と、タイトルのような感慨をもったのは、池田整治・陸上自衛隊一等陸佐という人物をさっき知ったからだ。
なんでも、2010年1月19日号「SPA!」に、こんな記事が載ったらしいのだ。
「
総力特集 大マスコミが報じない隠された真実 Part.1|新型インフルはウイルステロだった!」
このリンク先で「担当編集からのコメント」が、記事をこう紹介する。
猫も杓子もマスクを買い求め、人々が必死に防御策を講じている新型の豚インフルエンザ。(中略)事態はまさにクライシス。そんな中、現役の陸上自衛隊1佐が、今回の新インフルエンザ渦を"人為的"であり"米国を主体とした組織の陰謀"であると言い切る。その理由とは何なのか? 独自の調査と豊富な経験に裏打ちされた、歴戦の兵の声を聞け!
強調は引用者。
記事そのものは、「
ホメオパシージャパン株式会社」内のコンテンツとしてpdfにして掲載されていた。そもそもは、この
pdfのはてなブックマークで、池田整治氏を知ったのだ。氏は、陸上自衛隊一等陸佐にして健康問題を独自のアプローチで研究する方なのだそうな。独自すぎるにも程があるだろうという内容は、上記ブックマーク経由で閲覧できる。
この
全自衛隊空手道連盟理事長でもあるという池田陸上自衛隊一等陸佐は、2009/12/7に「ビジネス社」から書籍も出版されたらしい。
「マインドコントロール 日本人を騙し続ける支配者の真実」 …内容紹介はこんなだった。
GHQによる自虐史観の刷り込み、宗教を隠れ蓑とした謀略、水道水に投げ込まれた塩素、化学物質で汚染された食卓、ウィルス兵器で脅される世界、どちらが戦勝国となっても儲かる支配層の「仕組み」作り…
オウム真理教のサティアン突入に唯一参加した現役の自衛隊幹部が、武士道なき日本の「驚愕の末路」を警告する!
長年、日本人にかけられ続けてきたマインドコントロールを解く衝撃の1冊。
冒頭の「GHQによる自虐史観の刷り込み」から、思わず全力で期待
(なんの?)してしまうが、この本、\1,680とお高く、発売されたばかりなので中古商品もまだ値が下がってない、、、どころか1月18日現在の中古価格の最低は「\2,618」だそうな。誰か、買ってネタにしてください。
この本、すでに4つもカスタマーレビューが付いており、多くは評価が高い。一つ、耳寄り情報に言及してくださっているレビューを紹介させていただこう。
感動しました、読みやすくて一気に読めました。
このような情報を一体どの様に収集されたのか?と思いながら、読み進めていき、最後の「日本人よ、覚醒せよ。」で、思わず涙がこみ上げて来ました。
アインシュタインが残したとされる言葉で、日本の事を「尊い国」と表現されていることも、じ~んと、胸が熱くなります。
…「アインシュタインが残したとされる言葉」って、やっぱ、あれだろうか?
と思ったら、
こんな章構成らしい。
序章 オウム事件から、世の中の「真相」を求めて
第1章 日常生活に忍び寄る食品添加物の実態
第2章 第五の民主権力「インターネット」で流れを読み解け
第3章 「ヤマトごころ」を歴史から抹消せよ
第4章 現代日本へのマインドコントロール戦略
終章 人類文明の危機とアインシュタインの「予言」
…やっぱあれらしい(^^;
そして、池田一等陸佐は『
船井幸雄.com|船井幸雄の「この人いいよ!」(2009年9月6日付)』にも登場しておられる。人物プロフィールによると、
防衛大学校国際関係論卒業。空手道7段を有し、全日本実業団空手道連盟理事長を務める。陸上自衛隊第49普通科連隊長を経て現在、小平学校にて、人事行政に携わる幹部等の養成にあたっている。
とのことである。「
人事行政に携わる幹部等の養成にあたっている」のだそうな。教育について、インタビューでこう語っておられるのだが。。。
この人事教育部では、人事、広報、厚生、法務に携わる幹部の育成及び事務官等の教育を行っています。当校には年間約2700名の学生がきますが、我が部はその中でも最大の約800名の陸・海・空の隊員が入ってきます。教室ではそれぞれの教官が教育を行なっていますので、私が行うのは全般的な指導が中心です。彼らに対して訓話を行う時間があるのですが、その時に船井先生のおっしゃる"百匹目の猿現象"の話をしたり、「意識づけ」を主に行います。意識を高めることが私の仕事だと思っています。
…強調は引用者orz
あるいは、
これから先の時代、世の中は、私たちは日本人の本来の姿、すなわち江戸文化的な時代になっていくのだと思います。
日本人の本来の姿というのは、究極の"誠の道"、すなわち武士道の精神そのものだと思います。映画の『ラストサムライ』などは侍の姿として参考になると思いますよ。
武士道精神を持つ人は、お金も名誉も、地位も、命さえも何もいらない。そして自分の大義、信じるもののために全力で尽くします。これが伝統的な武士道です。これが日本人の"誠の道"だと思いますね。それを体現したのが、江戸時代の侍だったり、時代は違うけれども、特攻隊で亡くなった若者たちかもしれません。
…江戸時代の武士は人口の何%だろうとか、信じたものが間違ってたらどうする気だ?とかは、考えてはいけないことなのだろう。
これは凄い、と、池田一等陸佐関連の情報をみていると、こんな所でも取り上げられていた。
『
[2010.01.15] メルマガ「米国軍に支配されている自衛隊の現状」と読者からの反応 | Blog(ブログ) | [公式] 天木直人のブログ』
読者投稿だとは思われるが、
本日の、「自衛隊の現状を読み」、是非、紹介したい本があります。
陸上自衛隊 小平学校 人事教育部長 1等陸佐 池田 整治さんの、「マインドコントロール 日本人を騙し続ける支配者の真実」(ビジネス社)という本です。9.11についても言及されています。
評論家がこの種の本を出版するのはわかりますが、現役自衛官が執筆ということで、驚いています。
すべて知っていて、なおアメリカに支配されなければならないというのは、どういう気持ちでいるのか、と考えさせられます。
『現役自衛官が執筆ということで』驚くのは私も同様なのだが、驚きの方向が違うだろうと思われた。天木氏はベンジャミン・フルフォード氏とも対談していたから、まぁ、、、これを肯定的に取り上げるのも、さもありなんというところなのだろうか。。。
それにしても、田母神氏といい、自衛隊の人材が幅が広く奥深いことにはつくづく感心させられる。
田母神俊雄・元航空幕僚長も統合幕僚学校長に任ぜられていたと目にしたものだが、自衛隊とは、こういう人たちが幹部に昇格できて、しかも幹部教育にたずさわっている組織らしい。
…怖すぎる。
当方、チャンネル桜ヲチには重点を置いてないけど、これはウケたので、お持ち帰り。集団訴訟の原告が何人集まるか、今後、是非とも公表していただきたい(ワクワク)。
「日本文化チャンネル桜」が、「
NHK集団訴訟 「訴訟委任状」提出のお願い」として、【原告募集!】とのこと(^^;
エントリにしそびれていたものの、そういう話があること自体は知っていた。しかし、こんな酷いことになっていたのは見落としていた。
はてなブックマーク経由でしった、『
5号館のつぶやき』さんの22日付エントリ『
セクハラを訴えたらパワハラを受け、あげくにクビにされる』。
元情報は北海道新聞02/16 20:52付、『
自衛隊が事実上の解雇通知 札幌地裁で係争中の女性自衛官に』。2009年2月17日付の毎日新聞北海道版『
空自セクハラ訴訟:空自側、女性空士長の継続任用拒否』や、2007/06/11付の北海道テレビ ニュース『
航空自衛隊セクハラ訴訟 21歳女性自衛官が証言 (リンクは当時のもの、AML 保存書庫より引用)』のように、報道では「セクハラ」と表現されることが多いが、北海道内の航空自衛隊通信基地に所属する女性自衛官が、2006年9月、夜勤中の男性自衛官
(=上司、泥酔していたそうだ)から呼び出しを受け、強制わいせつと強かん未遂の被害に遭った事件なので、実態はそんな軽いニュアンスで語られること自体腹立たしい事件だ(「セクハラ」を問題化する論理を使って事件を可視化し、訴える必要があったのだろうと理解しているのだが)。
X子さんは上司の班長や隊長にAの暴行を訴えましたが、彼らは、事件を調査しAを処罰するどころか、逆にX子さんに対して暴言を吐くなどのいやがらせを行い、さらに退職を強要しました。執拗ないやがらせに一旦は退職を覚悟していたX子さんですが、弁護士や北海道の女性たちの支援を得て、自衛隊を相手どり、国家賠償請求訴訟を起こしました。
