちらの開設後の比較的早い時期に存在に気づいて、エントリーには大いに注目してきた。このブログを運営している方達は、いずれも知識の豊富さや着眼の鋭さ等が素晴らしい、深く尊敬しているブロガーさん達だ。
その「ヘイトコメントを哂え!」に、本日新たなエントリーが追加された。
取り上げられたヘイトコメントは、
水葉さんのブログのコメント欄に貼り付いたもの。
張り付かれた記事は、「特急車内で強姦」とタイトルをうった、毎日新聞記事「 強姦:特急内で暴行、容疑の36歳再逮捕 乗客沈黙」を紹介したもの。
その記事は、JR北陸線の富山発大阪行きの特急内で、21歳会社員女性を36歳の男が強姦した事件を報道したもの。事件は、加害者が、駅出発直後に被害者女性の隣に座り「『逃げると殺す』『ストーカーして一生付きまとってやる』などと脅し」て約一時間あまり下半身を触った後に車両前方のトイレに連れ込んで強姦したとのことだが、「一部の乗客は異変に気付いたものの、植園容疑者にすごまれ、制止できなかった」「声を上げられず泣いていたが、付近の乗客は植園容疑者に『何をジロジロ見ているんだ』などと怒鳴られ、車掌に通報もできなかった」という。
暗澹たる思いに駆られる報道だし、DV被害者支援に関わってらっしゃる水葉さんが「見殺しにされた21歳の被害者は、これからどんな人間不信を背負っていくのだろう。それを思うと胸が締め付けられる思いだ。これは集団で彼女をレイプしたのと同じことではないか。犯人はもちろんだけど、同じくらい、乗客に腹が立つ。」と憤るのは当然。
なのに、ヘイトコメントを寄せる妙なのがいる。
以下、問題の
ヘイトコメント。
_____________転載開始
こういう事件はレイプされる女側に責任があるのでは。性犯罪は被害者の女にも何らかの原因、落ち度があるのものです。助けを求めなかった、男について行った自称被害者が一番の問題でしょう。周囲の乗客を責め立てるなど狂気の沙汰でとても正常とは思えない。痴話喧嘩に見えたとか、女の服装が派手でいかにもな雰囲気だったとか考えませんか?狙われる何らかの原因があったはずです。レイプしやすいスカートをはいていて、抵抗もしない弱弱しくて攻撃しやすい女だったんでしょうし。しかもこの女は一人で電車に乗り、助けを呼ばない所かスタンガン、防犯ブザーすら持っていなかったようで非は確実にあります。男について行けばそれはもう同意と言う事ですよ。周囲が口を出す事ではない。最近のレイプされる女は自分の非を棚にあげ、何でも加害者のせいにしますね。とにかく無関係な乗客を責めるなど馬鹿げてます。
_____________転載以上
それを、ヘイトコメントとして収集したkuroneko師兄は、以下のように料理する(引用元へのリンクは
こちら)。
_____________引用開始
(前半略)
派手とかケバイ女性っているけど、それって「レイプされそう」と思って見ている男、いるかあ?
健全な青少年は、タンクトップ乳揺れネーちゃんを見てもですね。「ゲヘ、ゲヘ、ゲヘ、エロガッパ」と喜ぶだけで、「襲われそう」なんて思うかよ。
「襲われそう」って思うのは「襲いたい」と思うことなのかよ。
(中略)
「男について行けばそれはもう同意と言う事ですよ」って、ナンパされて自動車に乗ったのじゃないよ。ナンパだって別に襲わない男のほうが多いんだから、女の落ち度でないけどさ。「襲う男」と「襲わない男」がいて、ナンパする男は女好き、襲う男は犯罪者。簡単な話だとおもいます。
でも、これだけわざとらしいコメントだと、ネタで書いたとしか思えない。嫌がらせではあっても、本気でそう思っている可能性は低いんじゃないかな。
_____________引用以上
うーん。
比べるのもとんでもなく失礼で心苦しくさえあるけど、kuronekoさんは、決してこの強姦事件の犯人やらヘイトコメンターのような下劣な人間じゃない故に、そういう発想がハナっから無いのだと思う。だから返って見落とすんだろうか。
それとも、あっさりネタだと斬って捨てる効果を優先したのかな?
