クリスマスの執行について;
法務大臣は執行日を指定できないという意見を述べている人を見かけたので。
この件に関しては、ネットレベルでは確実そうな情報を拾えないが、
「法務大臣が署名、押印して執行命令書が作成されると、拘置所長に届けられ、5日以内に死刑が執行される。監獄法第71条2項の規定により、大祭祝日(国民の祝日)、土曜日、日曜日、12月31日・1月1日(元日)・1月2日には死刑の執行は行われない。
執行予定日は、死刑囚やその家族
・マスコミ (
注;kaetzchenさんよりご指摘いただいたので引用者により抹消線追加) ・被害者の家族等、外部には一切知らされない。」(出典
Wiki「日本における死刑」 )
「法律では、死刑の執行は命令から5日以内にする(刑事訴訟法476条)とあるだけで、執行の方法、場所、執行官などの明文規定が存在しません。法律の裏付けのない執行が行われています。
執行される死刑囚も恣意的に選び出されます。高齢者や精神障害者、犯行当時少年だった者にも死刑が執行されています。」(出典「死刑廃止フォーラム、
隠されている日本の死刑 」)
一方、
「月曜クリスマス執行
93年以降では、初の月曜日執行である。これまでは圧倒的に木金が多かった。しかも、クリスマスの執行である。
ただ、今年は仕事納めの28日が木曜で、まさかこの日に執行するわけにもいかないため、さしあたり本年度最終週の初日となったのかもしれない。またクリスマスのような一種の慶事も執行に関係はしないという意思表示も込められているかもしれない。
単に日程上の結果であるかもしれないが、穿った見方をすれば、クリスマスの日に邪悪な者を抹殺して国民への贈り物とするというような冷笑的かつ政治的でもある意図が込められていないと断言もできないのではないか。」(出典)「
死刑問題特捜室 」
…法務大臣が「クリスマスにしろ」と明確に命じた可能性は低そうには思える。しかし、署名し命令を発効した時点が時点であれば、他の選択肢が狭められる可能性は低い。
あるいは、なぜ、四人分の命令を出したからといって、三カ所の拘置所でクリスマスに四人とも、なんだろう?
明確ではなかったにせよ、圧力の存在は疑えるかもしれない。
とはいえ、クリスマスに執行してしまえば、国際的にどのように写るか。
「一種の慶事も執行に関係はしないという意思表示」を国民相手に示すよりは(あるいはその種の事をなぁんも考えないよりは)、傍目からどう見えるかを考えて「クリスマス」を積極的に避けた方が、人権感覚もない上に国際感覚もない国と思われずにすみそうな物だが。
なお、上述の
死刑問題特捜室の12/26日付けの記事 で他にも気になる情報を見かけた。
この記事、今回の執行の特徴として上述の月曜クリスマス執行以外に、
・バラエティ
・高齢者にも執行
・再審への圧力?