ところが、刑事事件としては、2007年12月27日に、加害者が証拠不十分で不起訴。
事件発生直後、原告が部隊上司に被害を訴え病院への診察を求めたのに、上司を含む複数の男性隊員の同行を条件にしてこれを事実上拒み、それどころか逆に、深夜に無断で犯行現場(ボイラー室)に行ったとし、あるいは飲酒をした疑いがあるとして、原告を懲戒処分の対象として取り調べ、外出制限などの不利益を科し、犯罪被害者としての保護も操作も行わなかった。警務隊が捜査を開始したのは、事件から半年も経った本年2月26日のことであり検察官送致に至っては、原告が5月8日に民事訴訟を提起してからのことであった。
以上の経緯を見るならば、検察官の証拠不十分を理由とする不起訴決定は事件後速やかに原告の保護と厳正な捜査を行わなかった基地の行為を追認するものといわざるを得ない。(後略)
ここで述べられているように、自衛隊組織は、典型的な二次加害もかなりやっていたらしい。二次加害となった退職強要の嫌がらせについては、JANJANNews 2008/02/11付『
女性自衛官人権訴訟で明らかになった自衛隊の実態』にも詳しい。
こういった経緯があった後、2009年2月16日付の北海道新聞報道がでた。事実上の解雇通告、をうけた、と。
弁護士によると、女性は任期制隊員の空士長。2007年5月、札幌地裁に提訴した後も勤務を続けていたが、今年1月30日、2年の任期が切れる3月22日以降は任用しない、と通知を受けたという。
弁護士は「自衛隊を相手にした訴訟が理由なら裁判を受ける権利への侵害だ」と批判。「法的手続きも含めて検討する」としている。
空自は「そうした内示があったのは事実だが、(取材に)お答えできる段階ではない」とコメントした。
『
5号館のつぶやき』さんの22日付エントリ『
セクハラを訴えたらパワハラを受け、あげくにクビにされる』では、
明らかに悪いことをした「犯人」がいて、それを訴えた人間が組織の「和」を乱すものとして排除されるというのは、伝統的な日本的組織には典型的に見られるパターンですが、それは決して許されるべきではないという立て前から、例えば大学などでは毎月のようにセクハラ・アカハラ(パワハラ)を理由とした懲戒免職が報告されるようになってきました。
(中略)
そんな中で、今回の航空自衛隊=防衛省がとった対応はあまりにも古くさく、そんな組織の状態でこれからの日本の防衛を担うことを任せられるのかと、はなはだ疑問に思われるところです。かの自衛隊を心から愛する多母神さんのご意見も是非ともうかがいたいところです。
と書いておられて、「彼なら、自衛隊という組織を守るためには、どんな理不尽な要求でも上司の意見には従えと言いそう」とお書きだが、既に答えは出ている。
2008年11月に航空自衛隊第1術科学校の校長だった空将補が部下の女性へのセクハラをした疑いで、同年9月に更迭されていた件がことが明らかになった際に話題になったものだが、隊内誌「鵬友」04年3月号の「航空自衛隊を元気にする10の提言~パート2」にて「
身内の恥は隠すべきものという意識を持たないと自衛隊の弱体化が加速する」と訓示なさっていたそうである。その訓示に忠実に従っていたらしい自衛隊の偉いさん達は、セクハラで更迭の情報をマスコミに流すのを控えていた、と
(『安禅不必須山水』さん2008年11月14日付『田母神サマ 身内の恥は隠すもの 』経由、毎日新聞11月14日付『自衛隊:セクハラ疑惑の空将補、懲戒処分へ』より)。
田母神氏にまつわる色々が問題視され、是正に努めているような話だったはずだが、「
身内の恥は隠すべきもの」という薫陶は、今に至るまで、よく行き届いているものと見える。この件も、空自だし。
さて、アジア女性資料センターの2009-02-17付記事では、
「女性自衛官人権裁判 原告弁護団・支援する会」による声明;「裁判でたたかう現職女性自衛官に対する任用継続拒否に抗議し、直ちに撤回することを求める」が掲載されているので、一部引用。以下の強調は引用者による。
1.北部航空警戒管制団早坂正司令は、部隊における性暴力、退職強要を訴えて国家賠償請求訴訟を闘っている原告に対し、本年1月30日午後4時30分頃、原告の所属する部隊の群司令を通じて、今年3月22日以降の任用継続を拒否する通知書を交付した。実質的な解雇である。
交付の際、原告が理由を問い質したが、群司令は答えないばかりか、「情報開示請求をしても理由は開示されないからな」と念を押した。
2.原告と代理人は、2月2日、任用権者である上記早坂正司令と、航空自衛隊トップである幕僚長に対し、一方的な任用継続拒否に抗議するとともに、任用継続拒否の理由を書面の交付と面談により、速やかに明らかにするよう書面で求めた。前者については2月6日までに、後者については2月13日までに面談の機会を設定する要求した。しかし、回答どころか連絡すら無かった。
3.(略)
原告は何ら問題なく職務(群本部総務)を遂行しており、昨年12月に実施された任用継続に向けた健康診断も問題なくクリアしていた。この間、懲戒処分を受けるなどの非行行為もなかった。原告の所属する部隊では、原告の知る限り、継続任用を拒否された例はなく、今年3月に迎える2回目の任用更新に問題はなかった。
(後略)
ということで、浜田防衛大臣、航空幕僚監部・外薗幕僚長、北部航空警戒管制団司令・早坂空将補宛の、抗議文への賛同者が募集されています。
アジア女性資料センターの2009-02-24付『
自衛隊の性暴力裁判:被害者の任用拒否に抗議を』
健康診断もクリアし、職務も問題なく遂行し、原告の知る限り、基地で任用拒否になった自衛官はいないとのこと。前日には、通信大学に通う原告の4月からの勤務についての打ち合わせも行われていました。原告は、勤務も生活もすべて基地の中にあった5年間の自衛官としての存在を切り捨てられ、理由も示されず、弁明の機会も与えられないというこのやり方に、ショックを受けています。
このままでは、原告が自衛隊を相手に訴訟をしていること、また、それに関わる言動を問題にした任用拒絶であるかと疑わざるを得ません。以下の抗議文にFAXまたはメール署名を送ってください。
◆締切日
第1次締め切り:3月2日
第2次締め切り:3月19日)
メールの場合は、名前と(あれば)所属を書いて、件名を<任用継続拒否抗議に賛同します>として、
jinken07[at]hotmail.co.jpへ。FAXはリンク先参照のこと。以下、抗議文。
裁判でたたかう現職女性自衛官に対する任用継続拒否に抗議し、直ちに撤回することを求めます
2007年5月8日、札幌地方裁判所に性暴力被害と退職強要の不当性を訴えて国家賠償請求訴訟を闘っている現職の女性自衛官が、本年1月30日、所属する部隊の基地司令を通じて、今年3月22日以降の任用継続を拒否する通知書を交付されました。実質的な解雇です。
原告と代理人は、2月2日、任用権者である北部航空警戒管制団司令 早坂正空将補と、外薗健一朗航空幕僚長に対し、一方的な任用継続拒否に抗議するとともに、任用継続拒否の理由を書面の交付と面談により、速やかに明らかにするよう書面で求めましたが両者とも期日までに回答どころか連絡もありませんでした。
原告は、本年2月19日まで約1年9カ月、11回の口頭弁論を重ねています。
この間、原告は問題なく職務を遂行しており、昨年12月に実施された任用継続に向けた健康診断も問題なくクリアし、懲戒処分を受けるなどの非行行為もありませんでした。原告の所属する部隊では、原告の知る限り、継続任用を拒否された例はなく、今年3月に迎える2回目の任用更新に問題があるとは思えません。
上記の経緯から明らかなように、原告に任用を拒否される理由はなく、全く理由を示さず、弁明の機会も与えないやり方は、適正手続を著しく欠くものです。
もし、原告が自衛隊を相手に訴訟を遂行していること、若しくはそれに関わる言動を問題にした任用拒絶であるならば、憲法32条の裁判を受ける権利に対する重大な侵害です。
原告に対する任用継続拒否に対して、強く抗議すると共に、直ちに以下のことを行なうよう求めます。
(1)原告代理人が本年2月2日付文書で申し入れた、書面及び面談による任用拒絶理由の開示並びに弁明の機会保障に応ずること。
(2)本年1月30日付の任用継続拒否の通知を撤回すること。
参考;『
女性自衛官の人権裁判を支援する会』経由で、『
加害者不起訴処分時の声明 (PDF)』より、一部。