ヘイコメ馬鹿の書いた文章が誇張気味であっても、「本気でそう思っている可能性」が高くても低くても、皆無じゃない。それに類する現実は存在している。
この社会で、水葉さんの元エントリーのようなとんでもなくひどい、これが現実に起こるのかと呆然とするような事件が現に起こったわけだ。そして、数年前には衆議院議員が「集団レイプする人はまだ元気がある」と発言し、当時の男女共同参画担当大臣を兼任する官房長官が「挑発する服装をしている女性の方が悪い。男は黒豹なんだから。」と擁護する社会だ。あるいは、性暴力被害者である、元「従軍慰安婦」の人達を嘘つき呼ばわりして恥じない人達の存在も見過ごせない。
…水葉さんの元エントリーのコメ欄で、gegenga師匠が「ネタでしょう。ネタだよね?ネタだと言って!」と書き込み、水葉さんが「私もネタだと思いたい・・・。(泣)」と返す所以だろう。
もちろん、大半の男性はそういうとんでもない連中でなく、良識があることは解っている。
しかし、この手の出来事には、ロクでもない連中がやらかす直接的な被害以外の弊害もある。
頻度が低いとしても、そういう被害が現実に存在する以上、自分の身近な人にはそういう被害にあって欲しくないものだ。保護者は被保護者を被害から守ろうと考える。
その結果。
女の子は、保護の名の下に、保護者から、自由を制限される。
性犯罪を犯す加害者が悪いのに、被害を避けるための最大限の努力を求められるのは、被害者予備軍なのだ。
…おんなきょうだいばかりだったら、あまり気づくことはなかったかもしれない。
でも、おとこきょうだいをもっていると、あちらは自由に行動できるのに、私はなぜ?と感じるものだと思う。
もちろん、これは私が背負った生育歴故にそう感じると言う事だけど、でも、私だけの事情じゃない事も知っている。この前読んだ若桑さんの著書でも、結構好きな江原由美子さんの著書でもそう感じたという記述を見かける。心当たりのある女性は多いのじゃないだろうか。
その「保護」をうけている時は、危険な性犯罪者がいるのだからと諭され、実際いる訳だから仕方ないと思っていたが。それにしても、随分と行動の自由や自己決定権を侵害されてきたものだと、今にして思う。
私の場合、ロングヘアを禁止されそうになった事さえあるもんな。
そういえば、最初の仕事に就いた時に仕事のパートナーが男性で、二人のみで車移動という事態がしばしばあると親が知った時なんて「とんでもない!」と職場に怒鳴り込みに行きそうになり制止するのに必死になったなんて、今から思えばマンガみたいな事態も現実にあった。…男性と二人きりになることがある仕事がとんでもないだなんて言われたら、どんな仕事もできませんがな。
脈絡が無くなってきたけど。
こういうヘイトコメント、行動に移す訳じゃないネタであっても、可能性として真に受ける人が存在する場合の弊害を、私は身を以て知っている。
…こういう馬鹿が出没する為に、保護の名の下に女性の行動の自由が侵害される。
そう感じたので、このヘイトコメント。
ネタだよな、で、あっさり嗤えなかった。。。当記事で言及した犯罪被害者の方に、心からの同情と共感、そして訴えを出した勇気への敬意を表します。
2007/04/26 20:50追記;
もともとの事件に言及なさっているブログで、興味深かった記事を二点ご紹介。
kom’s log ;
「卑劣だろうか。」および「卑劣であること」めぐままの育事日記 ;
「今更ながらあの事件」