・飛ばされた理由
・孤立
・背景
の項目で、それぞれ分析がなされており、一読の価値がある。
中でも、高齢者への執行の項目で「25年から30年以上も前の事件では既に社会的記憶も薄れており、強烈な処罰感情が残存しているわけでもないため、あえて執行を急ぐ理由は何もないはずである。結局、溜まったものを処分するという「在庫一掃セール」の感覚なのである」との分析は、納得できるだけに物悲しい気分に凹む。
また、孤立の項目で、今回執行された方のお一人を「死刑廃止キリスト者連絡会」が特に救援していたが、「同会がキリスト教系の死刑廃止運動としてはかなり活発であることから、あえて見せしめ的に選ばれた可能性もある」とのことであった。実際に、
死刑廃止キリスト者連絡会のホームページ では、今回の執行に対する抗議文が掲載されており、その画面をスクロールしていくと、確かに今回執行された方を含む死刑確定者との交流誌発行のお知らせ等も記載されている。
さて、「
死刑に関する事実と数字 」(原文"Facts and Figures on the Death Penalty"の2006年12月12日に更新された原文を和訳したもの、とのこと)によると、
「アムネスティ・インターナショナルの最新の情報によれば、
* 88の国と地域があらゆる犯罪に対する死刑を廃止している。
* 11カ国が戦時の犯罪など例外的な犯罪を除くすべての死刑を廃止している。
* 29カ国が事実上の死刑廃止国と考えられる。つまり、これらの国々は法律上は死刑を存置しているが、過去10年以上いっさいの執行がされておらず、死刑執行をしない政策または確立した慣例を持っていると思われる。
合計128カ国が死刑を法律上または事実上廃止していることになる。
* 残り69の国と地域が死刑を存置し適用しているが、どの一年間をとってみても実際に死刑を執行している国の数はそれよりもはるかに少ない。 」
とのことである。やれやれ。
そして「2005年中に、22カ国において少なくとも2,148人が処刑され、(中略)判明しているすべての執行の94パーセントが、中国、イラン、サウジアラビア、米国で行なわれた。」
なのだそうだ。
日本においては絞首刑で執行されているとの事だが、小さな生き物相手であっても脊椎を破断して命を奪う事は実行者の心に負担が大きい。それを言葉の通じる同族相手にする仕事とは、執行人の苦悩はどれほどのものか推して知るべしだそう。それだけでも死刑廃止の材料としては十分だろうが、最近では自分が死刑になる事を目的に子どもを手にかけれる人まで出ている訳だ。
廃止すべきとの結論を採る為の材料は、十分ではないのだろうか。
追記;
EU駐日欧州委員会代表部による記事「EUと死刑」 「1999年以来EUは、ジュネーブで開催される国連人権委員会のすべての会合で死刑に関する決議を提出してきました。直近の2005年3月の決議は、前回の決議より多くの賛成票を得て採択されました(引用者注;日本、アメリカなどは否決との事)。この決議も、死刑存置国に対し、死刑の廃止または執行停止を求め、国連経済社会理事会が1984年に採択した「死刑に直面する者の権利の保護の保障に関する決議」を遵守するよう呼びかけています。
(中略)
EUから日本へのメッセージ
EUの死刑廃止政策は、特に日本と米国に向けられて います。この2大民主国家は、EUと多くの価値を共有しており、通常は国内外で人権尊重に対するコミットメントを明確に主張しています。
死刑廃止の是非は、世論調査によって決めるべき問題ではありません。凶悪犯罪の発生直後とあってはなおさら のことです。死刑制度の廃止は、国家としての主義の問題です。ひとつの社会を統括する政府には、この問題に関する議論の舵取りを行う責任があります。
根強い偏見に賛同したり、死刑執行にまつわる秘密主義を助長したりすべきではありません 。それより1日も早く、透明性を高めるための自由な討論を開始することが求められます。日本政府は、この問題が公開の場で偏見なしに議論されるよう、イニシアティブを取るべきです。
そのような議論を可能にするために、また、
日本でも無実の人に有罪判決が下されたことがある点を考慮 して、EUは日本に対し、死刑廃止への第一歩として、1993年に解除された事実上のモラトリアムを再導入するよう要請します。それがかなわなければ、少なくとも、死刑執行の際に一定の最低基準を遵守するよう求めます。
死刑確定者のリストから任意に選び出し、その家族にも弁護士にも事前に通知することなく、絞首刑という残酷な方法で刑を執行 することは、EUが防ぎたいと考える
最低基準違反 の一例です。」
…スミマセン、世論調査(しかもネット上の)参考にして凹んでしまいました。
その他資料
とりあえず:死刑の現場とは 死刑廃止にむけての市民的および政治的権利に関する国際規約第2選択議定書(仮訳) 「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム'90」 82年以来の死刑被執行者一覧 ついでに、
McRashさんのところ でご紹介のアンケートをペタリ
【死刑制度】 維持すべきか? ↑あれ?今年五月分↓より、存続賛成派が減っている?
死刑制度