私たちは、実際に被害者である原告と出会う中で、原告の属する自衛隊組織が彼女の受けた被害のひどさの事実を受け止めず、被害を訴え出ても被害者としては対応せず、形だけの精強さを唱え、現実にある人権侵害を認めないことを知りました。そして原告が、自衛隊内では「あるはずがない」性被害を訴えるトラブルメーカーとして、職場でもあり、生活の場でもある基地内の同僚や上司から、無視・疎外・排斥を受ける辛さと日々闘っている現実を見てきました。
この事件は自衛隊という組織のあり方、特殊性を抜きには考えられません。「精強さを保つ」と言いながら、その内容は、女性自衛官の地位が建前として男女平等であっても、体力的には男性自衛官に「劣る」とされることであり、たとえば仕事内外を問わず飲食時に「侍らされる」ような「女性としての役割」を担わされ、「性的対象物」とみなされることが少なからず存在します。女性自衛官はその初任研修の最後に、圧倒的に女性が少数である基地の中では、女らしく気配りをすることの重要性を説かれると言います。
もうひとつは、自衛隊の中では、上官の命令には服従という秩序や、自衛隊の言うところの「規律の保持」が絶対的に優先されており、性暴力という人間として大変苦痛な犯罪行為に対しても、大声を上げて逆らったり、強力に抵抗したりすることを大変難しくしているということです。被害にあった女性がそれを訴えた場合には、被害の側が責任を問われ、秩序を破ったとして、被害者が自衛隊組織に存在し続ける正当性をも剥奪することができてしまうということです。
このような組織のままでは、人権侵害への適切な対処を行う仕組みが整わず、あっても形だけであり、セクシュアル・ハラスメントやパワー・ハラスメントが起きても防止できず、組織のあり方自体が温床そのものとなるのは明白です。
今回の事件は、そのような中で起こるべくして起きた事件であり、この事件はこれまで声を上げることができず、隠され、退職に追い込まれた、多数の被害女性たちのセクシュアル・ハラスメント、性暴力事件に連なる本当に勇気ある告訴でした。
なんとなく引用;『
日本の現代史と戦争責任についてのホームページ(林博史研究室)』の『
マレー半島における日本軍慰安所について』(93年)の脚注より、
カンボジアでのPKO活動に参加する自衛隊員に対し、エイズ対策のために避妊具を配布することが防衛庁内で検討されていることが報道された(『朝日新聞』1992年8 月14日) 。結局、世論の批判を受けたこともあって取り止めになったが、もし配布されたとすれば、それはカンボジアやタイなどの娼婦に対して使われることになっただろう。
その後、あるジャーナリスト( 元毎日新聞論説委員) が次のような文を発表した。
「カンボジアで行く自衛隊員は半年交替だそうです。しかし健康で若い男に半年間辛抱しろと命じるのはムゴイことです。かといって手近な女性に手を出せば、カンボジアはタイA 型エイズウィルスのすぐ近くです。冗談ではなしに、私は従軍慰安婦を送るのも一案だと考えています。何もセックスの相手をしなくてもいい。音楽を聞かせ、お茶を出してくれる女性がいるだけで、殺伐たる男社会の空気はなごむものなんです。」( 徳岡孝夫「PKOに従軍慰安婦?」『家庭の友』1992年11月)
ここで言っているのは本来の意味での従軍慰安婦とは違うが、しかし戦場にいる兵士たちに女性がサービスをするのは当然という発想は、太平洋戦争中とまったく変わっていない。
参考の追加(25日);
「法学館憲法研究所」の『
女性自衛官人権訴訟』
「かけはし2008.2.4号」の『
札幌・女性自衛官人権裁判 東京報告集会』より一部。
上司たちは、原告に対して「お前は被害者だと思っているかもしれないが、お前は加害者だ」「お前は問題を起こしたから外出させない」「Aは男だ。お前は女だ、どっちを残すかといったら男だ」などと恫喝し、退職を強要するまでにエスカレートしていった。
(中略)
原告は、①犯人Aによる原告への暴行・強かん未遂行為は勤務時間内の行為である②上司たちによる退職強要・嫌がらせが、自衛隊の指揮・服務指導を名目にして行われた③人権や尊厳が著しく踏みにじられた││ことの責任が国にあることを明確にさせ、「自衛隊には、事実を確認して、一刻も早く私の働く環境を整備することを強く要望」(原告のメッセージから)している。
民主党の藤田幸久参議院議員といえば、
2008/9/11には、きくちゆみ氏・ベンジャミン・フルフォード氏とともに「9.11真相究明講演会」でパネル・ディスカッションを行うなど、911陰謀論支持議員として、一部では名の知られた人物ではあるが、一方では
田母神元統合幕僚長問題で、統幕学校教育についての国会で質疑にたったりといった方向の活動もしている人物ではある。911陰謀論を信じている議員さんでは、うさんくさく感じてしまうが、この度のアクションに関してはリアクションへの興味が勝った。
この、藤田議員、麻生鉱業捕虜使役問題に関しての質問主意書を提出していたそうで、その答弁が6日にで、それを受けて
6日午後に「麻生鉱業捕虜使役問題に関する報告会・記者会見」を行ったそうだ。
なお、1/29提出の「
戦時中の連合国捕虜使役問題に関する質問主意書」PDFファイルへのリンクはこちら。PDFファイルが縦書きなので、項目見出しのみ引用
1,先の大戦中の戦時捕虜に関する資料の保管状況について
2,捕虜問題の担当部局および責任者について
3,捕虜問題の認識について
4,豪州元捕虜・家族らの訴えについて
5,麻生鉱業捕虜使役に関する情報の確認について
6,麻生百年史」における記述と実態について
7,ニューヨーク総領事館ホームページでのインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙記事への反論について
8,労賃の支払いについて
9,捕虜問題の解決に向けて
参議院ホームページの
この件に関する質問主意書情報ページはこちらだが、まだ掲載されていないので、答弁内容そのものは今のところ確認できていない。
で。
…きょろきょろ。
今日は7日。不思議なことに、この件に関する日本紙報道を見つけることができない。
今のところ唯一発見できた日本語報道は、中央日報日本語版。どなたか素早い方が魚拓を撮っていてくださった。
『
麻生首相の父、炭鉱で朝鮮人を強制労働させる』
(略)
藤田議員は米国国立公文書館が所蔵している「麻生鉱業報告書」などの資料を引用し「日米政府の公式記録ではないが、当時の朝鮮人強制労働者1万-1万6000人と外国人捕虜約3万人が麻生鉱業で鉱夫として働いていたと推定される」と明らかにした。
また藤田議員は「麻生百年史によると、“1939年11月には朝鮮人労働者の124人中14人が逃走し、鉱夫の体重が1カ月に平均4キロ減少した”という記録もある」と話した。民間団体「戦後補償ネットワーク」の有光健代表は「体重減少などの状況から、麻生鉱業が労働者を過酷に扱ったと考えられる」と明らかにした。(後略)
…「生存者(捕虜労働者の)と遺族は麻生首相の謝罪と個人賠償を望んでいる」とする藤田議員だが、麻生首相は「当時、4歳だった自分は何も知らない」と事実の確認を拒否してきたと報道されている。
…随分とまた、無責任発言に見えるが。
この、日本紙が報道しないトピックは韓国紙だけが取り上げているわけではなく、英語紙ではAFP配信らしいので『
Japan PM called to apologise』と、AP電で『
Lawmaker demands Japan PM apologize over POW labor』を確認している。
タイトルからして、どちらも麻生首相が謝罪することを求められているようである。AP電の方から部分的に拾うと、12月に初めて、鉱山主の孫である麻生首相が、麻生一族の福岡にある鉱山で、戦時中捕虜労働があったことを認めたとあって
"Mr. Aso should take this opportunity and send a sincere message to the survivors," said Fujita, whose earlier request for government verification of a wartime document brought the case to the surface. "If it were not Mr. Aso's family mine, the POW issue might have been buried in the dark forever."
