知性ある行動主体というものは、基本的に自分自身を判断基準にしがちなものである。他の行動主体がどうするか・どう考えるかを、「自分ならこうする・こう考える」という事をよりどころにして予想するというのは、誰しもやっていることだろう。
だから、「女性は子を産む機械・装置である」と発言した柳澤伯夫厚生労働大臣は、自身が「子を産む機械から産まれている」からこそ、直後についうっかりとかなんとか言い訳しつつも口を滑らせた事は想像に難くない。すなわち、柳澤厚労相は「子を産む機械」から産まれた
「機械」であるということに他ならない。
しかし、そのことだけであるならばどうということはない。この世界は、様々な出自の知性ある行動主体が個性を発揮し、それぞれに出来ることで貢献しつつ構成しているものだ。
ただし、この世界で多数を占める知性ある行動主体である人類は機械ではない。
機械であれば、厚労相が言及したように、再生産を開始するように設定された15歳から耐用年数である50歳まで、「精子」を投入し「出産」ボタンを押せば「取り出し口」に嬰児が生産されてくるのかもしれないが、人類の女性はそういうわけにはいかない。
まず、厚労相が開始年齢として言及した15歳は、法律で婚姻が可能とされている16歳よりも幼い。人類の間ではこういうのを
「ロリコン」と呼び、法律的な婚姻関係を結ぶことは違法であり、生殖行為を行うこともほとんどの自治体で条例により禁止されているのである。
また、厚労相が「子を産む機械」の機能可能期間として言及した50歳は、一般的な人類女性で出産可能である人が少数派となる年齢である。更年期障害が始まろうかという年齢だ。ただでさえ、高齢出産だと母胎も危険だといわれているし、染色体異常児の出現率も上がってしまうし、子が成人するまで収入と健康を確保できるか心許ないのである。
50歳近いような人類女性がほいほい子供を産めるかっつーの。
このように、「機械」である厚労相は、「人類」に対する理解や配慮に欠けている。生活圏を共有する知性ある行動主体が、互いの違いを理解し、配慮を持って尊重しあい、相手を害さずに共存できるなら、相手が
オルフェノクだろうが魔化魍だろうアンデッドだろうがかまわないのである。
しかし、自分たち「機械」と同じように出来るとの先入観により、「一人あたま」沢山産めだの、「頑張って」産めだのと、
少子化対策として発言するのは、人類女性への配慮を非常に欠いた発言である。人にはそれぞれ都合や事情があり、機械的に「生物学的な出産可能年齢だ、ほれ産め」ということは不可能なのだ。だいたい、産科医は減ってるは、産婦人科のある病院も減ってるは、ゼロ歳児保育してくれるとこは少ないは、出産で退職したらそのあと再就職するとしても収入激減だわ。。。産んで育てられる環境を整えてからモノを言ったらどないだ? あ、それから、不妊治療も出産費用も保険効くようにして、ついでに
フランスのように補助もたんまりしてからの話だろ。
それはともかく。
その配慮に欠けた発言も、そこらの居酒屋で酔っぱらいオヤジがするのならともかく(それでも白い目で見るが)、医療や年金、福祉を担当する厚生労働大臣としての立場からの発言では、あってはならないものであろう。
すなわち、「子を産む機械」から産まれた機械である厚労相、キカイダー厚労相はその立場から離れるべきである。
柳澤伯夫厚生労働大臣は、罷免されるべきである。
罷免しないってんなら、やっぱり少子化対策なんてまともにやる気ないんだろうな。