「麻生首相は、この機会に誠実なメッセージを生存者に宛てて送るべきだ。」とかねてから政府に戦時中の文書を明らかにするよう求めていた藤田議員は述べた。「もし、それが麻生首相の一族の鉱山でなかったら、捕虜問題は闇に葬られていたかもしれない」
Fujita, who interviewed three Australian survivors over the phone last month, said they sought official apology from Aso and the government. The Australians, aged around 90, said they were forced to work in harsh and dangerous conditions inside a narrow mining tunnel.
先月、オーストラリアの3人の生存者と電話で話した藤田議員は、彼らが麻生首相と政府からの公式謝罪を求めていると述べた。90歳ほどのオーストラリア人生存者は、狭い鉱山トンネル内のヶ国で危険な状況下で労働を強制されたと述べた。
"They are not talking about money," Fujita said. He accused the government of withholding key documents to keep evidence of Japan's wartime brutality from surfacing and avoid taking responsibility.
「彼らは、金銭的賠償には言及していない」と、藤田議員は述べた。彼は、政府が、日本の戦時における蛮行を証明する鍵となる書類を表に出さず、責任を逃れていると非難した。
A Health and Welfare Ministry official told a parliamentary committee in December that 300 British, Dutch and Australian POWs were forced to work for Aso Mining, founded by the prime minister's grandfather, from April 1945 through Japan's surrender four months later. Two of the 197 Australians died at the mine.
300人のイギリス人・オランダ人・オーストラリア人捕虜が、1945年の4月から日本の降伏にいたる4ヶ月間、首相の祖父が設立した麻生鉱山で労働を強制されたと、厚生省官僚は12月の議会委員会で答弁した。197名のオーストラリア人の内2名が鉱山で亡くなったという。
Fujita said ministry officials told him they were aware the documents existed in ministry archives, but left them untouched because there was no request for their release.
官僚が述べるには、書類の存在には気付いていたが公開請求がなかったのでそのままにしたとのことだったと、藤田議員は語った。
Japan has acknowledged it used POWs, as well as civilians kidnapped from Asia, for forced labor in mines, shipyards and jungles during World War II.
第二次世界大戦中、鉱山や造船所やジャングルでの強制労働のために、アジアから誘拐された民間人と同様に、捕虜を用いたと、日本は認めた。
In a statement Friday, Aso repeated that Japan has taken appropriate steps over the POW issue through apologies and compensation.
金曜日の答弁では、麻生首相は、日本は謝罪と賠償を通して捕虜問題について適切な措置をとったと繰り返した。
(後略)
…?
私の認識では、日本政府は、第二次世界大戦中の被害者に対して、まともに謝罪や賠償していないとの認識だったのだけど、捕虜強制労働ではしたのだっけ?
「Japan has taken appropriate steps over the POW issue through apologies and compensation」って書いてあるなぁ。。。
猫まっしぐら(^^; …こほん、
『ま・た・産・経・か』というタグを、つい一昨日追加したのだが、早速新たなエントリを追加できる運びとなった。「正論」に「八木秀次氏」、最強の取り合わせである。
MSN産経 2009.1.14 02:40『
【正論】高崎経済大学教授・八木秀次 村山談話に乗っ取られる日本』
笑劇 衝撃のタイトルだけで笑いをとる高度な芸が、相変わらずだ(^^;
以下、強調している部分は引用者による。
田母神俊雄前航空幕僚長の論文問題は、同氏が校長時代に設置した統合幕僚学校の「歴史観・国家観」講座の講師人選の見直しに発展している。この講座は自衛隊の幹部研修機関である同校の課外講座だが、講師の人選が保守派に偏っていると『しんぶん赤旗』などが執拗(しつよう)に問題にしていた。
…保守派だから問題なのではないのだが。。。
ちなみに、
この、「歴史観・国家観」講義の講師は、一人を除いて名前が公表されており、公表に同意しなかった1人は『〇五年度に「東京裁判」について講義した高崎経済大助教授
(当時)』だと報じられているし
(2008/11/22付『田母神問題、その後 』に情報有り)、2008年11月20日付「しんぶん赤旗」によると、問い合わせを受けた八木氏は否定しなかったそうである
(参考;『dj19の日記』さんの2008-11-20付エントリ)。
中略して、
統幕学校の講師の人選ばかりではない。自衛隊の一般隊員に対する研修での外部講師の人選、その講義内容、防衛大学校での講義内容まで「村山談話」に沿っているかの点検作業が行われている。追及に熱心な左翼政党は組織を挙げて自衛隊関係のあらゆる雑誌・新聞の執筆者の人選、執筆内容の洗い直しを行っているという。
防衛省・自衛隊は「村山談話」に乗っ取られようとしているのであるが、果たしてこれで自衛隊員の士気は保たれるだろうか。
「している」と、言い切った(笑)
…村山談話なんて、つい最近まで忘れてたんじゃないのかなぁ(^^;
サンフランシスコ講和条約とかも、思い出した方がいいのではないだろうか。。。
そして、田母神前幕僚長からにしても八木氏からにしても、そうそうすぐに士気が下がるのを危惧されてしまうと、自衛官の皆様が不快に思わないかと、こっちが心配になってしまう。
中略して、
私が懸念するのは公教育にこの余波が及ぶことだ。2年前に教育基本法が改正され、「教育の目標」として「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する…態度を養うこと」が新たに規定された。これに伴い、昨年3月、不十分ではあるが、学習指導要領も改定された。
しかし、「村山談話」が政府機関を縛るということになれば、公教育における歴史教育は「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました」と教えなければならなくなる。当然、教科書検定にも反映されるだろう。
「態度を養う」の前の「…」は原文ままである。何か言いたいことがあるらしい。
2007年版教育基本法には異論があるが、それはともかく。
日本が国策を誤った過去があったところで、それが何故、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養う」のに不都合があるのか、理由は謎である。現在の日本は、国策を誤った過去を反省した、国民の言論の自由もある、世界に胸を張れる平和国家だろう。
…まさか、
「国策を誤り、戦争への道を歩」むのが、この国の伝統や文化と言いたいわけでもあるまいに。
この類推でいけば、「村山談話」が維持される限り、近い将来、憲法が改正され、自衛隊が憲法上に正当に位置付けられたとしても、自衛隊は「村山談話」に沿った存在でしかない。「普通の国」の軍隊とは程遠いものにしかならないだろう。「村山談話」が憲法改正を相対化させるという構図である。
…何を問題視しているのかが、大変分かり難い文章である。
国策を誤った過去を反省して是正し、アジア諸国や他の国に多大の損害と苦痛を与えない事を方針とする自衛隊に、何か問題があるのだろうか?
「国策を誤」って
「戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ」るのが、「普通の国」の軍隊なのだろうか? そんなん、いらんのだが。
≪「建前」が憲法より上に≫
「村山談話」だけではない。我が国には特定の勢力にとって極めて都合のいい「建前」がある。いわゆる従軍慰安婦についての「河野談話」、教科書検定の「近隣諸国条項」、「児童の権利条約」、「男女共同参画社会基本法」などがその典型だが、彼らはそれらを前面に押し立てて主張を展開する。
(中略)
このような「建前」が存在する限り、教育基本法を改正し、憲法を改正しても、それらは何れも「建前」に服するものでしかない。奇妙なことだが、これらの「建前」が憲法にも教育基本法にも優位し、形骸化させるのである。
?
ツッコミどころは多々あるが、ここでは、この一点を。
「男女共同参画社会基本法」を憲法に優位な建前呼ばわりするこの人物は、憲法24条の存在を知っているのだろうか?。
なお、この文章では、なんだか、
「村山談話」が憲法改正を相対化させるという構図
では、その解決策は、ということになるが、「建前」自体の相対化以外になかろう
と、「相対化」が八木氏のブームとなったのだろうか、と、邪推したくなるものだった。
もしかして、ポモ?
参考;
産経と言えば『
黙然日記』さん、の、2009-01-14付『
産経「正論」泥まみれ。』
当ブログの
12月17日付エントリで、その前日
2008年12月16日の、第170回国会 外交防衛委員会の質疑で、共産党の井上哲士議員が田母神氏の「論文」から始まった問題の追及をしたことを紹介した。
その時の答弁で、浜田靖一防衛相はこんな見解を述べていたものだ。
そもそも、その前に、田母神さんの件に関して大変、逆に言うと、井上先生のお話を聞いているといかにも影響力があってすごいなというようなあれがあるわけですが、私はそうは思っていませんで、そもそも、だからこそ私は責任取って辞めていただいたというのもあるわけで、私はそんなに影響力のある人間だとは思っておりませんし、(後略)
(強調は引用者) 一方、当の田母神氏、講演で忙しそうである。
講演に先立ち記者会見した田母神氏は「(講演では)一民間人の立場で話すが、前空幕長として見られるだろう」と発言。「日本は自衛官に発言させまいとする力が常に働いているが、自衛官はもっと自分の思ったことを言っていい」とぶちまけた。
講演では「専守防衛は抑止力にならない。自分の国がより強い方がより安全だ」「核ミサイルの発射権を日本に与えてくれという(米軍との)交渉は、私はできると思う」などと、核武装を容認する考えを並べ立てた。
「ぶちまけた」「並べ立てた」の表現に、絶句してしまったのは私だけだろうか。そこまでの表現を使う、この記事を書いた人の心情が興味深い。
そして、同じ記事の別の箇所;
「制服自衛官の99%が私を支持していると思う」と自身の影響力を強調した。
…浜田防衛相とは、かなり見解が違うようである。今後も、共産党の井上議員はじめ、議員の皆様の追求に期待したいと思うのであった。
ちなみにこの講演は、
『日本会議熊本が主催した「村山談話の撤回を求める熊本県民集会」』で行われたものだそうな。
さて、
公表と報道としては19日付で、
歴史教育者協議会のホームページに公開されたのは24日のようだが、143名の連名による『
田母神・前航空幕僚長問題についての歴史家有志の見解』が公表されている。
かなり長い文章だけど、読んでおく価値があると思うので、是非。
『
田母神・前航空幕僚長問題についての歴史家有志の見解』
一部引用すると、
(強調は引用者による)この「論文」の結論は、日本は侵略国家ではなかったという点にあるのだが、その論拠はきわめて杜撰で批判にも値しないものである。このような「論文」が最優秀賞に選ばれたことは、政治的な作為によるものと感じないわけにはいかない。さらに、このような「論文」の著者が航空幕僚長という地位にあり、その下で自衛隊の幹部教育が行われ、それに桜井よし子氏や「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーが講師を務めていたことも明かになっており、その影響力は無視できないものがある。この懸賞論文に多数の自衛隊員を応募させたことも、このような教育の一環と見てよい。
この問題が大きく報道されると、田母神説を支持する意見が自衛隊以外にも意外に多くみられ、ヤフーのネット調査では58%の支持があったと本人が誇っている。だとすれば、この問題の背景にはかなり深刻な事態が潜んでいると考えざるを得ない。政府や自民党内にも田母神説に半ば共感する空気があるといわれ、政府は過去の戦争についての歴史認識を明確にすることなく、田母神氏を懲戒免職ではなく定年退職とすることで幕引きをはかったのである。その意味で、戦後の歴代政権が過去の戦争責任をあいまいにしてきたことが、この問題の根底にあるといえよう。こういう状況を見ると、論文の名に値しない感想文ともいうべきものに過ぎないとはいえ、安易にこれを支持する風潮もみられるので、基本的な論点について批判を加えておくことが歴史研究者・教育者の責任であると考え、ここに私たちの見解を公表することとした。
…論文がカギ括弧に入っている辺りに、にやりとしてしまった(^^;
なお、18日の日刊スポーツの報道によると、浜田防衛相は18日の参院外交防衛委員会で、『田母神俊雄前航空幕僚長を定年退職させたことについて
「過去の処分例からすると、免職までにはとても至らない」と述べ、懲戒手続きを取っても免職は不可能だったとの認識を示した』とのこと。
以下で、5つの論点に整理して、逐次、田母神「論文」を論破しているが、その一部は、
田母神氏は、相手国の了承を得ないで一方的に軍を進めたことはないというが、1931年の「満州事変」における「満州」全土への進撃、盧溝橋事件以後の中国全土への攻撃、1940年のフランス領インドシナへの進出、1941年以後の太平洋地域への進撃など、いずれも相手国の了承を得ていないからこそ戦争になったのである。これらはとうてい条約に基づく「駐留」などと言えるものではない。
コミンテルン陰謀説は冷戦時代のアメリカでつくられたものだが、何の根拠もない
そして、まとめとして、
田母神氏は「我が国の歴史について誇りを持たなければならない」と言う。しかし、日本はあの戦争に敗北し、「再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し」(日本国憲法前文) 新しい平和国家としての道を歩みはじめたのである。このことにこそ我々は誇りを持たなければならないのであって、戦前の歴史に誇りを持つことは「再び戦争の惨禍が起こること」に通ずる危険がある。そればかりでなく、このような見解を持つ人物が自衛隊のトップにいたことが世界に知られるならば、日本の国際的信用を失墜させ、日本への警戒心を高めるだけであって、日本にとって何のプラスをももたらさないであろう。
…既に、「このような見解を持つ人物が自衛隊のトップにいたこと」は国際的に知れ渡っています。 参考;当ブログ12月2日付『田母神氏@外国特派員協会、その後(追記有) 』 11月13日付『朝日新聞』の「私の視点」欄で、志方俊之帝京大学教授(元陸将)は、この「論文」が自衛隊内の「長年の鬱屈」を示したと言い、これを解決するためには憲法を改正して自衛隊の存在を明記する以外にないと主張している。これは田母神「論文」の狙いが改憲キャンペーンの一環であることをあらわしているといってよい。
(中略)
このような時期に過去の侵略を美化する言説が、こともあろうに自衛隊の最高幹部によって主張されたことには、日本の将来を誤らせるものとの強い危惧の念を抱かざるを得ない。私たちは、すべての国民の皆さんに対し、歴史の事実を学ぶことを通して、このような動きに対する厳しい監視の目を注がれるよう訴える。
と、訴えで「見解」が閉められていたので、それに応えてエントリにてご紹介してみたのでした。
MSN産経2008.12.18 08:22付『
【紙面批評】関西大学教授・木村洋二「田母神論文、メディアは多角的議論を」』の一節。
常識の欠落といえば、いちばん大切な常識を欠いているのは、日本のメディアではないだろうか。なにしろ、この国はよい国だ、誇りをもって守りにつこう、と主張した「航空幕僚長」、他国なら「空軍司令官」に相当する人物が解任されても、平気というより当然という顔をしている。
…いや、
「この国はよい国だ、誇りをもって守りにつこう」とだけ、主張したのなら更迭されないから。それを主張するために、
コミンテルンの陰謀とか、常識の欠落した根拠をもってきたからだから。
と、取り急ぎ突っ込まずにはいられない文章でした。
なお、この文章の冒頭にはこうある。
昔から、医者と坊さんと先生は人格ができない、といわれてきた。「先生」たちは、ヨイショはされても本当のところは言ってもらえないので、自分の欠点を学習しにくいのであろう。
執筆者は、関大社会学部の教授だそうな。そして、
日本笑い学会の副会長のお一人のようだ(
参考)。
…あ~、
「先生」でいらっしゃいますね。
なんで、こんな後頭部直撃ブーメランの記事をわざわざのせるのだろう? 産経って。
独創的な感覚だ。
こういう報道を見かけてしまったら、また、つい、田母神氏がらみをエントリに取り上げずにはいられない。
航空自衛隊第二術科学校の学校長らが、田母神俊雄空幕長(当時)の方針を受け、東京裁判でA級戦犯として処刑された七人の軍幹部を埋葬している「殉国七士廟(びょう)」(愛知県)を訪問し、今後、同地への研修を進めようとしていることが十六日、分かりました。(中略)
井上氏が示したのは、同校のある空自浜松基地(静岡県)の新聞「遠州灘」(五月二十日付)。「英霊を訪ねて」という見出しで、「空幕長の歴史教育重視の方針を受け…、学校長以下七名で現地偵察を行いました」と報道。今後、「使命教育」の一環として同地への「現地研修」を予定していると記述しています。(後略)
井上哲士議員が16日の参院外交防衛委員会で示し、そして、「
田母神氏が主張した旧軍と自衛隊を連続したものととらえ、かつての侵略戦争を正当化する考えが自衛隊内に広く存在しているのではないか」と、指摘したとのこと。
しんぶん赤旗でも、その懸念を裏付ける例として、以下と同じ件を井上議員が挙げたと報じているが、ここでは『
世界の片隅でニュースを読む』さんの2008-04-27 12:40付エントリ
(主なソースはしんぶん赤旗27日付だそうなのだが(^^;)から引用させていただこう
(略)三重県津市にある陸上自衛隊久居駐屯地の「駐屯地創設100周年記念行事」の一環として、昨日(4月26日)駐屯部隊のパレードが行われたという。
自衛隊の前身の前身である警察予備隊が占領軍の命令で創設されたのが1950年だから、今年は58周年のはずなのに、なぜ100周年?と思ったら、旧帝国陸軍の久居駐屯地の開設が1908年で、それから起算して100年だというからふざけた話だ。
言うまでもないが、帝国陸軍と自衛隊はその設置の法的根拠は全く異なる。しかも敗戦による旧軍解体後、駐屯地は数年間とはいえ大蔵省が管轄し、制度上は断絶している。(略)
今まではどうだったのか簡単に調べてみると、久居駐屯地の開設記念行事は毎年行われているが、昨年までは警察予備隊発足から起算していて、昨年は「57周年」となっていた。それが今年唐突に「100周年」と銘打って、40年ぶりに市中でのパレードを大々的に行ったのである。(略)
「赤旗」によれば、駐屯地司令で第33普通科連隊長の甲斐芳樹一等陸佐は、地元新聞に「創設百周年を迎えて」と題した一文を寄稿し、戦前久居に駐屯していた旧陸軍歩兵第33連隊を「日露戦争、支那事変に参戦し数々の戦果をあげ精強部隊として名をとどろかせた」「輝かしい歴史と伝統を後世に継承したい」と述べたという。
危うくスルーしそうになったが、歩兵第33連隊といえば、日中戦争時に上海攻略戦や南京攻略戦に参戦した部隊である。(中略)無抵抗の敗残兵(実際は非戦闘員の難民を大量に含む)の一方的殺害のどこが「輝かしい歴史」なのか。そんな「伝統」を現在の自衛隊が引き継ぐなど言語道断だ。
このニュースは「赤旗」以外では地元三重の報道だけで、全国向けには全く報道されていないようである。しかし、現在の自衛隊幹部の歴史意識を知る上で重要な事件である。(後略)
16日の参院外交防衛委員会においての、井上議員によるこの件の指摘に対して、浜田靖一防衛相は「旧軍と自衛隊に連続性はない」という答弁を繰り返したそうで、そう言うしかないにしても随分と虚しく響くものだ。
ちなみに、こんな報道も出ていたし。
防衛省の外薗健一朗航空幕僚長は21日の記者会見で、自身が統合幕僚学校長時代の「歴史観・国家観」講座に「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバー2人を講師に招いたことについて「私の責任で実施した。当時は適当だったと思った。偏っているという意識は持っていなかった」と述べた。
同時に「今になって考えると、見方によっては、ややバランスを欠いているとの印象を受ける方がいるかもしれない」と釈明した。(後略)
指摘される機会がないと、そういうものだと素直に受け取るということだろうか。
「使命教育」の一環として「現地研修」しに行く地に葬られた方の一人って、原爆を投下された後の降伏直前である8月13日に
「もろくも敵の脅威に脅え簡単に手を挙ぐるに至るがごとき国政指導者及国民の無気魂なりとは夢想だもせざりしところ、これに基礎を置きて戦争指導に当りたる不明は開戦当時の責任者として深くその責を感ずる」
と、随分な発言のあった方ではなかったのか。だいたい、『「
使命教育」の一環として』『七人の軍幹部を埋葬している「殉国七士廟」』に研修に行くという着想時点で、「旧軍と自衛隊に連続性」がある発想が前提にあると見えるのだが?
自衛官さん達が危なっかしく見えて仕方ない…orz
こんなのあったのでURL保存。
辻元清美議員による『
前航空幕僚長の論文「航空自衛隊を元気にする一〇の提言」についての麻生首相の認識に関する質問主意書』(平成二十年十一月六日提出)、および、
内閣総理大臣臨時代理 河村建夫国務大臣による答弁(平成二十年十一月十四日付)。
そういえば、こんな話もあったことを思い出したので、関連エントリを一覧。
『
Apes! Not Monkeys! はてな別館』さんの2008-07-21付『
「毎日新聞の英語版サイトがひどすぎる」まとめ@wikiの翻訳は別にひどすぎたりしないが、残念ながら陸上自衛隊第三三普通科連隊の連隊長殿は、南京事件に関わった旧陸軍歩兵第三三連隊の「歴史と伝統」を「継承」したいとおっしゃっているので「後継者」と言われても弁解しにくいかな、という件(追記あり)』
『
駄文』さんの2008-07-01付『
パールハーバーと南京大虐殺の後継としての自衛隊』
『
ホドロフスキの記録帳』さんの2008-06-30付『
パールハーバーと南京大虐殺の後継』
…今となっては、なんと表現したら良いやら、、、の微妙な感慨が。
一民間人としての発言ではあるが、この方が相変わらず展開して回っている持論ってば、制服を着ていた当時ときっぱり変わってなさそうなので、拾った新しい発言は保存しておく気になった。
防衛省が、田母神氏が退職後にあちこちで講演することに戦々恐々として、対策に苦慮とかなんとかって話もあるようで、それって要するに、自衛隊というのが、こういう人物が出世できる組織であることを知られたくないという意図だととられても仕方なかろう。実際、こういう人が、自衛隊で制服を着た偉いさんだったのだと、感慨深いものである。
そんな田母神前航空幕僚長が、12日に、出身地の福島県郡山市で、地元月刊誌(河北新報の報道による、毎日新聞によると「財界ふくしま」が時局講演会として招いたと)が主催した講演で、400名ほどの聴衆の前でお話になったそうだ。
田母神氏が統合幕僚学校長時代に新設した
「歴史観・国家観」講座を、浜田靖一防衛相が廃止検討していることに触れて、
「村山談話に基づいた教育訓練を徹底するというが、あんなものを徹底されては、自衛隊はこの国のために命を懸けて戦う気になれない」
…「あんなもの」って(^^;
シビリアンコントロール(文民統制)については、
「政治家と文官の言うことを何でも聞いていると、軍は弱体化する」「戦争をやりたがるのは文民。ヒトラーもムソリーニも近衛文麿も文民。軍人は自分の部下が死ぬので戦争をやりたがらない」
別紙から、「歴史観・国家観」講座に関し、
「学校で何を教えるかは制服組に任された分野で、文民が関与すれば、どんどん自衛隊は弱体化する」
公演後、記者会見があったらしく、そこでタモ氏の言動をめぐってシビリアンコントロールへの懸念が出ているとの質問を受けて、
「自衛隊が独走すると言うが、自衛隊には内局があり、文民が人事にまで口を出す。これ以上、文民統制を強化すれば隊員がやる気をなくしてしまう」
あるいは、
「日本が侵略国家だったから戦争になった訳ではない」
「文民統制が絶対の『善』とはいえない。文民統制をこれ以上強化すると自衛隊はやる気をなくし、動けなくなる」
なんだか、ネトウヨそっくりな言い回しがいっそ微笑ましくなってくるが。 …いやぁ、自衛隊って、とっても簡単に弱体化したり、やる気を無くしたりするんですねー。コミンテルンにばれないように気をつけないと。宣伝してまわるのは控えた方が良いのではないだろうか。なお、本日見かけた別の方の説によると、
『日中戦争はドイツが仕組んだ』のだそうな。戦前の日本は、いろいろと陰謀に引っかかりまくったようである。
こういう方が航空自衛隊の前航空幕僚長で、制服組ってこういう方が出世できるのかーと感心していると、拾うのが遅くなってしまったこんな話が。
防衛省が前事務次官守屋武昌被告の汚職事件など一連の不祥事を受け取りまとめた省改革の「基本的考え方」(基本方針)の全容が十日、判明した。自衛隊運用の所掌事務を内局の運用企画局から、制服組主体の統合幕僚監部に移管。統幕の副長級に背広組を充てるが、内局(背広組)の役割は大幅に縮小される。
(中略)
基本方針は「運用企画局が所掌する『自衛隊の行動の基本』は内局の所掌として維持しない」と明記。一方、内局と陸海空各幕僚監部の防衛力整備部門を一元化して、新たな部局を内局に設置。防衛政策局の次長級に制服組を充てる。自衛隊の運用に関しては「抑制的に管理する時代から的確に運用する時代に変化している」との認識を示し、統幕の権限を強める内容。具体的には運用の企画、立案や他省庁との連絡調整に制服組が当たるとしたが、国会答弁については今後の課題として持ち越した。
制服組の権限強化って見間違いかと思ってしまったが、
防衛事務次官による汚職事件後に防衛省改革有識者会議から7月に出された、「シビリアンコントロール(文民統制)が機能しているとの前提に立」った報告書に基づいて立てられた方針だから、そういう方向になったらしい。
しかし、
(略)
基本方針によると、防衛省設置法と防衛省組織令が規定する「自衛隊の行動の基本に関する」事項を運用企画局から統合幕僚監部に移す。これにより武器使用基準など自衛隊行動の立案や、ほかの府省や与野党幹部との調整、米国や国連との協議で、制服組が主導権を握ることが予想される。
「業務の重複を合理化するため運用企画局は廃止」とした有識者会議の報告書は「防衛省・自衛隊は文民統制を重視している」「自衛隊は文民統制を内面化した」と、文民統制の定着を評価する内容となっている。
田母神問題が起きて以降、防衛省内局では「前提そのものが誤っていたのに、このまま組織再編が国会の理解を得られるのか」「唯一の武力組織である自衛隊の運用を制服組に任せていいのか」(背広組幹部)との声も上がったが、流れを変えるに至っていない。関連法案が二〇一〇年の通常国会に提出された場合、慎重な審議が不可欠だ。
…「文民統制」が定着してるって認識は誤解だったらしいと身を以て体現し続けている方がいるのだし、前提が力一杯間違っているんで、そのままの組織再編は国会もだけど、国民も理解しないぞと言いたい。
中国新聞では「流れを変えるに至っていない」とのことだが、少しだけは修正はしたようだ。再度、東京新聞の同じ記事の別の箇所から、
基本方針は、取りまとめ途中で田母神氏の問題が起きたため省内であらためて調整したが、官邸に設置された防衛省改革会議の七月の報告書を大筋で踏襲した。ただ「人事、教育・訓練部門」の項目は修正。田母神氏が統合幕僚学校長時代に「歴史観・国家観」の講座を新設し自身に近い歴史観の講師を招いたことを問題視し、バランスの取れた中立的な教育の必要性を追加する方向だ。
ということは、改めて調整する時間は、あるにはあったらしい。
しかし、田母神氏の場合、不安なのは歴史認識だけじゃなかっただろう。クラスター爆弾発言、「そんなの関係ねえ」発言もある。
さらには、
防衛省の田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長(60)が投稿したアパグループの懸賞論文「真の近現代史観」に94人の空自隊員も応募していた問題で、航空幕僚監部教育課長から懸賞の紹介のため各部隊にファクスされた書類に「部隊長の承認を得ること」と明記されていたことが、防衛省の調査でわかった。
94人は指示通りに手続きを取ったが、田母神氏は「職務に関しない」と一人だけ無届けで投稿していた。対応の矛盾が浮かび上がった。(中略)空幕長の場合、官房長に届ける必要があったが、田母神氏は「職務に関しない」として事前に届けず、投稿後に口頭で伝えただけだった。(後略)
また、
昨年7月の参議院選挙で初当選した元陸自1佐・佐藤正久参議院議員(自民)の政治資金管理団体に、田母神俊雄・航空幕僚長や折木良一・陸上幕僚長ら制服組トップを含む7人の現職幹部自衛官が、計46万円の政治献金をしていたことがわかった。政治的中立を求めた国家公務員法違反の疑いがあるだけでなく、隊員の「政治的行為」を厳しく制限した自衛隊法に違反する可能性が極めて濃厚だ。
(中略)
田母神俊雄・東京都目黒区・公務員…とある。イラク派遣の違憲判決の際に「そんなの関係ねえ」などと発言して物議をかもした現役の航空幕長の名前だ。MNJでも、先刻、自衛隊機を独占した豪華出張ぶりについて疑問を投げかける記事を掲載したばかりだった。
献金の日付は2007年6月7日。参議院選挙投票日の1ヶ月ほど前だ。この日、田母神氏は「さとう正久を支える会」に10万円を寄付した、と記載されている。
現職の空幕長が特定の候補に政治献金していたとは、予想だにしなかった。自衛隊員の政治活動は厳しく制限されていると聞いている。(後略)
というように、率先してルールを守ろうという意欲に不安のある人物が、制服組で出世できたという実績がある訳だ。そういえば、
「身内の恥は隠すもの」と、常日頃説諭されていたとも聞いている。
…制服組の権限強化って、なんの冗談だろうと思ってしまうんだが。
参考にさせてもらったいろいろ;
『西日本新聞』の2008年11月12日 21:09付『空
自隊員3人無届けで応募 処分も検討、計97人に』『
安禅不必須山水』さんの2008/11/14 12:18付『
田母神サマ 身内の恥は隠すもの』
『
かめ?』さんの2008年11月28日付『
「日本はろくな国ではなかった」=「日本はろくな国ではない」じゃあないよ、田母神さん 』
山陽新聞 12月10日14時18分付『
防衛省組織改革基本方針の要旨』
3日から始まった「クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)」の署名式は、日本を含む94ヶ国が署名し、4日に閉幕したという。今後、手続が間に合わなかった国の署名をニューヨークの国連本部で受け付ける、とか
(asahi.com 2008年12月5日11時50分『94カ国が署名し閉幕 クラスター爆弾禁止条約』より)。
「米国は対人地雷禁止条約に入っていないが、実際は、条約の(不使用)義務を100%守っている。中国も地雷輸出をやめた。クラスター爆弾でも、同じことが期待できる」。対人地雷禁止条約締結への寄与で97年のノーベル平和賞を受賞したジョディ・ウィリアムズ氏は、クラスター爆弾禁止条約の署名式出席のため訪れたオスロで語った。
条約の狙いは加盟国を増やし、非加盟の米露中など大国への包囲網を作って圧力をかけ、クラスター爆弾の使用を国際的なタブーにすることだ。たとえ大国でも国連加盟国(192)の半数近い国々が加盟する条約を無視するのは難しい。
(中略)
非政府組織(NGO)によると、今年8月のグルジア紛争では、ロシア、グルジアがクラスター爆弾を使用したが、両国は互いに使用を非難した。既にクラスター爆弾は「使ってはいけない」(NGO)兵器と位置づけられている。
国立国会図書館調査員(安全保障)・福田毅氏によると、
日本は当初、署名に消極的だった。日本と同スタンスだった英仏独が方針を転換し、参加への流れが形成され、日本も加盟せざるを得なくなったというのが実情だろう。
大阪女学院大教授(軍縮国際法)・黒澤満氏によると、
将来、大国が加わる方向性を示したことは意味がある。対人地雷も禁止条約(99年発効)の影響で「使えない兵器」になっており、「クラスター爆弾は良くない兵器」という国際規範を徐々に浸透させることが重要だ。
対人地雷に続きクラスター爆弾でもNGO(非政府組織)とノルウェーなどミドルパワー(中級国家)が禁止条約作りを主導した。軍縮条約の歴史に従来の大国主導とは別の流れができた。
だが、2008.5.29時点にダブリンでの『オスロ・プロセス』国際会議に関して、『
専守防衛に空白 クラスター爆弾全面禁止合意』で
確かに、着上陸侵攻の可能性は冷戦時に比べ低いが、国土防衛は確率論ではない。国家の決意を示し、途切れることのない抑止力につなげることが大原則である。禁止の背景である不発弾による非戦闘員の殺傷多発は痛ましい。だが、国家・国民の安全が損なわれる事態も悲劇ではないか。
確率論ではなく
決意を示すってそれっていわゆる特攻精神みたいなもの?!とか、大原則って産経の?!とか、非戦闘員の殺傷多発がって、イコール国民の安全をそこなっている事態だろ?!、とか疑問符の大量発生する文章を公表し。
あるいは、『
【主張】クラスター爆弾 日本の安全が損なわれる』として
国際会議では、ノルウェー、アイルランドなどの全面禁止派と一部の規制にとどめるべきだとする日本、英独などの部分規制派が対立している。主な論点はクラスター爆弾の定義や非加盟国との共同作戦をどう取り扱うかなどだ。
議長案は、軍事目標だけを正確にとらえるとともに不発弾を残さない自爆機能を持つ最新型を禁止の例外とするようだ。これにより各国が保有するクラスター爆弾の90%以上、とくに日本の保有分はすべて禁止の対象となる。
日本は侵攻してきた敵を撃退するため、クラスター爆弾を防御手段としている。海岸線が長く、離島の多い日本にとって敵の上陸を食い止める有力な手段はほかにない。冷戦が過去のものとなった欧州などとは環境が異なる。
と、論旨が田母神氏発言とそっくりだけど、それって、
田母神俊雄・航空幕僚長が「不発弾による(日本人の)被害も出るが占領される被害の方が何万倍も大きい」と同爆弾の必要性を強調した点について、同会議に出席していた英国のエルトン上院議員は「日本国内で使えば市民の犠牲は免れない。軍の論理より民間人への犠牲を最大に配慮すべきだ」と疑問を呈した。また非政府組織(NGO)の連合体「クラスター爆弾連合」のコーディネーター、トーマス・ナッシュ氏は「信じがたい発言。日本を占領できるほど軍事力を持つ敵だったら、クラスター爆弾程度で撃退できるわけがない」と語った。
なんてツッコミが既に入っていたもんだけど、、、、、の産経はやはり、だった。
pr3さんが期待の
『主張』は
理想論が先行して、署名という結論が導き出されたことに危惧(きぐ)せざるを得ない。
(中略)海岸線が長く、離島の多い日本にとって敵の上陸を食い止める有力な手段はほかにない。しかも中国、ロシア、韓国、北朝鮮などの周辺国、それに米国も今回の条約に参加していない。冷戦が色濃く残る北東アジアで日本だけが有効な兵器を持たないという構図である。
非参加国が持つクラスター弾は世界の保有数の7割以上を占めるようだ。対人地雷全面禁止条約の発効後、米国などの非署名国も対人地雷を実戦で使わなくなったことから、クラスター弾も使えなくなると論じられているが、禁止の実効性は担保されていない。
…と、書いてはいるものの、今ひとつ勢いには欠ける、ように見える。
しかし、今回の本命はこれではなかった(爆)。
『
【産経抄】12月5日』(^^;
冒頭で、
それほど、「めでたい」ことなのか。
そして、
きのうの毎日新聞は「『市民主導の軍縮外交』が新たな地平を切り開いた」などと祝賀ムード一色だった。小欄とてこの爆弾が、広範囲に損害を与え、不発弾によって多くの民間人が被害に遭ってきたことを承知している。
…毎日新聞名指しである(^^;
もはや隣国から攻撃を受ける可能性がほとんどなくなった英、仏、独の参加には、驚かない。英、仏2国にとっては、本来核兵器も必要ないはずだ。もっとも国連常任理事国であることを示す“勲章”を手放すつもりはないようだ。
驚かないって(^^; 勲章って(^^;
そして、
島国日本の海岸線が異様に長いという特殊事情も悩ましい。約3万5000キロもあり、中国の2倍、米国の1・5倍に達する。
と来ると、論旨はアレだなと思ったら、やはり。
森本敏拓殖大学大学院教授によれば、自衛隊が保有しているクラスター爆弾は、何より相手が海岸に着上陸したときに、効力を発揮する。つまり日本になくてはならない兵器だった。
森本氏の意見は「効力を発揮する」までで、「なくてはならない」は、産経症の中の人の意見のようだ。
でも、だから民間人に被害が及ぶような兵器をばらまくべき事態のまえに(以下略)。そして、今回の目玉はこの後。
こんな危ない状況へ、日本を導く旗振り役となったのが、やはりこの人、河野洋平衆院議長だった。
…爆(^^;
麻生首相が『これ、歴史的にすごいことなんだよ。』『クラスター弾というのはものすごく大きなことだと思ってたんですけれどもね。』とご発言なのになぁ。麻生首相の感覚も凄い
(主に言語感覚が…orz)と思っていたものだが、産経の感覚は遙かに独創的であることを確認してしまったのであった。
ところで、国籍法関係で、河野太郎議員のブログが炎上したのって、やはり、河野洋平氏は無関係じゃないんだろうなぁ。
ほんで、クラスター爆弾禁止条約がらみは、本当に静かですなぁ。>gegenga師匠
毎日以外では、朝日・日経なども報道しているけど社説ならこの辺。
中日新聞2008年12月5日 『
社説;集束爆弾禁止 この流れ定着させたい』
沖縄タイムス 2008年12月05日 社説 『
クラスター弾条約』